ファスレーン365ってなに? デビットさんへのインタビュー


デビットさんたちに、ファスレーン基地とその周辺を案内してもらった僕たちは、街に戻って昼食をとりながら、さらに詳しく基地と運動の状況を聞きました。以下は、僕からデビットさんへの一問一答です。


●八木 まず、英国の核配備の状況について教えてください。
●デビット 英国が保有している核兵器は全て、潜水艦搭載型弾道ミサイル(SLBM)です。現在英国は、核ミサイル搭載の潜水艦を20隻保有しています。そのうち4隻が、ここファスレーン基地に配備されているのです。

●八木 今回、06年の10月1日から365日間、ファスレーン基地を集団封鎖するそうですね。その目的は何ですか。
●デビット 1992年に英国が保有するSLBMが、それまでのポラリス・ミサイルからトライデント・ミサイルに更新されました。トライデント・ミサイルの耐用年数は、15年から20年と言われています。ですから英国政府は、老朽化の始まったトライデント・ミサイルを、新しいミサイルに更新しなければなりません。
 しかし、私たちがミサイルの更新を阻止することができれば、トライデント・ミサイルが老朽化し廃棄された後には、英国は非核保有国になるのです。今回の行動は、そのことをアピールするためのものです。1年間も集団封鎖を続けるためには、多くの人々の協力が必要です。私たちは英国・欧州・そして世界中の人々に、ファスレーンに来てもらって、一定期間の封鎖に参加してもらいたいのです。

●八木 ファスレーンでの反核運動の歴史を、簡単に教えてください。
●デビット ここでの反核運動は、70年代に始まりました。82年には活動家によるピースキャンプが始まります。いまでもピースキャンプには、活動家が暮らしています。92年にはトライデント・ミサイルの配備に反対する運動を行い、ここ数年は、トライデント・プラウシェズに取り組んでいます。
 これまでにも何度か、反核運動の高揚期はありました。しかしそのテーマが終わってしまうと運動も収束し、マスコミの報道も減ってしまいます。そこで今回は、365日、1年間続けて基地を封鎖することで、大きなキャンペーンにしたいと考えています。

●八木 阻止行動とは、具体的にはどのようなことをするのですか。
●デビット 基地のゲート前で座り込んだり、寝転んだりして、軍用車両の出入りなどを止めてしまうのです。また基地は入り江にあるのですが、対岸から基地までの距離は750mぐらいです。私は、深夜にウエットスーツとフィンをつけて対岸から泳いで、潜水艦に取り付いて、潜水艦にペンキで落書きをしたこともあります。

●八木 そんなことをして、逮捕されないのですか。
●デビット 潜水艦に落書きをすると、逮捕されます。朝まで待って、ウエットスーツを着たまま裁判所に行って、判決を言い渡されます。1日ぐらいは拘留されますね。ゲート前での阻止行動でも、排除・逮捕される場合はありますが、大抵は1日で釈放されます。
 しかし05年にテロ対策の新法が成立して、陸上から基地内に進入した場合には、非常に厳しい罰則を受けることになりました。

●八木 日本の市民や労働組合が、協力できることはありますか。
●デビット 第1に、今回のキャンペーンを支援してもらえる団体の賛同署名を集めています。ぜひ賛同してください。
 第2に、佐賀大学の豊島先生が、学者や文化人を呼びかけ人にして、日本国内での支援キャンペーンを始めてくれました。市民運動の人たちにも、こうしたキャンペーンに参加してもらいたいです。
 第3は、日本で私たちを支援する直接行動を行ってもらいたいです。
●八木 例えば英国大使館への抗議とか?
●デビット いいですね。ぜひ、行ってください。

●デビット 本当は、日本の市民団体にも、ファスレーンに来てもらって、阻止行動に参加してもらいたいです。排除されることもありますが、すぐに釈放されますよ。行動に参加する前には、非暴力行動のためのミーティングやトレーニングも行っています。
●八木 ん〜。日本から団体で参加するのは、難しいかもしれませんね。個人で参加するとしたら、どうしたらいいでしょう。
●デビット 今年の12月11日・12日には、トライデント・プラウシェズによる大規模な阻止行動が行われます。その時に来ていただければ、様々な団体と交流できるから、楽しいと思いますよ。


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