平和フォーラムが防衛省へ緊急の抗議・申し入れ行動




 平和フォーラムは5月22日、沖縄・辺野古沖での新基地建設のための事前調査に海上自衛隊が投入された問題で、防衛省を訪れて抗議の申し入れを行いました。

 申し入れには平和フォーラムの福山真劫事務局長・藤本泰成副事務局長、東京平和運動センター事務局長の関久さん、神奈川平和運動センター事務局長の加藤泉さん、自治労中央本部の泉裕子さん、新運転の太田武二さん、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの吉田正司さん、自治労本部青年部・女性部の皆さんが参加しました。
 申し入れに際しては、民主党衆議院議員の川内博史さん、社民党衆議院議員の照屋寛徳さん、菅野哲雄さんが窓口となって参加してくださいました。

 防衛省側は、防衛省・防衛施設庁の担当課長が対応してくださいました。

以下は、交渉の経緯です。


●議員
 事前にお送りしている質問に対して、根拠法を示しながら、簡潔に答えてください。

●施設庁
1〜5の各項目に従いまして、お答えします。

1.今回の調査の、法的な根拠を明らかにしてください。
●施設庁 今回の調査は5月18日から3日間行いました。
 この調査の目的は、普天間飛行場の移設を行うためにサンゴなどの状況を、各種データに基づいて調べるために、環境影響調査法に基づく調査とは別に、防衛省の所掌事務として、防衛省設置法第4条第19に基づいて自主的に行ったものです。

2.自衛隊が委託民間業者の調査に参加した、法的な根拠を明らかにしてください。
●施設庁 海上自衛隊が参加した法的根拠ですが、国の行政機関の間では、国家行政組織法第2条第2項による規定の精神を踏まえて、いわゆる官庁間協力で行っています。
 この考え方は、防衛施設庁と海上自衛隊との関係でも妥当するものです。これまでも防衛省事務の遂行に関して、防衛省内の各局が協力して行われています。

 今回の調査につきましては、防衛施設庁が契約している企業の人員・装備では、限られた期間内に機材の設置を、円滑かつ十分に行うことができないと認められたことから、防衛施設庁から海上自衛隊に、海上自衛隊の潜水能力の活用すべく協力を求めて、国家行政組織法第2条第2項による規定の精神によって、防衛省全体として判断したものです。

3.自衛隊の投入に知事や名護市長は反対しています。どのようにお考えか明らかにしてください。
●施設庁 沖縄県知事からコメントが出ています。それは「内容が明らかになっていないので現時点ではコメントすることはできない」と前置きした上で、「海上自衛隊が参加する状況にあるとは考えられない」「特殊な任務を持つ海上自衛隊が関与する事態かどうか、疑問に思う」「県民の反自衛隊感情を助長することは、避けるべきである」「なお調査の実施に当たっては、安全かつ円滑に取り組んでいただきたい」ということです。
 名護市長からは、コメントが出されていることは承知していません。

 当方は県にも名護市にも、今回の調査について説明をしています。私自身も名護市と県に行きまして、先ほど申したように、今回、自衛隊を協力させた趣旨は、これまで辺野古周辺で行われた調査、反対派との状況を踏まえて、今回の調査を円滑かつスムーズに実施するために自衛隊の潜水員を活用したものであて、無用な混乱をさけるための措置であることを説明し、異論はありませんでした。

4.住民の座り込みや海上行動などの反対運動に対して、どのようにお考えか明らかにしてください。
●施設庁 今回の調査は、本年3月に那覇施設局から沖縄県に対して、公共用財産の使用にかかわる協議を行い、4月24日に沖縄県から同調査の同意を得て、今般の資材の設置作業を行っています。知事が5月18日に出したコメントでも、「名護市辺野古周辺海域での現況調査は事業者である防衛省の責任で実施される」としています。これについて、現時点で、名護市当局から反対があることは承知していません。名護市漁協からも反対があるとは、承知していません。

 一部に反対派がいることは承知していますし、辺野古漁協周辺で座り込みをしていることも承知しています。できる限り、説明しご理解を得、対応したいと考えています。

5.米軍再編が進行し、各地で反対運動が強まった場合、自衛隊が投入される可能性があるのかどうかを、明らかにしてください。
●施設庁 今回の活動は、治安出動や海上警備行動ではありません。反対運動があるから、自衛隊が警戒行動をすることは考えていません。
 今回行った業務については、海上自衛隊が、民間の能力では足らない部分を補完して円滑に作業するための行為です。反対運動があるからといって、自衛隊を導入することは考えていません。

6.辺野古沖での新基地建設に対して、沖縄県知事や名護市長は計画変更を求めています。また厚木基地から岩国基地への空母艦載機移転、キャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部移転などに対して、地元自治体の議会や首長は反対を表明しています。自治体の反対に対して、どのように対応するのかを明らかにしてください。
●施設庁 米軍再編について、同意・理解されていないところがあることは、十分承知しています。沖縄からも、沖合移設に合意してもらいたいという要請があります。
 在日米軍の再編については、抑止力を維持し、沖縄の負担を軽減するものであり、ぜひとも実施しなければならないと、考えています。
 円滑な実施に当たっては、地方公共団体をはじめ、国民の十分な理解を得ることが必要だと思っています。これまでにも説明を行っていますが、説明を繰り返し、切実な声に耳を傾け、地域の振興に取り組んでいきたい。そうしたことによって、在日米軍の再編を着実に実施したいと考えております。




●議員

 あまりにふざけている。そんな回答ですか。サンゴの状況を調査するために、やっている? 実際にやっていることは、サンゴの破壊でしょう。
 昨日、さまざまなメディアで報道されたでしょう。今日の地元新聞も報道している。サンゴの上にこんなデッカイ鉄筋を打ち込んで着装盤を設置しているのです。
 海上自衛隊が、潜水員が、サンゴのことも知らないでコソコソやるから、かえってサンゴを破壊しているんですよ。
 ジュゴンの通り道にビデオを設置して、ジュゴンが通るのを妨害している。昨日、現地で佐藤局長にあった。写真を見せたら、驚いていましたよ。
 北原長官が海上自衛隊の出動を要請したのは、いつなのですか?
●施設庁
 出動要請はしていません。海上自衛隊は、出動していません。海上自衛隊の協力を・・・。
●議員
だから、いつなのですか。
●施設庁
5月11日です。


●議員
 国家行政組織法の2条で、そんなことできるはずはないでしょ。その精神をそんたくしというが、そんな法律の有権解釈をしてはいけない。

 民間の能力を補完するためと言うけれど、あなた方は莫大なお金をかけて委託しているでしょう。しかもやっているのは環境アセス法に違反した調査でしょう。民間で間に合うようにしなければ、おかしい。あなたの答弁は答えになっていない。

 かつて日本軍は何をしたか。われわれ住民に集団自決の強制をした。壕やガマから住民を追い出して、自分たちだけ生き延びて、砲弾が降る中に住民を追いやったのだよ。今度は米軍の新基地建設のために、自衛隊が米国を守るのですか?

●議員
 掃海母艦の目的は何ですか。
●施設庁

 潜水作業は危険を伴うものです。海の状況や潜水士のケアのためには、掃海母艦が適切であると判断しました。
●議員
 掃海母艦の主目的は、機雷の敷設や除去でしょう。辺野古に機雷があるのですか?住んでいるのはジュゴンですよ。なぜ、掃海母艦が必要なのか。皆さんが言う理由なら、災害でもない人道支援でもない、どんなところにも自衛隊が出て行けるじゃあないですか。あまりにも酷い。住民運動に自衛隊が出てきたことが、ありましたか。

●議員
サンゴの破壊、ジュゴンの通り道を塞いでいることをどう思いますか。
●施設庁
 サンゴについては、自然環境への影響を軽減するように、県から意見をいただいています。
 そうした趣旨を踏まえて、できるかぎり自然環境への影響を軽減するように配慮しています。
 ジュゴンの問題につきましては、前回この地域の調査をするにあたりまして、県からもご意見をいただいて、それを踏まえて調査箇所を設定しています。
 私たちだけで進めているわけではありません。ジュゴンが一番いそうな場所はどこかも、調べなければなりません。
●議員
 ジュゴンの通り道があるのです。われわれ人類よりも古くから辺野古に住んでいるのですよ。

●議員
 昨日、沖縄県の知事・副知事にお会いして「事前に防衛省・防衛施設から説明がありましたか?」とお聞きしました。
 知事も副知事も明確に「事前の説明は無かった」と否定されました。課長は「事前説明をした」とおっしゃいましたが、沖縄県知事がウソをついているのですか?
●施設庁
 正確に説明させてください。正式に説明したのは18日です。
●参加者
 当日説明して、説明になるか、ウソを言ったのか。
●施設庁
 ウソは言っていません。18日に調査が始まった時点で説明しました。
 そこには意識の食い違いがありますが、情報を十分に伝えられなかったことはありますが、沖縄県の事務方とは、内々に話をしていました。

●議員
 掃海母艦には通常、潜水員は、何人のっているのですか?
●施設庁
 自衛隊の装備・能力にかかわることは、お答えできません。

●平和フォーラム
 議員から強く指摘がありました。防衛省は「説明した」と思うのかもしれませんが、私たちの側からすれば「いい加減な説明」です。自衛隊を、そんな形で動かしているのかと怒りが沸いてきます。
 今回の米軍再編について、憲法や日米安保との関係で検討が必要だと考えています。米軍再編に反対する署名は120万集まりました。そういう声を踏まえてほしい。
 辺野古の問題については国と、県・市との合意はできていない。地元の住民団体は、1100日を超えて座り込み反対をしている。
 みなさんの説明を聞いても、自衛隊を投入した理由を納得できない。日本の防衛の責任を預かるのなら、もっと責任を持って対応してもらいたい。
 今後も議員を通して、要請を行います。



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