広島市でおきた米兵による女性暴行事件についての米国大使館への申し入れ


平和フォーラムは11月20日、米国大使館を訪れ、広島市でおきた米軍兵士による女性暴行事件について、抗議の申し入れを行いました。この事件は、10月14日午前3時過ぎに広島市内で、米海兵隊岩国基地所属の兵士4人が、パーティー会場で知り合った19歳の女性を集団暴行、金銭を奪ったというものです。報道などでは当初、警察は米兵の逮捕・立件を想定しているとしましたが、最終的には任意での取調べの末に不起訴になりました。平和フォーラムは事件発生直後から、米大使館・米軍司令官ならびに日本政府への抗議打電を実施、また米国大使館へ面会の上での申し入れを求めてきました。
以下は11月20日の申し入れの概要です.


●平和フォーラム側参加者
 福山真劫・事務局長  藤本泰成・副事務局長  八木隆次

●米国大使館側対応者
 レイモンドF.グリーンさん 政治部・安全保障政策課 課長
 木村綾子さん             同      担当


(やり取りの概要)
フォーラム 岩国の事件では米兵は不起訴となったが、全国各地で米兵の犯罪が発生している。横須賀で殺人事件も起きた。私たち平和運動団体の要望は基地の縮小・撤去が、周辺住民からも安全を脅かす基地への不安が出ている。これは日米の信頼関係を壊すことにもなる。基地周辺住民への安全の保証、2度と事件が起こらないようにする措置など、対策を考えてほしい。

グリーン 岩国の事件は、大使館として大変重視し、広島県警をはじめ関係機関に積極的に協力した。
 横須賀での事件は非常に残念なこと。ケリー司令官は、住民との信頼関係を重視し、再発防止の努力をしている。
 95年に沖縄でおきた少女暴行事件以来、地位協定の運用改善が行われ、重大事件の場合の対処方法で、日米は合意した。今回の岩国の事件では日本側から米兵引渡しの要求がなかったが、横須賀の事件では引渡し要求があり引渡した。日米で合意したプロセスは実現されている。また各米軍基地では今後も、法律を守るためのプログラムを続けていく。

フォーラム 米軍兵士が起こした事件・事故に対して、被害者に補償が行われないケースが多い。昨年は1356件の事件・事故に対して、補償は21件だった。大使館は、この問題を認識しているのか。

グリーン 事件・事故は多い。対策を続けたい。小さな事件の場合は、補償が行われないことも知っている。

フォーラム 冷戦中は、在日米軍が日本を守っていると考えて人も多かった。しかし冷戦崩壊後、人びとは在日米軍の役割を、日本の防衛ではなく米国の戦略と認識している。そうした中で、米軍兵士による事件・事故の問題は大きい。事件・事故の被害者に対する補償制度を日米政府で作らないと、国民の理解は得られないと思う。

グリーン 日本市民の信頼を得たいと考えている。現在、在日米軍再編が進んでいるが、これは抑止力の維持と、A基地周辺住民の負担軽減という、2つの目的を持っている。基地負担の軽減が進めば、事件・事故も少なくなる。

フォーラム 基地周辺に住む人びとは、基地の中で住む人びととも交流がある。信頼関係が大切だ。しかし一方で、交通事故を起こした米兵が任意保険に入っておらず、十分な補償が行われないケースが多い。日本の事情をもう少し勉強されたらどうか。事故の被害者が泣き寝入りしている現状では、信頼関係は生まれない。

フォーラム 米軍再編の話しがでたが、今回の米軍再編は従来の日米安保条約の枠組みを超える内容を含んでいる。その点について大使館はどう考えているのか。また普天間基地の辺野古への移転に、地域の人びとは反対している。またジュゴンの生息など環境問題もある。米国の民主主義制度から考えて、建設強行はどのように映っているのか。

グリーン 普天間基地のキャンプ・シュワブ沖合移設は、普天間基地周辺住民の負担軽減措置として行われる。また滑走路の建設計画では、環境に配慮している。米国は住民の安全と、運用上の効果の2つを求めている。今回の計画は、住民の安全につながる。日本政府と協力して、プロジェクトを進めて行きたい。

フォーラム 辺野古新基地建設は、負担の強化につながる。また、戦後62年を経て、新しい米軍基地が建設されることは、日本人は理解しがたい。米朝の国交正常化交渉、6者協議、北朝鮮の核廃棄が進んでいる。沖縄に新しい基地が必要なのだろうか。

グリーン 中国をはじめこの地域の他の国々も、日米同盟は地域の平和の要因であると認識している。日本が軍事的に空白になることは、この地域の不安定要因となる。朝鮮半島が非核化した後も、日米同盟は重要である。改善すべき点は多いが、同盟の重要性は変わらない。

フォーラム 米国が、日米同盟を重要だと考えていることは、理解する。そうであればなおさら、米軍兵士の犯罪、事件・事故に対する補償措置も、進められるはずではないか。米兵本人に経済的余裕がないなら、米国政府が負担するか、あるいは日本政府が負担するか。ぜひ、補償制度を進めてもらいたい。

グリーン 米国政府と軍は、米兵による事件・事故を重視している。事件・事故が拡大しないよう、努力している。

フォーラム いま米軍は、日本から直接アフガニスタンやイラクに出撃し、また日本に戻ってくる。戦場で米軍兵士に多くの犠牲者がでていることも承知しているが、そうしたことが兵士の規律に問題を及ぼしているのではないか。

グリーン 本日は大使館を訪れてくださり、感謝している。みなさんの声を受け止め、努力する。

以上



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