米軍再編に関する情勢
(2007年1月まとめ)


■多発する米軍関連事故・事件
 青森県三沢基地に所属するF16戦闘機が11月15日、爆撃装置の故障から訓練中に模擬弾を洋上に落下させる事故が発生しました。また同じくF16戦闘機が05年9月、北海道を飛行中に衝撃波で民家の窓ガラスを割り、乳児が軽傷を負っていたことが判明しました。三沢基地のF16戦闘機は1985年の配備以来、10件・11機の墜落事故を起こしていますが、地元紙東奥日報の調べでは、1988年から2003年の間に、公表されていない重大事故が少なくとも69件発生しています。

 沖縄県では普天間基地所属のCH53Eヘリコプターが12月13日、ワイヤで吊り下げて運搬中の車両を、読谷村沖の海上に落下させる事故がおきました。車両は戦闘機の射爆場へ移動する途中でした。嘉手納基地では1月6・7日の両日、深夜2時からF15戦闘機や空中給油機などが離陸し、周辺住民の睡眠を妨げました。東村の福地ダム貯水池と新川ダムでは放置された演習用のペイント弾や、照明弾、手りゅう弾が発見されています。

 神奈川県横須賀港では空母キティーホークが12月10日に帰港。新年早々から空母艦載機による飛行訓練が行われ、周辺住民の生活を脅かしています。また神奈川県内では米軍兵士による事件も増加しています。毎日新聞によれば「03年が6件発生で5人検挙だったが、04年は23件で25人、05年は27件で29人が検挙され、3倍以上に増えた。今年(06年12月12日段階)はリース受刑者による強盗殺人事件など16件が発生、18人が検挙されている」(12月12日)とのことです。

 米国では昨年の中間選挙で共和党が敗北し、連邦議会では民主党が多数派になりました。この選挙結果を受けて超党派で設置されたイラク・スタディー・グループは、段階的なイラクからの撤退を提言しましたが、ブッシュ大統領はこの提言に反して、イラクへの2万人規模の増派を決定しました。03年から4年にわたるイラク侵攻・占領で、米軍は13万人程度の兵力をイラクに常駐させていました。米陸・海・空・海兵の4軍はともに派兵のローテーションが厳しくなり、それが訓練中の事故、また兵士による事件の多発につながっていると考えられます。


■既成事実化が進む米軍再編
 空軍嘉手納基地にはF15戦闘機部隊が配備されていますが、現在は訓練のために米本土に移動しています。そこで米軍はF15戦闘機の空白をうめるために、F22戦闘機12機を、2月10日から嘉手納基地に配備すると発表しました。当面3ヶ月の暫定配備と発表していますが、暫定で済む補償はありません。07年3月からは嘉手納基地F15戦闘機の、千歳基地(北海道)、三沢基地(青森県)、小松基地(石川県)、百里基地(茨城県)、新田原基地(宮崎県)、築城基地(福岡県)への分散移転訓練が始まります。米軍は訓練移転を、嘉手納基地騒音の負担軽減を名目にしていましたが、F22戦闘機が常駐配備されれば、負担の軽減にはなりません。

 嘉手納基地では3月までに、ミサイル防衛のためのPAC3の配備も完了します。東京都横田基地では1月5日、ハワイに司令部を置く第13空軍の第1分遣隊が進駐し、ミサイル防衛(MD)に向けた日米共同防衛指揮所運営の第1歩が動き出しました。

 また横須賀港12号バースでは、原子力空母の母港化のための浚渫工事を、年度内に前倒し実施されようとしています。

 陸上自衛隊と米陸軍・海兵隊との共同訓練が活発化しています。これまでにも日本国内での共同訓練はたびたび行われていました。それが02年にハワイで行われた陸上自衛隊と米陸軍の共同訓練を皮切りに、陸上自衛隊が米本土やグアムに移転しての共同演習が既に7回行われ、その内容は、市街地戦闘や離島侵攻への対処など実戦的なものになっています。また日本国内では山口県岩国基地と広島県川上弾薬庫で1月17日、テロ攻撃を想定した日米共同訓練が行われました。


■安倍内閣で日米軍事一体化が促進
 安倍政権は昨年の臨時国会で、防衛庁の「省」昇格法案を成立させ、本年1月9日より、防衛省としての活動が始まりました。安倍首相は、自衛隊の海外活動をいとわないと宣言、ブッシュ大統領のイラク増派決定を即座に支持し、NATO(北大西洋条約機構)との積極的な連携も打ち出すなど、小泉政権以上に米国の軍事政策への追従を表しています。07年度予算案には、防衛費とは別枠で米軍再編関連予算・総額72億4000万円を計上し、米軍再編関連法案の成立をめざしています。日本版NSC(国家安全保障会議)設置法案も、通常国会に提出すると報じられています。自衛隊海外派兵恒久法も、法案成立に向けての政府・与党内作業が進んでいます。

 特に米軍再編関連法案への反対運動は緊急を要します。米軍再編関連法案が成立しなければ、07年度予算に米軍再編関連予算を組み込むことができません。関連法案の審議は、予算委員会の審議と同時並行で行われます。政府は当然、予算の委員会採決以前に、米軍再編関連法案の採決・可決をめざすことになります。


■反戦・反基地勢力の対応
 在日米軍再編が実現し、安倍政権が集団的自衛権行使の容認に踏み込めば、憲法改悪を待たずして、日本は戦争国家に変貌します。1月から始まる通常国会から、統一自治体選挙、参議院議員選挙へと続く本年前半が、その大きな山場であることを認識する必要があります。自民党・安倍政権が進める「戦争のできる国作り」が勝つのか、日本の反戦・反基地運動が勝つのか、が問われています。こうした情勢の中で私たちは、@既成事実化が進む米軍再編と日米軍事一体化を止める基地所在地での闘いと、A米軍再編関連法案・再編関連予算・日本版NSC設置法案・自衛隊海外派兵恒久法案などに反対する国会での闘いの「2つの闘い」に取り組まなければなりません。

 そのために、基地所在地域を中心にした現地闘争と関係自治体への働きかけ、平和フォーラム・全国基地ネットの枠を超えた反基地市民運動との協力の推進、連合との連携の強化、民主党・社民党への支援――などを重層的に組み上げた、米軍再編に反対する全国運動の形成が重要な課題になっています。また05年の10.21国際反戦反基地集会、06年11月のアジア太平洋反基地東京会議の2度にわたる国際会議で築き上げた、アジア太平洋地域の反米軍基地連帯を前進させ、エクアドル反米軍基地会議(3月)への取り組みや、韓国・グアム・ハワイ・米本土の反基地運動との連携を進める必要もあります。


■このコーナーのトップにもどる

■平和フォーラムのトップにもどる