【第8回 非核・平和条例を考える全国集会 in 東京】

 第2分科会 テーマ「米軍再編について」


●司会 金子豊貴男さん(相模原市議会議員)

 
 相模原市会議員の金子です。米軍再編に関しては、「第1軍団の移駐を歓迎しない会」の事務局長として活動しています。この分科会では、3名の報告者が決まっていますが、会場に参加している皆さんからも各地の報告を受けて、米軍再編の現状と闘いを確認したいと思います。一昨年の5月1日に、再編のロードマップが日米両政府間で合意されて、5月30日には米軍再編特措法が閣議決定されました。昨年の9月以降は、再編交付金も明らかになってきました。米軍再編が政府側では進んでいますが、それに対して闘っている多くの自治体や市民運動があります。
 沖縄県から名護市会議員の、仲村善幸さんがいらしています。最初に、辺野古の闘いの先頭に立っている仲村さんから報告してもらいます。


●仲村善幸さん(名護市議会議員)



 昨日、会場で、新聞の切抜きを作りました。資料が十分でなくて、申し訳ありません。2006年5月に米軍再編のロードマップが発表されました。米国政府の言い分では、「米軍の防衛政策の見直し」といっています。沖縄では、宜野湾市にある普天間基地の、名護市辺野古への移設問題があります。これは1995年の米海兵隊員による少女暴行事件を契機に、危険な普天間基地を撤去する、基地を整理縮小するということから始まっています。ところがそれから10年以上が過ぎて、現在は米軍再編の一環として、普天間基地移設が取り上げられています。事態が変わってきたということを、まず認識してもらいたいと思います。いま名護市で行われているのは、「米軍再編そのもの」と認識を新たにしなければなりません。

 お配りした新聞のコピーの中に、「普天間移設へ影響必至」という沖縄タイムスの記事があります。米国で「沖縄ジュゴン訴訟」が行われています。その判決がありました。これは、名護の人々や県内の支援者、ジュゴンそのものが原告となって、米国国防総省を相手におこした訴訟です。その判決で「ジュゴン保護に取り組むこと」を、裁判所が米国政府に義務付けたのです。面白いもので米国では、米軍が展開する地域では環境問題などに関して、米国法を適用しなければなりません。普天間基地を名護市に移設するのであれば、米国政府が環境アセスメントを行わなければならないとしたのです。現在沖縄では、日本政府による環境アセスメントが行われようとしていますが、米国政府も行わなければいけないという判決なのです。基地建設そのものを、「ジュゴン訴訟」判決で、中止まで追い込むものです。
 資料の左側には、「普天間飛行場代替施設建設事業に係わる環境影響評価方法書の撤回を求める声明」を掲載しています。沖縄選出の野党国会議員や、さまざまな市民運動団体が名前を連ねています。

 これは、国の行う環境アセスメントは、ずさんであり、さまざまな問題がある、環境アセスメントをやめなさいという内容です。問題点として、9点挙げています。「1.航空機弾薬搭載場について」では、現在の普天間基地には弾薬庫がありません。嘉手納に行って、弾薬を積んでいます。ところが辺野古の新基地には、弾薬庫の建設が計画されています。嘉手納基地の機能まで付いているんです。「2.岸壁の計画」ですが、普天間基地には岸壁はありません。辺野古は海を埋め立てて岸壁を作りますが、どのようなものか明らかにされていません。環境アセスメントの対象にもなっていません。これは、大型の軍艦が入る場所です。3から9の項目についても、具体的に示されていません。一番大切なものが、抜けているのです。極めてずさんな形式的な環境アセスになっています。「この方法書ではだめですよ」ということで、方法書の撤回を求める声明です。沖縄県も日本政府に対して、環境アセス方法書の書き直しを求めています。基地の建設について、日本政府にとっての大きな障害が出てきているのです。

 他方、現場では昨年から、事前調査が行われています。これは本格的な環境アセスではなくて、海域のサンゴの産卵状況などを調査するために、器具を設置しています。辺野古の海では、業者に対して、反対派のわれわれがボートやカヌーを繰り出して、海に飛び込んで阻止行動が続いています。この調査は、本来は環境アセスに基づいて行われるものです。ですからいまは、不法な調査ということで闘いが行われています。

 次に「埋め立て利権背景に?」いう西日本新聞の記事があります。基地建設の「政府計画」と「名護市試案」が対立しています。沖縄側は、「もっと沖合に動かせ」といっています。僕は議会で「何メートル動かしたらいいのですか?」といったら、名護市当局は「距離はいっていません。できるだけ沖合に動かしてもらいたい」と回答しました。そこで「1メートルでもいいのか?」と皮肉たっぷりに追及しました。沖縄側は、90メートルの移動を求めていると報道されています。一方で3日前の新聞では、米国は「1ミリたりとも動かさない」といったことが報じられています。

 「100メートルずらすと米国の計画がおかしくなる」と、米国はいっているようです。では、100メートルずらせば、騒音が軽減されるのでしょうか。まったく軽減されません。基地の下で暮らす人にとっては、100メートルの移動で騒音が軽減されるというのは、笑い話にしかなりません。でもこれで1年以上もめています。

 新聞記事は、その背景に「利権争い」があると指摘しています。ずらさないという政府の中心が、守屋前防衛事務次官です。100メートルでも200メートルでも沖合にずらせば、その分埋め立てが多くなります。埋め立てが多くなれが、土を運んで埋め立てる業者が儲かります。沖縄県内の業者は中小ですから、本体の工事はできません。本体工事は、本土のゼネコンが行います。沖縄の業者は下請けの下請けですから、埋め立てがないと仕事にならないのです。だから、埋め立て部分を多くしようというのが、名護市の試案なのです。背景には地元の経済界がいます。100メートルずらすのは、騒音の軽減や安全性の話ではなくて、単なる利権争いなのです。

「防衛汚職 震える沖縄 北部振興策2000億円 談合疑惑続々」という西日本新聞の記事もあります。守屋問題が発覚する前から、沖縄では談合問題が摘発されていました。基地建設に伴う振興策をめぐって、ここにも利権争いがあるのです。記事には、主な振興策が並んでいます。そのほとんどが、談合であるといわれています。昨年できたばかりの、名護市産業支援センターの写真が載っています。ここでも談合が発覚しました。この建物の建設費は23億円です。ところが実際の価格は、10億円くらいといわれています。ようするに水増し請求です。振興策は儲けやすいのです。施設は名護市が発注します。ですから名護市が、市とつるんだ設計業者に水増し設計をさせて、それを発注するんです。受注する業者も、名護市とつるんでいます。23億の請求で実際は10億ですから、がばっと儲けます。その儲けは、市長や副市長あるいは防衛族議員に行っているとう話が飛び交っています。国頭村では役場に警察の捜査が入って、業者は逮捕されて、「村長も逮捕か?」という状況です。名護市にも近いうちに、会計検査がはいるという話です。

 振興策の初年度に、食肉センター作ることになりました。30億円の建設費です。談合疑惑があり、警察が捜査に入ろうとした前日に食肉センターの事務所が火事になりました。放火といわれています。建設に関する資料が、ぜんぶ燃えてしまいました。直後には市役所から、食肉センターに関する書類が盗まれてしまいました。普通は考えられないですよね。うそではないですよ。本当の話です。業者の一人は、フィリピンで自殺してしまいました。県警は事実関係を、ほとんど突き止めています。

 では、なぜこうした事件がなかなか摘発されないのか。業者の親分は、すごい力を持っています。名護市当局を支配しています。名護警察署も押さえています。交通安全協会とか、警察友の会とか、そうした団体に業者の役員を送り込んでいるのです。だから摘発できないわけです。県警本部は昨年に、名護署を総入れ替えして、幹部を左遷しました。最近は警察が捜査を始めたところです。守屋事件が発覚して、沖縄も動き始めました。名護市には北部振興策予算の返還が求められ、捜査も入ろうとしています。いまはそういう状況です。基地問題と関係ないのですよ。基地建設で儲けようという利権問題なのです。

 僕にも業者の知り合いがたくさんいます。ある業者は飲み屋で会ったときに「基地は来なくていいよ」といっていました。理由を聞くと、利権争いで業者は2つに分かれているそうです。「ああ、談合問題ね」というと、「あれは、談合ではなく『ゆいまーる』です」というんですよ。「ゆいまーる」とは、もやいみたいなものですね。お互い仲良く入札を受ける。実態は談合ですね。これは当たり前になっています。ではなぜ、ないほうがいいかというと、「けんかが始まる。儲かる人だけ儲かって、それ以外は排除されて、談合に加われない」そうです。ある業者は、談合破りをしました。沖縄では「鉄砲を撃つ」といいます。23億円の予算のうち13億円儲かれば、鉄砲を撃って相手から恨まれても、得したほうがいい。こういうことが行われています。振興策があるから、みんながそこに群がって、秩序が乱れてきているそうです。「正常な状態で儲けたい。野党はがんばれ」というのです。政治家・業者・市当局でお金を儲けているのが、名護市の実態です。

 こうした中で、振興策1000億円、それ以外の基地関係事業を合わせると2000億円がおりています。では、名護市民の生活は良くなったでしょうか。平成12年と17年を比べてみると、空き店舗では11パーセントから17.4パーセントまで増えています。失業率は、10パーセントから12.5パーセントにあがっています。昨年はもっと伸びています。生活保護世帯は395人から469人に増えています。こういうように、名護市のためには、まったくなっていない。それから名護市の行政が何か建物を建てるときに、最初は9割の補助が来て、次に1割の補助が来て10割補助です。でも管理・運営までは補助しません。この管理・運営は一般財源です。一般財源がそこに持ち出されて、教育予算などの一般予算がカットされています。

市民投票以降、ものが言えない状況が続きました。でもいまは、「おかしい」と私たちに相談に来る人が増えました。これが今の名護市の現状です。


●小原慎一さん(三浦半島地区労)



 横須賀港への原子力空母の配備問題は、米軍再編とは別の問題といわれてきました。市議会でも、組織内議員の原田さんが「米軍再編と一体ではないのか」と質問しましたが、「別である」という回答でした。ところがここにきて、蒲谷市長ががんばって、私たちが提起した住民投票にも反対したことが評価されたのか、米軍再編交付金として70億円の予算をもらうことになりました。別物だといっていたのに、全国で一番たくさんもらうことになったのです。横須賀の闘いが功を奏さず、支援してくれた皆さんには、申し訳ないと思っています。これからもう一度、運動を展開したいと思います。

 横須賀には34年間も、空母が居座っています。最初はミッドウェー、次にインディペンデンス、そしてキティーホークです。当初は3年といわれていた空母が34年いる中で、米軍がイラクやアフガニスタンに攻撃するときには、常に横須賀の空母戦闘団が中心にありました。何とか空母の母港を撤回させようと、横須賀の市民運動や労働組合は取り組んできました。そのひとつのチャンスが、現在配備されているキティーホークが、今年退役することでした。これにあわせて、空母の母港をやめさせようとしていました。

 キティーホークの次に配備が予想されるのは原子力空母です。ですから横須賀に原発があるのと同じことです。空母の撤回・基地の強化を許さないという闘いに加えて、反原発の側面から原子力の危険性を訴えてきました。

 市長宛の「原子力空母の配備に反対をしてもらいたい」という署名を、全国で展開して約50万筆集めました。当時の横須賀市長のスタンスは「原子力空母はこまる」というものでした。ですから最初は、市長の権限を使って原子力空母の配備に反対しようとしたのです。2004年5月には「原子力空母の横須賀母港化を許さない全国連絡会」と「神奈川実行委員会」を結成しました。

 05年の市長選挙で、蒲谷市長が誕生します。蒲谷市長も当初は、原子力空母は反対、通常型空母の継続を求めるというものでした。ところが、蒲谷市長が06年6月になって、原子力空母の受け入れを容認してしまったのです。それ以前に、横須賀市議会は2回にわたって全会一致で、原子力空母の配備に反対する決議を上げています。蒲谷市長のところに麻生外務大臣が来て、圧力をかけて、それを機会に2日後に容認に転じてしまいました。

 そこで運動も大きく転換しました。神奈川平和運動センター・地区労・市民の会・さまざまな市民団体が集まって協議をして、「横須賀市民の意思をきっちと示そう」ということで、原子力空母の母港化の是非を問う住民投票条例を求める直接請求運動を始めました。06年10月1日に「原子力空母の母港化の是非を問う住民投票条例を成功させる会」を結成しました。11月から12月まで、住民投票運動を1ヶ月展開しました。横須賀には、もともと住民投票条例がありません。そこで地方自治法に基づく直接請求から初めて、議会で住民投票条例を可決させて、本投票という流れになりました。もともと住民投票条例や自治基本条例のある自治体では、その過程がなくてすむのですが、横須賀では直接請求から始めました。1ヶ月間で集めた署名の数は、41,591人分です。直接請求に必要な人数は有権者の50分の1で、7,112人です。法的用件の6倍近い署名が、1ヶ月で集まったのです。そのうちの有効署名は37,858人でした。この署名によって07年1月に、本請求を行いました。横須賀市議会は2月8日に臨時議会を開いて3日間、丁寧に議論をしました。30数年ぶりの記名投票も行いました。

 蒲谷市長は議会に先立ち、「原子力空母の配備は国の専管事項であり、住民投票はなじまない」という反対意見をつけました。市長の表明が、ひとつの大きな要素にもなり、自民党・公明党を中心にした与党議員が、「市長がああ言っているのだから」と、反対に回りました。その結果、賛成10・反対31で否決されました。

 その後の横須賀の動きです。原子力空母が着岸するには、現在キティーホークが使っている12号バースを、2メートルくらい掘り下げて、水深を深くしなければなりません。住民投票の請求運動を行っている間は、横須賀港の浚渫工事も着工できずに止まっていました。港湾法では、浚渫工事に際しては、横須賀市と国が協議しなければなりません。ところが住民投票が否決されたために、横須賀市は簡単な手続きで浚渫工事を認め、4月には防衛省に許可が出されました。その工事を止めるために、裁判闘争が始まりました。

 裁判の一つは、浚渫で影響を受ける漁民を中心にして、横須賀市に対して浚渫を認めさせない行政訴訟です。もう一つは、横須賀を中心に、三浦半島、神奈川、関東全域から、1,000人近い人々が原告となって、国に対して工事の差し止めを求める民事訴訟を行っています。いまこの二つの裁判が、同時に進行しています。行政訴訟は結審しました。民事訴訟は、仮処分と本訴訟を二つしていますが、仮処分は1月に終了しました。本訴訟も2月でおそらく結審します。民事訴訟の趣旨は、横須賀港は旧海軍時代からの軍港ですから、海底に汚染物質がたまっています。それを掘り返しますから、東京湾一体に汚染が拡大します。それに対する対応が十分になされていないというものです。第2に浚渫工事は原子力空母の母港を前提にしていますから、原子力空母が配備されたときに、周辺住民に大きな危険を伴うということです。その2点を主張し、国には特に安全性の証明を求めました。

 国の言っている安全性の根拠は、米海軍の提出した「ファクトシート」です。蒲谷市長が容認に転じた要因も、この「ファクトシート」にあります。その内容は、「原子力艦船はこれまでに事故を起こしたことがない」というものです。これはうそです。また軍用の原子炉だから爆撃にも耐える、普通の原子力発電所よりもよほど安全というものです。こうした、つまらないことがたくさん書いてある文書です。

 ところが訴訟の中で、国側には、ファクトシートしか安全性の根拠がないことがわかりました。したがって、文部科学省も外務省も防衛省も、米軍が提出したファクトシートの検証を、まったくしていないことが明らかになったのです。「ファクトシートは、もともと米軍が作ったものだから、うそが一杯あるでしょう」と横須賀市を追及しました。しかし横須賀市は、自ら検証することはしませんでした。

 第2次住民投票では、横須賀市は安全いついて何の検証もしていないことを、大きな争点にしていきたいと考えています。第2次住民投票については、再度、市民の意思を示そうということです。前回を上回る、6万筆の署名を目標にしています。署名を集める受任者も、3,000人集めようとしています。3月5日から4月5日前後を予定しています。

 とにかく、ファクトシートしか安全性の説明がないのです。これを追及したい。また横須賀市は旧軍転法という、憲法に基づく平和港湾都市を目指す地方特別法を住民投票によって成立させました。いまの市長は、そうした歴史を忘れています。それも市民に訴えかけていきます。

 昨年の7月から8月にかけて、横須賀市は市民説明会を開催しました。市内10か所です。横須賀市は、「原子力空母の母港化は、国の専管事項だ」としています。ではなぜ横須賀市が説明会を行うのでしょうか。横須賀市が、国なり米軍なりをつれてきて住民に説明する場を作るならわかります。しかし、横須賀市自身が説明するのはおかしい。10か所の説明会でも、そのことが噴出しました。市は「安全性を確認するための、横須賀市の取り組みを説明する説明会だ」というのです。ところが市民からの安全性についての質問には、国の対応やファクトシートの説明をするのです。そのことについては、市民レベルでの批判も高まりました。2回目の住民投票署名では、市の対応、安全対策の是非も、住民に問う項目も条例案にいれて、運動をしたいと思います。

 このままでは横須賀は、恒久的に米軍の出撃基地として固定化されます。キティーホークがジョージ・ワシントンに変わるだけでも、相当な機能強化です。厚木基地との関係では、爆音は解消されないことになります。空母自体の能力も高くなります。横須賀は11隻の艦船がいます。旗艦のブルーリッジと空母以外は、すべてがイージス間になりました。SM3搭載艦も4隻です。首都圏に配備されているPAC3とあわせて、横須賀を中心にしたミサイル防衛体制が進むことになります。原子力空母の母港化と合わせて、基地強化の問題も市民・県民に問いかけながら、運動を展開したいと考えています。

 みなさん、これからも支援をお願いします。

●第2分科会には、米軍基地・自衛隊基地のある都道府県を中心に、30名近い仲間が参加しました。


●沢田政司さん(相模補給廠監視団)



  おはようございます。沢田です。今日、前に並んでいる人は、ずいぶん偏っていますね。一人は沖縄からですが、後はすべて神奈川の人間です。バランスが悪いので、僕は手短に話します。私たちは「監視団ニュース」を出しています。本日、資料にして、お配りしています。神奈川では、キャンプ座間、おまけのようについている相模補給廠、厚木基地が米軍再編の焦点です。県内に基地をいくつも抱えていることが、この場所に並んでいるのが神奈川ばかりになってしまった要因だと思います。

  この4年間の経過については、過去のこの集会でも報告しました。この3年ほど、米軍再編が活発に動いていることの一つの証拠かもしれません。

  まず、キャンプ座間への第1軍団の移転について話します。誤解している人もいると思いますが、ワシントン州は、ワシントンD.C.のそばにあるわけではありません。イチローのいるシアトルマリナーズが本拠地を置いているのが、ワシントン州です。米国の西海岸側になります。「第1軍団はイチローのいるところから来る」と覚えてください。その出先機関で、イラク辺りまでの広い範囲を指揮する司令部が、キャンプ座間に来るという話が4年前に出てきました。主な経過は、「監視団ニュース・号外」に、運動・自治体の取り組み(主な経緯)ということで記載しています。
 
 キャンプ座間という名前がついていますが、司令部部分は座間市にありますが、施設の7割は相模原市域です。自治体が反対運動をリードして、4年間続いてきました。ただ、2つの自治体は、仲がいいわけではありません。お互いに対抗心もあって、競い合っています。国に対する申し入れは連名でしていますが、行動面では別に行っています。個別配布している市の広報誌や、特別に作ったニュース、ホームページでの説明、ビデオの作成、学校や役所、駅のターミナルに横団幕をかけるなどしています。

  相模原市では市庁舎の玄関に「基地の街で40年、もう我慢の限界」という垂れ幕がかかっています。自治会の掲示板に、ポスターの張り出しもしています。私も今年は自治会の役員なのでやりましたが、ほとんどは連れ合いに任せていたのですが、あちこちにポスターを貼りました。

  私は相模原で35年間平和運動をしています。これまでには、見たことがない光景です。僕たちがいろいろ宣伝しても、なかなか動きません。しかし自治体が少しその気になれば、これだけのことができる。その証なのかと思います。軸になったのは、自治体の取り組みです。それが、日本政府を困らせた。もちろん、運動の側も手をこまねいているわけではありません。経過を見ても、さまざまなことをしてきました。自治体が競い合うなかで、そこに割って入って、いろいろなことをしてきました。キャンプ座間の包囲行動を2回行いました。ゲート前での座り込みもしました。連日のデモや駅前での宣伝も行いました。これまで座間という名前は、神奈川県民でも知らない人がいました。ところがここ3年・4年のあいだに、非常に新聞などに取り上げられる。日産座間工場の閉鎖以来かなという気がしています。

  運動的な話をします。座間には司令部が置かれていますが、兵隊がいるわけではありません。「基地の街」というほどの兵隊はいません。司令部ですから、軍人も階級の高い人が多いです。なかなか基地問題が見えにくいのです。18ホールのゴルフ場があり、緑が多い基地です。その中で司令部の移転をめぐって、相模原市と座間市の市会議員を中心に、「第1軍団の移駐を歓迎しない会」を作りました。またキャンプ座間の正面ゲートの横にバス停があります。「キャンプ座間」というバス停です。そこに椅子が並んでいます。「座り込みをしよう」という女性たちが、しかしゲートの前には座るところがない、横をみるとバス停があって椅子もあるということで、この3年間、毎週水曜日に座り込みをしています。寒いときには、ひざ掛け代わりに横断幕を広げたり。そうした運動が生まれています。彼女たちは、定例デモも始めています。座間の問題で、2つの市民運動が生まれたことも、大きな成果だと思います。

  自治体の平和力について、最後に触れます。先ほど、相模原市と座間市は仲が良くなくて、競い合うように運動をしていたと申し上げました。自治体と運動も、仲がいい関係ではありません。一定の距離感を保っています。僕らがメッセージを求めた場合、相模原の市長はすぐにくれますが、座間の市長はなかなかくれません。僕らが手を差し伸べても、市は引っ込めてしまう。でもこれは当然で、僕らの運動は元左翼ですよね。僕は違いますけどね。彼らは保守系の市長です。にもかかわらず、二つの自治体がここまでやってこられたのは、70年間基地の街を強いられてきた。自治体はそのことに、さまざまな迷惑をこうむってきた経緯があります。これは相模原市の標語です。「基地の下で70年。もう我慢の限界」「黙っていると100年先も基地の街」というものです。首長の個性も大きな原因だと思います。岩国市の井原市長も、日米安保は容認する立場で、これ以上の基地負担は応じられないという立場です。米軍再編をめぐっては、どこの首長さんも、そういう立場で運動しているのではないでしょうか。

  昨年3月になくなった前相模原市長の小川さんが、政府宛に書いた書簡と広報に載ったコメントを収録してきました。胸を打つ文書です。国はよく「国防は国の専管事項だから、口を出すな」といわれます。そのことに対して小川市長は「政府は国益を考えて自治体と交渉している。自治体は防衛に係わることに口を挟むなというのか。市民の安心・安全の確保に務め、未来の世代のために住みよい、静かな、しかも魅力と活力あふれる地域社会を作る。これが国益の原点ではないかと私は確信します。」という言葉です。
 
 今回の米軍再編のなかで、自治体が「我慢ならん」と言い出したことが、この言葉に集約されているのではないでしょうか。

 小川市長が昨年3月に亡くなられて、相模原市は腰が引けています。再編交付金についていえば、「座間市は横弾幕を降ろしていない」という理由で、交付の対象からはずされています。相模原市については「協力的」ということで、1億5600万円という交付金が示されました。相模原市は、キャンプ座間という「母屋」についている、相模補給廠という「物置」があります。その「物置」を一部返還する話が合意されています。しかし再編反対の立場を捨てているわけではありません。僕たちとしては、批判したい言葉をグッと我慢して、少なくても相手側に追いやってしまうことのないように、基地強化反対で今後も取り組むことを求めて行きたいです。

 横須賀の悪口を言うわけではありませんが、蒲谷さんはひどい市長です。国にばかり顔を向けて、市民には顔を向けない。自治体が市民の側だけに顔をむけることは、なかなかありません。でも僕らの運動しだいでは、市民の側に顔を向かせることができる。相模原市は、まだまだ市民の顔色をうかがうスタンスは崩していません。短気を起こして、「お前な〜」と追及したくなりますが、そこは我慢して、僕らのほうに顔を向けてもらう努力をしなければいかねいと思います。以上です。


●金子さん
 今日のテーマに沿った問題提起を、沢田さんからしていただきました。もう一人、厚木爆同委員長の鈴木保さんが、いらっしゃっています。鈴木さんから、厚木基地の現状を報告していただきます。鈴木さんは爆同の委員長であり、第3次訴訟も闘ってきました。約50年にわたり、厚木基地の爆音被害と闘っています。

●鈴木保さん(厚木基地爆音防止期成同盟委員長)



 私は83歳です。やめたいのだけれど、やめられない。理由はいくつかあるけれど。金子議員は、厚木爆同の副委員長でもあるし、4次訴訟の副代表も務めているから。いま第4次訴訟のニュースが、4号まで出ている。これを読むと、4次訴訟の中身、提訴前後の状況が克明に書かれている、あえて言葉を加えることはないのだけれど。3次訴訟は06年7月13日に判決が出て終わった。判決に係わった原告は4,865名。提訴したのは97年の12月8日ですから、5,047名で始めました。ニュースに書いてあるように、今回の4次訴訟では6,130人で12月17日に提訴しました。

 3次訴訟で一定の損害賠償は取りました。全体で、延滞金を含めて50億。頭数が多いからね。3次訴訟には、飛行差し止めをいれなかったんだ。入れる・入れないで弁護団と相当綱引きをした。提訴する年の9月1日にやっている。当時の神奈川新聞には、その前後の私たちと弁護士のやりとりが、克明に書いてあるよ。なぜ飛行差し止めをいれないかというと、弁護士は「意味がない」というんだ。「意味ないことはない」とせまった。しかし、どの弁護士も「意味ない」という。1次訴訟。・2次訴訟にも飛行差し止めは入れなかったからね。まあ弁護士が「意味ない」というのであればしかたない。

 3次訴訟の判決のなかで、大事なことはいくつかある。一つは、国は何の配慮もないままに、騒音の違法状態を放置しているということ。4次訴訟は、厚木では最後の裁判になると思うんだ。われわれが死んじゃったあとに、若い人がやってくれれば別だけどね。10年戦争で、決着がつくのは2017年ごろだ。その中には、米軍再編問題も入ってくる。だから4次訴訟は、「飛行差し止めでだそう」となった。国は公権力という言葉で出てくるだろう。われわれは生きるために、爆音は邪魔だ、耐えられない、過酷な日常生活を要請される、電話は聞こえない、テレビも聞こえない。あの爆音は生活耐えられない。生活を妨害している。判決でも、違法と認定されている。「公権力だ」なんていう言い分は、国民には通用しませんよ。そういう綱引きを法廷でやってみよう、ということです。ですから民事訴訟と行政訴訟と両方です。差し止め訴訟に、金がかかるんですよ。だから原告を2つに分けてやることにしました。爆音の違法状態による損害賠償の裁判とは、別枠の裁判なんです。

 私たちは06年4月13日に、前大和市長に岩国移転問題で申し入れをした。市長は申し入れには答えずに、「おれに任せておけ」という態度でした。われわれはその市長を、3期推薦してきたんです。選挙を手伝った。ところが申し入れ文書を持っていったときに、開口一番「爆同さんは、私をやってくれなくても、いいですよ」というのです。私たちは、基地の問題で質問に行っているだけです。質問には答えずに、そういうことをいう。だから新しい市長を推薦しました。大木さんという人です。おとなしい人で・・・。あんまり気に入らないな。だから気に入るように育てていかなければいけないんだ。昨年の5月27日と11月1日に、市長と30分間話をした。市長は黙っている。有言実行・無言実行という言葉があるけどね。基地対策室長と秘書課長が助け舟をだして、あとで回答しますと。横須賀問題については、住民の30年以上の苦痛を思うと、原子力空母の母港化をいいとはいえないといういいかたでした。

 12月14日には、南関東防衛局、かつての横須賀防衛施設局です。そこえ十数名で申し入れに行きました。これは韓国の空軍基地からF16が嘉手納基地に来て、そこから厚木基地に来て、海軍の艦載機と訓練をしている。「それはだめだ、撤回しろ」ということで、抗議してきた。また自衛隊哨戒機の後継機、いまはプロペラ機ですが後継機はジェット機です。ジェット機については昭和46年12月26日に協定があり、厚木基地ではジェット機を使わないと、当時の防衛施設庁と大和市の協定があるのです。ところが一部の議員から「試験飛行はいいじゃないか」という声が出てしまった。そのことで申し入れをした。「本日は回答できません」という返事です。課長クラスが4人もでているのです。後日の文書回答も拒否しました。喧嘩別れでした。

1月14日に爆同の事務所に、先方から課長が4人訪ねてきました。騒音の軽減いついては市民の迷惑にならないように努力します。そういうことしかいえない。話しても仕方ないので、交渉は打ちきりました。かつて横浜防衛施設局は、なにを聞いても「米国の運用です」としか回答しない時期があった。いまも同じです。そこのところをくずしていかないといけない。正々堂々と闘っていきたい。

 12月1日に、岩国の集会に行きました。私が言いたかったのは、皆さんの迷惑になることを求めてはいない。艦載機は岩国に行けという話しはしていません。ぜひ岩国で立ち上がってがんばってほし。日本から基地を撤去する。米国に帰ってもらう。集会には国会議員が9人来ていましたから、彼ら政治力を発揮してくれるでしょう

 昔は六本木に防衛施設庁があって、正門を通らずに脇門から施設庁に入れた。厚木に自衛隊が入るときに抗議に言ったら、当時の施設部長は、「文句を言いに来るのが遅いよ、もう準備しちゃったよ。市長が了解しちゃったんだから。だからこっちはいいと思って、決めたんだよ」といっていました。当時は役人にも、そういう人がいましたね。1月14日に役人が来たときにもいってやった。「少なくとも再編問題については、いつから協議するのか、そのぐらい教えてくれ」と注文しました。
 
 あれやこれや話をしましたが、基地問題は全国問題です。インターネットもあるから情報はたくさん入ってくる。情報に基づいて、参加する行動を決めている。いまは米国の情報も取ってくる。情報は十分にある。

 問題は、地域の運動だよ。地域の運動をどう組み立てるのか。労働組合の幹部には、「地域までやらねえ」というのが大勢いる。こっちは「労働組合で運動しているのだから、地域でもやってくれ」と思っているんだ。そうすると、定年になっても運動できる。「組合でやっているから、地域ではやらない」なんて、けちなこと言っていちゃだめだよ。

 かつて、飛鳥田が横浜市長だったときに、全国に147の革新自治体があった。全国3300のなかで147だから、数字の上では微々たるもの。だけれど、この147が非核の問題などでがんばってきた。飛鳥田が中央へいってまもなく死んじゃって、社会党もダメになった。共産党もダメ。新しい政党を作れなんて、やぼなことはいわない。でももう少し、地域でがんばってもらいたい。特に若い人。若い人には根性がないんだよ。だから俺は委員長をやめない。


●金子さん
 各発言者、15分の予定でしたが、みなさん30分近く話されたので時間が押しています。米軍再編の現状を捉える意味で、もう少し報告を受けています。岩国基地の問題は、昨日は市議会議員の田村さんが話をしました。本日はピースリンクの湯浅さんが来ています。岩国の現状と課題を報告してもらいます。


●湯浅一郎さん(ピースリンク)



 今回の米軍再編で、厚木の空母艦載機部隊と普天間基地の空中給油機部隊を受け入れても、基地として十分機能してしまうんです。海側を埋め立てて、滑走路を移設する。基地は40パーセント広がります。10年前から始まった工事ですが、気がついてみたら厚木と普天間を引き受けられる大きさになっていた。

 岩国は三沢とともに、地域での運動が作れてきませんでした。その中で今回、岩国基地への空母艦載機部隊移転が取り上げられる中で、岩国市民が「マス」として意思表示し、市長がその意思を引き受けてがんばる、そうした動きがこの2年間のあいだに続いています。直接的なきっかけは、2006年3月16日の住民投票です。岩国市では、井原さんに先見性があったのか、5年前に常設の住民投票条例が成立しました。05年10月に米軍再編の中間報告が出て、厚木の空母艦載機部隊と普天間の空中給油機部隊が移駐する案が固まりました。井原さんは基地には反対していません。しかし、これ以上の基地強化を認めるわけにはいかない。自治体の長として市民の安全と生活を保障することが役割だと考えた場合に、これ以上の基地強化を受け入れない意思表示が必要でした。そこで住民投票を使おうと06年1月に決断したようです。2月6日には、市長が住民投票の実施を表明しました。1か月しか時間がありません。住民投票がどうなるかわからないまま、みな走り出しました。投票率が50%を超えないと開票しないという条例です。結果的に58パーセントの投票率でした。そのうち90パーセントが反対票を投じます。市民全体の有資格者の、51.3パーセントが反対票を投じたのです。過半数の人々が、米軍再編に「NO」の意思表示をしたのです。井原さんは過半数の人々の「NO」を引き受けて走ってきたのです。自治体の持っている力を、きちっと表明すれば、そうとうなことができのです。国は、三沢と岩国は国の方針に従うと推測していたのでしょう。ところがそうはならなかった。

 いま、状況は厳しくなっています。国岩国市議会がねじれています。公明党が態度を変えたことが原因です。その結果、本年度予算が5回提案されて5回否決されました。12月議会の最後に井原さんは辞表を提出し、現在は選挙戦です。最初は楽観視していましたが、10日ぐらい前から厳しい状況です。推進側は、小泉チルドレンで現職衆議院議員を辞職させて選挙に望んでいます。この人は、これまでなにもしていない人なので、問題もない。一方で井原さんに対してはデマチラシもまかれています。

 岩国市は市町村合併によって、巨大になりました。今日は市長選に向けた全戸チラシ配布を行っています。市域が拡大したから、チラシ配布も大変です。でも市長選の結果が重大で、負けると歯止めが無くなります。選挙の予想は5分5分です。だから私たちは、選挙の勝ち負けにかかわらず、どういう運動をつくるか態勢を確立しなければいけないと考えています。

 この2年間は、過去の岩国では考えられないような動きでした。12.1の集会では、わずか3週間の準備期間で1万1000人が集まりました。組織動員は、平和フォーラムと共産党をあわせて6000人。すると5000人ぐらいの岩国市民が来てくれた。その力が、推進側とのあいだで駆け引きをしています。この2年間は、「街の将来は自分たちで決める」という意思表示の実績を作れたと思います。「防衛・外交といえども、街の将来については自治体と市民が主役」ということを、岩国は言い続けているのです。市民の意識は、選挙に負けても無くなりはしないでしょう。そこに依拠した運動を作っていきたいです。

 当面の活動です。岩国基地は、公用水面埋め立て法に基づいた埋め立てを行っています。許認可は知事の権限です。1月8日に中国防衛局が、埋立地の用途変更、つまり厚木基地の空母艦載機部隊と普天間基地の空中給油機部隊がしようするということを、山口県に提出しました。10年前に工事を始めるときには、滑走路を沖合に出すことで騒音を軽減する、周辺にコンビナートがあり墜落した場合に危険――というものでした。ところが今回の用途変更は、艦載機・空中給油機の受け入れを前提に、埋立地の配置がかわりますという用途変更です。県知事が「最初の目的と異なる」といえば、工事は進まないのです。残念ながら知事も賛成に傾いているので、申請書の縦覧もせずに内部審査で1月ぐらいで結論をだすとしています。予想では、市長選の直後に認可を出すといわれています。そこで市長選投票日の直前までに、岩国市民が原告になり、県知事に対して、用途変更を認めるなという差し止め訴訟を行おうとしています

 その上で、騒音訴訟がなかったことが今回の事態を招いた。また米軍再編に反対であれば、今現在の基地に対する生活権の侵害を、法律的に異議申し立てをするべきではないかと、訴訟をやることにしました。騒音レベルのW値が一定の基準より高い人々が訴えれば、少なくとも損害賠償は勝てる。これはお金の問題ではなく、裁判所が「国のやっていることは違法」と認めることになります。それを柱に、艦載機部隊の受け入れ反対を訴えていきます。

 市長選の結果は、岩国の将来に大きな影響を及ぼします。けれども運動的には、選挙を頭に入れながらも長い目で見て、運動の作り方を考える必要があります。


●鹿児島からの参加者
 鹿児島県には、航空自衛隊の鹿屋基地があります。私が住んでいる鹿児島市からは、少し距離があります。ですから私自身は、なかなか反対運動とは結びにくいところがあります。昨年の集会では、県の平和運動センターやブロックの平和運動センターが中心になって、鹿児島市内からもバスを仕立てて参加しました。また昨年は、錦江湾に寄港した海上自衛隊の護衛艦に対する入港反対や、この護衛艦が火災を隠蔽していたことから、県や市に対して申し入れをしてきました。
 先ほど、厚木爆同の鈴木さんがおっしゃいましたが、若い人の参加が少ないです。人ごとのような感じです。こうした中で、沖縄については青年部を中心に行動に参加して、少しずつ盛り上がりはできていますが、訴訟などのようなところには結びついていません。県平和運動センターやブロック平和運動センターの集会には、できるだけ若い人たちを誘うのですが、まだまだですね。


●関久さん(東京平和運動センター事務局長)
 横田も厚木と同じように、爆音訴訟を起こしています。昨年中に結審かと思われていましたが、伸びています。横田基地には米空軍がいます。米軍再編では、航空自衛隊の航空総隊司令部が移駐することになります。横田基地で日米空軍が、キャンプ座間で日米陸軍が、横須賀基地で日米海軍が、それぞれ司令部を一つにします。この3つの基地は全て、国道16号線沿いにならんでいます。その先には、入間には航空自衛隊、習志野には陸上自衛隊の基地が続きます。沖縄に負けず劣らず基地が並んでいます。
 1月14日には、PAC3の発射のための調査が、東京の新宿御苑で行われました。夜の8時から翌朝の10時までです。これを受けて、神奈川平和運動センター・関東ブロック連絡協議会・平和フォーラムで、防衛省に申し入れをしてきました。今後も代々木公園や皇居などで、調査を進めるようです。今回の調査は通信関係の車両のみでしたが、いずれはミサイル本体を積んだ車両を使って、訓練をやりたいようです。沖縄ではすでに、米軍がPAC3の展開訓練を実施しているようです。東京都内で、多数の大型軍用車両が展開するという、まさに戦争状態が起きるのです。
 横須賀の武山基地にもPAC3の搬入が予定されています。8月には横須賀に原子力空母が配備されます。神奈川・東京を結び、関東一円で、大きな反対運動を作りたいと思います。以上です。


●金子さん
 米軍再編の中で、米軍の話はたくさん出てきました。しかし今回は、日・米の再編です。自衛隊の動向ももっと議論しなければなりませんし、米軍再編交付金のことも大きな課題です。またそうした課題を話す会を作りたいと思います。それではなにか、質問はありますか。


●会場から
 仲村さんに、辺野古の問題で質問です。いま沖縄県や名護市は、基地建設を沖合に移動することを求めています。これに対して米軍は「1ミリたりとも移動しない」といっています。ところで06年の日米合意当時は、米軍が沖合案を求め、外務省が追従していた。一方で下地議員などが、キャンプ・シュワ内からの建設を求めていました。いまは、その構図が逆転しています。では、米軍が当初求めていた沖合案に戻ってしまうことはないでしょうか。


●仲村さん
 計画の変更はないでしょう。それでは、米軍再編自体が、頓挫してしまいます。この問題では最初に、嘉手納基地への移設案や下地島案、キャンプ・ハンセン案など、さまざまな案がありましたが、そういうなかで沖合案がきまりました。それが住民投票で覆されました。さらに軍民共用空港も反対にあって潰れました。その末にいまの沿岸案になって、さらにV字案になりました。もう10年以上、建設できないのです。それを、いまやろうということが、非現実的です。学者の話では、「沖縄には新ヘリ基地は要らない」といいます。グアムに持っていけば問題はない。海兵隊自体が、沖縄には必要ないという意見もあります。ですから、計画の変更はないと思います。


●河野泰博さん(大分平和運動センター)
 大分県では、陸上自衛隊の日出生台演習場で、沖縄海兵隊の155ミリ榴弾砲の移転訓練が行われています。新しい事態としては、これまでの榴弾砲訓練に加えて、小火器射撃訓練を実施したいと、米側が言ってきています。県当局と地元が了解し、受け入れることになりました。政府と地元が取り交わした覚書の中に、その項目を入れてしまいました。
 なぜ小火器・機関銃訓練を行うかというと、「沖縄でもやっていたから」ということ。理由はこれだけです。海兵隊の訓練をとめるために、道路交通法や環境法など、さまざまな観点から研究しました。たとえば米軍車両は、ものすごい排気ガスを出しながら走ります。これが規制できないか。あるいは港湾法の問題では、民間の船舶が155ミリ砲を運んできます。これはおかしいのではないか。県は港湾管理件を使って、危険物の持込を止められないのか。しかし県当局は、「弾薬を積んでいないから危険物ではない」というのです。なかなか突破口が見えないのです。そして最終的には「国の専管事項」に逃げ込まれてしまう。しかし「国の専権事項」よりも、住民の安全のほうが重要です。どこか突破できないか、一から検証しなおして、新たな闘いを進めようと思います。


●金子さん
 最後にまとめをします。米軍再編が提起されて2年、ロードマップからも1年たちます。この中で、私たちの運動や自治体の抵抗によって、国が進めようとしていることが、なかなか進まない。そうした現状があります。沖縄では95年のSACO合意から10年たっても、辺野古の人々の抵抗でなにもできていません。そうした運動の力があります。国や米軍が出してきた再編案は、かなり変更されています。相模原では当初、相模総合補給廠に、陸上自衛隊普通化連隊1300人を配置することが、中間報告には書かれていました。しかし最終報告では、なくなっています。キャンプ座間には米陸軍第1軍団司令部300人が移駐する予定でしたが、いまは先遣隊30人がいるだけです。その30人も、いままでいた部隊の、名刺の肩書きが変わっただけです。9月には90名に増員される予定ですが、300人を入れさせない運動が闘われています。私たちの運動が、少しずつではあるけれど成果をあげている。そのことを、確認したいと思います。
 全国の仲間が横の連携を取って、これからもがんばりましょう。ありがとうございました。


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