海上自衛隊のソマリア沖派遣反対で国会集会
■日時  3月13日(金)12:30〜13:30
■場所  衆議院第2議員会館・第1会議室




 平和フォーラムは3月13日、国会・衆議院第2議員会館第1会議室で、「海上自衛隊のソマリア沖派遣を許さない3・13緊急集会」を開催しました。集会には、平和フォーラムの加盟組織や市民運動団体の関係者など、約100人が集まりました。
 政府はこの日の閣議で、自衛隊法第82条・海上警備行動を発動して海上自衛隊に護衛艦2隻のソマリア沖派遣を指示、また「海賊対策法案」を閣議決定しました。
 集会では、民主党・社民党の国会議員から政治情勢や両党の今後のとりくみについて報告を受けました。その後、平和フォーラム事務局長の福山真劫が基調のあいさつ、続いて東京平和運動センター事務局長の関久さんから前日に行った防衛省交渉の報告を、神奈川平和運動センター事務局長の加藤泉さんから活動報告を受けました。また、許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健さんから、この問題に対する市民団体の取り組みを報告していただきました。平和フォーラム副事務局長の藤本泰成からは、今後の活動提起を行いました。
 集会には、民主党の衆議院議員の平岡秀夫さん、同じく衆議院議員の近藤昭一さん、社民党党首で参議院議員の福島みずほさん、参議院議員の渕上貞雄さん、参議院議員の山内徳信さん、衆議院議員の菅野哲男さんが参加してくださいました。




●平岡秀夫さん(民主党・衆議院議員)

 みなさん、こんにちは。集会への参加、ご苦労様です。民主党衆議院議員の平岡秀夫です。今回のソマリア沖への自衛隊派遣に関してですが、海賊は犯罪ですから、しっかりと対応しなければなりません。それは誰もが認めることでしょう。しかし自衛隊のソマリア派遣は、そうしたレベルの話ではないようです。

 私は昨年10月に、新テロ特措法・補給新法に関する審議を、麻生総理との間で行いました。その時に、麻生総理の著書「自由と繁栄の弧」から、一文を引用しました。麻生総理は「5年半もの長い間、日本のNAVYがこれだけ遠方に派遣されているのは歴史上初めてだ」という趣旨のことを書いています。麻生総理は、「NAVY」、海軍という言葉を使って、海上自衛隊による補給活動を表現していたのです。
 今回の派遣に当たって、「海上保安庁の船では対応できない」などと説明されています。しかし、これはまったくのウソではないでしょうか。また今回の活動は、「国連決議に基づくもの」と政府は説明しています。どのような国連決議でしょうか。決議には、国連憲章第7条のもとでの行動と書かれています。国連憲章第7条は、平和に対する脅威・平和の破壊・侵略に関する行動のタイトルです。この決議の中では各国に対して、軍艦の派遣を求めています。軍艦の派遣を求められて、海上自衛隊を派遣するのですから、国際的には軍が求められているのです。

 浜田防衛大臣が、海上警備行動の準備指令を出した際に、私は政府に質問主意書を提出しました。その中で、国連憲章第7条に基づく決議を実施するに当たって、ソマリアの海賊をどのように認識しているのかを問いました。それに対して政府の答えは、母船と高速艇を持っている、自動小銃やロケットランチャーを持っているなど、表面的な答えしかかえってきませんでした。
 ソマリア国内がどのような状況なのか、ソマリア沖合で何が起きているのか、そのことを明確にしなければ、自衛隊派遣の意味が、国民の皆さんにはわからないだろうと考えています。米国が提案して採択された国連決議の中では、ソマリア本土への空爆も認められるような表現になっています。そうした状況下で自衛隊が派遣されれば、国連決議のもとで自衛隊が、戦争状態に巻き込まれていく可能性も否定できないと思います。実は韓国も海軍を派遣しています。韓国では派遣に際して、国会の国防委員会と本会議で議決を行っています。しかし日本では、国会は全く関与せず、政府が独断で派遣を決定しています。

 国会での議論もなしに自衛隊を派遣することは間違っていますし、ソマリアの海賊の実態も分からないままに派遣することも間違っています。もし実態を知っていて隠しているなら、国民に対する背信行為です。今後に禍根を残す重大な問題です。
 皆さんとともに、この問題についてしっかりと追及していきます。





●福島みずほさん(社民党党首・参議院議員)

 皆さん、こんにちは。全国各地でまた色んな場所で、平和の問題で働く人たちの為に頑張っていらっしゃる皆さんたちの顔を、今日見ることができて、それは大変励まされます。今日、こういう集会に忙しい中、足を運んでくださっている事に、大変心から感謝いたします。

 自衛隊がソマリア沖へ派遣をされる、その派遣命令が本日出ました。憲法と民主主義を破壊する行為です。国会での事前承認も事前の同意も、全くありません。事後の報告義務も何にも課されていない、新しい立法も何にもありません。何にもなくって、自衛隊が遠く遠くへ派遣をされる。このような事態は、明確に憲法と民主主義を踏みにじるものです。

 国会で、麻生総理に、代表質問で質問しました。応急措置的に自衛隊を出し、その後新法を作る、というのが答弁でした。自衛隊は、応急措置的に出していいものなんでしょうか。全く間違っていると思っています。事前承認、とにかく既成事実を作って、その後新法を作るという、そういう中身です。また、現行法の海上警備活動を政府は根拠にしていますが、とんでもありません。日本は、少なくとも専守防衛ですから、遠くへ行くということ、海上警備活動を自衛隊がやるということを念頭においているわけはありません。ましてや、海賊は、これは国際刑事法や刑法犯、刑法の対象です。ですから、自衛隊は手を出せないはずなんですね。刑事裁判所でやれ、という話です。ですから、海上自衛隊は海上保安庁の人を連れて行って、その人たちに逮捕させる、と言っているわけです。全くの自家撞着というか、ものすごい矛盾であって、自衛隊は行くために行く、そのためだけのものだと思っています。

 そして、私は思うんですね。世界中に、日本の日本人、日本の企業、日本の製品、日経のもの、満ち溢れています。今回、何の法律も、新たな法律なく、国会の議論なく、自衛隊が出て行くとすればですね、世界中、いつでもどこでも自衛隊が出て行ける、じゃぁ、こっちは出て行って、どうしてこっちは出て行かないのか、なんでこちいは海上自衛隊が出て行ったのに、こっちは出て行かないのか。でも、いつでもどこでも、基準が全く明確でなく、海上自衛隊が出て行く、いつでもどこでもドアっていう形に、それはなっていくだろうと、これが本当に危険だと。

 私は、この間、民主党のある議員が、国会で、武器輸出三原則の緩和をすべきだって質問しているのに、頭に血が、本当に上りました。戦後、日本が誇るべきものはたくさんありますが、その二つ、私は思うんですね、一つは、直接は武力行使はしてこなかった、二つ目は、武器輸出を禁止してきた、日本製の武器が人々を殺すということを、日本は拒んできた、これが日本の戦後、本当に誇るべきことだと考えています。

 今回、海賊相手に、今度は武器使用をする相手が極めて高まります。そうすると、戦後初めて、自衛隊が武力の行使をする第1号に、今回なってしまうのではないか、そのことを大変危惧をしています。今回、もし、武力行使をやればですね、その次に、例えば、自衛隊派兵恒久法案や様々な武器使用の点が問題になった時に、海賊相手ってのはみんな忘れてですね、だってもう、自衛隊は、武器使用しているじゃないか。バンバンバンバン、爆弾投げてこうやってやっているじゃないか。日本やったんですよ、と言う風になってしまって、それが地続きとして、自衛隊派兵恒久法案が、出てくると。この地続きには、自衛隊派兵恒久法案があるのだ、というふうに思っています。

 国民投票法が国会で成立をして、来年、国民投票が可能となります。国会の憲法審査会を動かさない闘いを頑張ってやっていきたいんですが、今何が起きているかと言うと、憲法9条を変える前に、憲法9条をやはり踏みにじることを着実にやっていくことが起きて、その総仕上げとして、憲法9条改正が行われるのではないか、ということです。今回、自衛隊が行く、これは武力行使を念頭にする可能性が十分ある、それは日本の、戦後の64年間の中で、これはとんでもないことだと思っています。

 戦前もそうですが、日本人が危ない、危害にさらされている、日本のものが、と言うことを理由に陸軍もどんどん出て行きました。既成事実が作られました。日本の人たちに反対しにくい人たちの中で、出て行った、そういう既成事実が、まさに行われようとしています。

 私は、民主党の大会に行って、二つのことをいってきました。一つ目は、派遣法の抜本改正を実施しよう、これは三月末をめどに、何とか努力しようということで、先日幹事長同士で合承を交わしました。
 二つ目、ソマリア沖に自衛隊を派兵することに社民党は反対だ、ということを言いました。民主党の中にも、いろんな方がいらっしゃいますが、これはやっぱり野党は反対、そして与党にも働きかけて、こんな新たな立法も作らず、出て行くことが、禍根を残すぞということでですね、大きな大きな運動をやっていきたいと思います。
 いつ帰ってくるかも分からないわけじゃないですか、で、こういうことを、とにかく武力ではなく、日本は警察やあるいはソマリアの内政についてやれることはたくさんあるだろうと、隣国に対してもやれることはあるだろうと、マラッカ海峡で海上保安庁が海賊退治に実効性があり、功績を挙げたということを、なぜこの間、この今回はそのことを行かせないのか、ということも声を大きくしてやっていきたいと思っております。

 海上保安庁の一番大きな船は「しきしま」という船です。二番目に大きな船は、「みずほ」というのですね。わたしがこの船に乗っていくわけにもいきませんし、海上保安庁も行くべきでないって言う意見もあるんですが、社民党は少なくとも、海上保安庁で代替すべきところはやって、刑事犯としてやるべきだと考えています。
 武力行使に反対、武力の威嚇にも反対、このことが持っている憲法上の民主主義の意味について、大きな運動を作っていきたいと思っています。ともに頑張っていきましょう。ありがとうございました。



●近藤昭一さん(民主党・衆議院議員)

 皆さん、ご苦労様でございます。ご紹介いただきました、民主党、衆議院議員の近藤昭一でございます。
 昨日、フォーラムの皆さんと防衛省に申し入れを行ってまいりました。こんな警備行動、本来どうして、こんな法律に基づいて、海外にいけるのか、全く問題がある、しかしそのことが、先程も出てきたように、全く国会の承認なくして出てきたわけです。
 どんどんどんどん、この間、なし崩し的に自衛隊を外に出していく。名目は、国際貢献、平和のためだといいながら、やっていることは、実際全く違うことをやっていると思います。私はですね、今回、ソマリア沖に起きていること、何もその海賊行為を正当化するわけではありませんが、そこに背景がある、その背景をしっかりなくしていくことこそ、重要であり、または、先程それぞれの議員からもお話しがありましたように、この間マラッカ海峡のことにおいては、ずいぶんと日本も自信が出てるんです。
 なぜ、違う方法でできないのか、どうぞ、皆さんと一緒に、今日行ってしまうわけではありますが、これからも長い運動の中で頑張ってまいりたいと思っております。
ありがとうございました。


●福山真劫(平和フォーラム事務局長)
 平和フォーラム・原水禁で事務局長をやっております、福山です。今日は本当に、お忙しい中、緊急集会に語結集を頂きまして、ありがとうございます。
 今、春闘、真っ只中ということであろうかと思います。今年の春闘は、雇用と賃上げと、そして中でも、非正規労働者の方々の権利をどう確立していくのかということが、最大の焦点になっておるのかなという風に思っております。3月の18、19日を山場として闘われるということでありますので、春闘の中で、本当に連合の奮闘に期待をしたいと思っております。
 それともう一点はどう触れていいのか、なかなか触れ方としては難しいわけなんでありますが、3月4日に小沢代表のですね、秘書が逮捕されるという事態がありました。検察とマスコミが描こうとしている真実というものについてですね、私たちは、本当の意味での真実というものは何なのか、というあたりをきっちりと調べていく必要がなるのではないかと思っています。
 民主党の中でも、国策捜索ではないかというような発言も、色々出てきておりますし、また様々な識者の間でもですね、国策捜索の匂いがする、本当に政権末期の、麻生政権に対して、検察が何らかの思惑があったのかなかったのか、私たちは明確に見極めていく必要があろうかというふうに思っております。
 民主党にとっては、大変な事態かと思いますが、こうした事に負けずに、どうぞ元気よく発言された社会民主党と連携をしながらですね、本当に麻生はダメなんだと、麻生政権は末期なんだと、麻生政権に私たちの未来を任せることにはいかないのだというのが、国民の声でもあります。また、
 今日ご参加の皆さん方の多くの意思でもあろうかなと思いますので、私たちとしても、そうした動きに対してはですね、最後まで注目をしながら、政権交代目指しての民主党内の努力、また社民党、民主党と連携をしての努力についてですね、支援をしていきたいなと思っているところであります。

 さて、今日の集会のテーマでありますソマリア沖へ海上自衛隊の自衛官を派遣しないという点についてであります。
 先程から平岡議員、福島さんから、十分お話しがありましたので、私の方から認識の問題として、あまり触れることはないなぁと思うのです。
 私ども平和フォーラムは、この間、憲法理念を実現するんだ、9条に沿って新しい事態を作り出すんだということとして、取り組みを行ってきました。しかし一方で、自衛隊の海外派遣は続いてきたかと思います。今回も、自衛隊をソマリア沖に、派兵する、派遣するということであります。自衛隊法の82条の海上警備行動に根拠をおきながら、派兵をするということであります。
 しかし、私たちが良く考えて見ますと、憲法9条の理念からして、自衛隊の今までの動きに対しても、絶対許せないなということだと思いますし、この自衛隊法の82条の趣旨からしてもですね、その趣旨からとしても、今回の派遣については、問題があろうかと考えているところであります。
 先程から色々出されておりましたが、もし、自衛官がソマリア沖に派兵をされた場合は、集団的自衛権の行使の問題であります、とか、武器使用の問題でありますとか、多くの私たちが歯止めとして来たものが、また踏み越えられるという事になるのではないかなと考えておるところであります。
 私たちは、確かに憲法9条の条文は守り続けてきました。しかし、実態として空洞化され続ける憲法9条に対して、こうした具体的な事実を前に進めない、ということとしての取り組みの強化を引き続いて図ってまいりたいなと思っております。
 
 日本が、ソマリア沖の海賊に対して、果たす役割というのは、自衛官の派遣ではない、別の方法があるのだ、海上保安庁中心とするところの行動もあるのではないかなと思いますし、我々の起こっている事態に対して、もっと有効な支援が出来る方法があるのではないかという風に考えておるところであります。
 海賊新法が、今から国会でかかるということであります。民主党、社民党の野党に大奮闘していただきながら、私たちとしても、そうした行動を支えてですね、海賊新法は絶対成立させないということでの取り組みを引き続いて頑張っていきたいなと考えているところであります。
 平和フォーラム、全国で、そうした立場で、頑張りたいと思いますので、本日ご結集をいただいた皆様方もですね、それぞれの地域、それぞれの組織でのご奮闘をお願い申し上げまして、平和フォーラムを代表しまして、今日の御礼と決意に変えたいと思います。
 りがとうございました。ともに頑張りましょう。


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