【資料】リビアでの反政府運動と米英仏による軍事介入

時系列表



2月15日 
 リビア東部ベンガジで、人権活動家の釈放を要求した反政府デモ隊と警察官が衝突。十数人が負傷。

2月17日 
 ベンガジでデモ隊と治安部隊が衝突。アルジャジ―ラは目撃者の情報として13人死亡・100人以上が負傷と伝える。

2月18日 
 北東部ベイダで武装した反政府派と治安部隊が衝突。警察の一部が反政府派に合流との情報も。ベンガジでも数千人が反政府デモ。国際人権団体アムネスティ・インター ナショナルは3日間で少なくても46人が死亡と発表。またヒューマン・ライツ・ウォッチは死者を84人と発表。

2月19日 
 ベンガジで、裁判所前でカダフィ体制の打倒と民主化を求めて泊まり泊り込んでいた裁判官や弁護士を含む反政府デモ隊数百人を、特殊部隊が催涙ガスなどで攻撃し死傷者が出る。
 イスラム教指導者約50人が、治安部隊に対して攻撃をやめるように求める声明を発表。

2月20日
 カダフィ大佐の長男、セイフ・アルイスラム・カダフィがテレビ演説。デモに徹底抵抗の姿勢を打ち出す。反政府デモが首都トリポリに波及。軍の一部が反体制派に合流する。
 米国務省がクローリー国務次官補名でリビア情勢について重大な懸念との声明を発表。

2月21日
 首都トリポリで、政府軍の戦闘機やヘリコプターが、反政府デモ隊を攻撃。
 パン・ギムン国連事務総長が、反政府デモへの戦闘機やヘリによる攻撃に対して、「事実であれば深刻な国際人道法違反だ」との声明を発表。
 欧州連合(EU)外相理事会が、リビアに対して反政府デモへの攻撃をやめるよう呼び掛ける声明を発表。

2月22日
 国連安保理が緊急の非公式会合を開き、声明を発表。暴力行為の即時停止、国民対話を通じたリビア国民の正当な要求にとりくむように求める。
 クリントン米国務長官が、「許されざる流血を終結するときだ」との声明を発表。
 在マレーシア野リビア大使館が、カダフィ大佐による弾圧を「野蛮かつ犯罪的」と非難。
 カダフィ大佐が退陣を拒否。
 アブドルファタフ・ユニス・オベイディ公安相が辞任し、反政府デモ支持を表明。
 アウジャリ駐米リビア大使が辞任表明、カダフィ大佐の退陣を求める。 

2月23日
 クリントン米国務長官が、「弾圧を止めさせるために、われわれはあらゆる選択肢を検討する」と述べる。

2月25日
 カダフィ大佐がトリポリで演説し、徹底抗戦を訴える。
 国連人権理事会が、リビアを非難する決議を採択。
 リビアからチュニジアへ逃れる難民が、25日時点で2万2000人を超える。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などが難民キャンプを設置。
 イスラム教の金曜礼拝後、複数の場所で反政府派による数千人のデモ。治安部隊が銃撃で鎮圧し、死傷者がでる。

2月26日
 カダフィ政権から離反したアブドルジャリル前司法相が、暫定政府の樹立に着手と表明。

2月27日
 ベンガジの市民グループが、「国民評議会」を設置。

2月28日
 カダフィ大佐が英BBC放送のインタビューに応じ、反政府デモを狙った空爆を否定。

3月 1日
 ベネズエラのチャベス大統領が、和平案を提案。

3月 2日
 アラブ連盟外相会議。イラクのジバリ外相が、アラブ以外の国・地域が介入すべきでないと発言。

3月 3日
 ベネズエラのイサラ情報相が、リビア政府が和平案を受け入れたことを表明。「国民評議会」のジャリル会長は、カダフィ大佐との対話を拒否。

3月 8日
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、過去2週間にリビアから脱出した人の数が、21万5000人を超えたと発表。

3月 9日
 オバマ米大統領とキャメロン英首相が電話で会談。カダフィ大佐の退陣と暴力の即時停止をめざす方向を確認。NATO等を通じて、飛行禁止空域設定をふくめた措置を計画することで合意。

3月11日
 欧州連合(EU)が緊急首脳会議を開催し、カダフィ大佐の即時退陣を求める政治宣言を採択。

3月12日
 アラブ連盟がカイロで緊急外相会談を開催し、リビア上空での飛行禁止空域の設定を国連安保理に求めることで合意。

3月15日
 主要8か国(G8)が外相会議をパリで開催し、リビア情勢への対応を検討。飛行禁止空域の設定などの軍事介入については、ロシアとドイツの反対で合意できず。

3月16日
 リビア政府軍が、西部のほとんどの都市を奪還。

3月17日
 国連安保理が、リビア上空に飛行禁止空域を設定。軍事行動を含むあらゆる必要な措置をとることを承認。理事会15か国のうち10か国が賛成。ロシア・中国・ドイツなど5か国が棄権。

3月19日
 欧米諸国やアラブ連合がパリで首脳級の緊急国際会議を開催。カダフィ政権が攻撃を停止しなければ、軍事拠点に対する空爆などの軍事介入に踏み切ることを確認。
 アメリカ・イギリス・フランスなどを中心とする多国籍軍が、リビアに対する軍事介入を開始。
 ロシア・中国は、軍事介入に対して、遺憾の意を表明。

3月22日
 ロシアのメドベージェフ大統領が、ゲーツ米国防長官と会談し、紛争調停のための仲介に乗り出す用意があることを言明。
 中国がリビアに対する多国籍軍の攻撃を、「人道主義の危機というリスクをおかすもの」と批判。

3月23日
 ロシア下院議会が、戦闘行為の即時停止をもとめる声明を採択。

3月28日
 北大西洋条約機構(NATO)の大使級会合で、軍事介入の指揮権を、多国籍軍を率いる米軍から、NATO軍が完全に引き継ぐことで合意。
 フランスのサルコジ大統領と英国のキャメロン首相が共同声明を出し、カダフィ大佐の即時退陣を求めた。
 ロシアのラブロフ外相が記者会見で、多国籍軍のリビア攻撃について、多国籍軍の軍事行動が国連決議を逸脱していると批判した。
 米ホワイトハウスは、オバマ大統領が英、仏、独首脳とのビデオ会議で、リビアのカダフィ大佐は国を統治する正当性を失っており退陣すべきとの見解で一致したことを明らかにした。


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