「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」(FOCUS ON THE GLOBAL SOUTH)は、第3世界を焦点にして、反戦平和・経済・そのほかの社会問題にとりくむ市民団体です。世界社会フォーラムなどでも中心的な役割を担っています。
そのフォーカスが、リビア問題に関する声明を出しました。以下に日本語訳の要約を記載します。


アメリカ主導のリビアへの軍事介入をやめろ
フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスの声明

2011年3月22日


フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスは、リビアの民主主義的反対派を支持する。彼らは43年間続くカダフィ独裁の終焉を求めている。フォーカスは、リビアの人々の願いを共有している。彼らは、権力にしがみつくためには自国民に対して軍事力を行使することをためらわない、不正と抑圧の支配者からの解放を求めている。

しかしながら、フォーカスは、3月20日の日曜日にアメリカ・フランス・イギリスによって開始された、大規模な軍事力による介入を支持しない。

民間人を守るための「飛行禁止区域」の設定が、一方にある。体制変革を目的にした攻撃が、他方にある。後者は、例え国連安保理決議を「イチジクの葉」として示したとしても、アメリカ・イギリス・フランスが主導する介入が意図であり、飛行禁止区域の防衛的目的を遠く離れて、リビア侵略に重なっている。

地上軍への攻撃と、対空防衛施設への先制的で無差別な攻撃は、表向きは介入が防ごうとしている人命の損失を、正確に成し遂げることになる。市民は西側の攻撃によって殺されてしまう。その市民はおそらく、軍事行動が守ろうとしている人々だ。

リビアの人々による民主主義のための闘いは、支持されなければならない。しかしそれは、体制変革の道具としての西側の軍事行動によってではない。西側の行動は、表向きは人道主義を目的にしている。しかし本当の目的は、この地域における西側の覇権を再び主張することだ。それは民主主義的な変革の風に巻き込まれることになる。

権威主義的な体制を支持することで、アメリカはアラブの人々の信頼を失った。アメリカはアラブの民主主義革命のターゲットの一つだと言われるだろう。こうした文脈から、体制変革のためのリビアへの介入は、ワシントンの遅れた試みとなった。民主主義勢力を支援していることを示し、破綻した正統性を支え、アラブ諸国にこの地域でのアメリカの戦略的覇権を思い起こさせたのだ。しかし世界は、バーレーンを侵略して民主主義勢力を抑圧したサウジアラビアを支援する反動体制の側に立ちながら、リビアの民主化を支援していると叫ぶ、覇権主義の偽善性を懐かしんではいない。

西側の「民主主義のための介入」は、民主主義の前進をもたらしはしない。それは西側の軍事力による准民主主義として、信用を落とすことになる。リビアへの介入は、アラブナショナリズムやイスラム連帯勢力を、民主主義勢力と同様に強化するリスクを伴う。そのことは最後には勢力間の闘争を引き起こすことになるが、それは補助的なことで、唯一の勝者は西側の覇権となる。

我々、フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスは、アメリカ・イギリス・フランスが主導するリビア戦争の即時停止を求める。

我々は全世界の市民社会と各国政府に対して、リビアの人々によるカダフィに対する民主主義の闘いを支持するように求める。

我々は特に、チュニジアとエジプトの民主主義勢力に対して、リビアの人々を助けに来ることを要請する。

我々は、中東におけるアメリカの覇権を維持し認めるための、あらゆる行動の終了を求める。


FOCUS ON THE GLOBAL SOUTH
  声明のページ


このコーナーのTOPへ