【新テロ特措法を廃案へ 自衛隊のインド洋派遣は反対】

■テーマ1.テロ特措法とはなにか


1.「9.11同時多発テロ」とテロ特措法の成立

 2001年9月11日、米国でハイジャックされた民間航空機4機が、ニューヨークの世界貿易センタービルと、ワシントンD.C郊外の国防総省に自爆攻撃を行い、2,973人が犠牲になりました。「9.11同時多発テロ」です。ブッシュ政権はこの攻撃を、イスラム武装組織アルカイダの犯行と認定。アルカイダはアフガニスタンのタリバン政権と協力関係にあり、アフガニスタン国内に軍事拠点を置いていたため、米・英軍を中心にした同盟軍は同年10月7日、アフガニスタンへの侵攻を開始しました。

 米国は個別的自衛権の行使として、アフガニスタンに侵攻しました。またNATOは、米国に対する集団的自衛権の行使として参戦しました。しかし日本は、憲法上の規定から集団的自衛権を行使することはできませんでした。そこで当時の小泉内閣は同年11月に「テロ特措法」を成立させ、自衛隊による米軍などへの後方支援を行うことにしたのです。

 テロ特措法の成立により、海上自衛隊の補給艦と護衛艦がインド洋に展開し、米軍と同盟軍の艦船に対して、燃料や水の補給を行うことになりました。自衛隊が提供する燃料や水の購入は日本の負担で、費用は225億円になりました。自衛隊員の人件費などを含めた負担総額は、600億円にも上っています。

 テロ特措法は当初、2年の時限立法として成立し、6か月を期限とした「基本計画」を作成しました。しかしその後も政府は自衛隊派遣の延長のために、数度にわたって「基本計画」の変更と、テロ特措法の改正を行いました。

 07年の参議院選挙で野党が勝利し、参議院で過半数を占めたために、政府は07年のテロ特措法改正=期間延長を断念、07年11月1日にテロ特措法は期限切れをむかえました。


2.テロ特措法の内容

(1)テロ特措法は、自衛隊の活動として以下の4項目を定めていました。
@協力支援活動・・・諸外国の軍隊に対する物と役務の提供、便宜の供与その他の措置。
⇒海上自衛隊の補給艦1隻と護衛艦1隻をインド洋に派遣し、米軍と同盟軍などの艦船と搭載ヘリコプターに対して、燃料・水の補給活動を行いました。

A捜索救助活動・・・米軍や同盟軍の兵士が戦闘によって遭難した場合に、捜索・救助を実施。
⇒実施されませんでした。

B被災民救援活動・・・住民のために実施する食糧・衣料・医薬品その他の生活関連物資の輸送、医療その他の人道的精神に基づいて行われる活動。
⇒活動の初期に、海上自衛隊の艦船や航空自衛隊の輸送機によって実施されました。

Cその他の必要な措置

(2)テロ特措法は自衛隊の活動に当たって、以下の制限を設けていました。
@自衛隊の活動は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。

A自衛隊の活動は、日本国内、公海上およびその上空・外国の領域(当該外国の同意がある場合に限る。)で、非戦闘地域に限定する。

B武器使用は、自衛隊ならびに自衛隊の管理下に入ったものの生命・身体の防御に限定する。
⇒海上自衛隊の派遣期間を通して、海上自衛隊が武力による威嚇・武力の行使を行うこと、戦闘地域で活動すること、武器を使用すること――はありませんでした。

(3)国会の関与については、以下のように定めていました。
 自衛隊の活動に当たっては、まず内閣が「基本計画」を閣議決定し、国会に報告する。この「基本計画」によって実施された自衛隊の活動は、活動開始後20日以内に、国会に付議し承認を求める。


【資料1】海上自衛隊による給油活動

 出動した艦船数(延べ)  補給艦19隻 護衛艦40隻
 艦船燃料の補給回数  794回(約49.3万kl)
 ヘリ燃料の補給回数  67回(約990kl)
 給水回数  128回(約690t)
 補給先  11か国
 給油・給水の経費  約225億円
 人件費含めた負担総額  約600億円


【資料2】海上自衛隊による年度毎の補給量

 01年度  119,000kl
 02年度  175,000kl
 03年度   53,000kl
 04年度    51,000kl
 05年度   27,000kl
 06年度   48,000kl
 07年度   11,000kl


【資料3】テロ特措法の流れ

01年11月 2日 テロ特措法成立 当初は2年の時限立法 

01年11月30日 海上自衛隊のインド洋派遣(6ヶ月)を参議院本会議で可決

02年 5月    基本計画を6ヶ月延長

02年11月    基本計画を6ヶ月延長

02年12月    イージス艦を派遣

03年 5月    基本計画を6ヶ月延長

03年10月    テロ特措法改正 期限を2年延長

04年 5月    基本計画を6ヶ月延長

04年10月    基本計画を6ヶ月延長

05年 4月    基本計画を6ヶ月延長

05年10月    テロ特措法改正 期限を1年延長

06年 4月    基本計画を6ヶ月延長

06年10月    テロ特措法改正 期限を1年延長

07年11月    テロ特措法期限切れ


防衛省「国際テロ根絶と世界平和のために」
http://www.mod.go.jp/j/news/terotoku/index.html


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