北東アジアに比較・平和の確立を!
日朝国交正常化を求める10.9集会を開催
 平和フォ−ラムや日本消費者連盟など7つの団体でつくる実行委員会が呼びかけた「北東アジアに非核・平和の確立を!日朝国交正常化を求める10.9集会」が日比谷野外音楽堂で開かれ、約2,000名が参加しました。呼びかけには80の平和・人権・反核・国際人道支援に取り組む団体と327名の個人からの賛同がありました。
 集会は、朴保さんのオ−プニングコンサ−トに続いて、北朝鮮人道支援の会代表吉田康彦さん(大阪経法大教授)やJVCの寺西澄子さん、ピ−スナウコリアジャ パンのキム・スンヨンさん・藤花大介さんの連帯アピ−ルがありました。
 実行委員会を代表して平和フォ−ラムの福山真劫事務局長は「アメリカ・フッシュ政権の北朝鮮敵視政策や、拉致・核開発問題で『日朝平壌宣言』に基づく日朝国交 正常化の協議が大きく後退し、軍事的緊張が高まっている。まさに平和の危機だ」と述べ、朝鮮半島を取り巻く緊張状態に懸念を示すとともに、戦争反対、平和的解決 を求める市民の声を大きくしていこうと呼びかけました。
韓国からは労働組合や平和団体のゲスト4人が参加しました。労働団体の1つである民主労総のイ・フェス対外協力室長が代表して挨拶にたち「愚かなイラク戦争 に韓国や日本の若者を送ってはならない。なぜならばイラクの次は敵視政策を続けている北朝鮮が戦争の標的になるからだ。韓国と日本の労働者、市民が戦争反対の ために連帯していこう」と述べ、大きな連帯の拍手がありました。
 ウリパラムによるチャンゴ演奏、和田春樹・東大名誉教授のスピ−チのあと、集会アピ−ルを採択。参加者は銀座方面に向けパレ−ド行進し、市民に対して北東アジアに非核・平和をアピ−ルしました。
韓国ゲストプロフィール
00 キム・スギムさん(平和をつくる女性たちの会共同代表)平和を作る女性たちの会は、南北の女性交流のなかから1996年に結成され、主として交流と相互理解を図りながら平和の定着に努めている団体。

ク・カブさん(参与連帯平和軍縮センター実行委員)慶南大学北韓学科大学院教授。参与連帯は、1994年に創立された韓国における市民運動の新地平を常に切り開いてきた団体。平和軍縮センターは歴史は浅いが、韓国平和運動の代表的存在。

イ・フェスさん(民主労総対外協力室長) 民主労総は、韓国の労働運動ナショナルセンター。966単組、60万名。イラク攻撃反対、派兵反対では運動をリードした韓国最大の動員力を誇る組織。平和フォーラム4月訪韓団の折りに民主労総事務所で面会。6月訪韓団の折りには学習会でレクチャーを受ける。

イ・ビョンジュさん(全国教職員労働組合対外協力室長)全国教職員労働組合は、1989年に結成された韓国の学校教職員労働組合。長く法的に認められていなかったが、 1999年にようやく合法化。南北の和解や平和の教育実践に尽力し、イラク戦争では反戦授業を試みて右翼から攻撃された組織。

キム・ダルスさん(釜山環境運動連合都市生態部長)釜山出身。80年代に地域で学生運動、社会運動をにない、釜山民主闘争記念事業会、労働法律相談所、環境と自治研究所などの運動を経て、現在は釜山環境運動連合都市生態部長。都市生態とは、ソウルで暗渠にされた川が30〜40年ぶりに復元作業を進めているように、都市の中での環境を復元し、人間的な環境を取り戻そうとすること。

10.9集会アピール
 昨年9月17日、歴史的な日朝首脳会談が行われピョンヤン共同宣言が出されました。私たちは、このことにより日朝国交正常化と北東アジアにおける平和の実現に向けた歩みが早まるという期待を持ちました。
 しかしながら、共同宣言と同時に明らかにされた衝撃的な拉致事件をきっかけに事態は一変し、日朝間の緊張はいっそう高まることとなりました。さらに、「報復戦争」や「悪の枢軸」を叫びアフガン・イラクに武力侵攻したアメリカとの対立が深まるなかで、北朝鮮は核開発の姿勢を打ち出し、日本では極度に「北朝鮮の脅威」が喧伝され、「有事関連法」の制定やMD(ミサイル防衛)システム導入の動きなどの軍拡が進められています。アメリカや日本、台湾の軍拡に刺激された中国も軍拡で対抗しようとするなど、緊張関係は北東アジア全体に広がっています。
 武力では何も解決しません。戦争で苦しみ被害を受けるのは子どもや高齢者、女性など一般の市民であることは、歴史が示しています。私たちは、核開発問題や拉致問題を解決するために、日本政府が国連など国際社会で独自のイニシアティブを発揮するととにも、あくまでも平和的な対話をねばり強く続けることが必要だと考えます。
 私たちは、8月末に開始された6ヵ国協議を平和的解決に向けたものとして継続し、実りあるものとすることを各国政府に求めます。同時に、北東アジアに非核・平和を確立するため、アメリカの戦争政策の転換と、北朝鮮の核・ミサイル開発の中止および人道問題への誠実な対応を求めます。
 日本政府に対しては、軍拡政策を転換し、侵略戦争と植民地支配によってもたらされた被害への補償を行うこと、そして飢餓に苦しむ人々への人道支援、在日朝鮮人に対する人権の保障を求めます。そして、日朝両国政府に対して、国交正常化に向けた交渉をただちに再開し、誠実に交渉を進めることを強く訴えます。
 私たちは、本日ここに、韓国からのゲストも招いて集会を行いました。これを契機に、日本と韓国・朝鮮との間の市民相互の交流・連帯を拡大し、「北東アジアに非核・平和の確立」と日朝国交正常化の実現を追求します。
北東アジアに非核・平和の確立を!日朝国交正常化を求める10・9集会・参加者一同

呼びかけ団体
戦争反対、有事をつくるな!市民緊急行動/日本消費者連盟/原子力資料情報室/ATTAC Japan/DPI(障害者インターナショナル)日本会議/I女性会議/フォーラム平和・人権・環境

協力:World Peace Now

賛同団体
アジア太平洋資料センター(PARC)/アジア太平洋平和フォーラム(APPF)/アジアンスパーク/アジェンダ・プロジェクト/アンポをつぶせちょうちんデモの会/岩内原発問題研究会/宇都宮軍縮研究室/ウリパラム/エコロジカルウェッブ/沖縄一坪反戦地主会関東ブロック/核燃やめておいしいごはん/鹿児島県憲法を守る会/神奈川日朝婦人懇話会/神奈川人権センター/かながわ朝鮮問題研究ネットワーク/神奈川ネットワーク運動/北朝鮮人道支援の会/基地はいらない!女たちの全国ネット/原水禁荒川区民会議/原水爆禁止倶知安地区実行委員会/原水爆禁止日本国民会議/原発の危険性を考える宝塚の会/原発を考える品川の女たち/憲法を生かす会/KOREAこどもキャンペーン/在日韓国民主統一連合/在日本朝鮮青年商工会/市民科学研究室/ストップ・ザ・「もんじゅ」/ストップ・ザ・もんじゅ東京/全石油ゼネラル石油労組/戦争に協力しない!させない!練馬アクション/戦争への道を許さない女たちの連絡会有志/戦争をなくそう!多摩フォーラム/全日本農民組合連合会/第9条の会・オーバー東京/立川自衛隊監視テント村/脱軍備ネットワーク・キャッチピース/たんぽぽ舎/茅ケ崎平和の白いリボンの会/ちば市民ひろば/CHANCE!pono pono/朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会/定住外国人の公務員採用を実現する東京連絡会/テロ特措法は海外派兵は違憲・市民訴訟の会/東京・生活者ネットワーク/東京日朝女性のつどい/日韓民衆連帯全国ネットワーク/日中友好元軍人の会/日朝国交正常化を求める市民連絡会/日朝長野県民会議/日朝友好展実行委員会/日朝友好の軌跡をたどるフレンドリー・ウォーク/日本国際ボランティアセンター(JVC)/日本山妙法寺/日本の戦後補償を実現させ朝鮮半島の平和統一を支援する会/日本の戦争責任資料センター/命どう宝ネットワーク〈平和憲法を守り、安保と軍事基地をなくす会・東京〉/ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン/反原子力茨城共同行動/非核自治体全国草の根ネットワーク/ピースアクション21/ピースデポ/PEACE NOW KOREA JAPAN/ピースネット/ピースボート/ひょうたん島研究会/ふぇみん婦人民主クラブ/部落解放・人権研究所/平和憲法を生かす新宿の会/平和市民・町田/平和事務所/北東アジアの非核地帯化をめざす全国ネットワーク/本郷文化フォーラムワーカーズスクール(HOWS)/町田反原発ネットワーキング/有事法・戦争を許さない茅ヶ崎市民の会/有事立法はイケン(違憲)!広島県市民連絡会/靫(ゆぎ)プログレス/ユーゴネット/許すな憲法改悪市民連絡会
北東アジア平和キャンペーン各地の取り組み
平和フォーラムは、10月9日の東京の集会と前後して海外ゲストを迎え、全国5ヶ所で集会・交流会を行いました。
新 潟
 新潟では10月8日に、ク・カブ慶南大学教授を招いて集会が開かれました。集会は二部構成で、はじめにク教授から「朝鮮半島における平和構築プロセスと北東アジアの平和醸成」について、@核問題の平和的解決、A当事者解決、B北朝鮮の経済再生など5つの原則と、@6者会談の継続、A米朝間の不可侵条約の締結、B日朝国交正常化の実現など10の提案がなされました。第二部はこれを受けて、県平和センターの道見忠弘議長と新潟国際情報大学の佐々木寛助教授が加わり、日朝の玄関口である新潟で何をしなければならないか、拉致問題や反北キャンペーンへの対応も含めて討論。対米関係の見直しや日韓のMD導入阻止、二国間安保から多国間協調安保への転換、ピョンヤン宣言に基づく日朝交渉の再開、など具体的な意見が交わされました。集会は最後に、草の根の地域主義の関係を東アジアで作っていく、その第一歩として日韓の間で運動交流を積み重ねていくことを確認して終えました。

北海道・大阪・福岡
 この他にも、大阪では、イ・フェスさん(民主労総)とイ・ビョンジュさん(全教組対外協力室長)を扇町公園に招き、6,000人が参加した近畿ブロック集会が、開かれました。
また、北海道・十勝ブロックでも、キム・スギムさんの講演会が開催されました。
そして、福岡で開かれた九州ブロック集会には、ク・カブさんとキム・スギムさんが講演を行うなど、全国5ヵ所で草の根交流がありました。

長 崎
 長崎では10月11日、原爆資料館ホールに140人が参加して「北東アジアに非核・平和の確立を!KOREA/JAPAN ACT FOR PEACE」講演会を開き、韓国・釜山の市民運動団体「釜山環境運動連合」の都市生態部長・金達守(キム・ダルス)さんが講演。会場からも拉致問題や日本の戦後補償、韓国内の反戦運動、米国との安保体制などに関する質問がありました。
 キムさんは、現在も進められているイラク派兵に対する韓国内の運動を紹介するとともに、日朝国交正常化交渉について、「小泉首相は核と拉致問題の解決を正常化の前提条件としているが、交渉が難航しているのは、日本による植民地支配の歴史の清算と北東アジアに存在する冷戦構造にある」と指摘。「米国の狙いは、北朝鮮の核問題を表向きの理由に日本と韓国の軍事力を強化し、中国やロシアをけん制することだ」と米国の世界戦略を分析しました。
 また、「韓半島で絶対に戦争を起こしてはならない。北東アジアの非核・平和は、当事者が築いていくべきだ。政府間だけではなく市民社会がそれを支えて連帯する必要がある。日本の平和憲法が国際社会の原則になってほしい」と話しました。

《10.9実行委員会に届いた賛同ハガキから》
 非力で何もお手伝いできませんが、集会が成功し、平和への道筋が開かれることを願っています。憲法や教育基本法を守り、戦争ができる国への歩みをする日本を何としても阻止していきたいと思っています。ご案内に感謝し地域の人たちに少しでも訴えたいと思います。(兵庫県・鈴木さん)

テロ特措法延長にNO!国会前昼休み集会開く
 平和フォ−ラムは10月2日、国会前で「テロ対策特別措置法延長にNO〜国会前昼休み集会」を開催、約100名が参加しました。多くの問題点を抱えているにもかかわらず、翌3日には衆議院本会議を通過、10日に成立という結果でしたが、反対行動に対する連帯のメッセ−ジが民主党・社民党の国会議員からありました。平和フォ−ラムの福山事務局長からは自衛隊のイラク派遣反対、テロ特措法の延長に反対し、自衛隊をインド洋派兵から撤収させ、アフガニスタンへのNGOや国際機関による人道支援を補償することを求める取り組みや10月17日に米ブッシュ大統領が来日することに対しての抗議行動の取り組みの提起がありました。
テロ特措法延長の衆議院通過にあたっての見解
 10月3日、衆議院本会議は「テロ対策特別措置法」(平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法)を2年間延長する法案の採決を強行し、可決させました。
 テロ特措法は、一昨年、世論の反対を押し切って成立されたものです。以来、日本政府は海上自衛隊を恒常的にインド洋に配備させ、中東・インド洋付近に常駐する米英軍を支援する役割を果たしてきました。これは、日本国憲法が禁じている「集団的自衛権」の行使そのものです。さらに、イラク攻撃に参加した米軍の空母にも燃料が補給された事実が明らかになりました。このことはテロ特措法すらないがしろにする脱法行為であり、絶対に許されません。
 テロをなくすためとした米英の戦争は、テロをなくすどころかアフガニスタンやイラクからさらに中東各地、世界各地へと拡大させる状況をもたらしています。小泉内閣も、アフガニスタンやイラクへの攻撃を支持・支援し、「有事関連3法案」によって、いっそう米国の軍事行動を支える体制をつくり、自衛隊をイラクに派遣する「イラク復興支援特措法」を成立させました。これは、国連憲章や国際法に違反する米国の「先制攻撃」を支え、しかも、いまだに各地で戦闘が続くイラクに自衛隊を派遣し、米国軍を後方支援しようとするものです。
 こうした状況のなかで、さらにテロ特措法を延長することは、際限のない自衛隊の海外派兵に結びつくものです。しかも、政府は、衆議院の審議で、自衛隊の活動についての国会議員による調査などを「防衛秘密」を理由に拒むなどシビリアンコントロールすら反古にしています。
 私たち平和フォーラムは、いま、日本に問われているのは、紛争の武力解決への支援でも、占領行為への参加でもなく、あくまでも国連やNGO中心の人道・復興支援にこそ大きな役割を果たすべきだと考えます。
 テロ特措法を延長せず、自衛隊をインド洋派兵から撤収させることを強く求めます。同法の延長が、十分といえる審議もなく、衆議院での採決が強行されたことを、厳しく糾弾します。
 今後、審議は参議院に移ります。私たちは、参議院が「良識の府」としての原点に立って、同法案の問題点を徹底的かつ慎重な審議を行うとともに、テロ特措法を延長させないことを、改めて求めます。私たち平和フォーラムは、そのための取り組みを最後まで続けることをここに表明します。
  2003年10月6日 フォーラム平和・人権・環境
WTO閣僚会議が決裂 農業や投資問題で合意されず
途上国と先進国の対立激化 NGOも反対行動
 WTO(世界貿易機関)は、9月10日〜14日にメキシコのカンクンで閣僚会議を開きましたが、農業分野や投資の自由化などをめぐって、途上国と先進国との対立が激化し、最終日に宣言文の採択ができずに終了しました。
今回の閣僚会議は、これまでにない途上国の台頭と、会議場内外で繰り広げられた各国の市民・農民団体などのNGOの激しい抗議行動が相まって、決裂という結果になったものです。
平和フォーラムは、農民団体・消費者団体とともに、カンクンに20名の合同代表団(団長・太田敏夫平和フォーラム副代表)を派遣し、閣僚会議の傍聴や政府への働きかけを行うとともに、各国のNGO団体との交流や大規模なデモ行進に参加しました。

★会場内外でNGOが活動−韓国農民が自殺

 NGOの活動は閣僚会議の前段から始まり、14日まで連日延べ90以上のシンポジウムやイベントが行われました。途上国のNGOからは「前回の閣僚会議(カタール・ドーハ)では、今回の交渉を途上国の開発のためのラウンドにするとされたが、実際には約束は反故にされ、交渉は米国やEUの主導となる恐れがある」(第三世界ネットワークのマーチン・コーさん)に代表されるように、これまでの交渉が先進輸出国に有利に運ばれてきたことへの不信感が充満していました。
 こうした中で、10日に行われた「食料主権と農民のための国際デモ行進」は、中南米の農民など2万人が道路を埋め尽くし、会議場に通じる道路を封鎖した警察と激突しました。デモ参加者がバリケードを破る闘いの最中、最先頭にいた韓国の農民団体前会長の李京海(イ・キョンヘ)さんが自殺をするという衝撃的な事態も発生しました。李さんは「WTOは農民を殺す」とのプラカードを胸に掛けて長年、農産物自由化に反対してきました。
 この自殺によって、NGOの行動はさらにエスカレートし、13日の「NO WAR!NO WTO!グローバル・ピース・マーチ」(世界各地でも同時行動=日本は東京と大阪で開催)でも、メキシコの女性団体や農民など1万5千人が、再びバリケードを引き倒しWTOに反対する意思表示を繰り広げました。
 また、NGO主催の会議では、各国の農業が存亡の危機に陥っていることのほか、水の自由化・民営化によって良質・安価な水が確保できなくなっている(ボリビア)、自由貿易・規制緩和による労働者の失業の増大や権利の後退(ブラジル)、経済特区での教育の自由化の問題(韓国)、投資の自由化が環境を悪化させている(カナダ)など、WTO・自由貿易の様々な影響を報告しあい、「現在のWTOは、こうした不公正、格差をさらに拡大させるもの」として、カンクン会議を決裂させることが強調されました。

★ 決裂の背景−途上国の台頭と先進国の横暴
 今回の決裂の背景として、以下の点が指摘されます。
 第一に、農業をはじめ、ほとんどの分野で事前の合意がされずに会議に入ったことで、交渉が極めて不十分なまま推移をしたこと。
 第二に、アメリカが大統領選挙を前にし国内の圧力団体に配慮し、交渉譲歩の姿勢を示さなかったことや、地域間自由貿易協定に重点を置こうとしていることです。日本でも、政府・経済界は自由貿易協定(FTA)推進の動きを一層高めようとしています。
 三点目として、議論が閣僚宣言案に反映されないという、非民主的な運営にも問題がありました。特に、投資などを新たに交渉課題とすることに途上国の多くが反対しているにも関わらず、宣言案に強引に挿入されるなどのため、途上国の不満が一層高まりました。
 こうした先進国の横暴な会議の運営に対し、途上国はこれまでになく一致して反対の姿勢を貫いたことが、決裂の最大の要因といえます。これまでバラバラであったブラジル、インド、中国等が、最後まで崩れなかったことは、先進国の誤算とも言えます。その裏にNGOの働きかけがあったことはいうまでもありません。

カンクン会議とNGO行動に参加して
途上国で進む大企業による農業支配
北海道農民連盟事務局長 西 裕之
 今回、カンクン派遣団に参加し、各国の生産者、農業労働者など様々なNGOから貴重な話を聞くことができました。その中で感じたことを紹介します。
 一点目は、途上国から先進国、とりわけアメリカやEUなどの農産物の輸出補助金と国内支持についての批判です。先進国は補助金で優位性を持った農畜産物を世界中に売り込み、結果として途上国の市場を奪っています。そればかりか、食料不足国などにも輸出攻勢をかけ、唯一の産業といえる農業を潰し、農民や農業労働者の生活を奪い、失業などの深刻な問題を引き起こしています。WTOの貿易ルールが先進国に有利で、逆に途上国に不利に働いていると強く反発し、その内容に疑念を抱いていました。
 二点目は、WTO体制によるグローバル化の進展と、多国籍企業による農業の支配です。いま、途上国では、グローバル化の対応策として、政府が旗振り役となり、農民に輸出農産物の作付けを奨励しています。しかし、その結果、長い歴史の中で育まれてきた農法や作物がつぶされ、伝統的な食文化さえも失いつつあります。しかも、輸出農産物の生産性を高めるために、高い農薬や肥料等を買わされ、逆に生産物は買い叩かれ、農民は借金漬けとなり、農地や家を失う現状に追い込まれています。奪われた土地は大企業の支配下におかれ、安い賃金で農民が働かされているという報告もありました。
 日本農業だけでなく、途上国の国々でもグローバル化の名の下で農業が滅びようとしています。そして、その影には、世界の食料支配をもくろむ穀物メジャーや遺伝子組み換え企業などの姿が見え隠れしています。各国の伝統や文化は、気候風土に適合した農業生産や農村生活、食生活などと深い関わりを持っており、再度、WTOがめざす一律的な経済合理主義に基づく貿易ルールのあり方を根本から見直す必要があります。

高まる各国NGOのエネルギーを感じて
日本消費者連盟副委員長 山浦康明
 私は、カンクンでの行動に参加し、WTO交渉の問題点と、高まる農民・労働者・消費者・市民のエネルギーを肌で感じることができました。
 WTO閣僚会議自体は10日から14日にかけて、開会式とそれに引き続き、加盟国代表が持ち回りで演説が行われましたが、実際には閣僚会議宣言文の内容を討議するために設けられた、農業、非農産品、開発、投資などの新分野、その他の5分野の作業部会の活動と、水面下での各国間の駆け引きが交渉の実態でした。
 日本消費者連盟・ふーどアクション21としても、会議場のロビーで「農業貿易のやみくもな自由化反対、交渉分野の拡大路線の見直し、交渉ルールの民主化」などを求める意見書を配布し、働きかけてきました。各国のNGOも政府代表とりわけ途上国代表に積極的なロビーイングを行っていました。その結果、閣僚会議は途上国の反対により、最終日についに決裂したのです。今回も先進国が主導する密室審議は続いたのですが、インド、エジプトなどの途上国の主張が最後まで切り崩されなかったのです。これはNGO活動の成果といえます。
 会議場の外でも連日、30度以上の炎天下の中で、NGO会議、ティーチイン、集会、デモなどが開かれました。遺伝子組み換え食品を拒否したEUに対して米国がWTOに提訴した問題をはじめ、途上国問題、FTA(自由貿易協定)問題、投資自由化などでのグローバリズムが抱える問題点を討議し、デモンストレーションを行う活動に参加することができました。ここで受けたエネルギーを今後の日本での運動に生かしたいと思います。
もう一つの総選挙〜第19回最高裁裁判官・国民審査
チェックしましょう裁判官 憲法・人権軽視には×印を
3枚目の投票用紙を忘れずに
 11月9日は総選挙の投票日。衆議院議員の小選挙区、比例区の投票用紙とともに最高裁裁判官の国民審査の投票用紙(3枚目の紙)が配られます。華々しい衆議院の選挙に隠れて、ともすればこの投票を忘れがちではないでしょうか。

司法改革への姿勢もチェックしよう。改革の障害となる司法官僚に不信任を!
 ようやく最近になって有権者が裁判の判決に参加・関与する裁判員制度の導入など司法改革の動きもはじまりました。しかし、まだまだ裁判所は司法官僚によって支配され、国の機構のなかでは最も改革が遅れています。司法改革の行方も、敗訴者負担制度(裁判に負けた側が相手分の弁護費用などを支払う)の導入など、市民を裁判自体から遠ざけてしまいかねない動きもあります。
 最高裁裁判官国民審査は、主権者が裁判官の判断をチェックする重要な機会ですが、裁判官の経歴、判決内容、憲法や人権に対する考えなど、まったくといってよいほど知られていません。そのため棄権のつもりで何も書かない人が多いのが実態です。しかし、無印は信任です。○や△は無効です。きわめて非民主的、前近代的な方法で審査しています。私たちは、審査対象となる裁判官についての情報を十分に提供すること、○×式に改めることを求めていますが、改善されていません。いまの制度では×印をつけることだけが権利行使です。
◎わからないときは投票用紙を返しましょう

国民審査を受ける最高裁判所裁判官 上から任命順。11月9日の投票用紙記載の順番は10月下旬の中央選挙管理会において抽選で決まります。
  深澤 武久(69歳)
第1小法廷
2000年9月就任
【経歴】1961年弁護士、東弁会長、日弁連副会長、法務省人権擁護推進審議会委員、法制審議会委員など歴任。陪審制は「望ましい制度」、法曹一元は「理念正しくも条件整備必要」との見解。
  M田 邦夫(67歳)
第3小法廷
2001年5月就任
【経歴】1962年弁護士、日弁連では、外国弁護士否定・日本弁護士増員派として論陣。バブル崩壊後、山一証券外国資産整理など破たん金融機関の処理にかかわる。 司法改革について「50年に一度のチャンス。司法の機能回復で日本再生を図る司法制度改革審の視点を支持」。
  横尾 和子(62歳)
第1小法廷
2001年12月就任
【経歴】1964年厚生省入省、社会保険庁長官(女性初)を経て96年退官。その後、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構理事長、アイルランド大使などを歴任。女性として歴代2人目の最高裁判事。
×
上田 豊三(66歳)
第3小法廷
2002年2月就任
【経歴】1963年判事補、東京地裁判事、上席調査官、総務局長、首席調査官、東京地裁所長、広島・大阪の高裁長官を歴任。東京地裁時代に「第一次教科書訴訟」高津判決関与。法曹一元制度導入に慎重な見解。「裁判員制度」導入は「魅力的だが、国民の理解と負担の覚悟必要」。
  滝井 繁男(67歳)
第2小法廷
2002年6月就任
【経歴】1963年弁護士、日弁連研修委委員長、法制審民事訴訟法部会委員、大阪弁会長・日弁連副会長、日弁連法科大学院設立・運営協力センター委員長を歴任。大阪空港騒音訴訟副弁護団長、未熟児網膜症訴訟患者側代理人など担当。『論点新民事訴訟法』他の著書。
  藤田 宙靖(63歳)
第3小法廷
2002年9月就任
【経歴】1963年東大法学部助手、東北大教授・法学部長、行政改革会議委員(省庁再編の青写真作りに携わる)、情報公開審査会委員、など歴任。東北大学名誉教授。『行政組織法』など著作多数。「適切な行政判例の形成に努めるのが任務」と決意。
×
甲斐中辰夫(63歳)
第1小法廷
2002年10月就任
【経歴】1966年検事。最高検刑事部長、東京地検検事正、高松高検検事長、東京高検検事長を歴任。連合赤軍事件や三島由紀夫割腹自殺事件などの公安事件、オウム真理教、薬害エイズ、住専や政治家背任などの多くの事件捜査を指揮。
×
泉 徳治(64歳)
第1小法廷
2002年11月就任
【経歴】1963年判事補、東京地裁事務次長、浦和地裁所長、事務総長、東京高裁長官などを歴任。司法官僚のエース。調査官時代は、サラリーマン税金訴訟など担当。人事局長時代に神坂直樹修習生の任官拒否に関与。法曹一元は漸進的改革の立場。
×
島田 仁郎(64歳)
第1小法廷
2002年11月就任
【経歴】1964年判事補、東京高裁判事部総括、司法研修所長、仙台と大阪の高裁長官を歴任。名古屋地裁時代に、長すぎる裁判に免訴判決した高田事件一審判決関与。東京地裁時代は、「ロス事件」の裁判長を初公判から務める。裁判員制度について、最高裁ホームページで積極的意見。