イラク派兵にNO!で相次ぎ集会
 平和フォ−ラムは7月10日、東京・社会文化会館で「もう戦争はいらない! イラク新法にNO」集会をひらき、700人の市民が集いました。
 主催者を代表して発言に立った浅見清秀副代表は、与党3党によるイラク新法の衆議院での採決強行を厳しく批判し、「イラク新法を成立させないために最後まで 行動しよう」と訴え、参院での廃案に向けて運動を強めていくことを強調しまた。
「イラク新法の危険性」と題して講演した東京国際大学教授の前田哲男さんは「カンポジアにPKOで初めて自衛隊が部隊として派遣されてから10年、周辺法やテロ対策特別 措置法、武力攻撃事態法など自衛隊を海外に出すための六つの法律が作られた。すでに派遣というより『派兵』と言わなければならない事態にまて至ってい る」と述べ、憲法だけでなく、自衛隊法の規定をも踏み越えた『法の下剋上』状態のもとで法治国家としてのありようが脅かされている点を問題提起しました。そして、イラク現地の状況についても「国際法上も戦争はまだ終結したとは言えない。戦争状態が続いている。そういう中に自衛隊が出ていくことは、戦後私たちが初めて体験する、戦死者をだすか、殺人者を出すということになる」と厳しく指摘しました。
 また、参院での審議が行われるなか、7月22日にも、日本消費者連盟や、平和フォーラムなどの実行委員会主催の集会が開かれ、フォトジャーナリスト・豊田直巳さんのイラク現地状況のスライド上映に続いて、「脱軍備ネットワーク・キャッチピース」運営委員の田巻一彦さんが「イラク特措法を廃案に」と題して問題提起、「日本の公務員(自衛隊)がイラクへ行き、米英の暫定占領当局(CPA)の下で活動すること自体が憲法9条違反であり、平和憲法を持つ日本が、イラク特措法を制定することは、国際法の支配に対する大きな打撃になる。政府がやろうとしているのは、国際法の支配をぶち壊すことであり、この動きを何としても止めないといけない」と訴えました。
 平和フォーラムはこの間、7月3日、4日、16日、22日、23日、25日と衆参委員会の委員に対する要請行動や、昼休み国会前集会を連続して行いました。
◎WORLD PEACE NOWも「七夕ピースパレード」(7日)、イラクピースパレード(20日)
 イラク反戦運動に取り組んだ市民団体のネットワ−クWORLD PEACE NOW実行委員会は7月7日、渋谷の宮下公園に700人を集めて自衛隊のイラク派兵に反対する集会を開きました。
 集会発言のなかで、許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健さんは「7月7日は廬溝橋事件の日、日本がアジア侵略の泥沼に突っ込んでいった日だ」と述べ、1937年の「北支事変」と今日の「イラク事態」との類似性を指摘しました。JVC(日本国際ボランティアセンタ−)の田村祐子さんは「イラクの人々にとって、日本の自衛隊とアメリカ軍が重なって見えるのは、だれの目にも明らかだ」と強調しました。参加者は集会後、七夕にちなみ、ササの枝につけた短冊に「自衛隊は戦争協力するな」「米英軍はイラクから撤退して」「地雷やクラスタ−爆弾のない世界を」など、平和への祈りを込めて、浴衣姿の女性や、着ぐるみのパンダを先頭に「自衛隊員に人を殺させてはいけない、自衛隊員が殺されてもいけない」と渋谷の若者たちに法案反対をアピ−ルしました。
 また、7月20日にも、同様に集会を開き、「もう戦争はいらない」「イラク派兵法に反対」と書いたプラカードを掲げ、自衛隊ではなく、民間人による医療・教育支援の必要性などを訴えました。
非核・平和条例運動の課題と展望
非核市民宣言運動・ヨコスカ  新倉 裕史
 沢田秀男横須賀市長は5月29日に横須賀で開催された地方公聴会で次のように述べました。「法案についての政府説明は具体性に欠け、分かりにくい、市民に理解 してもらうのが難しい」(5月31日神奈川新聞)。
 私たちが実施した神奈川県下の全自治体有事法制アンケート(02年4月)では、唯一「政府の説明は理解できる」と回答し、有事法制を積極的に支持する沢田市長 が、このように言わざるを得ないところに、「自治体の平和力」は隠れています。沢田市長が市民を説得できないなら、全国で市民を説得できる首長を探すのは難しいでしょう。
 新ガイドライン以後、民間港への米艦寄港の平均回数は倍に増えました。注目すべきは、周辺事態法成立後もこの回数が減っていないという事実です。有事3法成立後も、おそらく寄港回数は減らないでしょう。なぜか。
 有事法制があれば、その時にはいつだって思うように民間港は使えるとは米軍は考えてはいない、ということです。そのときにはどうなるかわからない、だから平時のうちに繰り返し寄港し、自治体にもう抵抗しませんと白旗を上げさせる。これが寄港が減らない理由です。
 01年1月9日、米海軍はフォーリー駐日大使(当時)を表彰しました。民間港への米艦船寄港に尽力した、というのが表彰の理由です。民間港への米艦船寄港は偶然に増えているのではありません。米海軍の方針のもとにそれは行われ、そのために駐日大使は(実際には各地の領事官が)自治体に圧力をかけ続けている。つまり、むこうもこちらも、大事なのは平時なのです。
 広島県の藤田雄山知事も有事法制の整備には一定の理解を示します。その知事が、「相談もなしにいきなり指示し、従わなかったらすぐ代執行というのはいかにも性急」と述べ「その時には寄港する米艦船には非核証明を求めたい」(中国新聞、02.4.24)と言います。これって、ほとんど「反対」ってことですよね。さらに注目すべきは、有事の際には寄港する米艦船に非核証明を求めるというくだりです。
 その時にも米艦船の非核証明を求めるためには、有事の際にも港湾管理権が知事の手の中にあることが前提になります。もっとストレートに言えば、その時にも港 湾法の平和力を、有事法制は封印できないという認識を前提にして、藤田知事の発言は成り立っています。
 有事の際にも港湾管理権を手放さないという、藤田知事のような人がいるから、米海軍は有事法を作っただけでは安心できない。だから、平時のうちに、繰り返し米艦船を民間港へ寄港させ、自治体を黙らせようとします。米軍こそが、有事法の限界をよく知っていると言うべきではないでしょうか。
 だから、有事3法が成立した。次は…、と問題を先へ進めるのではなく、「有事3法」に徹底してこだわることが大切だと思います。たとえば武力攻撃事態法15条。「地方公共団体の長等に対し、当該対処措置を実施すべきことを指示することができる」とありますが、その手続きは「別 に法律で定めるところにより」です。「別の法律」とは一体何か。国立市の上原公子市長は、地方自治法か、それとも新たに作る法律かと質問しましたが、政府は答えないままです。仮に地方自治法だとすると、有事法を作ったとしても、自治体を動かす法的手続きは地方自治法なのですから、政府の思うようになるはずがない。新たな法律だとしても、肝心なところは、これからということなのですから、指示の「強権」が決まってしまったわけではありません。だから、私たちが先回りして、あれもできない、これもできないと言ってしまったら、それこそ政府の思うつぼなのです。
 大胆に言えば、憲法に国家非常大権が書き込まれていない今、有事法も現行法の横に並んだ個別 法のひとつです。函館や小樽で始まっている「非核・平和市民条例」を作ることで、国家の有事法体系に対峙しようという運動がその代表例ですが、平時のうちに自治体の平和力を法的に、そして社会的に支える仕組みを作ることで、有事法に対抗する道は、だから十分可能です。
「大変だ」という解説は、ときに私たちの抵抗の可能性を縛ります。「大変だ」と百回言っても元気は出てきません。大変な時だからこそ、私たちが現にできることを具体的に考え、もっとおおらかに反戦を訴えたい、そう 思います。
〈非核市民宣言運動・ヨコスカ〉発行
◎最新パンフ
「9条が自衛官を守っていると考えたことありますか。」〜明るい兵士運動のすすめ〜
問い合わせ:TEL・FAX 0468-25-0157
平和・連帯 訪韓団に参加して
全農林労働組合 虎岡 伸行
 海外渡航は、幾度か経験はありますが、同じアジアにいながら韓国への訪問は初めてでした。それはあの記号のような「ハングル文字」に対する敬遠からだったからかも知れません。
 今回の渡航は、プライベートではなく北東アジア平和希求活動という使命を帯びての訪韓だけに、この機会に隣国の文化や生活に少しでも触れられればという思い で参加しました。各集会参加に際しては、正直少し期待していました。TVや新聞などで韓国の集会は過激だと聞いていたからです。
「米軍装甲車女子学生れき殺1周忌追悼集会」では、会場となったソウル市庁舎前広場には、開始予定時刻より相当前から多くの若者たちが集まりはじめ、ついには四方にのびた道路が交差する大通 りまで占拠した風景は圧巻でした。あちらこちらで銃を携帯した警察官らがにらみをきかせ、ところどころで参加者との小競り合いもありワクワクしていました。
 追悼集会だけでなく、その他参加した各種集会では、韓国社会がそのようなルールなのか、日本のような堅苦しい運営ではなく、だれに促されることもなく、自分たちが今やるべきことをやるというイメージをもちました。参加者全員が本当に一つにまとまっていました。ちょうど日本でのイラク戦争反対で市民が中心となった 集会(ワールド・ピース・ナウ)のように。隣に居合わせた若い人に話を聞くと、日本のように動員型参加で来ているような人は誰もいない、みんな自主的に集まっている、あたり前だとのことです。ここに大衆運動の原点を見たような気がしました。ただ、アピールとはいえ、コーラス隊や歌手?による演歌調マイナーモードの歌が集会の半分くらい占めていたのはちょっと閉口しましたが。
 二日目に行ったNGO団体との学習と交流は、大衆運動をすすめるうえで有意義なものだと感じましたし、その中で話の出た米国との地位 協定の改定・破棄の問題は、日本にも同じ課題が目の前にぶら下がっていることから、もっとこのテーマについて話を聞きたかったです。 いずれにしても「平和」という万国共通の課題は、一国だけでなく、幅広い連帯が必要だと思いました。
 日本では6月6日に有事3法が成立しました。この戦争法制が近隣諸国に与える強い警戒感を払拭するとともに、朝鮮戦争をおこさないためにも、戦争をしたくな い韓国の人たちとの連帯が必要であると思います。南北統一問題や北朝鮮の核保有などに正面 から向き合っている韓国の市民・労働組合と日本との対話・連帯など交 流の輪を広げ、北東アジアの平和を希求する運動を展開していかなくてはなりません。
 最後に、3泊4日の短い日程ではありましたけれど、充実した内容だったと思います。スケジュールが盛り沢山で、ただひとつ、文化と生活に触れる機会といえば、滞在中の食事くらいでした。プライベートではないので贅沢は言えませんが、欲を言えば、隣国をもっと知る上でも半日くらい自由時間が欲しかったです。
第3次厚木爆音訴訟第1回控訴審開かれる
 7月17日、東京高裁で第1回の公判が開かれました。1審の横浜地裁は、昨年10月に国が騒音をもたらしながら改善措置を取らなかった責任を断罪する画期的な判決でしたが、国は爆音による住民の苦しみに背を向け不当にも控訴しました。
 この日の公判では、真屋求団長が昨年の同時期より悪化している爆音の状況など、イラク戦争以降の異常な実態を証言しました。公判後、近くの弁護士会館で報告集会を開き、控訴審の勝利へ決意を固めました。
ビッグ・ブラザー・ジャパン2003って何だ?
日本消費者連盟 吉村 英二
 「国民」全員に11桁の番号を付ける住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が一部稼働して早1年が経とうとしている。この間、日本消費者連盟では、昨年8月の稼働開始を前後して全国で雨後の竹の子のように立ち上げられた地域の市民グループをつなぐ「反住基ネット連絡会」(平和フォーラムも賛同団体のひとつ)の連絡先として、取り組みを展開してきた。そして今年8月25日、いよいよ住基ネットの本格稼働が始まる。
 この本格稼働では、住基ネットの大きな目玉とされる「住基カード」の配布が開始される。このカードはICカードで、11桁の番号と読み取りに必要なパスワードを記憶し、希望者に500円程度(自治体によって違う)の負担で配布される。そして、このカードで利用できるサービスが、全国どこでも住民票が取れる「広域交付」、引っ越しの際に役所に行くのが一回で済む「転入転出の特例措置」、インターネットからの電子申請を可能にする「公的個人認証」で、この三つが住基ネットによる主な住民サービスでもある。つまり、総務省の言う住民にとっての住基ネットのメリットは、ほとんどが住基カードが必要だとされているわけだ。
 しかしながら、実はこれらのサービスは、住基カードがなくても受けられるどころか、住基ネットがなくても受けられることが明らかになっている。
@全国どこでも住民票を郵便で送る自治体も多く、以前から「広域交付」は一般 的に行われている。また、「広域交付」は必ずしも住基カードが必要ではなく、運転免許証など本人確認が可能な書類の提示で受け付ける。
A転出証明書用の返信封筒を同封の上、郵送で転出届を出せば、従来通 りでも引っ越し時に役所に行くのを一回で済ますことは可能。
Bそもそも電子申請に関わる具体的な取り決めは未だ白紙の部分が多く、住基カードが「公的個人認証」に使えるのかどうかさえ不明。電子申請に関する法律上、「公的個人認証」に使うカードは住基カードに限定されない。
 こんな「使えない」カードを、いったい誰が持とうというのだろうか。つまり、総務省が「住基ネットや住基カードでより便利になる」「住基ネットは電子政府の基盤」などと吹聴していることは、まったくのデタラメ、嘘八百なのである。断言できるが、現状では住基カードを持っても絶対に便利にはならない。カードの自己負担分500円を、ドブに捨てるのと同じである。
 では、そんなに使えないものを、なぜ多額の税金をつぎ込んでまで導入しようというのだろうか。官僚も無知ではないから、住民サービスに役立たないことくらい百も承知で、だとすればほかに目的があると考えるのが合理的な判断だろう。ひとつはお決まりの「公共事業」、企業を儲けさせることが目的なことは間違いない。しかし、果 たしてそれだけだろうか。  この本格稼働へ向けた取り組みの準備が全国的に始まっているが、その一環として7月28・29日に行われた「ビッグ・ブラザー・ジャパン2003」で、その答えのひとつを見つけた気がした。
 このイベントは、監視社会の発展に”貢献”したヒト・もの・組織を表彰するというもので、29日の表彰式は、コント集団のザ・ニュース・ペーパーの演出により、笑いありシリアスな批判ありと内容濃く行われた。その前日28日には、アメリカ・イギリス、そしてマレーシアから、プライバシー問題に詳しいNGOスタッフを招いて国際シンポジウムが行われたのだが、なかでも「マレーシア・カード」というIDカードの所持が義務付けられたマレーシアからの報告が衝撃的であった。
 「マレーシアでは、2005年までに国民全員が生涯不変のIDナンバーが印刷されたIDカードを持たされることになる。このカードには氏名・住所・性別 などのほか、血液型や病歴などの医療情報、または指紋、遺伝子などの情報も記録されている。同時に、運転免許証やパスポートでもあり、銀行や交通 機関でも使え、買い物の支払いも可能。パソコンやマンションのセキュリティ解除、駐車場の利用などの際のカードキーとしても使われている。これによって自分がいつ・どこで・何をしたか、完全に把握される。マレーシアには、そもそも言論・活動の自由がないのだが、このカードの登場によって、より管理が強化されている」(スティーブン・ガン オンライン新聞『マレーシアキニ』編集長)
 日本においても、外国籍人は外国人登録証の携帯が義務とされ、がんじがらめに管理されている。韓国では1960年代から住民登録証の携帯義務があり、それなしではレンタルビデオも借りられない状況だ。必ず、いずれ近い日に住基カードの所持、さらに携帯義務化が提案されるだろう。そうなれば晴れて日本もマレーシアや韓国の仲間入り、日本国籍人も外国籍人同様、管理・監視の対象となる。
 一昨年から運用されている「家畜個体識別情報管理システム」(いわゆる牛のトレーサビリティ)では、牛に10桁の番号を割り振るとともに、番号を表示した「耳票」が装着される。
 対象が牛であろうが、人であろうが、番号を割り当て識別票を持たせるシステムの目的は変わらない。情報を統合的に管理し、監視し、追跡することだ。
 人間のトレーサビリティが完成しようとしている。私たちがまだ人でいたいと思うなら、この邪悪なもくろみを止めなければならない。
WTO閣僚会議・9月にメキシコで開催
自由貿易一辺倒にNGOから批判の声高まる
 WTO(世界貿易機関)は、貿易の自由化を進めるために1995年に作られました。いま、新たな貿易ルールを作るための交渉が行われ、9月10日からメキシコ・カンクンで開かれる閣僚会合の動向が注目を集めています。しかし、途上国や市民団体などからはWTO交渉に対する問題点が指摘され、自由貿易一辺倒に批判の声が高まっています。それらを紹介します。
 なお、平和フォーラムはカンクン閣僚会合に向けて代表団を派遣することにしています。

□非民主的なWTO 公共サービスも劣化
 問題に詳しい「環境・持続社会研究センター」の佐久間智子さんは、次のように指摘しています。
 WTOの決定で各国の法律が変えられ、わたしたちの生活が多大な影響を受けるにもかかわらず、そこでの政府間交渉の多くが非公開です。
 WTOに加盟する146ヵ国のうち、実質的に決定に関っているのは、非公式な小グループ会合に参加できる15〜25ヵ国にすぎません。多くの途上国政府はカヤの外に置かれ、小グループの決定を追認させられています。また、数多くの分野で同時に交渉が進められるため、小さな途上国政府は、交渉担当者の数が少ない、専門知識が不足しているなどから、大国ペースでの交渉に従わざるを得ません。
 投資やサービスの自由化によって、生産・流通拠点がますます海外に移転し易くなります。それにより、先進国の労働者は失業や労働条件の悪化に直面 しています。一方、海外の移転先から自国向けに食品や衣料品を輸出 している商社なども、自国の農業・繊維分野の自由化を 求めています。
 こうしたなか、先進国でも途上国でも、政府は大企業の利害を代弁することで「国際競争」に生き残っていこうとしています。そのために世界中で安全や環境、労働などの社会基準が低下し、公共サービスが劣化させられています。外国企業を誘致するために労働組合を非合法化したり、安全や環境の基準の不遵守が看過されている「自由貿易区」はその典型です。WTOは、このような「自由貿易区」の実態を、世界全体のあらゆる地域に拡大していくものなのです。

□農業交渉でも多くの国で自由化に反対
  最も難航している農業交渉に関して、JA(全中)WTO対策室の一箭拓朗さんは、次のように訴えています。マスコミ等では、途上国から日本の農産物の市場開放要求が高まっているかのように報じられていますが、実際は、アメリカやEUに対する批判の方が強いのです。
アメリカは、農業予算を8割も増加させ、手厚い農業保護を行っています。さらに農産物輸出にも補助をしています。EUも同様に農産物の価格支持や輸出補助金が多く、このダンピング輸出のために途上国の農業が立ちゆかなくなっているのです。
世界に8億人を超える飢餓人口がいますが、その多くは農民です。アメリカ等の農業政策が変わらない限り、その格差はますます開く一方です。公平で公正な貿易ルールのあり方が問われています。 6月にフランスで開催された世界青年農業者大会には、途上国も含め100ヵ国の代表が参加し、自由貿易ではなく、一定の秩序ある農産物貿易を求める決議がされました。先進国も含め、近年、農業者の収入が減少し、巨大な国際流通 企業に搾取されているという共通の危機感から出されたもので、世界的な需給調整、輸出入のコントロールが必要だということです。
日本は世界人口のわずか2%でしかないのに対し、農産物輸入は11%も占めています。食料不足に苦しむ人を尻目に、金に飽かせた買い漁りをいつまでも続けていいのか、また、農産物を輸入するということは、生産に必要な水も輸入していることと同じです。日本は農産物輸入によって、年間744億トン(琵琶湖の2.7倍)もの水を輸入しているという計算もあります。
世界の食料と環境問題をより深刻化させる農産物の自由貿易に反対しようという声は、決して農業者の利益をだけ代弁するものではありません(学習会より)。
クローン牛は食品として安全なのか?
市民バイオテクノロジー情報室代表 天笠 啓祐
 「クローン」という言葉は、ギリシア語で「小枝」を意味しますが、現在では、遺伝的に同一の個体を作る技術として知られています。このうち、皮膚や筋肉などの体細胞からクローンを作る技術が「体細胞クローン技術」と呼ばれ、1996年にイギリスで、雌羊の体細胞を使ったクローン羊「ドリー」が世界で初めて誕生し、また、日本でも、1998年に近畿大学農学部が体細胞クローン牛を誕生させることに世界で初めて成功しました。しかし、日本で昨年12月までに生まれた334頭のうち3分の1は出産前後に死に、病死も含めると半数以上は死んでいます。
 この体細胞クローン牛を食用として流通させようという動きが起こっています。7月に発足した「食品安全委員会」でも体細胞クローン牛の流通 が検討課題になろうとしています。はたしてクローン牛は安全なのか、食品の安全に詳しい天笠啓祐さんに聞きました。

◆厚生労働省は「安全」を宣言
 4月11日、厚生労働省研究班が、体細胞クローン牛は「安全」である、とする報告書をまとめました。これは新しく発足した食品安全委員会の重要な検討テーマと してのせるために発表されたと言えます。報告の内容は、これまで行われてきた内外の調査や実験結果 を分析したもので、独自に実験を行ったものではありません。結論は次の通 りです。
 @クローン牛の生育は、死産や生後直後の死など出産前後の異常は多いものの、1ヵ月以上生存した牛に関しては一般 の牛と差異はない。Aクローン牛から出来た肉や生乳に関しては、構成成分は一般 牛と変わりなく、給餌実験でも問題は起きていない。従って、食品の安全性に問題はない。Bただし、新しい技術であり、慎重な配慮が必要である。としています。

◆信頼性欠ける実験 遺伝子の異常も多い
 @については、体細胞クローン牛に異常が多い点に関して、原因は述べられていません。寿命が短いなどの問題は言及されておらず、加齢による異常の増加に関する論文も紹介されていません。日本で最初に体細胞クローン牛が生まれたのは、1998年7月であり、まだ5年でしかありません。加齢による影響はこれから分かる段階です。
 Aの肉や生乳に関して、食品の安全性に問題はないとする見解は、昨年8月に発表された畜産生物科学安全研究所が行った実験結果 が主な根拠になっています。同実験では、ラット等に体細胞クローン牛の肉や乳をエサとして投与しても異常がなかった、また、肉や乳の成分を分析した結果 、従来の牛と比較してたんぱく質が新たな毒性や病原性をもたらす可能性はない、と結論づけています。しかし、実験に用いた数(母集団)が少ないことなど、信頼性に欠ける実験データであり、ここから食品として問題はないという結論を出すことは無理があります。実験担当者自身が、「食品の安全性を評価する方法はない」と認めています。

◆クローン牛は本当に必要なのか
 この報告書からは、体細胞クローンマウスの遺伝子に異常が多い点や、母体子宮ガンが起きやすい点など、問題となりそうな論文が抜け落ちています。あえて落としたのかどうかは分かりませんが、いずれにしても欠陥が多数見られる報告書です。
 厚生労働省の報告書は「国民への良質な畜産物の安定的な供給を図るため」着実な進展を願う、と締めくくっていますが、それ以前に、クローン牛などはそもそも必要なのか、将来の畜産を担う技術といえるのかどうか、採算は合うのか、そうした根本的な問題があるはずであり、安全性論議以前に行わなければいけないはずです。「安全である」「問題はない」という結論が目立ちますが、都合の悪い論文をはずしてまで、「安全」と言わなければいけない理由とはなんなのでしょうか。しかし、この報告書をふまえ、体細胞クローン牛は食品として流通 に踏み切ることが検討されています。その舞台は食品安全委員会に移ります。私たち「食べさせられる側」としても見解をまとめる必要があります。
(食の安全・監視市民委員会ニュースより)
教育基本法に関する「請願書」「陳情書」
の取り組みが広がっています
日教組教文局 樋口 けい子
 政府の教育基本法の「改正法案」は、今国会への上程が予想されていましたが、公明党が今国会への上程に反対であるという姿勢を崩さず、合意に至っていません。今後、中長期的な課題として与党協議を続けるとし、今国会への上程は見 送られることがほぼ確定的な状況となっています。日教組は、第156通 常国会期間中を教基法改悪反対の第1次全国行動強化月間と位 置付け、単組段階では緊急時間外職場集会、市民向け広報活動、教育対話集会、教基法改悪反対の意見書採択 運動、全国意思統一集会や国会要請行動、6月13日を中心とした県・市町村段階での教基法改悪反対意思統一集会、請願・陳情署名行動などさまざまな取り組みを推進してきました。
 6月14日には、平和フォーラム、部落解放同盟など8団体が主催する、「教基法改悪反対中央集会」には、全国から4,000人が参加し、デモ行進で国会や市民へのアピールを行いました。こうした運動の広がりが、大きな力となって、今国会で 「改悪法案」の上程を阻止することができたといえます。
 しかし、自民党はあくまで、改正法案の早期成立をめざしており、今後、政党の動きや選挙など政治の動向を注視する必要があります。また、自由党は独自で、教育基本法改正案として「人づくり基本法案」を、6月23日衆議院に提出しています。この法案は、一読した限り、3月20日に出された中教審答申を踏まえ、さらに、新自由主義・国家主義を強めた内容だといえます。
 私たちは、教育基本法改正の政治主導の動きに対して反対する、地域からの運動を巻き起こすことが重要だと考えています。現在、平和フォーラムを中心として取り組まれている「教育基本法に関する署名」は、大きな広がりが出てきています。
 7月10日に、第1次集約として、「教育基本法に関する請願書」(個人署名)877,398筆分、「教育基本法に関する陳情書」(団体署名)14,357団体分を提出しました。今回提出したのは、日教組の組織内と署名実行委員会で取り組んでいただいた各団体分ですが、職場や団体に署名用紙が届いてから、1か月足らずという極めて短期間でありながら、たくさんの署名が集約されたことに感激しました。「教育基本法は準憲法的な性格を持っているから、そのあり方については広範な議論を通 して社会的な国民的な合意形成を」という主張は着実に広がっているのではないでしょうか。
 現在、請願および陳情署名にとりくんでいる労働組合や市民団体は20を超えています。組織外の署名行動の第1次集約は7月末日となっており、次回の提出は次期国会に予定しています。ぜひ積極的な取り組みをお願いします。教基法改悪反対にむけて、各団体・市民とともにさらに運動の輪をひろげていきたいと思います。

【本の紹介】
東京大空襲と戦争孤児 金田茉莉著(影書房刊)

 著者は、主婦・戦争孤児を記録する会世話役。1945年3月10日、東京大空襲で家族全員を失った著者が、自分の体験を基に、聞き書きと官庁などの関係資料を集め書き上げたもの。伝えようとする執念が、行間から伝わってきます。
「私の場合、学校へも通えましたし、親の遺体も見つかり、孤児のなかでは恵まれていたとつくづく思い知らされました」著者よりもさらに悲惨な体験があります。彼女とおなじ「戦争孤児」のたいがいは、親兄弟の遺体とも対面 できず、別れの葬式もないまま、身寄りのない「浮浪児」として、都会の底辺をはい回っていました。
 戦争の地獄は戦場ばかりのことではありません。空襲、一家全滅、みなし子の発生、とストリ−ト・チルドレンは、世界じゅうの現在に続いています。
 戦死者とその家族もまた不幸ですが、それでもまだ補償はありました。
 軍人恩給は本人が死亡しても、妻に支払われ続けています。ところが、同じ戦争によって一家全滅、あるいは疎開していた子どもだけが生き残ったとしても、なんの補償もありませんでした。
 こうした悲惨さは、これまで伝えられなさ過ぎました。むしろ、隠されてきました。それなのに、今また戦争を煽るものがいます。その声への返答が、この著者の訴えなのです。

憲法調査会のうごき
7月3日(衆)「最高法規」「安全保障・国際協力」の2小委員会で自由討議
  9日(参)平和主義と安全保障「憲法と自衛隊」をテ−マに
  参考人 植村 秀樹(流通経済大法学部教授)
      志方 俊之(帝京大学法学部教授)
      渡辺 昭夫(財・平和・安全保障研究所理事長)
  10日(衆)基本的人権の保障(社会保障と憲法をテ−マに)
  参考人 中村 睦男(北大学長・憲法)
      小塩 隆士(東京学芸大教育学部助教授)
統治機構のあり方(国民主権と政治の基本機構のあり方)
  国立国会図書館調査及び立法考査局より聴取
  16日(参)平和主義と安全保障「憲法と緊急・非常事態法制」をテ−マに
  参考人 佐々 淳行(元・内閣安全保障室長)
      水島 朝穂(早稲田大学法学部教授)
      村田 晃嗣(同志社大法学部助教授)
   24日(衆)通常国会の締めくくりとして 自由討議