第41回護憲大会2000名が参加
戦後・被爆60年を前に、平和・人権・民主主義の憲法理念の実現を
11月1日〜3日 奈良にて
 戦後・被爆60周年を前に、平和・人権・民主主義の憲法理念の実現をめざす第41回大会を11月1日〜3日までの3日間、なら100年会館での開会総会を皮切りに全国から約2,000名を集めて盛大に開催をしました。

〈開会総会・シンポジウム〉
 11月1日の開会総会では、冒頭、参加者全員で新潟中越地震、台風の風水害による死者とイラクの武装組織に拘束されていた香田証生さんが殺害されたことに対して黙とうを捧げました。続いて実行委員会を代表して、フォーラム平和・人権・環境の江橋崇代表、地元を代表して中川耕作・奈良県実行委員長が挨拶。「憲法前文、第9条をはじめとした憲法理念を擁護し、人権や民主主義を『人間の安全保障』のとりくみなど国際的な到達点に立って発展させる」とした福山真劫・大会実行委員会事務局長からの基調提案ののち、連合・阿部道郎総合組織局長、民主党・前川清成参議院議員、社民党・福島瑞穂党首より連帯の挨拶がありました。また、場内では緊急に10月に発生し、未だに余震の続く新潟県中部地震に対するカンパの提案があり、開会・閉会総会で49万8,455円が集まりました。
 開会総会に引き続き、江橋代表をコーディネーターに「東アジアの平和」をテーマとするシンポジウムが行われ、中国社会科学院教授の金煕徳さん、韓国・聖公会大学教授の権赫泰さん、対中国ODA(政府開発援助)の実務に携わってきた日本国際協力システムの岡田実さんの3名のパネリストが意見を交わしました。
 中韓両国のゲストからは、「東アジア共同体」を展望して多様なチャンネルによる相互交流・理解を促進することの重要性が強調されるとともに、当面の課題として日朝国交正常化の早期実現が指摘されました。
 金さんは、「政冷経熱」と言われる日中関係の現状をもたらした具体的要因は小泉首相の靖国神社参拝だとして、「第2次世界大戦に対する最小限の共通認識を持つことは日中関係を維持、改善する前提だ。靖国参拝はいくら説明しても、第2次大戦の結論を否定するような行為だ」と指摘。こうした状況の背後には日本国内の「政治的バランスが崩れた」ことがあるとし、「急速に戦後平和憲法体制を転換させようという動きは、中国に懸念を引き起こしている」と述べました。また、中国の「言論多様化現象」は、「反日感情」の噴出を招く一方で、日中両国民間の対話の基盤を広げつつあるとして、現状を打開する前提として交流の後退はあってはならないと強調しました。
 権さんは、日本の右傾化の背景には平和主義を支えていた外的条件の変化があるとした上で、「周辺国の軍事独裁が日本の平和主義を支えたという逆説的状況があった」「日本の平和主義は周辺国と沖縄の犠牲の上に保たれていた」と国際的視点から問題提起があり、 その上で、「内部でけん制、監視できる勢力が存在しない限り周辺国に与えるインパクトは大きい」として、周辺国の軍事主義傾向の復活、あるいは「それができないならアメリカに監視者としての役割を期待する」という状況を招きかねないと危惧を示し、「その意味で、9条を守っていくことはとても大切だ」と述べました。岡田さんは、自治体やNGOへのアクターの多様化や双方向化など、「ODA=政府開発援助」という枠組みではとらえきれなくなったODAの現実の動向に言及があり、右派言論から攻撃されている対中国ODAに対するトータルな認識の必要性を促しました。
〈分科会・ひろば・フィールドワーク〉
 大会2日目の11月2日は、古都奈良の面影が色濃く残り、落ち着いた雰囲気の漂う市内の5つの会場で、@非核・平和・安全保障(講師・前田哲男さん)A教育と戦後補償(講師・高橋哲哉さん、川村一之さん)B人権確立(講師・清水澄子さん、平野佐敏さん、西島藤彦さん)C地球環境(講師・浅岡美恵さん、小澤祥司さん)D民主政治・地方自治(講師・鳴海正泰さん、佐藤信行さん)E特別分科会・運動交流の各分科会と2つのフィールドワーク「柳本飛行場跡・香芝市どんづる峯地下防空壕を訪ねて」「大久保まちづくり館・水平社博物館」が、そして午後からは「ひろば」として「障害者と憲法」と「女性交流集会」が開催されました。また、関連企画として、全国基地問題ネットワークによる学習交流集会が開催され、新潟・山口・神奈川・長崎からの現状報告と「米軍再編計画にどう対応するか」をテーマに前田哲男・東京国際大学教授の講演がありました。
〈閉会総会〉
 11月3日、大会最終日の閉会総会では、冒頭に特別提起として「普天間返還、辺野古移設反対の取り組み」として沖縄平和運動センターの山城博治事務局長、「美浜事故・もんじゅ・プルサーマルの取り組み」として福井県平和環境人権センターの飯野正樹事務局長、「中国人強制連行新潟訴訟の取り組み」として、新潟港に強制連行された中国人被爆者・張文彬裁判を支援する会の高山弘事務局長。「教育基本法改悪を許さない取り組み」として荘司英夫・日教組副委員長、「イラク現地報告」としてジャーナリストの志葉玲さんが「報道されないサマワの現状」を報告しました。
 福山大会事務局長の「大会のまとめ」に続いて、県内の全自治体で、非核・平和宣言を達成した「原水爆禁止山形県協議会」と「岩手県原水爆禁止協議会」に対し「平和運動賞」の表彰がありました。
 大会は「憲法前文・第9条や教育基本法の改悪を許さない取り組みを全力で進めましょう」とのアピールを採択して3日間の日程を終了しました。来年の第42回護憲大会は埼玉県で開催される予定です。

第41回護憲大会報告集
奈良大会の開会総会、シンポジウム、
分科会報告、閉会総会を網羅した報告集
お手元に1冊
12月中・下旬発売予定
1冊 1,500円
発行:フォーラム平和・人権・環境

※参加者全員の名前を掲載しています。

イラクの「復興」につながらない復興支援ドナー国会議
ATTACジャパン:秋本陽子
破産したドナー会議
 10月13〜14日、イラク復興信託基金の第3回拠出国会議が東京で開催されました。この会議は、昨年10月にスペイン・マドリードで開催されたイラク復興支援国会議で、イラク復興信託基金の設置と、拠出国委員会の立ち上げが合意されたことを受けて、今年1月のアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ、5月のカタール・ドーハに続いて開催されたものです。目的は来年1月に予定されている国民議会選挙を実施し、治安を回復するために国際社会の支援を取り付けることにあり、53ヵ国と4つの国際機関が参加しました。
 東京会議は「主権移譲」後、初めて開催された会議であり、議長国である日本はイラク復興について各国から拠出金を引き出して支援をとりまとめ、日本の国際貢献ぶりをアピールすることを狙っていました。しかし、イラク現地の治安は悪化の一途をたどり、依然として改善の道筋が見えない中で、拠出支援に対する各国の反応には鈍いものがありました。
 イラク暫定政府から参加したサレハ副首相は、13日の基調演説で「私は(イラク支援を決めた)国連決議はどこに行ったのか」と、拠出をためらう各国の態度に対して怒りをあらわにしていました。
 イラク暫定政府は副首相や計画相らの代表団を日本に派遣し、石油増産や治安回復を目標にした2005〜07年の復興ビジョン「国家復興戦略」(@国営企業改革A民間の活用B世界貿易機関(WTO)入りを目指す対外貿易の自由化)を発表し、「平和で信頼される国際社会の一員になる」と確約しましたが、各国を納得させることはできませんでした。新たに基金への拠出を表明したのはイランのみで、フランスとドイツは拠出を見送りました。
 日本は、小泉首相が会談したサレハ副首相に対して支援を強調しましたが、外務省は「拠出してもプロジェクトが進行しない懸念が広がっている」ことを認めており、結局、選挙資金として4千万ドルの拠出を約束したにすぎません。しかし、実際、この4千万ドルは新規支援ではなく、日本政府がすでに基金に拠出している4.9億ドルで充てられます。
 来日したアーミテージ米国務副長官は、米国はイラクの治安対策を優先させるため、今後は従来の民生援助の一部をイラク人治安部隊の育成に振り分けるので、各国が従来の電力や水道などの民生分野への支援をしてほしいと要請しましたが、米国やイラク暫定政権が主張する復興を信じていない各国の不審を拭い去ることはできませんでした。

復興会議の本質
 問題は、米英軍の支援のもとで占領と戦争を継続させ、イラク国民に銃をつきつけているアラウィ・イラク暫定政権のもとで、そもそもイラクの人々のための復興があり得るかということです。
 フセイン政権の崩壊後、直ちに米国占領軍は「復興」作業に着手しました。イラク暫定統治機構(CPA)のブレマー長官が発した命令によってイラクの法が改変させられ、イラクの経済的植民地化が始まりました。「復興」作業を請け負ったのは、ハリバートン、ベクテル、ベアリング・ポイントなどの米国多国籍企業です。
 占領が継続したままの「復興」はイラクに金が落ちないシステムになっています。「復興」は米国の多国籍企業がイラクを食い荒らすことであり、東京会議に参加した国々が拠出を渋っているのは、米国のかいらいである今のアラウィ政権のもとでは利益の恩恵に預かれそうもないと見ているからです。

WORLD PEACE NOWが「復興支援国」会議に抗議
 10月13日、WORLD PEACE NOW実行委員会は、イラクの軍事占領を強化し、利権分割のためのイラク復興信託基金第3回拠出国会議に対して「撤退なくして復興なし!強盗たちの『山分け会議』にNO!」を掲げて、会場である赤坂プリンスホテルまで約100名で抗議行動を行いました。
 抗議行動に先立ち、社会文化会館前でミニ集会が行われました。実行委員の高田健さんは「政府は安全性の問題など様々な口実をつけて、今日まで会合の場所を一切公表しなかった。コソコソとやっていて、何が国際会議だ。本当にイラクのための復興支援なら、逃げ隠れするな。アフガン復興会議のときは様々なNGOが参加したが、今回はNGOを排除している」と述べて、「復興会議は大企業などの利権や資源を山分けする会議だ。復興の前提は占領軍の撤退、自衛隊の撤退だ」と語りました。
 会場前ではブッシュ、ブレア、小泉、アラウィのお面を付けた4名が、石油、軍需産業、復興ビジネスを山分けして食い尽くす様として、イラクの地図を広げた上にチョコレートや甘いお菓子を載せて、それを食い尽くす路上パフォーマンスを演じました。そして、最後に、東京会議を主催した外務省に対してドナー会議のあり方に抗議し、占領軍の即時撤退を求める声明を手渡しました。
 この抗議行動は小規模でしたが、ブッシュに黙従する小泉首相の態度を、私たち市民は絶対に認めないという姿勢をはっきりと示すものでした。

ファルージャでの虐殺をやめよ!
米国大使館へ抗議・要請行動
 11月8日、今年4月に米軍が800人もの市民を虐殺したイラク・ファルージャに対して、再び米軍は総攻撃を開始しました。世界中の市民が批判の声を上げる中、日本においても、11月10日夕方から市民団体27団体が呼びかけてファルージャ総攻撃の中止を要求する緊急行動が米国大使館前で行われました。
緊急の呼びかけにもかかわらず、多くの市民が駆けつけ、最終的には350人もの人々が集まりました。キャンドルやプラカード、横断幕を掲げて抗議行動を行うとともに、イラクの人々への援助活動をしているNGOや、女性団体、中学生、宗教者など、さまざまな人びとが怒りと悲しみを込めて発言しました。
米国大使館前に移動しようとしましたが、赤坂警察は不当にも米国大使館への通路(公道)を封鎖して、私たちを通しませんでした。まさに「属国日本」を絵に描いたような光景ですが、やむをえず私たちはそばにあるJTビル前で集会をもち、代表5人が大使館に抗議・要請文(下記)を届けました。

ファルージャへの軍事作戦を直ちに停止してください。
これ以上の人殺しはやめてください。2004年11月10日

アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュ様

 私たちは、いま言いようのないほどの悲しみと怒りに包まれています。あなたが米大統領に再選された直後に開始したファルージャへの全面的軍事攻撃は、イラクの一般市民への無差別の大量虐殺であり、まぎれもない戦争犯罪です。
 あなたは「イラクの大量破壊兵器の脅威」や「国際テロ組織アルカイーダとのつながり」を口実に、国際法や国連憲章をも踏みにじってイラクへの侵略戦争を開始しました。しかしこれらの口実はすべて嘘でした。2003年3月の戦争開始以来、すでに10万人にのぼるイラクの人々が殺されています。
 あなたは、「イラクに自由と民主主義をもたらす」と宣言しました。しかしアメリカの占領がもたらしたものは、殺戮と生活破壊、治安の混乱、そして人権蹂躙でした。アブグレイブ収容所での米軍によるイラクの人々への拷問・虐待が、あなたの言う「自由と民主主義」がなんであるかを物語っています。
 イラク軍事占領が続けば続くほど、一般市民のアメリカへの不信と憎悪は高まるばかりです。イラクの平和と復興は、軍事占領や今回のような一方的軍事作戦が続くかぎり、現実のものにはなりません。
 今年の4月、米軍はファルージャを包囲し、「動くものはすべて撃つ」軍事作戦を行いました。その結果、老人や女性、子供たちをはじめ、1,000人近い人々が無差別に殺されました。あなたが敵にまわしたのは、決して「一握りのテロリストや凶悪な犯罪者」ではなく、イラクの一般民衆でした。
 今、あなたは10月以降再びファルージャへの爆撃を繰り返し、住む家や病院を破壊して多数の市民の命を奪うとともに、ついにファルージャ市内に突入して殺人と破壊のかぎりをつくしています。私たちは断言します。「自由と民主主義と平和の敵」はあなた自身だと。いったい、あなたはどれだけの人の命を奪えば気がすむのでしょうか。
 アナン国連事務総長も、あなたに書簡を送り、ファルージャへの攻撃をやめるよう警告しましたね。しかしあなたは、無視しました。
 あなたは大統領に再選されたことで、この戦争が信任されたと思っているかもしれません。しかし、アメリカ国内でも多くの人々が反対しています。世界の世論の多数はイラクへの戦争と占領は間違っていると考えています。あなたの盟友である小泉首相のいる日本でも、過半数の世論はこの戦争に反対し、自衛隊の撤退を求めています。
 イラクの人々やアメリカ人や日本人を含む外国人の命が失われるのはもうたくさんです。
 ただちにファルージャでの軍事作戦を中止してください。そしてあなたたちの兵士を本国に帰還させてください。それこそがイラクの「平和と復興」を実現する一番の近道です。
 あなたが、これ以上罪を重ねないことを私たちは望んでいます。
ファルージャの人びとを救え! 米英軍はイラク・ファルージャへの総攻撃をただちにやめよ!
11・10米大使館抗議・要請行動参加者一同

“日韓自由貿易協定に異議あり!”韓国から闘争団来日
韓国経済、生活に大きな影響――交渉の中断求める
 11月1日〜3日にかけ、韓国から労働組合、市民団体の代表など90名以上が来日し、東京で日韓FTA(二国間自由貿易協定)交渉に反対する行動を行い、日本の労組なども参加しました。
 これは、同日程で、日韓政府間のFTA交渉が日本の外務省で行われたことに合わせたもので、韓国の労働組合のナショナルセンターである韓国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)、市民・農民団体などで構成する「韓日FTA阻止韓国民衆遠征闘争団」(団長:チョ・ジュノ民主労総組織強化対策委員長)が、FTAによって、韓国の経済や労働、生活などに大きな影響が出るとして、交渉内容を明らかにし、交渉中断を求めました。特に、交渉会場となった外務省前では、過剰警備を行う警察側と再三にわたって激しくぶつかりました。さらに、日本経団連への抗議、国会前や街頭でのアピール活動、集会・デモ行進なども行われ、海外メディア等で大きく報じられました。

労働者の権利を奪い、東アジアの緊張を招く
 日韓FTA交渉は、昨年12月から開始されましたが、これまでは「双方の主張を述べあっているだけ」(外務省)で、フィリピンやタイ、マレーシアと日本のFTA交渉に比べて大変遅れています。これは、韓国で反対運動が大きく盛り上がり、経済界からも慎重論が高まっているためです。来日した闘争団は、日韓FTAの問題点として次のような点を指摘しています。
@韓国経済への打撃 現在も日韓貿易では年間百億ドルもの赤字となっている韓国で、市場開放が進めば、さらに経済への打撃が大きいとしています。FTAは関税を原則として10年以内にゼロにすることが決められています。現在の韓国の平均関税率が7.5%(日本は2.5%)あるため、これがゼロとなればさらに貿易赤字が大きくなります。特に、自動車や電子など、競合する主力産業では経営者側からも反対の声が出ています。
A失業・不安定雇用の拡大 FTAの先駆けであるアメリカとメキシコ、カナダとの北米自由貿易協定によって、アメリカでも20万人以上が解雇され、賃金の不平等性が広がっていると分析されています。特に、多国籍企業による工場移転が自由化され、それを規制する国内規律が空洞化することで、雇用不安が高まり、賃金の低下につながると指摘されています。
B労働者の権利を侵害 日本の経済界は、FTA締結の条件として、韓国の労働争議の沈静化、休暇手当の雇用者買取り義務の撤廃、退職金の算出の柔軟性(韓国では退職金は法律で義務化)などを要求しています。これは、日本の労働者にも及び、全体的な労働権の低下につながるものです。
来日時に、民主労総、韓国労総と日本の連合が協議し、「労働者の生活、雇用、労働に重大な影響を与える可能性のある事項に対しては、労働組合などの関係者と事前協議すること」等の共同声明が出されました。
C公共サービスの破壊 医療や教育、水、エネルギーなどの公共サービスの自由化、民営化を促進する内容を含んでいることから、「必要不可欠な公共サービスを受けられない人が出てくることが考えられる」(韓国・公共サービス連盟)としています。
D東アジア・朝鮮半島の緊張を激化 韓国を日本の経済圏に組み込むことで、中国や北朝鮮に対する包囲網をつくり、緊張を高めることが懸念されています。

FTAの実態を日本でもアピール
 共同行動を行った日韓の市民団体は、今後の運動のあり方について協議し、特に、日本ではFTAに対する理解がほとんど進んでいない状況から、韓国の関係者を招き、各地で集会等を開いていくこと、代表団を韓国に送り共同行動を進めること、労働組合や農民、市民へのアピールを強めることなどが確認されました。
 また、両国が経済開発協力機構(OECD)の加盟国であることから、「労働基準をはじめとするOECD多国籍企業ガイドライン等に示された諸基準等を遵守すること」(連合との共同声明)を両国政府に求めていくことも強調されました。

PSIで核拡散は防止できるか?
核軍縮の推進以外に道はない
アジア初のPSI(対抗拡散)訓練
 04年10月26日、ブッシュ米大統領提唱の大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)による訓練が相模湾沖で、27日には横浜沖で行われました。最初の訓練は03年9月にオーストラリア沖で行われ、今回は12回目の訓練で、アジアでの実施は初めてとなります。
 訓練には日本、米国、フランス、オーストラリアの艦船が参加し、ロシア、英国、フィリピン、タイなどがオブザーバーとして担当者が参加したとのことです。米国からはボルトン国務次官が参加しました。
 訓練は大量破壊兵器関連(今回はサリン)の疑いの貨物を積んだ船が、洋上で受け渡しをするという通報が米国からあったという前提で、海上保安庁の巡視艇が容疑船を追跡、海上自衛隊のP3C哨戒機が容疑船を発見・通報し、海保と外国部隊が容疑船に乗り込み、物資を押収するという内容でした。
 PSIにはもともと北朝鮮をけん制するという目的が存在しており、このため中国や韓国は、最初から慎重な姿勢をとっていて、今回の訓練に際しても、日本がオブザーバー参加を働きかけましたが、参加しませんでした。北朝鮮は10月の訓練は「日朝平常宣言に反する」と非難しており、今後の6者協議に影響すると考えられます。

NPTの欠陥をPSIで補えるのか?
 PSIは、03年5月31日、米ブッシュ大統領はポーランドで演説し、「大量破壊兵器の拡散を阻止するため、航空機、船舶の臨検を可能にする『拡散防止構想』」(PSI)を提案したのが始まりです。日本、英国、オーストラリアなど10ヵ国に呼びかけ、G8(主要八ヵ国)を含む15ヵ国が中核メンバーとして参加し、臨検など具体的な行動の取り組みと、情報収集の二つの専門委員会を設けています。
 とくに今年に入って「核の闇市場」が明らかとなり、訓練にも熱が入っています。しかしこのような監視の強化、臨検・物質押収だけでは(それも公海上の場合、国際法の問題から限界がある)、現在の核兵器拡散を防ぐことは難しい。核保有国、とくにNPTにおける核兵器5カ国が、積極的な核廃絶への努力を行うなかでこそ成果が現れるのです。

原子力供給国グループと「トリガーリスト」
 NPTは最初から5カ国だけを核兵器国と規定し、それ以外の国に核兵器の保有を認めない条約です。
 しかも核兵器国は軍縮への努力が義務づけられているだけで(第6条)、核兵器廃絶は義務づけられていないため、非核兵器国から差別条約だとして批判されました。このため第4条の「原子力の平和利用」で、非核兵器国に大きな便宜を図ることが決められています。しかしイラク、北朝鮮、リビアなどが平和利用を目的に機材や原料を集め、核兵器開発を進めたことから、新たな対応策が必要となったのです。
 すでに74年のインドの核実験を機に、現在44ヵ国が参加する「原子力供給国グループ」(NSG)が組織され、「ロンドン・ガイドライン」と呼ばれる原子力関連資機材・技術の輸出に関する指針が作成されています。指針・1の「トリガーリストでは、核兵器に関連する資機材と技術の一覧表で、このリストに関連する資機材、技術を非核国に移転する場合は、IAEAの保障措置の適用など4条件の確認が決められていますが、法的拘束力のない、自主的な指針であるため、限界があります。

クリントン政権と「対抗拡散」政策
 米・クリントン政権は、湾岸戦争後にイラクの核開発が明るみに出たことや北朝鮮の核開発疑惑などに関連して、93年に「対抗拡散措置」導入を表明しました。これはNPT体制の欠陥をおぎなうだけでなく、新たな核兵器保有国に対する先制攻撃を含む、きびしい措置が含まれていました。北朝鮮に対する軍事攻撃計画も、この「対抗拡散」政策によるものでしたが、結局、クリントン大統領は、軍事攻撃を実行しませんでした。
核兵器国の核軍縮努力こそ最も有効な「対抗拡散」
 ブッシュ大統領が登場し、「対抗拡散」政策を積極的に進める政策がとられています。その一つがミサイル防衛であり、PSIなのです。しかし米国は、イスラエルの核兵器保有を容認し、インド、パキスタンの核武装も、アフガン、イラク攻撃のなかで、なかば容認の姿勢をとっています。このような二重基準、さらに核兵器国が核軍縮への努力を見せていない現状では、新たな核兵器国の出現は避けられないでしょう。
 12月にはIAEA理事会が開かれ、イランに対する措置が決定されます。NPTも崩壊の危機に直面しています。核兵器国の軍縮努力こそが、最も有効な対抗拡散なのです。

通常兵器と核兵器の敷居を曖昧にする小型核兵器の研究
戦術核兵器にシフトする核保有国の危険(2)
戦略核と非戦略核の区別は存在しない
 冷戦期には核兵器に、戦略・戦域・戦術という区別が存在していました。戦略核兵器とは、一般的には爆発威力が大きく、長距離の運搬が可能で、相手国を直接攻撃でき、大きな被害を与える核兵器を戦略核兵器としています。米ロ間では射程が5,500?以上のICBM(大陸間弾道ミサイル)、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)、戦略爆撃機が、戦略核三本柱と呼ばれています。5,500?という数字は、米ソ間のSALTU(第2次戦略兵器制限条約)で定義され、米本国の北東国境と旧ソ連・大陸部の北西国境間の最短距離からきています。
 しかし、こうした区分は、あくまでアメリカを中心とする区分であって、イスラエル、インド、パキスタンが核戦力を保有した現在では、射程は大きな問題ではなくなってきました。インドを例にとってみると、インドは98年5月の核実験で約12キロトンのブーストつき核分裂爆弾(原爆のこと、注参照)と、約43キロトンの熱核装置の実験を行ったと説明しました。この二つを組み合わせれば水爆になります。事実、インドは核実験の数日後の記者会見で、あえて別々に実験を行ったと説明しているのです。
 原爆と違って、水爆は破壊力をいくらでも大きくできます。インドが現在、水爆を保有しているかについては、意見が分かれていて、ミサイルに搭載可能な小型弾頭に成功しているかについても、はっきりしていません。それでも原爆の保有だけでも近隣諸国にとっては大きな脅威ですし、まして水爆を持っているかもしれないとなると脅威はいっそう大きくなります。
つまり弾道ミサイルの射程の違いは、破壊力、相手への脅威という点では大きな差は存在しないのです。

米のミサイル防衛が中国の核開発を加速させる
 一般に非戦略核と聞くと、威力が小さいように思われがちですが、戦術核といわれる核兵器でも、戦略核兵器以上の威力をもつものもあることを理解してください。
 現在、長射程ミサイルの開発を行っている国に中国があります。それはアメリカがミサイル防衛(MD)システムへ向かって大きく動き始めたからです。
 米・ブッシュ政権は、今年7月からアラスカのフォトグリーリー基地にMDの配備を始めました。またミサイルの探知・追尾能力を備えたイージス駆逐艦15隻、ミサイル迎撃能力を備えたイージス巡洋艦3隻を06年末までに配備する計画で、すでにイージス駆逐艦1隻を今年の10月1日から日本海に配備しました。さらに高性能レーダー(GBR)の日本配備も、今年4月に打診しています。
 北朝鮮の核ミサイルに対応するにしては、大げさすぎます。あきらかに長期的な戦略として、中国を意識したものです。でもミサイル防衛を破るのは、MIRV(個別誘導再突入弾頭)ミサイルの開発によって十分可能になりますから、中国はいまそれに力を入れていると思います。結局、冷戦が終わっても核軍拡は進行しているのです。

同じ兵器の開発が核保有国で進む
 そしていま、もっとも警戒しなければならないのは、核兵器使用に対する警戒感が薄れることです。ブッシュ政権が小型核の研究を再開しました。当面は、地中深くで爆発し、なお放射能が少ない、地中貫通爆弾の研究に力がそそがれると考えますが、さまざまな低威力の核兵器が研究され、開発される心配があります。
 冷戦時の経験からいうと、一方が新しい核兵器の研究・開発に進めば、もう一方も、同じような兵器の研究・開発に進むことは明らかです。核兵器保有国が8ヵ国にまで増えている現在は、それだけ多くの国で、小型核兵器の研究が進むということです。
 現在、米軍は精密な巡航ミサイル、精密誘導弾、燃料気化爆弾(ディジー・カッター)、クラスター(集束)爆弾など、核兵器を使用しなくても、大規模破壊、大量殺戮の兵器を数多く開発し、所有しています。唯一の軍事大国なったアメリカは、新しい小型核兵器の研究など必要ないのです。にもかかわらず、アメリカは小型核兵器の研究に進んでいます。それはあくことのない兵器産業・死の商人の利益のためです。その結果、世界で通常兵器と核兵器の敷居がだんだん曖昧になっていくのです。

注:球体のプルトニウムの中が、中空になっていて、ここに三重水素と重水素の混合ガスを注入し、小さな核融合を起こして、プルトニウムの爆発威力を大きくする。現在の核爆弾は、ほぼこのタイプの爆弾になっている。

原子力長期策定会議と矛盾深まる「再処理」路線
原子力資料情報室  伴 英幸
原子力政策は「葵の御紋」?
 日本の原子力政策を決める会議が開かれています。会議で原子力政策が決まり閣議を経ると、それは金科玉条のように掲げられ、“控え居れ! この御紋が目に入らぬか”といった効力を発揮するのです。効力は永田町や霞ヶ関界隈を中心に、地方には半ば強制のように押し付けられてきます。佐藤栄佐久福島県知事がその様子をまるで「ブルドーザーのように」押し付けてくると表現するほどです。
 原子力政策を決める会議とは、原子力委員会の下に設置された原子力長期計画策定会議のことです。長計策定会議と略して呼ぶことが多いのは、名前が長ったらしいからでしょう。また、長期計画は正式には「原子力の研究、開発および利用に関する長期計画」という長い名称が付いています(以下、長計と略します)。名の示すとおり、単に原子力発電に関するのみならず、原子力に関する研究全般から放射線の利用なども含む包括的な計画が立てられます。
 なぜ、原子力委員会が計画を立てるのかといえば、原子力委員会設置法で「原子力利用に関する政策の審議・決定」が仕事とされたからです。その他に、予算配分も仕事になっています。つまり、策定会議は、原子力産業界や原子力関連の学者連中が集まって計画を作り、それに沿って予算配分を行なう、利害調整機能を果してきたのです。長計に一語でも載れば、国の予算の獲得権が得られるが、出なければ、どんなに頑張っても予算は付かないといわれています。
 会議のメンバーは原子力産業界とそれに係る御用学者で占められて、国民はカヤの外で計画が決まるのですから、決まった長計に合意せよといっても無理な話です。「原子力政策に国民的合意がない」と平山新潟県知事(当時)、佐藤福島県知事、栗田福井県知事(当時)が内閣総理大臣に提言したのは、最初の長期計画からちょうど40年後でした。この提言以来、長計策定会議に原子力に批判的な意見の人がわずかですが参加するようになりました。原子力資料情報室から1名が今回の長計策定会議の委員に選任されたのはこのような経過からですが、参加してみて、残念ながら策定会議の体質は昔のままの「原子力ムラ」だということがよく分かりました。
 長計はおよそ5年ごとに見直しが行われてきています。今回の策定会議は10回目の見直しになります。長計が最初に公表されたのは1956年9月で、「原子力開発利用長期基本計画」の名称でした。その年の1月に原子力委員会が発足したので、これは委員会の初仕事でした。
 決定された基本計画は高速増殖炉を開発の目標に置きました。当時は高速増殖炉が原子力発電の主流になるだろう、その時代はすぐにやってくるだろうと信じられていました。理論的には、プルトニウムを燃料で消費しながら、それ以上のプルトニウムを生み出すことができるので「夢」の原子炉と呼ばれていました。電気代はただ同然になるとも宣伝されていました。なぜこのタイプが主流とされたか、原発の時代がやってくると、ウラン資源が原発に使われ、軍事用ウランが枯渇する恐れがある、これを避けるためだったという説があります。軍拡競争が勢いを増しつつあった時期ですから、なるほどとうなずけます。
 ちなみに、その前年の8月6日に第一回原水爆禁止世界大会広島大会が開催されています。原水爆禁止署名は国内3,200万人、国外6億7,000万人に達していました。当時は、多くの人が原子力の平和利用(商業利用というべき)に大きな期待を抱いていたようです。この期待からも覚めてきつつあるようです。平和利用といえども技術は核兵器開発と共通項が多い、原発が生み出す放射性廃棄物の処理・処分の困難さなどから、原発に代わるエネルギーが求められるようになっています。脱原発へ向う国が増えてきました。

たいへんな夢の後始末
 高速増殖炉ではプルトニウムを燃料に使うのですから、ウランを燃料に使った原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出す作業が必要です。これを再処理と言います。再処理の開発が進んで高速増殖炉の開発が遅れた場合にどうするか、プルトニウムを普通の原子炉へ消費するプルサーマルでつないでいくとされていました。プルサーマルはあくまでも橋渡し役で、プルサーマルを目的にするのはコストが高く割に合いません。ですから、高速増殖炉開発が破綻することは再処理する意義も失うことを意味しています。
 高速増殖炉開発が進むにつれ、実用化することは極めて困難であることが見えてきました。アメリカでは爆発事故を起こしました。また、費用がかかり過ぎて、一番高い電気代になってしまうことも明らかになってきました。こうして独・英・仏など高速増殖炉開発を進めていた国々が次々と撤退していきました。
 日本でも高速増殖炉の実用化2段階前の原型炉「もんじゅ」が1995年にナトリウム漏れ火災事故を起こして現在も止まったままです。この事故を契機として高速増殖炉開発は目的でなく選択肢の一つとされました。2000年に改定された長期計画でのことです。こうなると再処理を続ける本来の意味はなくなります。
 一方で、青森県六ヶ所村では大規模な商業用再処理工場の建設がほぼ終わり、水や化学薬品を使った機能試験を終え、これからウランを使った試験を行なおうとしているときです。大義をなくした再処理に対しては、原子力推進内部からも批判が出てきました。ですから、今回の長計では再処理政策を続けるべきか、それとも撤退するべきかが大きな焦点となっていました。

従来路線を踏襲した中間とりまとめ
 今回、32人の策定会議メンバーが12回にわたって会合を重ねた結果、ほぼ従来どおりの再処理路線が踏襲されることとなりました(正式決定は来年秋頃)。会合を重ねたと書いたのは、とても議論を重ねたとは言えないからです。委員の人選は原子力委員会が行ないましたが、人選からして、おおむね結論は見えていました。委員の多くは第1回会合から再処理支持の結論を披露していました。さすがに、何度も同じ意見を繰り返して時間の無駄だといった意見が出てくるほどでした。
 結論を先に書きましたが、少し経過を追っておきたいと思います。原子力計画は包括的な内容となりますが、上述の理由から今回は核燃料サイクル政策の審議から始めました。核燃料サイクルに対して、とり得る選択肢を選び出して総合評価するというスタイルをとりました。これまでとは異なる新しいやり方でした。
 選び出した選択肢は4つ。地中深く埋め捨てにすることを地層処分といいますが、再処理すれば処理後の廃棄物をガラスと固めて地層処分し、再処理しなければ使用済み燃料を直接に地層処分することになります(安易な地層処分がよいとは思いません)。4つの選択肢は@これまでどおり全量再処理する路線A一部再処理し後はそのまま処分へまわす路線B全量直接処分する路線C当面貯蔵する路線でした。最後の当面貯蔵は将来再処理の意味が出てくるまで貯蔵するというものです。
 Aが選択肢に入ってくるのは、六ヶ所再処理工場が念頭にあるからです。この工場の処理能力は年間800トンで、日本の原発から出る使用済み燃料量は年間1000トン前後だから差がでます。この差分は再処理するまでの間貯蔵されます(これを「中間貯蔵」と呼んでいます)。全量再処理をするためには、もう一つ再処理工場を作るか、六ヶ所に続く再処理工場の処理能力を大きく上げるかですが、策定会議では後者を前提としました。全量再処理といっても、@は処理能力を超える分を中間貯蔵した後に再処理するシナリオですから、Aの選択肢は再処理能力を超える分を直接処分するシナリオにしたのです。
 選択肢の比較検討の過程では、コストの比較も行なわれました。すでに再処理のコストは経済産業省がはじいていますので策定会議では直接処分コストを算定しました。その時期に、実はひそかに直接処分のコスト試算を行なっていたことが暴露され、改めて国や電力会社の隠蔽体質が大問題となりました。算定結果は直接処分のほうがはるかに安いというものでした。1キロワット時あたりで表現するとわずかの差ですが、これは少なく見せるためのトリックで、圧倒的に再処理が高くつくことが明白になったのです。
 これでは再処理は不利になるので、プルトニウムを利用することで資源の節約になるとか、厄介な高レベル放射性廃棄物の量が減るので再処理は環境に適合しているとか、いろいろこじつけて総合的に再処理は優位としたのでした。しかし実際には、高速増殖炉を進めたい人々は再処理をやめると高速増殖炉研究まで止まるから駄目だといい、電力関係者は(六ヶ所)再処理をやめると使用済み燃料の行き先がなくなり原発が止まる恐れがあるから駄目だといい、国は再処理するかしないかを電力会社の自由な選択にしておくと再処理事業が進まないという、そんな理由で再処理路線が踏襲され、再処理を選択することの積極的な理由は見出せませんでした。

再処理を止める運動を継続しよう!
 今回は政策の根本的な転換には至りませんでした。しかし私は、再処理路線は必ず破綻すると確信しました。それにはまだ時間が必要なのでしょう。六ヶ所再処理工場はウラン試験へと進もうとしていますが、それに反対する行動を通じて、再処理を止める大きな運動に発展させていく必要があります。また、この長期計画はある程度の骨格が決まった段階でパブリックコメントを求めます。この時に、再処理政策の転換を求める一人一人の生の意見を表明することで、政策転換を迫ることができます。いちばん大切なことはあきらめないことです。

黄昏のイギリスの原発
――再処理工場を訪ねて――
小林 晃
 私は、この10月イギリスのカンブリア地方を訪れ、セラフィールドを中心にアイリッシュ海の沿岸を写真撮影してきました。この撮影旅行は私に様々な印象と感慨を与えてくれました。以下に出来るだけ俯瞰的に、イギリスの原発事情を報告します。
 ここに一枚の写真があります。これは、英核燃料会社(BNFL)の工場群の主要部分です。この写真の説明で、イギリスの核利用の歴史が垣間見えます。
 まず、ビールグラスを伏せたような、巨大な煙突が2本あります。写真には写っていませんが、右の奥にも同じものが2本あります。これは、コールダーホール型原子炉(マグノックス炉、天然ウラン黒鉛減速ガス冷却炉)の煙突で、1956年に運転を開始し2003年3月に廃炉になりました。廃炉費用は1基あたり約1,000億円で、BNFLは占めて4基約4,000億円の巨大な負債を抱えたことになります。この写真の右端前面に天然ガスの火力発電所が建設され、皮肉にも現在、原発の代わりに地域の電力事情に応えています。
 つぎに、右端の黒い巨大な煙突です。これは、10年程前には2本ありました。1957年に大火災を起こし、英国の秘密主義で詳細は明らかにされませんでしたが、一説では、チェルノブイリを上回る地球規模の放射能汚染をもたらしたといわれるプルトニウム生産炉1号基の煙突です。事故後、2号基ともども閉鎖されましたが、今回の訪問で、最近2号基の煙突は解体されていることが分かりました。それにしても、1号基は、事故から50年近くたった今日も、その高い放射能汚染ゆえに、解体が遅れ、醜い残骸をさらしています。
 また、その向かって左隣の比較的高い煙突は、イギリスで最初の国産の原子爆弾に使われたプルトニウムを再処理したB204棟とよばれる再処理工場で、後に酸化燃料用前処理施設となった所ですが1973年に放射能漏洩事故をおこし、その後、閉鎖されました。
したがって、この工場群の中では、操業している工場を捜すほうが難しいわけです。
 さて、使用済み濃縮ウラン用燃料再処理工場ソープですが、左端の、アイリッシュ海に面してたっています。これが、日本から4,170トンもの使用済み核燃料を受け入れ再処理しているところです。その隣右側に使用済み燃料保管用の長い建屋があります。
 再処理後のプルトニウム保管建屋はこちらからは見えませんが、B204棟の向こう側にあります。最近、日本の経済産業省は2003年末時点で英仏に約35トンのプルトニウムがあると発表しましたが、ここには再処理用使用済み燃料比にすればおよそ、20トンを超える分が貯蔵されているはずです。その周辺には、1999年、関西電力高浜原子力発電所用のMOX燃料がBNFLの組織的にデーターが改ざんされていることが発覚し、最大顧客である日本の信用を失い、運転再開もおぼつかないMOX燃料用成型加工工場(SMP)があります。
 2003年のイギリスの原子力発電量は1185.2万キロワットで総発電量の23.7%をしめていますが、今年、チャペルクロス原発が閉鎖され、この比率はさらに下がるでしょう。残された原発は、8基がガス冷却炉、残り14基が改良型同炉で、ほかに加圧水型軽水炉が1基あります。これも、旧型が多く、2010年代の半ばには18基が廃炉になり、新設がない場合総発電量の5%になると推定されています(次号につづく)。

憲法調査会 中央公聴会を開催
 2000年の設置以来2回目となる衆議院憲法調査会の中央公聴会が11月11日に開かれ、埼玉大学名誉教授の暉峻淑子さん、弁護士で環境NGO・気候ネット代表(41回護憲大会の助言者)の浅岡美恵さん、日本医師会会長の植松治雄さん、中曽根康弘・宮沢喜一の両元首相、武村正義元蔵相の6名が出席しました。首相経験者まで出席した公聴会は異例として注目を集めましたが、積極的な改憲論を展開したのは、中曽根さん一人でした。
 暉峻さんは、憲法のさまざまな人権規定は戦争を放棄した9条の規定と表裏一体だと指摘し、自国で人権の保障が行き届いてはじめて国際貢献ができると述べました。
「勝ち組」「負け組」などど呼ばれ人権が守られない状況が進んでいる背景には、人権に逆行する軍事大国化の流れがあると述べ、競争による子どもたちの「序列化」や愛国心の強制・管理教育の強化は9条改憲の思想とつながっていると批判しました。
 浅岡さんは、現在の憲法は個人の尊重や幸福追求権を定めた13条、国民の生存権と国の責任を定めた25条など包括的で、先見性があると強調し、「環境権実現のためには憲法改正は必要なく、具体的立法こそが求められている」と主張。また、「戦争は最悪の環境破壊であり環境権も9条改正で影響を受ける」と述べ、9条改憲に反対しました。中央公聴会は18日と25日にも予定されています。

ファルージャへの人道支援のお願い JVC
 JVCは、毎日のようにイラク・ファルージャの空爆が続いていることを憂慮し、10月からファルージャの緊急支援を開始していました。本格的な攻撃が始まる前に入れた薬が役立っていることを祈りますが、おそらく半月前なのですでに薬は在庫が切れている可能性もあります。一方、ラマディは夜間外出禁止令が出される直前に、シーツやガーゼ、そしてタンカ、やけどの薬などを入れることができました。現在は、ファルージャの地元組織とイタリアのNGOなどと協議し、ファルージャ内へ薬を入れることを検討しています。
 すでにJVCは、薬と消耗品だけで300万円使ってしまいました。一方でこのまま行くと150万円くらい赤字が出てしまうので、とはいってもここで躊躇していられないので、ぜひ皆様の支援をお願いします!

◎JVCの活動にご理解を頂き引き続きご支援をよろしくお願いします。
◆郵便振替:00190-9-27495
◆加入者名:JVC東京事務所
◆通信欄:『イラク緊急』とお書きください
◆問い合わせ先:日本国際ボランティアセンター(JVC)
 担当: 佐藤真紀

《好評発売中》
2005年イラク・カレンダー
撮影:豊田直巳 1部1,000円(送料別)
B3(幅36.4?×高さ51.5?)二つ折り
上半分が写真、下半分がカレンダーです。

自衛隊はイラクから撤退を!派兵期限の延長を許さない11.30集会
日時:11月30日(火)18:00開場 18:30開会 20:00閉会
会場:星陵会館ホール(東京メトロ「永田町駅」5番出口、「国会議事堂前駅」5番出口、「赤坂見附駅」)
主催:11.30集会実行委員会
〈呼びかけ〉戦争反対・有事をつくるな!市民緊急行動/アジア太平洋フォーラム(APPF)/ATTAC Japan/日本消費者連盟/フォーラム平和・人権・環境
内容:一体化の進む米軍と自衛隊……田巻一彦
イラクの現状……豊田直巳(予定)、国会議員より国会情勢報告 など

派兵1年、期限切れ/撤退させよう自衛隊 終わらせようイラク占領
WORLD PEACE PARADE 12.14
日時:12月14日(火)開場17:30 プレ企画18:00
開会18:30 パレード19:30
場所:日比谷野外音楽堂(地下鉄霞が関駅下車)
発言:小池清彦さん(新潟・加茂市長/元防衛庁教育訓練局長)/池田香代子さん(翻訳家)、他
演奏:TEX & the Sun Flower Seed
主催:WORLD PEACE NOW http://www.worldpeacenow.jp
メール:worldpeace@give-peace-a-chance.jp