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被爆59周年原水禁世界大会は、8月1日、東京水道橋の韓国YMCAでの国際会議で幕をあけます。
ブッシュ政権によって混迷のなかに投げ込まれたイラクは、6月末からイラク国民に主権委譲が行われますが、戦争状態収束、平和再建への展望は不透明です。
2005年には、NPT(核不拡散条約)無期限延長後の2回目の再検討会議が開催されますが、米国をはじめとする核保有国は、核廃絶に消極的で、このままでは成果は期待できません。NPT体制自体、イスラエル、インド、パキスタンなど新たな核保有国の出現、北朝鮮の核疑惑などによって崩壊の危機を迎えていますが、私たちはNPT体制を破綻させるわけにはいきません。
しかし、NPTは基本的には政府間交渉に依拠しており、私たちNGOはそれぞれの運動を展開することによって、自国政府や関係諸国、国際社会に影響力を発揮する立場にあります。
米国の新核戦略の転換を
8月1日の東京国際会議では、まずブッシュ政権の新たな核政策について考え、討論します。小型核兵器研究の再開、新たな地中貫通核爆弾の開発、核実験再開をもくろむブッシュ政権の政策は、これまで世界の平和運動が獲得した核兵器廃絶への希望の火さえ消しかねないものです。
さらに、ミサイル防衛などの宇宙軍事力強化は、新たな軍拡の世界を作り出すと考えます。日本の小泉政権は、アジアへの平和構想を欠いたまま、米国と共同のミサイル防衛に入り込もうとしています。私たちはこのようなブッシュ政権の危険性、それに従うだけの小泉政権の危うさについて討論し、運動を考えます。
北朝鮮の核計画放棄と六者協議
また、日本を含めた東アジア情勢に大きな影響を与える北朝鮮の核問題は、米朝間に存在する強い不信感によって、なかなか解決の糸口は見えてきませんが、対立する米朝の間に立つ中国の努力によって、少しずつ解決へ歩み始めたといえます。それでも北朝鮮に完全な核放棄を求めるには時間がかかると考えられます。
こうしたなかで六者協議が継続されていくことは、大きな意味があると考えます。六者協議の継続は関係する各国間に、さまざまな問題を対話によって解決するという、東アジアにおける新たな関係を築く可能性を与えるといえます。六者協議の継続は、東アジア非核地帯化の実現にも大きな展望を与えることでしょう。
8月1日東京での国際会議が、このような問題にまで踏み込んで討論されることを、私たちは期待します。
被爆60周年へつなぐ長崎ヒバクシャ国際会議
また、被爆59周年原水禁世界大会は、8月8日に長崎・ブリックホールでヒバクシャ問題の国際会議を開催します。
1945年以降、核兵器開発は私たちの想像を超えて巨大化する一方、無数のヒバクシャを生み出してきました。さらに原子力発電が世界に広がるなかで、チェルノブイリ原発事故に代表される多くの核被害者が生み出されてきました。
被爆60周年を前にして、私たちはこれらヒバクシャが手を結び、まず国際社会に対して、さらにそれぞれの国に対して、救済と補償を求めるために、協力し合う端緒を作りたいと考えます。したがって今年の長崎国際会議は、来年の60周年へと引き継がれます。
さまざまな核被害者が参加しますが、そのうちの1人、「リトアニア・チェルノブイリ運動」代表のゲディミナス・ヤンチャウスカスさんを紹介しましょう。
1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故の処理に際して旧ソ連全土から多くの兵士や炭坑夫などが動員されました。その数は80万人ともいわれています。バルト3国からも約1万8000人が動員されたといわれ、その多くの人たちがさまざまな症状で苦しんでいます。
リトアニアではチェルノブイリのヒバクシャたちによって、90年3月に「リトアニア・チェルノブイリ運動」が組織されました。しかし、リトアニアからいったい何人の人たちがチェルノブイリへ動員されたのか、5800人までしか確認できていません。すでに600人が死亡したことは確認されています。ヤンチャウスカスさんは、日本や世界のヒバクシャと交流し、運動を強めたいと希望しています。
能力ベースとはなにか?
2001年12月31日、国防省によって議会に提出された「核態勢の見直し」(NPR)の特徴の第1は、「脅威ベース」から「能力ベース」への転換にあります。
米ソ冷戦時代には、ソ連の脅威にどう対抗するかが、米核戦略の中心でした。このためさまざまな核兵器による戦争抑止の戦略が考えられ、最終的には「相互確証破壊」へと行き着いたのです。これは核で攻撃すれば、お互いがはかりしれない破壊・被害を受けるというもので、恐怖の均衡の上に平和が存在するという理論です。しかしこのような戦略は、際限のない軍拡を必要とし、結局ソ連は、その負担に耐えられず、経済的に破綻し、国家そのものが崩壊しました。
こうしてソ連邦が崩壊して10年が経過した現在、米国は冷戦時代の「脅威ベース」から「能力ベース」へと変更した──と述べていますが、この「能力ベース」への変更は、予測できない敵が、どう戦うかを考え、予測できない時期に、予測できない不測事態の全てに対処する能力であるとしています。この予測できない事態のなかには、北朝鮮、イラク、中国、ロシアなどとの関係も入っていて、これでは米国の戦力は核兵器も含めていくらでも拡大することができます。
しかし、いくらハード面(軍事力)を強化しても、テロやゲリラ戦に対応できないことは明らかです。
3本柱の危険
こうして第2の特徴として、「能力ベース」概念による「新しい三本柱」がでてくるのです。それは、@ICBM(地上発射核ミサイル)、SLBM(潜水艦発射核ミサイル)、長距離核爆撃機の3本の戦略核兵力に、非核攻撃兵器を加える。A防衛能力の強化──ミサイル防衛。B指揮・統制・計画・情報など防衛インフラストラクチューの整備です。
そしてこの新3本柱を構成する新たな能力の組み合わせは、米国の配備核弾頭を1,700〜2,200発に削減しても、米国に対する危険を低減させることができるとしています。
地中深くに存在する標的に核兵器を使用
しかし新3本柱@の核・非核兵器による攻撃は、敵を決定的に撃破するための軍事行動において、より高い柔軟性を与えることができる、と述べていますが、これは地中深くに存在する大量破壊兵器に対して、新たな兵器開発を行い、必要なら核兵器による攻撃を行うためであると考えられます。
「核態勢の見直し」では、「地中深く埋設されている標的の撃破」にかなりのスペースを割いています。
「現在70ヵ国以上が、軍事目的で地下施設を使用しており、その数は1万以上である。およそ1,100の地下施設が、公然、あるいは疑惑の戦略的(大量破壊兵器、弾道ミサイル配備、指導部や最高幹部の指揮・統制)基地であり、現在は1,400にまで増加している。これらの施設は、施設が深いことと、正確な位置がはっきりしないことで、撃破するのに困難である」と述べ、「米国は現在、B61−11という地中貫通核兵器を有するのみで、限定されている。より効果的な地中貫通兵器があれば、大威力の地表爆発と同じ被害を与えながらも、より少ない(10〜20分の1)の降下物を発生させるだけだろう。非常に深い、または大きな地下施設を撃破するために、大きな威力の地中貫通兵器が必要だろう」と書いています。
こうして昨年11月ブッシュ大統領は10年ぶりとなる、5キロトン以下の小型核兵器研究に道を開く04年度国防予算案に署名したのです。
より大規模なミサイル防衛へ
新3本柱のAは、防衛力の中心にミサイル防衛をおいています。「いかなる射程の弾道ミサイルも、飛行の全ての段階で迎撃出来る必要がある。米国はあらゆるミサイルに対して効果的な防衛を追求している。(日本でも導入が決まっている)PAC−3以外は、どのシステムを配備するかは決定していないとして、@空中配備レーザー航空機、A追加的な地上配備中間飛行段階迎撃基地、B4隻の海上配備中間飛行段階迎撃の艦船、Cより短い距離の脅威に対する最終飛行段階迎撃システム。2001年に配備が開始されたPAC−3、2008年までに利用出来る可能性があるTHAAD(戦域高高度地域防衛)などが、2006−08年以降に配備できるだろう、としています。
さらに宇宙配備赤外線システム衛星の開発する予定である、とも述べています。
もしこのような計画が進めば、米国はレーガン大統領時代のスターウォーズ計画を超えた宇宙軍拡をもくろんでいると考えられます。そして日本は、このような米国に従っていくのでしょうか。
日本の核武装論を検証するV
外務省はフリーハンドを、防衛庁は保持しない
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外務省の「核武装フリーハンド」保持
先月号で紹介した、外務省が「核兵器製造の能力を保持し、周囲からの干渉は受けない」とした秘密文書は、1969年に作成されたものですが、公になったのは、1994年8月1日、毎日新聞のスクープによってです。
このニュースは、日本国内よりも海外──とくにアジア諸国から強い反発の声が上がり、河野外相は8月3日、緊急記者会見し、文書の存在は認めたものの、内容についてのコメントを避け、「日本は今後とも唯一の被爆国として非核三原則を堅持し、NPTの義務を遵守していく」と、日本に核武装の意思がないことを強調しました。
その前年の68年1月に、佐藤首相の施政演説で核兵器を「作らず」「持たず」「持ち込ませず」の非核三原則を述べた後に、外務省は首相が述べた方針を否定する秘密の研究会を持ったのですが、そこには外務省だけではなく、核のフリーハンドを保持しておきたいという政治勢力が存在していたのではないでしょうか。
日本はその後NPT条約に批准・加盟したのですが、95年のNPT無期限延長にも外務省は難色を示したと伝えられています。しかし、なぜ反対なのかについての説明は、外務省はいっさい国民にしていません。
防衛庁、核保有について研究
一方、防衛庁でも1995年に日本の核武装の是非について検討し、報告書を作っていたことが2003年2月に明らかになりました。畠山蕃事務次官(当時)の指示で、防衛研究所、統幕、内局の何人かによって検討され、「大量破壊兵器の拡散問題について」という30頁の報告書にまとめられました。
前年の94年には北朝鮮の核開発疑惑が起こる一方、95年5月にはNPTの無期限延長が決まるという情勢の中での検討です。
報告書は、冷戦後の核戦略の変容をさまざまな観点から分析するとともに、日本にとって核武装は意義ある選択なのか、などについて検討しています。
そして「確証破壊」(核攻撃は相互にはかりしれない被害を与える)という冷戦時の核抑止戦略によって、核兵器を保持することは、国土狭隘、人口周密、都市集中など極めて脆弱な地理的特性を有する日本では、否定的にならざるを得ない、と述べています。
また日本が核保有国に踏み切ることは、現在の不拡散体制の破壊をリードすることになるだけでなく、米国から、日米安保条約に対する不信の表明と理解され、周辺諸国からも日本が日米安保条約の枠組みから離脱すると見られる。対外的にも国内的にも政治的混乱を作り出すとしています。
最悪のケースとして、日米同盟の破綻、核不拡散レジームの崩壊、各国が核武装へ傾斜、という状況が生じても、国際社会の安定に依存する通商国家が、自国の核兵器により、自らの生存を確保し、その権益を擁護することにどれほどの意義があるかは、疑問といわざるをえない。日本の核に対する地政学上の脆弱性が克服され、相手国との被害の交換をしても、問題にならないまでに窮乏化が進んでいる、という条件が満たされれば、核のオプションもあり得ようが、そんなことは、検討に値しない──とし、@核保有国が非核兵器国に対して、核攻撃しないという「消極的安全保障」の制度化、A非核兵器国が核脅威や、核攻撃を受けた場合に国連安保理を介して、救済措置を採るという「積極的安全保障」を追求すべきで、現在NPT体制上、閉鎖的な核保有クラブとなっている安保理常任理事国のメンバーシップを、何らかの形で拡大する趣旨で国連改革を検討していくことが必要としています。
米国の核抑止力に頼ることが最良の選択としている点は、私たちの立場とは異なりますが、日本の地理的条件、人口周密度、日本が国際社会の安定に依存する通商国家であることから、核武装を否定する内容は、私たちと共通の認識とする部分が多いといえます。
報告書は最後に、核に対する無知が、核問題を厄介なものとしていると認識していくことにより、わが国の核に対する政策を発展させることが期待できる、と述べています。
日本で行われた2度の公式な検討・研究会の結論が、ともに日本の核武装を否定していることに、一応私たちは安心します。
しかし、ますます米国への傾斜を深めていく日本、さらにときとして、日本の核武装への懸念とは別に、日本の核武装を勧める意見が、米国内からも出ているのをみるとき、私たちは警戒を緩めてはならないと思います。
私たちもまた、核兵器についての知識──被害についてはもちろん、どのようにして核兵器が製造可能かなどの知識を持つことが、これからの反核運動に求められているといえます。
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