自衛隊はイラクから撤退を!
市民のネットワークが人質を解放

米軍のファルージャでの虐殺が人質事件の背景−ファルージャ攻撃を止めよう


いまや日本は戦争当事国

 イラクで引き起こされた人質事件は、日本政府が「理不尽なテロの要求には屈しない」と強行な発言に終始するなか、WORLD PEACE NOWをはじめNGOや市民、そしてイラクの人々の解放への努力によって無事解決されました。この中で明らかになったことは、改めて日本政府の無策、無責任さ、そして人質解放に助力しているイスラム宗教者委員会ムハンマド・フャイジ師も「残虐行為を続けるアメリカを支援する自衛隊には帰ってほしい。」と語っているように、自衛隊のイラク駐留は、イラク人にとって日本が占領国(戦争当事国)であることをはっきり示しました。
  しかし、多くのマスコミはイラク戦争の理由とされた大量破壊兵器が無かったこと─米国は1,400人の専門家を派遣し7ヵ月にわたって調査。しかし何も発見できず、チームの責任者デビット・ケイは「開戦当初から何も無かった」と発言し辞任。それを受けて2004年1月調査チームは帰国。(ニュ−ヨーク・タイムズ2004.1.8)─。そもそも国際社会の合意がない米・英国の戦争であること、いまやイラク市民の支持が得られていない事実です。日本はその米国に追随して自衛隊を派遣したことなど問題の本質にはほとんど言及せず、政府と同様安易な「テロに屈するな」キャンペーンを展開、解放後は政府の責任回避のための口車に乗って「自己責任論」に終始し、マスコミとして政治へのチェック機能を忘れてしまったかのようです。

ファルージャでの虐殺が人質事件を誘発
 日本人をはじめ多くの外国人の人質もしくは行方不明事件は、イラクの多くの人々が米英の占領に反対し、抵抗の戦いが高まっている中で起こっています。特に事件現場に近いファルージャでは、米軍の包囲攻撃によって女性や子ども、高齢者を含む700人もの市民が殺され、「せん滅」(サンチェス米占領軍司令官)させられるという恐怖が増幅しています。自衛隊のいるサマワでも撤退要求のデモが起こっている通 り、占領に参加し、「連合軍」の一部となっていることが、多くのイラク人の反感を招き武装グループが「自衛隊の撤退」を要求してきた大きな要因です。

戦闘拡大で死傷者急増

各種メディアによる米軍主導のイラク攻撃による市民の死者数  NGO「イラク・ボディ・カウント」の集計によれば、米英軍とその「連合軍」により殺されたイラク人は、開戦前から今年4月19日までに8875〜1万725人。これはメディアが報じた分だけで、実際はもっと多いのは確実です。米軍の死傷者はNGO「グロ−バル・セキュリティ」の集計で、昨年3月から今年4月までに死者648人負傷者3178人。米軍司令部は4月に入って米軍100人と発表していますので、死者は700人を超えました。

2003年1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
2004年1月
2月
3月
合 計 (含4月)
最少
3
4
532
5082
890
242
29
553
422
101
99
285
85
283
235
8875
最多
3
4
688
6509
1038
266
33
596
430
121
102
297
86
288
235
10725

 

■ファルージャの戦闘とは

 ファルージャは首都バグダッドから50kmの町。フセイン支持派が多いスンニ・トライアングルの南部にあり、独立心の強いドレイミ部族が多く、フセイン体制の下では冷遇されていました。このため当初、市民は米軍に強い反感を示していませんでした。しかし、03年4月フセイン政権を打倒した米軍はファルージャの小学校に拠点を設けました。そのため住民は、子どもたちのために小学校を返してほしいとデモ行進。米軍が発砲し、子どもを含む15人の市民が死亡しました。2日後虐殺に抗議した民衆に対し再び発砲2人が死亡、反米感情が一挙に高まりました。こんな中で今年、4人の米国の民間会社員(実は元特殊部隊の警備員=傭兵)が焼き殺され、死体を引き回わす、吊り下げるという事件が起こりました。これに対し米軍は、1500名の部隊を動員してファルージャを包囲。神聖なモスクを空爆するなど徹底的な報復攻撃を加えました。すでに市民の死者は700人に上り2000人以上が負傷したと伝えられています。その中には多くの女性や子ども、高齢者が含まれています。しかも米軍は「テロリストを700人殺した」と発表しています。
 17日現在、一時休戦協定が成立していますが、米軍は4人の殺害犯引き渡しを要求、市民側は米軍の撤退を要求して対立。米軍は2000人の部隊を増派。停戦中にもかかわらず狙撃兵による負傷者は増え続けている模様です。包囲した米軍は女性や子どもの市外退避は認めるものの、残った市民は「せん滅」する構え。今や「ファルージャの戦い」はイラクの反米運動のシンボルとなり、各地から義勇兵が駆けつけていると言われています。

NGOが以前から自衛隊の派兵に警告を発しています。

特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会
http://www.shaplaneer.org/press/seimei_040128.html
 今回のような「人道支援」に名を借りた、米英占領軍保護下の自衛隊派遣は、これまで日本のNGOが行ってきた、非暴力・非武装の人道支援活動に対する現地の人々の理解に、混乱や誤解を生じさせる恐れがあるだけでなく、今後のNGOの活動の妨げとなる危険性があります。また今回自衛隊が行う「人道支援」の内容も、緊急救援団体にとっては考えられないほどたくさんの人材、費用、そして時間がかかることも、強く疑問に感じます。

社団法人シャンティ国際ボランティア会
http://www.jca.apc.org/sva/topic/20040105.html
  これら日本のNGOの努力が、自衛隊の派遣によって新たな危機にさらされようとしている。なぜならば、自衛隊の派遣は、占領国統治の枠組みに組み込まれることを前提としており、すでにその時点で人道支援の原則である中立性が損なわれてしまう。その結果 、日本のNGOがおこなう人道支援活動が、軍事占領の一翼を担うものであるとイラクの人々に理解されかねないからである。

JVC(日本国際ボランティアセンター)
http://www1.jca.apc.org/jvc/jp/notice/notice20031208_iraq.html
  イラクの人々にとってマイナスの影響の大きい自衛隊派遣を行うべきではない。米軍を中心とした占領軍が治安確保をできないことが既に明らかな中にあって、自衛隊の派遣は治安の回復に何ら貢献しないばかりか、中立性、公平性を原則とする人道支援活動を阻害する。戦争を支持した日本の自衛隊は既に中立性を失っており、派遣によって人道支援活動の中立性までも失わせることを認識すべきである。


多くのイラク民衆の占領軍への反発が日増しに強まる中、流れは撤退へ

◆スペイン−サパテロ次期首相「国連主導のための新たな枠組み作りの目途がたたないため15日以内に撤退」4月19日発表
◆シンガポール─4月5日に兵士31人と輸送機1機が帰国し、イラクの任務を終了。
◆カザフスタン─派遣期限の夏で撤退を決定。
◆ホンジュラス─派遣期限の夏で撤退を決定。
◆タイ─撤退予定時期の繰り上げを表明。
◆ポーランド─クワシニエフスキ大統領が「わが国はだまされていた」と撤退時期の半年前倒しに言及。
◆ブルガリア─民間人1人が死亡、兵士3人が負傷。約60人の兵士が派遣を拒否。
◆ウクライナ─兵士1名死亡、部隊を郊外に撤退。野党「米国の国益のため死傷者が出た」と撤退要求。
◆ニュージーランド─派遣期限の9月で撤退予定。
◆オーストラリア─ヒル国防相「イラクが主権を回復した後、新政権から求められれば撤退もありうる」
◆フィリピン─アロヨ大統領「情勢次第で撤退検討」
◆オランダ─6月末に期限。世論調査は59%が撤退。
◆韓国─派遣予定地の治安悪化で4月末の派遣延期。

自らの責任を棚上げに、自己責任論

 そもそも多くの市民の反対にもかかわらず(朝日2004年2月調査で48%が自衛隊派遣に反対)戦争状態にあるイラクに「非戦闘地域」への派遣と言い、人道支援だからと言いながらアメリカ兵の輸送をし、NGOにまかせれば1億円以下の予算で10万人分の水の供給を1年間できるところを、377億円を超える予算で16,000人分の水を供給─恐ろしい税金の無駄 遣いです─このように嘘と詭弁が自衛隊派兵の実態なのです。このことによって、多くの日本人は危険にさらされることになりました。小泉首相はじめ政府首脳は、そのことの責任はまったく棚上げにし、渡航自粛を無視して行ったのだからと「自己責任論」をふりかざしています。幾つものマスコミも同調しているのは残念です。日本は自衛隊を派遣した事によって今まで築きあげてきた中東外交における財産を失ってしまったのです。
●JNNの単独インタビューに答えたアメリカのパウエル長官でさえ、日本の一部で人質になった人の自己責任を指摘したり、軽率だなどと批判する声が出ていることについて、「危険を知りながら良い目的のためにイラクに入る市民がいることを日本人は誇りに思うべきだ。もし人質になったとしても、『危険をおかしてしまったあなたがたの過ちだ』などと言うべきではない」と述べています。

■第3の部隊:民間軍事企業、元特殊部隊員で構成された「グローバル・リスク・インターナショナル」や「ミリタリー・プロフェッショナル」が有名。(ファルージャで殺害された米国人)その最大手がダインコー。イラクで10,000人以上が働いており、重要人物や施設の警備から、テロリストの摘発、イラク軍・警察の人員育成が仕事。軍服と似た制服を着ているが民間人なので軍の規律にしばらず、一般 兵より格上のため今のイラクでは取り締まる人間はいません。拷問・殺し・レイプなど問題なくできるという点で、彼らは殺しのライセンスを持った民間人です。すでに彼らの残虐行為は問題になっています。

 

学習会「有事関連7法案を検証する」
 有事関連法案が4月13日に衆議院本会議で審議入りしました。平和フォーラムは4月8日、有事法制学習会としてピースデポ副代表の田巻一彦さんを講師に学習会を開きました。 田巻さんは、有事7法案の最大の問題点は、日本の安全保障を憲法の平和主義と国際法の支配から限りなく遠ざけるもので、目的は米軍支援と自衛隊・自治体・市民の戦争動員にあると指摘しました。そして、米軍支援法案(武力攻撃事態等における米国の軍隊の行動に伴い日本が実施する措置に関する法案)や自衛隊法改正案、公共施設等利用法案とACSA改定案が、従来日本が国是としていた「専守防衛」を放棄するものであり徹底した議論をするべきだと述べました。
 さらに、「国民保護法制」の問題点として、@保護される「国民」とは誰か明確ではないことA外国籍市民の保護(迫害禁止)のための強力の条項がないことをあげ、国民保護法案の第1条に国、地方公共団体及び国民の「戦争回避努力義務」を明記し、自衛隊法第3条を改正して「国民の保護」を自衛隊の任務に加えるべきだと提起。今国会で政府が批准しようとしている「ジュネーブ条約第1議定書」の「国民保護」原則に基づいて(無差別 攻撃・民間施設・文化財や宗教施設・農地や食料貯蔵施設、ダムや原子力発電所への攻撃の禁止)軍事行動への規則強化の必要性を指摘し、「国民保護」原則を担保するために、日本が所有しているクラスター弾、米軍が所有している劣化ウラン弾の廃棄と使用禁止、対人地雷禁止条約の厳格な実施を要請するべきだと述べました。
 最後に田巻さんは、今国会でまず徹底的に論じ、解明されなければならないのは、イラク戦争の大義、大量 破壊兵器と単独主義による先制攻撃を日本政府が支持したことの是非であり、政府がイラク戦争に大義がないことを認め、イラク戦争支持の誤りを認めない限り、「国民保護法制」も他の6法案も廃案以外の選択はない。6ヵ国協議を東北アジアの非核化につなげ、対話と信頼醸成によって地域の軍縮を推進していくこと、核兵器計画廃棄の見返りに北朝鮮に「安全の保証」を与えることこそが、日本が「安全の保証」を得る近道であること、憲法の平和主義に則った「安全保障戦略」と具体的な「政策」を提起し、国民的議論を継続していくことの必要性を指摘しました。

 

小泉首相の靖国参拝に違憲判決

 小泉首相の就任後初めての靖国神社参拝が政教分離を定めた憲法に違反するかどうかについて争われた訴訟の判決で福岡地裁は4月7日「参拝は公的なもので、憲法で禁止されてた宗教活動にあたる」と述べ、違憲と判断しました。 問題となったのは、01年8月の参拝で首相の参拝の違憲性が問われた訴訟は福岡など6地裁で起こされ、今回の判決は3件目で初の違憲判断となりました。 原告の慰謝料請求は「参拝で原告らの信教の自由を侵害したとはいえない」として棄却されたものの、「事実上の勝訴」と受け止め控訴せず、勝訴した国側には控訴が認められないため福岡地裁の違憲判決が確定しました。
 判決は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と定めた憲法の政教分離原則を厳格に適用しました。こうした判断は中曽根首相(当時)の参拝をめぐる訴訟の仙台・大阪各地裁判決でも相次いでいます。 それを軽視して「私が首相である限り毎年参拝する気持ちに変わりはない」と述べ、既成事実化を図ってきた小泉首相の姿勢に、改めて厳しく警告したものです。
 また、自民党内や内閣からも強い反対意見があったことにも言及し、「憲法上の問題及び国民や諸外国からの批判があり得ることを十分承知しつつ、あえて自己の信念あるいは政治的意図に基づいて行った宗教活動」とし、違憲判断を導きました。
 各地で起こされた一連の靖国参拝訴訟で憲法判断を避けたり、原告適格を否定して門前払いしたりする判断が相次ぐ中、判決は「裁判所が判断を回避すれば、今後も同様の行為がなされる可能性が高く、違憲性を判断することは自らの責務」と、真正面 から憲法判断に取り組む司法としての姿勢を示しました。評価できる判決です。
これに対して、小泉首相は「憲法違反ではないと確信している。他の神社に参拝し、内閣総理大臣と書いているのに、どうして靖国参拝だけがとがめられるのか」と判決に不満を示していますが、国民の合意を得られる戦没者追悼施設のあり方は見通 しが立たないままです。

憲法調査会と各党の憲法論議の動き

参議院憲法調査会
 参議院では、前国会同様に、「平和主義と安全保障」をテーマとした全体討議を続けるとともに、今国会から「二院制と参議院のありかた」をテーマに小委員会を設けています。小委員会は15人で自民7・民主4・公明・共産・社民・無所属の会各1の割り当てです。2月19日の調査会では坂元一哉・大阪大学教授、佐瀬昌盛・拓殖大学海外事情研究所長の2人は「日本は集団的自衛権を国際法上保有するが、憲法上行使できない」とする政府解釈を変更すべきだと主張する一方、朝日新聞記者の田岡俊次さんはジャーナリストの立場から「集団的自衛権を認めても、米国の一部が期待する第三国での軍事的共同行動を取ることはできない」とのべました。 また、2月25日の調査会では関西学院大学・豊下楢彦教授(国際政治)は集団的自衛権行使を認めればいっそう米国の軍事戦略に組み込まれる」と警鐘を鳴らす一方、拓殖大学の森本敏教授は集団的自衛権は国家の権利として行使できるのは当然との立場から、憲法前文と9条を改定して防衛軍の保有などを明記すべきだど主張しました。3月3日には「憲法と国際法、国際連合」をテーマに3人の参考人から意見を聞き、討論。3月13日と4月15日には「二院制と参議院のあり方小委員会」を開催し、参考人からはいずれも一院制導入論に疑問符をつける意見が相次ぎ、二院制の維持が妥当との立場から参議院改革のあり方について討論がありました。
 衆議院の調査会は3月15日に広島市で9回目の地方公聴会を開催し、公募で選ばれた、広島・岡山県の6人が意見陳述。5月12・13の両日には中央公聴会が予定されています。
 こうした中、自民党は、憲法改正の具体的な手続きを定めた国民投票法案と国会法改正案を、議員立法として今国会に提出する方針でしたが、党内で法案の内容に異論が出され、また公明党にも慎重論が少なくないため、提出を見送る方向で調整に入っています。
 法案は超党派の憲法議連が2001年にまとめた案を基に作成されたものですが、「軽微な選挙違反による公民権停止者」にも投票権を与えている点や、事前運動の規制を緩和している点などに自民党内から異論が続出していました。

「裁判員制度」野党が修正対案
 裁判員制度法案の審議が3月16日、衆議院本会議で審議入りし、法務委員会で審議、参考人質疑が行われています。法案は、病気や育児、介護、仕事などのやむを得ない場合は、裁判員を辞退できる、と定めています。この他、政令で思想・信条なども辞退理由に追加する方針です。
 この措置は「どうしてもやりたくない人にも強制するのか」という自民党内の声に配慮して急遽入れることになりましたが、思想信条による辞退をどこまで認めるかは判然としません。このままでは「私の主義に反する」といえば誰でも辞退できることになりかねず、「幅広い市民参加といっても絵に描いた餅」との批判も出ています。
 こうした懸念から本会議では小林千代美議員(民主)から「裁判所はどういう基準で思想・信条による辞退を許可するのか」「裁判員休暇を創設すべきではないか」という意見が出ています。委員会では4月6日の参考人質疑で裁判員の辞退を認める規定や、裁判員の守秘義務の範囲と罰則について政府への異論や慎重な運用を求める意見が出されました。
 一方、民主党は4月13日、政府案に対する修正案をまとめ、社民・共産両党にも協調を呼び掛けています。民主党が修正を強く求めているのが裁判員の守秘義務の対象や罰則の緩和です。政府案では裁判員が任務で知り得た秘密、評議の経過を生涯他言することを禁止していますが、民主党案は対象から評議の経過を除外し、罰則も懲役刑を削除して、罰金刑が適当としています。
 さらに判決確定後は守秘義務を免除し、裁判員の経験をできるだけ社会で共有できるような制度を目指すとしています。
 また、育児・介護を担う裁判員のサポートなど環境整備をする国の努力義務も明記し、取り調べ状況の録画・録音制度を施行までに導入することも盛り込んでいます。
 与党側は、幅広い国民の司法参加を求める制度の趣旨を踏まえ、一定の修正には応じる姿勢で、与野党協議では、裁判員の守秘義務違反の刑罰として盛り込まれた懲役刑を法案から削除するかどうかが焦点となっています。
食料自給率引き上げと多様な農業の共存を
〜新たな農業基本計画とFTA問題で集会開く〜

 いま、政府・農林水産省では、「食料・農業・農村基本計画」の見直し作業を進めています。これは、2000年3月に決定した同基本計画について、「おおむね5年ごとに基本計画を変更する」という、食料・農業・農村基本法の規定に沿ったものですが、本音は、今年7月の参院選に向けて、自民党の農業政策の選挙公約の影響などがあると見られています。
 平和フォーラムは4月14日に、農民団体とともに、「──新たな基本計画策定とWTO・FTA交渉に向けて──食料自給率引き上げと多様な農業の共存をめざす全国集会」を東京・衆議院議員会館で開催しました、集会には各都道府県から150名が参加し、基本計画の見直しとWTO・FTA交渉に対する取り組みについて協議し、引き続いて農林水産省への要請を行いました。

絶望視される食料自給率引き上げ目標の達成

 現行の基本計画は、2010年を目標年次として、食料自給率を45%(カロリーベース・現在は40%)にまで引き上げることを最大の目的として、これを達成するための望ましい消費の姿や国内農業の生産目標、必要な農地面 積などを掲げていました。
 しかし、今回の見直しは農水省では、「農政の抜本的改革につながるもの」と位 置づけています。具体的には、@これまでの全農家を対象にした価格・所得政策から規模拡大などをめざすプロ農業経営をする者に絞った政策、A農業の持つ環境や資源の保全機能を重視した政策、B農地制度を見直し、株式会社の農地取得も含めた担い手対策の3つの課題の検討を参院選までに行い、自給率の検討はその後に行う予定です。
  これに対して、14日の集会で問題提起を行った東京農工大学名誉教授の梶井功さん(前同大学学長)は、「やっている順序が逆ではないか」と指摘し、「自給率の引き上げは国会で決めたもので、これまで引き上げが出来なかった要因は何かを徹底的に検証すべきだ。それを後回しにするのはおかしい」と批判しました。
 45%の目標が決められても自給率は1%も向上せず、野菜などの輸入の増加で実質的には低下しているとも言われています。このままでは目標達成が絶望的となる状況下で、基本計画を変えて、自給率目標達成を先延ばしにしようとしているのではないかとも指摘されています。これに対し農水省は「肉や脂質が増え、コメの消費が減っている食生活や、消費者に国産を選択してもらえるような農業生産が必要」としました。
 参加者からは、コメを飼料として使う方法や学校給食への地場農産物の供給、安全な有機農業の推進など、具体的な施策が必要との意見が出されました。

市場原理や株式会社の農業参入の問題

 梶井さんは、農業政策を一部の規模拡大農家に絞ることについて、「大規模農業のアメリカでさえ、農家の経営安定のために多額の財政支出をしている。市場原理で農産物価格が低迷した結果 、日本では小規模農よりも大規模層の方がもたなくなっているのが現実だ。対象を限定するよりも、欧米のように規模拡大の意欲がもてる農産物価格を設定して、市場価格との差額を財政で補てんする政策が必要」としました。
 また、株式会社の農地取得についても、「本当に農業生産で収益をあげることを目的にしているならば、賃貸借での利用権取得で十分であり、所有権に執着するのは、目的が他にあるからではないか」と、土地を投機の対象としてきたこれまでの経済政策の反省なしでの株式会社参入は問題だとしました。
 基本計画見直しは7月に中間報告が出される予定ですので、「その前に要求課題を整理し、実現に向けた取り組みを進める」(太田敏夫平和フォーラム副代表)ことにしています。
 また、集会では、WTO(世界貿易機関)やFTA(自由貿易協定)の推進による農産物自由化の問題について、脱WTO草の根キャンペーンの大野和興事務局長から、アジア全域でFTAが進む中で、各国の伝統的な小農業の崩壊している実態が報告されました。

 

東京・大阪・名古屋で出稼者集会
雇用低迷で就労環境はますます悪化
派遣や外国人労働者問題も課題に

 全国出稼組合連合会(出稼連)は、3月28日に、第40回全国出稼者大会を東京・社会文化会館で開きました。また、これに先立ち、2月1日に名古屋で、同22日に大阪でも出稼ぎ者や日雇い労働者が集まり、それぞれ集会が開かれました。3カ所での集会を通 じ、雇用の低迷で出稼ぎ者などをめぐる状況がさらに悪化していることが明らかになりました。

▼目立つ高齢化と労災の多発、賃金引き下げ
 細谷昭雄出稼連会長は「40年あまりにおよぶ出稼ぎ運動の積み重ねで勝ち取ってきた施策が空洞化して、以前の就労環境に戻ってきている」とあいさつしました。建設業を中心として公共工事の減少や、失業者の増加の中で、出稼ぎ者の賃金はここ数年引き下げが続いています。「昨年に比べて1日あたりの基本給は千円も引き下げられた」(愛知への出稼ぎ者)、「日雇い労働者の平均賃金は8千円台で、それでも仕事があるのはいい方だ」(大阪の全港湾労組西成分会)などの声が相次ぎました。
 これについて全日建運輸連帯労組の長谷川武久委員長は、「公共工事が40%も減少する中で、大手の建設会社も収益を減らしており、仕事の受注のダンピング合戦が起きている。そのしわ寄せを下請けが受けており、賃金の引き下げや工期の短縮の強要につながっている」と述べ、「業者と労働者が一緒になって雇用や生活を守る取り組みが必要だ」と訴えました。
 また、出稼ぎ者の高齢化が目立つ中で、労災も多発していることが報告されました。埼玉 の灯油巡回販売業で働いていた出稼ぎ者が、一日12時間にも及ぶ激務の影響で植物人間状態になった事件や、愛知での酒造会社で酒樽に落ちて水死した出稼ぎ者の事故に対し、出稼連が労災適用を求めて運動を行っています。出稼ぎ者職場での健診活動を行っている、首都圏出稼ぎ健診ネットワークから、「本来は出稼ぎに出る前に健康診断を行うべきなのに、受診率は年々低下して、半分以下になっている」として、高齢化が進む中で健康問題への関心を高めてほしいと強調しました。

▼雇用が不明確な派遣労働、製造業にも拡大
 最近の新たな雇用形態として、派遣労働者の問題が出てきています。これまでは派遣労働は特別 な技術や職種に限られていましたが、今年3月からは製造業についても認められました。しかし、すでに以前から派遣業者が地方で募集した労働者を、自動車や電機産業などの会社に、業務請負という形を装いながら派遣していたことも明らかになりました。
 従来は、出稼ぎ者として自動車会社などが直接雇用していた形態から、派遣業者が中間に入り、派遣先の会社と契約を結んで労働者を送り込むという形に変わってきています。労働者の賃金は派遣先の会社と請負業者の間で請負単価という形で決められ、この金額の7割程度が労働者に渡るといわれています。この方式は、派遣先の会社が、本来支払うべき労働者の社会保険などへの支出が抑えられることから、今後さらに拡大するものと見られます。
 出稼連では、派遣労働は雇用関係が不明確になり、労働者の権利の主張も出来にくくなることから、「製造業に認められたのに続いて、建設業まで認めることになるのではないか」と指摘し、日雇い労働者がなかば公然と派遣まがいに扱われている現実から、今後の労働行政の動きを注視していくことにしています。
 また、外国人労働者の問題も取り上げられました。特に、中国や東南アジアなどからの研修生・実習生として日本で働く人も多いなかで、契約が不明確であったり、言葉の問題からのトラブルも多く発生しています。外国人労働者の相談活動を続けている連合大阪ハートフルユニオンの酒井恭輔書記長は、「外国人研修・実習生が解雇されると、出入国管理の観点から滞在資格も喪失することになる。また、慣れない環境での激務で健康を害したり、業者の暴力を受けても訴える手段が分からないなどの問題が多数発生している」と実態を語りました。
 派遣や外国人労働者のこうした問題は、出稼ぎ者がこれまで経験してきた事例と重なることが多いことから、出稼連は運動の経験を生かして、関係団体と連携を強めて、問題解決に協力することにしています。

5・16普天間基地包囲を成功させよう

 沖縄県宜野湾市にある普天間飛行場(米軍海兵隊基地)は、昨年11月に訪れたラムズフェルド米国防長官が「こんな所で事故が起きない方が不思議だ」と述べたほど密集した学校や住宅のそばにある危険な基地です。昨年4月に誕生した伊波洋一市長は、「基地の5年以内の閉鎖・返還」を公約に掲げ精力的な取り組みをすすめています。また、今年8月に米国は海外を含めた軍の再編計画を策定し、来年度から実施します。この機会に95年、98年に続いて三たび普天間基地を包囲し、内外にその危険性を訴え、無条件全面 返還を求める「包囲行動」が沖縄平和運動センターの呼びかけで行われます。例年の「5・15平和行進」とともに「包囲行動」を全国的支援で成功させましょう。

  沖縄平和行進は5月13日の結団式に続いて、14〜16日まで3コースで、普天間基地包囲行動は5月16日(日)14時〜15時に行われます。

施行57周年憲法記念日集会

日時:2004年5月3日(月・祝)13時30分より
場所:日本教育会館
〈講演とシンポジウム〉
  グローバル化と憲法の平和主義
  〜「人間の安全保障」と平和的生存権を中心に
講師:武者小路 公秀 (中部大学教授)
パネリスト:郡司 真弓(WE21ジヤパン)
      江橋  崇(平和フォーラム代表・法政大教授)

 

強制連行訴訟・国に賠償命令
 第2次大戦中に中国から強制連行され、新潟港で強制労働をさせられたとして、中国人男性10人と、死亡した男性1人の遺族が、国と港湾輸送会社に計2億7,500万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が3月26日に新潟地裁でありました。
 判決は企業の労働管理が不十分だったうえ、国も十分な管理を怠ったとして、企業と国の双方が労働者に対する安全配慮義務に違反したと認定し、労働者1人あたり800万円、総額8,800万円を支払うよう命じましたが、原告の国・企業はともに控訴しました。中国人強制連行訴訟は東京・福岡など全国で12件提訴され、現在11件が係争中です。
 これまでに戦後の国の行為について賠償を命じた判決や、戦中の不法行為を認めて企業に賠償を命じた判決は1審段階で出ていますが、強制連行後の過酷な労働について国の賠償責任を認めた司法判断は初めてです。
 原告は中国・山東省などに住む76歳から83歳の元労働者ですが、原告は高齢化しており、判決の趣旨をくみ取り、政治が動いて被害者の救済を早急に進めるべきです。



平和フォーラム ミーティングルーム

 4月27日、平和フォーラム総会と原水禁の全国委員会が開催されます。平和フォーラム、原水禁の飛躍をめざして、地に足についた方針を確立したいと思います。
 イラクで、日本の青年が拘束され、解放されました。本当に良かった。解放をめざして、全力で取り組んだすべての人々にお礼を言いたい。本当にありがとう。
 拘束した武装勢力が解放を表明した声明には、「日本政府は、自衛隊を撤退させようとはしない」「我々は、外国の友好的な市民を殺すつもりはない」「日本の民衆に対して、政府に圧力をかけ、自衛隊をイラクから撤退させるよう求める」とありました。
 このことの意味をかみしめたい。私たちは、イラク戦争にも自衛隊のイラク派兵にも反対して、平和運動に取り組んできました。しかし、いま私たちは、イラク民衆に対して、加害者に成り下がってしまっているのではないでしょうか。「平和憲法を守れ」と叫んでいる私たちが。もう一度誇りを取り戻そう。