10.21国際反戦・反基地集会に参加を
  在日米軍基地の再編・強化に反対する秋の取り組み
頻発するトラブルと軍事演習
 沖縄県で7月3日、米兵が小学生女児の胸を触り写真を撮る、強制わいせつ事件がおこりました。事件に抗議して米国大使館を訪れた国会議員に、ケビン・メア安全保障課長は、「軍隊ではなく個人の問題」「一般社会でも起こり得る」と対応しました。
 7日には、沖縄を訪れた野党国会議員団と懇談したロバート・ブラックマン四軍調整官が「何もない場所に空港を造ったのに、その周囲に人が集まってきた」と発言をし、県民の怒りをかいました。12日には金武町キャンプ・ハンセン内の都市型戦闘訓練施設で、陸軍特殊部隊が実弾射撃訓練を強行。19日には県知事も参加しての1万人の抗議集会が開かれましたが、日本政府は「訓練中止を求める考えはない」とし、訓練は続いています。
 7月15日からは静岡県の東富士演習場で、在沖縄海兵隊による実弾砲撃演習が行われました。また8月26日には、米海軍のイージス艦が民間港湾の新潟東港に入港しようとしています。イラクでの戦争が泥沼化する中、出撃基地である日本では、米軍によって、市民感情を逆なでする様々な問題が起きているのです。

密室で進む米軍基地再編 焦点は今秋
 在日米軍基地の再編・強化に関する日米協議は、着々と進行しています。6月4日にはシンガポールで日米防衛外務首脳会談が、28・29日には米国で同審議官級協議が開かれました。しかし具体的な基地名・部隊名をあげた協議内容は、一切明らかにされていません。
 政府は、9月中には中間報告を発表して関係自治体から意見聴取、年内に正式決定を行うとしています。解散・総選挙の影響で、若干の日程変更はあると思われますが、米国側の事情を考えれば、この秋が焦点であることには変わりありません。自治体へのヒアリングなども、形式的なものとなるでしょう。米軍基地の再編と強化を許さないために、今秋を焦点にして、強力な運動を作っていかなければなりません。

全国基地ネット総会(沖縄県)
 平和フォーラムは、米軍基地の再編・強化に反対する闘いを、秋の最重要課題とすることにしました。
その第1弾として、9月22日(水)・23日(木)には沖縄県で、「全国基地問題ネットワーク・第9回総会」を開催します。総会では秋の闘いに向けた意思一致を行います。また都市型戦闘訓練施設の即時撤去を求める全国集会や、名護市辺野古での抗議行動、全国交流集会(シンポジウム)も予定しています。

非核・平和条例を考える全国集会inおたる(北海道)
 10月8日(土)・9日(日)には北海道小樽市で「第6回 非核・平和条例を考える全国集会inおたる」を開催します。日米政府は1997年、「新ガイドライン」に合意しました。有事に際して、自治体や民間企業が、米軍に協力することが定められたのです。
 「新ガイドライン」以降、民間港湾施設への米軍艦船の入港が続きました。こうした中で1999年、第1回の全国集会を函館で開催。以降、自治体や労働者が戦争協力を拒否する具体的な方法を、市民・労働者・学者が一緒になって考えています。

10.21国際反戦反基地集会(東京)

 10月21日(金)には「国際反戦反基地集会」を日比谷公園野外音楽堂で、22日(土)には「国際シンポジウム」を社会文化会館で開催します。集会とシンポジウムには、韓国・フィリピン・オーストラリア・グァムなどの反基地運動団体からのゲストを招待して、各国の米軍基地情報を交換すると共に、アジア太平洋地域の反基地・平和運動の連携について協議します。
 平和フォーラムはこの集会とシンポジウムに、全国からの最大の参加をお願いします。

各地区でも独自の取り組み
 各地域でも秋に向けて、平和運動センター主催の集会や市民団体と共催の集会が計画されています。9月4日には沖縄の「ヘリ基地反対協議会」が平和フォーラムや東京の市民団体と協力して、「9・4防衛庁人間の鎖」行動を行います。10月14日(金)には横田基地抗議行動(東京)が、10月23日(日)には横須賀ピースフェスティバル(神奈川県)が予定されています。11月には、原子力空母の横須賀母港化反対を、米議会に伝えるための訪米団が計画されています。
 在日米軍基地の再編・強化を許さないために、日本を侵略の拠点にさせないために、この秋全力で取り組みましょう。  

BSE問題で日米公開討論会
問題が多い米国産牛肉の輸入再開
 2003年にBSE(牛海綿状脳症)が発生したために、現在、輸入が止まっているアメリカ産牛肉の輸入問題をめぐって、アメリカ政府からは早期の輸入再開を求める圧力が強まっています。また、食品安全委員会にも、農林水産省、厚生労働省が輸入再開にむけた諮問が出され、検討が続けられています。
 しかし、アメリカでは6月に2頭目のBSE感染牛が見つかり、さらに7月にも3頭目の疑いのある牛が発見されています。これらは、検査後に発見されるなど、アメリカでの検査体制の不備が指摘されています。
 この問題について、平和フォーラムは、消費者団体や農民団体などとともに、7月26日に「大丈夫?アメリカ産牛肉の輸入 日米公開討論会」を東京・憲政記念館で開きました。アメリカ側からは在日米国大使館のクレイ・ハミルトン首席農務官が出席し、日本の食品安全委員会プリオン専門調査会の金子清俊座長代理(東京医科大教授)、日本消費者連盟の山浦康明副代表、鳥取県畜産農協の鎌谷一也組合長と討論しました。
 特に問題となったのは、BSEの検査方法や飼料の規制、特定危険部位の除去の実効性、肉骨粉の取り扱いなどです。アメリカでは、と畜される牛の1%しか検査を実施しておらず、その方法も日本よりも緩やかなものです。食品安全委員会の資料では、日本では、健康な牛からも9頭の感染牛が見つかっているのに対し、アメリカでは対象を死亡牛などのリスクの大きい牛に絞った検査となっています。
 これに対し、ハミルトン農務官は「BSE対策には、検査体制よりも特定危険部位の除去のほうが重要だ」として、「米国のBSE対策は有効に機能している」と、これまでの主張を繰り返しました。
 しかし、BSEの原因となる異常プリオンが溜まる特定危険部位については、日本では全頭から除去しているのに対して、アメリカは30ヵ月齢以上の牛に限られており、その根拠も明確にされていません。また、汚染源といわれる肉骨粉についても、日本は全面的に焼却処分しているのに対し、アメリカではこれを豚等の飼料として使われています。こうしたことから、食品安全委員会でも、飼料を通じて感染が拡がる「交差汚染」の可能性があると指摘しています。
 ハミルトン農務官は、「アメリカでは消費者はみんな安心して牛肉を食べている」「日本で適切とされていることが米国でも適切であるとは限らない」と、日本の基準にあわせようという姿勢はまったく示そうとしないばかりか、「食品安全委員会の審議のスピードが遅すぎる」「日本の消費者も米国産牛肉を欲している」と、脅しともとれる発言も出されました。
 このような、なりふりかまわないアメリカ側の姿勢に消費者から強い反発が出されており、出席した金子清俊食品安全委座長代理も、「消費者の納得を得られる対策を講じることが、米国のBSE対策への評価につながる」とし、両国で議論を尽くして、拙速な輸入再開をすべきでないとの態度を示しました。


WTO閣僚会議が12月に香港で開催
公正・公平な貿易ルール求め代表派遣
 WTO(世界貿易機関)は、12月13日から18日まで、香港で第6回閣僚会議を開催し、新たな貿易ルールを決めようとしています。それにむけて現在、各分野の交渉が行われていますが、先進国と途上国、輸出国と輸入国との対立が激しくなっています。
 最大の焦点である農業分野では、日本の米など高い関税品目について一律に一定関税率以下にする上限関税の導入や、アメリカなどが行っている国内の補助政策や輸出補助政策などをめぐって激しい議論が展開されています。農業分野以外でも、公共サービスの民営化、自由貿易による環境や食の安全への影響など、WTO交渉での課題が山積しています。
 平和フォーラムは、市民団体、農民団体と連携をとり、12月の閣僚会議に対する行動への代表派遣を行います。現地では、閣僚会議への要求活動、各国のNGO等との討議、集会・デモ行進等に参加します。期間は12月12日〜19日で、費用は一人20万円程度(交通・宿泊・食費・通訳代等)、20名程度の派遣を予定し、募集期間は10月末までとしています。  

秋期のストップ再処理全国行動に全国から結集を!
動かしちゃならない! 六ヶ所プルトニウム生産工場
はじめに─トラブルつづく再処理工場
 1996年12月の操業予定だった六ヶ所再処理工場は、2007年5月に操業が繰り延べされています。その操業に向けていま、劣化ウランを使ったウラン試験が昨年12月から強行され現在もつづいています。
 しかし、六ヶ所再処理工場の使用済み核燃料プールで、6月8日に再び漏えいが確認されました。建設時の手抜き工事と「総点検」時の見落としという二重のミスが招いたものでした。手抜き工事の発覚や設計ミスの発覚、各種のトラブルなど、日本原燃の安全性に対する能力に大きな問題が現れています。このままアクティブ試験(使用済み核燃料を使った試験)や本格運転が実施されるならば、いずれ大事故に結びつくのではないかと懸念されています。

破綻する再処理路線
 たびたび起きる事故や設計ミスの発覚などで、工場の稼働時期が06年から07年に遅れることが発表され、六ヶ所再処理工場の操業を延期したことによって、建設工事費が2兆1,400億円から2兆1,900億に跳ね上がりました。たった10ヵ月の延期で500億円もの巨額な資金が追加されることになり、今後もまだまだ巨額の資金の追加が予想されます。
 すでに再処理工場とMOX工場の建設・運営にかかわる全費用は約12兆円もの巨額な資金がかかると言われています。さらに、再処理そのもののコストは、経済産業省の試算でも、使用済み核燃料の直接処分のほうがはるかに安いという結果がでています。経済性だけでも、すでに再処理は破綻していることは明らかです。
 再処理工場から取り出したプルトニウムは、もともと高速増殖炉に使用することによって意味をもつものでしたが、その高速増殖の開発は、実用化2段階前の原型炉「もんじゅ」が1995年12月にナトリウム漏れ火災事故を起こし、現在も止まったままです。2000年の原子力長計では、高速増殖炉開発は目的ではなく選択肢の一つとなり、2005年の原子力長計では、引きつづき再処理路線は掲げています。その中では高速増殖炉の実用化を2050年といっていますが、その実用の具体性のかけらもない数字が出ただけで、その実現はほとんどないといわれています。
 さらに、つなぎとしてのプルサーマル計画は、普通の原子力発電よりさらに危険で、各地で反対の声が大きく、先行していた東電や関電では頓挫し、未だ実現していません。現在、玄海原発、伊方原発、島根原発で実施に向けた動きが出ていますが、すんなり進むとは考えられません。ウランについては、本格的な利用計画すらありません。
 すでに日本は40トンを超えるプルトニウムを持っています。再処理工場の本格稼働すれば、1年間で、長崎型原爆1,000個分ものプルトニウムを取り出すことができます。これ以上再処理工場でプルトニウムを作りだすことは、日本が国際公約している「余剰プルトニウムを持たない」約束を破り続けることになり、周辺国からも日本が「核武装」の疑惑の目で見られます。そして大量のプルトニウムは、核拡散の観点からも今年5月のNPT再検討会議でも国際的に問題にされました。
 また、再処理工場が一日動くと、原子力発電所1年分の放射能が出るといわれています。日常的に地域をトリチウムやヨウ素、コバルト、セシウムなどの放射能で汚染し、いったん大事故が発生すれば、地球規模の被害をもたらします。

おわりに─秋期行動に全国からの結集を
 様々な問題をかかえ、再処理の意義すら失っているにもかかわらず、いまだ07年の稼働にむけて建設─試験が強行されています。この秋、この再処理問題を大きな焦点にすべく、現在進められている「止めよう再処理!100万人署名」を10月末に集約し、国をはじめ関係機関に提出(11月15日)すると同時に、国会前での連日の座り込みや省庁行動、議員要請(11月15日〜18日)を行い、11月19日には5,000名を超える全国集会を首都・東京(日比谷野外音楽堂)で行い、広く六ヶ所の問題をアピールしていきます。
 その中で、政府のプルトニウム利用路線に歯止めをかけ、政策転換の契機としていきます。ぜひ、この11月には全国の力を東京に結集させてください。  

23年目の上関原発建設阻止の取り組み
原水爆禁止山口県民会議 議長 中嶋 光雄
 上関原発建設計画が表面化して23年。原発建設予定地の海上約3.5?沖合いに祝島があります。まさに目と鼻の先、玄関先に原発が建設されようとしています。
 島民の中に、原発の下請け作業を経験して被曝された人々がおられ、原発の視察旅行に参加したことがある人たち(特に女性)と一緒に立ち上がり、「原発を見ながらの生活や、離島で逃げ場がない」などを訴え、島内の9割を超える住民で82年10月、反原発組織を結成、同年11月から現在まで毎週月曜日に島内デモを実施しており、今年6月13日に900回目になりました。
 祝島も含めた現地の「原発に反対する上関町民の会」、市民団体の「原発いらん!山口ネットワーク」(長島の自然を守る会など)そして原水爆禁止山口県民会議の三者が、96年6月、旧電調審上程を阻止するため、初めて一堂に会し、1,600人規模の大集会を成功させた以後、座り込みや阻止行動、10・26反原子力デー、4・23知事同意抗議集会などの県民集会の取り組み、県・中国電力や上関周辺自治体への申し入れ、裁判闘争や学習会開催など三団体で連携・共闘を図っています。そして、2ヵ月に1回のペースで上関町全戸ビラ入れ行動を展開しています。
 現在、中国電力は炉心設置許可申請に必要な詳細調査を強行しています。陸上では4月13日から開始しようとしましたので、百名規模で座り込みました。県警にごぼう抜きされ1日もちませんでしたが自然観察ハイクなどで抵抗しています。しかし、海上では6月21日から23日まで3日間阻止することができ、7月6日、29日にも阻止しました。そして8月5日には「原水禁60広島大会・上関原発反対現地交流ツアー」参加者のみなさんの協力も得て作業を阻止しています。
 近々第4波・5波も予定されていますが、なにせ味方は漁を休んでの阻止行動です。敵は賛成派の漁船を金で雇って警戒に当たらせています。持てるものと持たざる者の闘いが続いています。この闘いにおいても地元住民どうしの対立を中電は持ち込んでいます。
 いまだ、土地・漁業権・環境問題など未解決なままです。土地問題は、予定地のうち7割強を中電が買収済みとはいえ、炉心予定地にあたる「四代共有地・9,500?」訴訟で03年3月に岩国地裁が中電に立ち木の伐採や整地をしないよう命じたためボーリングなどの調査は出来ないままで広島高裁の今年10月20日の判決待ちになっています。
 もんじゅ最高裁判決に危機感を抱き急きょ始めた、「四代共有地裁判に対して、原告住民の権利を認め公正かつ厳密な判決を求める緊急請願署名」は10万筆を突破。ご協力に感謝します。
 さらには炉心地直近の「10haの神社地」訴訟では、所有権移転登記抹消と本件にかかわって神社地売却に反対していた宮司の解任無効や地位保全、そして私文書偽造(宮司辞職願い捏造)を県検察庁に捜査要請中です。
 漁業権関係では、予定地地先にその漁場のほとんどを依存する祝島漁協が、関係8漁協でなる共同漁業権管理委員会の漁業補償契約の無効を求めて係争中です。(125億5千万円の半額が支払済み。祝島分は5億円ですが受け取り拒否)。
 そして、裁判の過程で許可・自由漁業者への補償問題が未解決なことが明らかになりつつあり、この8月1日に漁協と許可・自由漁業者で詳細調査差し止めの仮処分申請を地裁に提出しています。環境問題でも、周辺海域は開発が進む前の瀬戸内海の状態を維持しており、埋め立て予定地の近くでスナメリをはじめ、カクメイ科の貝など学術的に重要な生物の生息が確認されています。
 陸上でも希少種や絶滅危惧種が多く見つかっています。また、予定地にある田ノ浦遺跡からは木の葉模様を施した弥生時代前期末のつぼが出土したことも明らかになっています。町を二分した闘いは長期化していますが、「負けない闘い(故松下竜一さんのことば)」を貫こうと頑張っています。  

60年目のヒバクシャの思い
ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ国際市民会議
ヒバクの普遍化をどう実現するかが課題

広島、長崎のヒバクが原点
 7月29日から31日にかけて東京・日本青年館で、被爆60年を記念して「ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ国際市民会議」(原水禁も参加する同集会実行委員会主催)が開催されました。テーマは多彩で、@「広島・長崎の原爆被害の実相解明」、A「核兵器の犯罪性」、B「被爆者の要求と権利」、C「ヒロシマ・ナガサキの継承」の4つのテーマで分科会がもたれました。日本被団協は現在、原爆症認定をめぐって集団訴訟を全国で展開中ということもあり、テーマ@とAに最も多くの時間が割かれました。
 この会議で語られる広島、長崎のヒバクシャ一人一人の発言は、60年を経た現在も生々しく、聞くものに大きな感銘を与えました。あらためて原爆によって自ら傷ついただけでなく、肉親を失い、生活を破壊されたヒバクシャの心に、いまもなお深い傷が残されていることを痛感させられました。
 その意味で広島、長崎のヒバクシャは、ヒバクについて考えるに当たっての原点といえます。
 被爆60年の今年、広島、長崎のヒバクシャの平均年齢は70歳を越えました。そしてヒバク体験は戦争体験とともに、風化し続けているなかで、今回の会議は、広島、長崎のヒバク体験をどのように継承していくのか、普遍化していくのかが問われる重要な会議だったといえます。

ヒバクの普遍化のために
 このような視点から「ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ国際市民会議」を見てみると、いくつかの問題点も明らかとなりました。
 第1に、広島、長崎のヒバクが原子爆弾によるものであるため(総エネルギーの内15%が放射線、50%が熱線、35%が爆風)、街も人も熱線に焼かれ、強烈な爆風にさらされたことから、核兵器によるヒバクと、他の原子力開発によるヒバクは別だとの意識が強く存在し続けていると感じたことです。
 この認識はある意味では正しく、しかし一方では広島、長崎の被爆体験を普遍化するという点で、妨げにもなっていると考えます。
 体験的には、広島、長崎のヒバクとチェルノブィリのヒバクは異なるとしても、ヒバクによる被害は同じなのです。広島、長崎のヒバクシャがチェルノブィリのヒバクや、劣化ウラン弾によるヒバクを同じ原子力によるヒバクと理解し、連帯することがないと、広島、長崎のヒバクは過去のヒバクではなく、現在も存在するヒバクとして引き継がれないと考えるのです。
 六ヶ所村再処理工場が万一運転されるとしたら、どれほどの放射能汚染が、未来の世代を傷つけることになるのか、そのことに配慮することなく、ただヒバクの継承を訴えても意味がないでしょう。

韓国・アジアへの加害とどう向き合うのか
 第2の問題点は、在外ヒバクシャと日本に生活しているヒバクシャとの間に存在している大きな差異です。それは日本政府によってもたらされた差別であるとしても、日本のヒバクシャ運動の中心課題になってこなかったとことも事実です。
 会議に参加した在韓ヒバクシャや在ブラジルヒバクシャは、日本在住ヒバクシャが、原爆投下当時のそれぞれの悲惨な状況や、その後の放射線による苦しみを語ったのとは対照的に、被爆当時の状況について、いっさい語ることなしに、日本在住ヒバクシャと同じ権利を得るために、どれほど辛く、苦しい闘いや運動を続けてきたかの話に終始しました。それは聞くものに、辛く悲しい思いを与えるとともに、日本在住ヒバクシャとの落差にあらためて衝撃を受けました。
 在韓ヒバクシャは、多くの裁判を日本で起こし、一つ一つ勝利することによってしか、日本在住ヒバクシャと同じ状態に近づくことができなかったのです。しかもまだ完全に同等ではなく、裁判は現在も続いています。そしてその裁判は「韓国人被爆者を救援する市民の会」という市民団体によって支援されているのが実情です。
 これは「核兵器の犯罪性」の全体分科会で、韓国の権赫泰(コン・ヒョッテ=韓国・聖公会大学教授)さんが、「核兵器に反対する韓国の反核活動家の多くは、日本への原爆投下は、日本の植民地支配から脱するために必要だったと考えている」との発言に、私たちがどう応えるかの問題にも通じるものです。
 ヒバクの普遍性・国際性を語るとき、日本の韓国に対する植民地支配、アジア・太平洋の人たちへの日本の加害に、どう向き合うかが迫られるのです。
 集会宣言には、在外ヒバクシャとの差別解消が述べられていますが、宣言だけに終わってはならないのです。

被爆二世・三世運動のもつ未来への希望
 一方、被爆二世・三世の運動は、ヒバクシャ運動の未来に新しい希望も与えるものでした。地域によっては、行政による健康診断や医療への援助など、進んだ対応が紹介され、それはその地域のヒバクシャ運動の努力によるものといえます。
 しかし「全国被爆二世団体連絡協議会」の運動は、二世・三世みずからが、広島、長崎のヒバク体験を継承し、自分たちの生活を保障するために運動を始めたという点で、画期的です。しかも、その運動は韓国在住ヒバクシャの二世・三世との連帯に進み始めています。
 そこには放射線ヒバクに対する理解が存在しているだけでなく、ヒバクの普遍性、国際性に大きな未来を切り開くものといえます。

【宣 言】(要旨)
 世界各国から東京の「ノーモア ヒロシマ・ナガサキ国際市民会議」に集った私たちは、宣言する。
 広島、長崎に原爆が投下されてから60年を迎える。瞬時に消し去られた街、熱線により蒸発し、全身を焼かれ、皮膚をぼろ布のように垂らし、飛び出した眼球をぶら下げた人々。失われた数十万の命と数十万の人々の苦しみ。被爆者達は「この世の地獄」と呼ぶ。
 生き延びた人々、そして救援に赴いた人をもその後襲い続ける放射能の恐怖と遅れた原爆死。その度によみがえる地獄の体験。内部被曝の長期的影響。広島、長崎の被害と苦痛は、人類史上空前かつ比類なきものであった。
 核兵器の使用は全面的に国際法上違法であり、いくつもの国際法の基本原則に明白に反する。それは犯罪であり、人道に対する罪を構成する。しかし、核保有国をはじめ世界各国政府は、この違法性と犯罪性をいまだに認めていない。米国政府は、なお原爆投下が誤りであったと認めず、原爆投下が多くの人命を救い戦争の終結を早めたとする主張をなお、流布している。
 核兵器開発のプロセスは世界各地に多くのヒバクシャを生み出し、3万発の核兵器が一瞬の休みもなく人類の文明と生存を脅かしている。そして今、核兵器の先制使用すら唱える国もあり、人類史上かつてない危機に直面している。
 ヒロシマ、ナガサキの被爆者は、世界のヒバクシャとそして世界の平和を愛する人々と連帯しながら、「ノー・モア・ヒバクシャ」と訴え続けてきた。
 被爆から60年、被爆者に残された時間は長くない。核兵器の残虐性が人間の記憶から消え、痛みが忘れ去られるとき、ヒロシマ・ナガサキはくりかえされる。
 世界のすべての政府が核兵器の違法性と犯罪性を認めるまで、世界中で核兵器の犯罪性を主張し続けなければならない。これこそ、本国際市民会議の訴えるメッセージである。
●各国政府と市民に以下の点を世界的に強く伝え広めていくことを呼びかける。
 aヒロシマ・ナガサキと悲劇と被爆の実相
 b核兵器の開発・製造・実験・使用及び使用の威嚇の違法性と犯罪性
 c核使用と第三次世界大戦そして人類文明の消滅をも引き起こしかねない現在の危険な政策
●日本、朝鮮半島の被爆者そして他の国々に住むヒバクシャの日本及び関係政府による補償と援護の要求を支持し、支援を強めよう。その補償と援護に差別があってはならない。
●日本政府は、アメリカの核兵器政策に対する支持を止めよ。アメリカの核の傘から離脱して非核平和政策へ明確に転換せよ。被爆体験に基づく戦争放棄の憲法9条に則った平和のイニシアティブを発揮せよ。植民地支配と戦争で与えた被害に対する謝罪と補償せよ。
●全ての核保有国は、国際司法裁判所における全員一致の意見に基づき核兵器開発を止め保有核兵器を廃棄せよ。核兵器廃絶条約の交渉を即時に開始し早期に締結せよ。 

この秋、新しい政権を作り出そう
原水禁大会の新しい取り組み
 原水禁の世界大会が終了しました。今年は、広島、長崎とも開会総会を、連合、原水禁、核禁会議の3団体で共同開催し、分科会、ひろば、まとめ集会、平和行進は従来どおり、原水禁独自で取り組みました。そして開会総会には、広島には8,500人、長崎には、5,600人が参加しました。また今年の新しい取り組みとして、「木のブロック」の(大きさは名刺大で、個人、個人の思いを書き込み、それを連ねる)取り組みを行いました。ドイツからの分と合わせて、85,000個になりました。本当にすばらしい「核兵器を包囲する壁」が広島の原爆ドームと長崎の爆心地公園でできました。
 3団体の共同開催は、「平和・核軍縮」と「被爆者の権利拡大」の二点に絞り、「核兵器廃絶1,000万人署名・ニューヨーク行動」、「権利拡大めざしての厚生労働省共同交渉」など共同行動を積み重ねての取り組みでした。運動の輪は確実に広がり、新しい一歩を確実に踏み出しました。
 しかし、原水禁の取り組みの3本柱のひとつである「脱原発」の取り組みが、共同の取り組みの課題になっていない、開会総会で「基調提起がない」など課題もあります。「来年の大会にあり方について」は、今年の大会の総括を全体で行いながら、決定していく必要があります。
小泉自公政権に終止符を、民主党を中心とする政権を
 日本の政治は、小泉政権が、8月8日、「衆議院」を解散し、9月11日投票の総選挙闘争に「文字通り」突入しています。何としても、小泉政権に終止符を打ち、新たな政権を作り出さなければ、日本の将来は非常に暗いものになってしまいます。なぜなら2001年小泉政権誕生以降、現政権は、「軍事大国化路線」を突き進むと同時に「構造改革」の名も下に、国民生活の破壊を続けています。今回の選挙の争点は、このことです。
 外交・安全保障政策面では、国連・国際法無視のブッシュ政権との同盟体制の強化、アフガン戦争への協力、イラクへの自衛隊の派兵、有事法制の確立、教育基本法・憲法改悪への準備、米軍のトランスフォーメションへの全面協力などなど、「軍事大国化路線の推進」これが小泉政権です。
 内政面では、「弱肉強食の市場万能路線」、不況継続による市民の生活の破壊、富めるものと貧しいものとの2極化、社会保障制度改革などのセーフティネット構築の先送り、大増税路線、これが小泉政権です。自殺者が年間約35,000人、1日100人。この数字ひとつとっても、日本の異常さが見えてきます。
 何としても「小泉政権」に終止符を打つため、「平和と西欧型の社会民主主義」の確立をめざして「民主党、社民党」の野党とともに奮闘しよう。9・11を「日本の新しい出発の日」しよう。