2006年度の平和フォーラム・原水禁の取り組みについて
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はじめに
4月20日、平和フォーラムの第8回総会が開催されます。一年間の総括を行いながら、闘う方針が確立される予定です。2005年度は本当に多くの課題がありました。私たちは、「憲法理念の実現、人間の安全保障の確立」を基本路線に、国際的には、米ブッシュ・ネオコンによる世界の経済的、政治的、軍事的支配に対抗して闘いを続けてきました。また国内的には、ブッシュ共和党政権に追随し、日本の軍事大国化・市場万能主義路線をひた走る小泉自公政権に対抗しての闘いの連続でした。全国各地で本当に多くの取り組みと闘いを積み重ねました。この1年、私たちの闘いに、ご結集、ご支援本当にありがとうございました。
求められていた課題に、平和フォーラム・原水禁が応えることができたのかと総括すれば、私たちは全力で取り組んできたつもりですが、不十分な点も多くあり、多くの克服すべき課題も見えてきます。最大の課題は、野党、連合を初めとする労働団体、平和団体、市民団体を総結集して、小泉自公政権を追い詰め、政策転換・与野党逆転も状況を作りきれていないことです。小泉自公政権の右展開を許し続けてしまっています。運動の組み立て方の課題としても、大組織としての運営上の課題、政策実現力量の課題、野党との連携のあり方の課題、連帯拡大の課題、組織強化・拡大など多くの課題があります。来年に向けては、こうした課題の克服めざして取り組みたいと思います。
2006年度運動方針の重点
2006年度の方針上でのいくつかのポイントを提起します。一つは、憲法課題についてです。
平和フォーラムの基本方針は、憲法前文、9条、最高法規の改悪に反対し、憲法理念の実現をめざすことです。あわせて、条文を守るだけではなく、解釈改憲によって空洞化している「憲法9条」の実態、小泉自公政権までの保守政権が創り上げてきた米国追従の軍事大国化の実態と対決することです。全国各地で仲間が闘っています。また平和と軍縮をめざす平和基本法の制定も提起しています。憲法9条を守り、国民投票法案の成立を許さないため、圧倒的多数の市民団体、野党が結集する大きな運動を作りあげたいと思います。
二つ目は米軍再編成との対決です。
米軍再編成の本質は明確です。米軍主導による更なる日米軍事同盟体制の強化であり、憲法の蹂躙、日米安保条約すら踏み越えるものです。そして中東から東アジアまで、自衛隊が米軍とともに闘う体制に組み込まれることです。平和団体は当然ですが、全国で関係する自治体も、連合も反対の立場を明確にし、取り組んでいます。なんとしても総がかり体制で、米軍の再編成を止めましょう。
三点目は、平和・核軍縮の課題、ヒバクシャ援護の課題についてです。核保有国の核軍縮が進まない中で、核拡散の危険な事態が進行しています。私たちは、すべての国の核兵器廃絶めざして、NPT条約、2005年再検討会議の13項目プラス2の合意項目の実現、平和市長会議2020ビジョンの実現、東北アジア非核地帯化の実現めざして、取り組みを強化します。またヒバクシャ課題については、広島、長崎における被爆による課題、核実験による被爆課題だけでなく、原発関連施設稼働による課題、ウラン採掘、劣化ウラン弾などによる被爆など課題は拡大しています。広島、長崎における課題を原点にしながら、当事者団体、連合と連携して、課題の前進をめざします。
四点目は、脱原発課題で、焦点は、青森の再処理工場の稼働阻止とプルサーマル計画阻止の闘いです。青森現地での闘い、福島や新潟、福井、佐賀、愛媛、静岡等のプルサーマル反対の闘いを全国の課題として闘いを構築したい。
五点目は、組織の課題です。平和フォーラム・原水禁の今後の方向については、多くの議論があります。しかし小泉政権のもとで時代が右旋回し、軍事大国化の道を突き進んでいます。こうした事態の下では、平和フォーラム・原水禁の組織の強化を図らねばなりません。同時に連合や市民団体、平和団体、人権関連団体、野党、等小泉政権対抗する諸勢力を総結集し、政策転換・小泉内閣を退陣に追い込む陣形をぜひとも作る必要があります。
平和フォーラム・原水禁は、長い歴史の中で、多くの課題を先進的に取り組んできました。今年も、そうした伝統を引き継ぎながら、私たちが新しい時代を創り出すのだとの決意でがんばりあいましょう。
今、岩国基地で防衛施設庁は総事業費約2,400億円で現在の滑走路を約1km東側沖合いに移設する事業(埋め立て面積、約213ha)を09年3月の完成めざして進めています。しかも裏で官製談合を行いながら。怒・・!
04年7月に行われた米軍再編協議において米海軍厚木基地を岩国基地へ移転する案が突然に示されてから、04年10月9日(土)1,500人規模の「在日米軍基地機能強化反対! 10・9中国ブロック岩国集会」を開催。日米地位協定改定、NLP受け入れ反対、普天間基地無条件返還、辺野古代替基地建設反対を訴えてきました。
05年10月の日米両政府の中間報告の合意以降は、連合と共闘して、「10・23岩国基地機能強化反対3,000人集会」を成功させ、北原防衛施設庁長官、額賀防衛庁長官、麻生外務大臣と入れ替わり立ち代り、県知事と岩国市長に飴を持って説得に来る度に、県庁前・市役所前で座り込み抗議行動を展開してきました。
しかし、ここにきて県知事は「国の安全保障にかかる政策判断は、県として一定の理解を示す必要がある」「騒音や安全性の面で基地周辺住民の生活環境が現状より悪化するとは言えない」との見解を示し、騒音被害を少しでも緩和して欲しいとの、市民の切なる要請に応えたものと思われてきた滑走路沖合移設が、基地機能強化によるさらなる被害拡大を強いるものであることが明らかとなり、岩国市民と山口県民は裏切られ、だまされた事となり、これまで我慢に我慢を重ねてきた岩国市民の怒りは頂点に達しました。
一方で、基地機能の拡大を容認し、さらには歓迎し、国からの甘い汁を期待する勢力も表面化し力を増しつつあります。
このような情勢の下、岩国市長が2月7日、空母艦載機移転の賛否を問う住民投票(3月5日告示、12日投票。受入れに賛成か反対かの二者択一で、投票率が50%未満なら開票されない。)を発議したのを受けて、市民団体が決起し、「3・5住民投票を成功させる岩国集会」を開催、予想を超える1,500名が集まり、投票へ行こう!という意志をしめす「3・12GO!」の人文字をつくりました。集会前段には、平和フォーラムの緊急の呼びかけに応えて西日本各地から約500名が駆けつけてくれミニ集会の後、岩国市内15,000世帯に投票を呼びかけるビラを配布と街宣行動を実施しました。
しかし、県知事は住民投票に露骨に不快感を表明。地元(?)の安倍官房長官は「安全保障を住民投票するのは疑問。数千万の無駄遣い」発言。そして国政選挙を上回るペースの期日前投票に「投票しよう」の熱気を感じて慌ててか、開会中の県議会で副知事は、TV報道で、ある大学教授が言った「市長は市長選に向けた戦略と位置づけているのではないか」のコメントを引用し、公務棚上げで市長は奔走と批判答弁しました。
これらに彼らの本音と恐れが透けて見えました。
結果は、反対が9割近くの圧倒的な勝利(投票率58.68%、反対87.4%。有資格者の51.3%という絶対多数の民意)で、アメリカが「基地再編案はパッケージ」と主張するなかで住民の頭越しに協議を進めてきた政府に痛撃を与え、そして、容認に傾いた県当局を充分に動揺させることができました。
しかし、早速、政府や自民党幹部からは「住民投票の結果」について過小評価する声が相次いでいます。
基地と共存し、反対運動の起きない街・岩国といわれてきた「岩国のたたかい」のスタートです。私たちは、岩国基地を戦争・侵略のためのアジア最大の出撃拠点にさせるわけにはいきません。「人間の安全保障」を確立するために、日米地位協定の抜本改定を求め、すべての在日米軍基地の機能強化に反対し、最終的に基地撤去を実現するために連帯して粘り強い運動を展開していく決意です。
平和フォーラムは、3月1日〜2日に静岡市で全国から200名が参加して全国活動者会議を開き、2006年度の運動と組織方針について提起と討議が行われました。この会議の中での2つの講演の概要を紹介します。
半田滋さんは、東京新聞社会部防衛庁担当の記者で、自衛隊や在日米軍に関する取材を専門にしています。昨年『闘えない軍隊 肥大化する自衛隊の苦悶』(講談社新書)を発行しました。
在日米軍再編の本質
半田さんは10月29日に発表された在日米軍再編の「中間報告」について、「事前に本質的な報道が十分にされなかった。その原因は、日本政府が記者には内容を漏らさないという大前提で臨んだからだ。交渉経過が記事になると、世論の反応で交渉が進まなくなるのを嫌ったのだ」と説明しました。その上で普天間基地の辺野古移転案については、様々な報道がされたことを「日本案に不満な米国が米国案をリークし、対抗して外務省と防衛庁がそれぞれの案をリークしたからだ」と、日米双方の恣意的な情報操作の問題を指摘しました。
半田さんは、在日米軍再編の本質を、「日本を米国の前線司令部および出撃基地として強化すること」と、「自衛隊を米軍の後方支援部隊に組み込んで、世界中の戦争に出撃させる態勢を整えること」にあると指摘しました。出撃拠点としてはすでに、空軍の三沢基地・嘉手納基地、海軍の横須賀基地、海兵隊の岩国基地・佐世保基地・沖縄があります。また今回の再編計画で、米陸軍第1軍団司令部が、キャンプ座間に移転します。米第5空軍司令部がある横田基地には、航空自衛隊航空総隊司令部が移転され、日米の「共同統合運用調整所」が設置されます。ここでは日米共同で、ミサイル防衛に対処することになります。
日本側2つの問題点
半田さんは在日米軍再編に対する日本政府の問題点として、2つをあげました。1つは自治体への説明不足です。基地の移転は日本政府の責任で実施されます。基地移転に関係する自治体は12都道県、43市町村ありますが、政府は「中間報告」決定前に関係自治体への打診を行いませんでした。そのため、了承したのは横田基地のある東京・瑞穂町だけで、多くの自治体が再編に反対しています。
2つ目は基地移転に関連する費用を、日本が負担することです。沖縄に駐留する海兵隊のグァムへの移転費用も、日本が負担します。また厚木基地から岩国基地へ移転する空母艦載機部隊が使用する、格納庫や官舎、家族住宅の建設費も日本負担なのです。
半田さんは在日米軍再編が進行した要因を、米国の圧力だけではなく、「日本が、自分でまいた種の刈り取りだ」といいます。「テロ特措法」による海上自衛隊のインド洋派遣、「イラク特措法」による陸上自衛隊・航空自衛隊のイラク派遣によって、自衛隊は米軍を支援し、現場レベルでは日米は一体化しています。米側の本音は、「いまも一緒にやっているのだから、今後も一緒にやろう」、「基地も一緒にしよう」と言うことだそうです。
米軍再編と憲法改正
また半田さんは、「中間報告は10月29日に発表されたが、28日の午前中には米国が横須賀港への原子力空母の配備を発表し、外務省がOKを出す。同日午後には自民党が、『自衛軍』を明記した憲法草案を発表する。日本は、原子力空母・憲法改正・中間報告をセットで認めたのだ」と、米軍再編と憲法改正の関連を指摘しました。その上で憲法改正は、自衛隊が海外で米軍と行動をともにする際の「武器使用基準」の問題につながることを解説しました。
自衛隊が初めて海外に派遣されたのは、92年のカンボジアPKOです。その際の武器使用基準は「自己または自己とともにある隊員を守るため」に限定され、発砲は部隊命令ではなく個人の判断でした。現在では「自己の管理下に入った者を守る」「武器を守る」ための武器使用も可能になっています。
「例えば自衛隊の駐留するイラクのサマワで米軍が襲われたときに、たまたま近くにいた自衛隊が、襲われた米軍部隊を『自衛隊の管理下に入った』と解釈し、米兵や米軍車両を守るために戦闘を行うことも可能。唯一できないのは、自分から出かけて行って攻撃することで、相手から攻撃を受けた場合は、かなりのことができる」と言います。
その上で半田さんは、「現行法でもかなりの武器使用ができる。もし9条を変更するのであれば、敵を征圧するための武器使用を望んでいるのではないか」と指摘しました。
最後に、90年に米国が発表した「アーミテージレポート」から、「米英関係が日米関係のモデル」「集団的自衛権が行使できないことは日本にとってマイナス」という言葉を紹介。「米国は日本に、金銭的な負担、後方支援の肩代わり、そしていまは共同して戦うことを求めている。それに対して日本は、具体的な対案が出せずに、米国の言いなりになっている」と話を結びました。
北沢洋子さんは、「途上国の債務と貧困ネットワーク」の共同代表も務められるなど、途上国問題の視点からグローバリゼーションのもたらす弊害などについて訴える活動を続けています。
新自由主義がもたらす貧困と格差
北沢さんは、1980年代のアメリカ・レーガン大統領、イギリス・サッチャー首相に代表される新自由主義経済政策は「すべてを市場経済に任せ、官より民の方が効率的だとして、福祉を後退させ、企業の無制限の自由化が横行してきた」としています。そのため、貧富の格差が拡大し、「マイクロ・ソフトのビル・ゲイツ会長の資産は、最貧国51ヵ国の6億人のGNPよりも多い。また、ウォルマートの年間売り上げはデンマークのGNPより大きい」状態にまで至っています。
その一方、かつて5億人と言われた貧困層は増加を続け、いまや13億人以上が1日1ドル以下の生活を強いられています。
国連では2000年にミレニアム・サミットを開催し、2015年までにこうした貧困と飢餓に苦しむ人口の割合を半減させるなどのミレニアム開発目標(MDGs)を掲げていますが、中間年を迎えようとしている現在でも、貧困層の比率は増加を続けています。
北沢さんは「グローバリゼーションは恩恵よりも多くの人に被害を与えてきた」と指弾しています。
さらに、北沢さんは新自由主義が「小さな政府」をめざしていることも問題としています。福祉をカットし、民営化が大幅に進むアメリカでは、刑務所や入国管理所までも民営化されています。また、「世界がカジノ経済化」している現状についても指摘しています。「生産や流通、消費のために必要な通貨は2.5%でしかない。残りの97.5%は投機のために使われている」現実は、ホリエモンのライブドア問題や最近の石油価格の暴騰などとなって表れています。実体経済の縮小化やフリーター、ニートに見られる構造的失業の増大となって、私たちの生活も直撃しています。
WTO交渉が最大の南北対立の場
こうしたグローバリゼーションを推進している国際機関として、国際通貨基金(IMF)と世界銀行があり、途上国への融資をテコに、その国の経済、社会の構造までも代えさせています。さらに、世界貿易機関(WTO)は、貿易の自由化を通してグローバリゼーション、新自由主義を推進しており、「最大の国際機関」(北沢)となっています。その裏には多くの多国籍企業が存在していることも注視が必要です。「WTO交渉では企業のロビイストが闊歩し、例えば、特許権の協定を盾にエイズ薬のコピー薬を途上国が作れないようにしたり、天然資源も奪い取っている」のです。
さらに、WTO交渉で最大の対立点の農業についても、「ブラジルよりアメリカの農産物の方が安いのは、巨大な補助金が存在しているためだ。アメリカでは1日10億ドルもの補助金が使われ、ダンピングして輸出されている。そのため、コーヒーの国際価格は途上国の生産コスト以下。その一方で、途上国に市場開放を迫っているのがWTO農業交渉だ」と北沢さんは語りました。
そのため、途上国からは、アメリカ・EUの農業補助金の撤廃とともに、「食料主権を守るためにWTO交渉の対象から農業をはずすべきだ」という声も高まっています。こうした動きが、1999年のアメリカ・シアトルでの10万人の抗議デモとなって、WTO閣僚会議は流会、さらに2003年のメキシコ・カンクンでも閣僚会議は失敗しました。北沢さんは「途上国の反撃には農民の粘り強い闘いがある。綿花を生産するアフリカ4カ国では、生産農民組合が数週間にわたる政府交渉をおこない、WTOで輸出補助金撤廃を勝ち取らないと帰国できないまで追いつめてきた」としています。
WTO交渉が南北対立の最大の場になっている現在、「途上国にとって経済発展を行うには保護貿易も必要だ。自由な貿易ではなく、公正な貿易を」(北沢)求める運動が一段と必要になっています。
平和フォーラムは例年2月11日、戦前の「紀元節」を「建国記念の日」としていることに異議を唱え、集会を行っています。本年は、東アジアとの関係悪化の一方、憲法や教育基本法の理念を根本から否定する動き、とりわけ、教育基本法について「愛国心」を盛り込んだものを国会に上程する動きが進んでいることを踏まえて、「『愛国心』強要の憲法・教育基本法改悪を許さない−『建国記念の日』を考える集会」という名称で自治労会館に300人が参加して学習会を開き、朱建栄・東洋学園大学教授の「東アジア・中国から見た最近の日本」と、嶺井正也・専修大学教授の「『愛国心』と憲法・教育基本法」が講演を行いました
朱教授は、おおむね以下の通りの講演をしました。
まず、小泉首相の靖国参拝や、植民地支配美化をはじめ歴史認識に関わる政府首脳の最近の相次ぐ発言が中・韓だけでなく東アジア諸国の反発を招くなど憂慮すべき状況にあること。「つくる会」教科書を象徴に「侵略」や「慰安婦」などの歴史的事実の記述が減る一方、に「愛国心」を加えるなど教育基本法改悪の動きが表面化していることや、防衛庁の省への格上げや自衛隊を「自衛軍」にするなどの主張が強まっていることなど、主に日本の動きに起因していること指摘しました。
こうした事態でも、朱教授は、平和憲法や日米関係、国連中心の国際状況からして、日本が再び侵略戦争に走ることはないと確信しているけれども、中国の知識人をはじめアジアの人々に大きな懸念をもたらしていることに言及。それは、@日本が何をするのかしないのかあいまいな一方、平気で戦争責任を否定する発言をし、憲法を骨抜きにしていること。戦前の関東軍暴走を思わせる現象があること。A日本の首脳は日本の世界に占める大きさに気づいていないこと。日本のプルトニウム保有量や核開発技術は、韓国の軍人をして日本が準核保有国であると認識させていること。GNP比で500倍の日本が「北朝鮮の脅威」を唱えることは疑問であること。B日本の社会全体が集団主義的であり、良識派の意見が重視されず、正しい意見を主張する声が小さいことなどであるとしました。
中国や韓国の政府や国民が、小泉首相の靖国参拝に強く反対するのは、両国が他の東南アジア諸国に比べてはるかに大きな被害を日本の侵略によって受け、靖国神社にはA級戦犯を合祀しているからであり、日本にはこの認識が薄いことが問題なこと。中国が日本に戦争の賠償を求めなかったのは、侵略戦争の責任は一部の指導者・A級戦犯にあるのであり、多くの日本人はともに被害者だとしたからです。これは日本政府が認めたことにもかかわらず、首相が靖国参拝することは、日中国交樹立そのものを否定し、国際間の約束を踏みにじるものと指摘しました。
日本の報道では、中国は日本による侵略戦争の歴史をあらゆる機会を通じて青少年に教育−反日教育しているけれども、事実はこの10年間に日中戦争に関する教科書の記述は減っていること。また、南京大虐殺紀念館の規模拡大についも反日教育の強化と疑っているが、実際は未来志向の展示拡大であることなどを紹介しました。
日本に偏狭なナショナリズムが台頭している要因には、バブル経済崩壊などからの自信喪失や対外的ないらだちがあり、他方で最近の中国経済の急激な成長が脅威に映っていることとしました。戦後の占領政策で日本の軍国主義勢力を温存したアメリカも、最近では靖国神社の「遊就館」の展示内容を見て、「このような歴史観はとうてい受け入れられない。国際社会では通用しない」との声が出はじめていることを紹介。アメリカにすれば、日本がアジアからあまりにも浮きあがってしまうのでは、日本の利用価値が下がることを指摘しました。
朱教授は、日中韓の共存・共栄が東アジアの平和構築のために必要であり、アジアが仲たがいすれば唯一の超大国・アメリカに利用されるだけと結論しました。
嶺井教授は、教育基本法は2003年の中央教育審議会答申まで幾度となく「愛国心」を焦点として改悪の危機にさらされてきたことを指摘。日本人の近現代史に対する無理解があり、国際協調に反し、外国人排斥に結びつく危険性に言及。市民レベルの中国・韓国との交流の重要性を強調しました。
中教審答申は「21世紀を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成」という大目標のもと、「国を愛する心」を強調し、教育基本法改定の方向を打ち出し、「国際化」時代に対応して競争力に打ち勝つ「たくましさ」と、「愛国心」に満ちた「心豊かな日本人」を教育の場でつくり出そうというものです。以後、与党協議会で改正案作成作業がすすめられ、「愛国心」の表現で自公間の意見を微妙に異にしていますが、「教育の目標」に新たに20項目におよぶ徳目を記述することなどが合意され、通常国会での上程に向けて急速に動いています。教育基本法改悪を許さないとりくみを全国的にすすめていかなければなりません。
深刻化する日雇い、外国人労働者問題
弱者切り捨ての行政の姿勢
関西で顕在化する実態報告
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「大阪・釜ケ崎はいまや労働者ではなく、生活保護者の街になっている」「劣悪な条件で働く外国人研修生・実習生が増加している」「かつての出稼ぎ者が受けてきた低賃金、不安定雇用、差別の構造が、多くの労働者に拡がっている」――全国出稼組合連合会は毎年、「出稼ぎ問題を考える集い」を大阪で開催していますが、12回目となった今年は、出稼ぎ者だけでなく、日雇いや外国人労働者など不安定雇用労働者の実態が報告されました。集会での報告をもとに、関西を中心としたこれらの取り組みについて報告します。
低賃金で働く中国からの実習生
関西では、韓国・朝鮮人を中心として在日定住外国人問題の取り組みが活発に進められてきましたが、最近では新たな課題として、外国からの研修生・実習生の問題が深刻になっています。特に中国から日本の繊維工場に働きに来ている女性の多くは研修・実習の名目での低賃金労働者となっています。
「外国人労働者と家族の人権を守る会」(略称RINK)事務局の早崎直美さんは岐阜県内の縫製工場を例に、「基本給は月5万円余りで、うち4万円は強制的に貯蓄させられている。労働時間は朝の7時から夜は11時過ぎまで残業させられ、ノルマを課せられているため終わるまで帰れない。残業の時給は300円で、明らかな労働基準違反を繰り返している」と過酷な労働実態を明らかにしました。
さらに、「パスポートは取り上げられ、休日もほとんど無い。病気になっても病院に連れて行ってもらえず、夜は暖房もないので、ペットボトルにお湯を入れて抱いて寝ている状態」と、かつて、農村地帯からの出稼ぎ者が置かれていた状態と酷似する悲惨な現実です。
「製造現場がどんどん海外に移転する中で、こうした人たちに頼らなければ、国内での縫製業は維持できないのが現実」(早崎さん)ですが、問題は、こうした労働者の実態を見て見ぬふりをする行政にもあります。「実習生の実態は労働基準法違反の疑いがあり、香川県では摘発している。問題があれば労働基準監督署に相談してほしい」(大阪労働局)という姿勢で、積極的に動こうとはしていません。また、実習生が日本に来るにあたっては60万〜70万円もの「斡旋手数料」を払わされていますが、その使途も不透明となっています。日本側の受け入れ団体の実態も含めて、追及が必要になっています。
日雇い労働者への一時金が打ち切り
日雇い労働者問題も関西で長年、取り組みが続いています。日本最大の日雇い労働者の街と言われてきた大阪・釜ケ崎では、長い闘いの歴史の中で、35年間に渡って日雇い労働者に対し、大阪府、大阪市、大阪建設業協会(建設企業団体)が出資して、年間35,300円の一時金(俗にソーメン代・モチ代)が支給されてきました。これが昨年の夏から「これまで国が出してきた野宿労働者の雇用創出基金事業が昨年度で打ち切られたため、その対策費にこれまでの一時金の資金を充てることにした」(大阪府)として払われなくなりました。対象者は6千人以上にのぼっています。
その野宿労働者対策は、1日80人を特別清掃事業として雇うものですが、根本的な対策になっていないばかりか、「総額の6割が賃金に回り、残りはその監督・指導費となっている」(大阪府)状態で、半分近くが別の用途に使われていることになります。その一方では、野宿者のテントの強制撤去が行われるなど、行政の姿勢が問題になっています。
一方、釜ケ崎周辺では、最近、生活保護費を受給する人が急増しています。「月75,000円の保護費をあてにして、業者がアパートを建てて住まわせる施設が目立っている。悪質な業者は食費も含めて生活保護費のほとんどを取っている」(日雇い労働者を組織する全港湾西成分会の泊寛二委員長)といいます。
釜ケ崎ではかつてドヤと呼ばれた簡易宿泊所が減り、そうしたアパートや、福祉施設と称して介護保険を食い物にしている例も多く見られます。格差拡大をもたらす構造改革が進められるなか、様々な場面で不安定労働者、社会的弱者が切り捨てられようとしています。
韓国・核問題アナリスト カン・ジョンミンさんに聞く
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六ヶ所村再処理工場のアクティブ試験を目前にした3月9日から14日まで来日、青森県や経産省への要請、各地での講演をされた核問題の専門家、韓国のカン・ジョンミン博士にお話をうかがいました。
核拡散の国際懸念に対する日本政府の論理破綻
米国のマーキー下院議員をはじめとする6人の国会議員による、六ヶ所村再処理工場の核拡散に与える影響への懸念を表明する書簡に対して、政府が根拠のない返答をしています。また、青森県へも同様の無責任な説明をしていることから、今回の来日に先立ち、エドウィン・ライマン博士、フランク・フォン・ヒッペル博士と連名で青森県知事に、プルトニウムをMOX混合物にすることで核拡散抵抗性をもつという政府主張の合理的説明があるまで、六ヶ所村再処理工場の運転を開始するべきでないという書簡を送りました。
日本政府のマーキー議員や青森県への説明では、六ヶ所村で再処理をしても核不拡散性を保てるとする理由に、再処理で出てくるプルトニウムをウランとまぜてMOX混合物とすることをあげています。もう一つの理由は、平和目的のプルトニウム利用計画を持っているというものです。
IAEAの保障措置上の定義では、核燃料再処理で生産されるプルトニウムは、単独でも、ウランとまぜてMOXにしても、同様に1〜3週間で核兵器用金属部品にすることができます。また、金属に転換しなくともそのままで核爆発装置用に使える「直接利用核物質」とも定義されています。日本政府はIAEAの保障措置を受け入れていることを日本の核物質透明性として大きくうたっていますが、それ自身の定義を否定するのでしょうか?
プルトニウム利用計画は、1月に事業者が発表し、原子力委員会がどの原発で使用するのかも特定できていないことや、既に保有する43トンのプルトニウムを計算に入れていないことも全く論議せずに承認したものです。余剰プルトニウムを持たないという国際公約を反古にする、計画とは言えない代物ですが、将来使うことにしているからよいのだと主張しているのでしょうか。いずれにしても、核拡散という国際的大問題に対しての日本政府の主張は、論理的に破綻しています。
どんどん増える日本のプルトニウム在庫量
軽水炉16〜18機で2010年から、2012年から大間のフルMOX炉、2009年からもんじゅの再稼働という無謀なプルトニウム使用計画ですが、このMOX使用がたとえ計画通りに行ったとしても、プルトニウム需給バランスを計算すると、日本は大変な量の余剰プルトニウムを抱えることになります。来日前に発表したカン・鈴木・勝田共同研究で、2020年には最低でも70トンのプルトニウム在庫量があることを明らかにしました。
青森県へは、プルトニウム使用量、在庫量についても、政府から再処理稼働前に、具体的なグラフで説明を受けるべきと要請しています。政府の無責任で根拠のない説明で、大量の核兵器物質を抱えて、テロリストの格好の標的となるのは、六ヶ所村なのです。
NPTの問題
NPTのかかえる最大の問題は、脱退が自由だということです。NPT加盟国は、平和利用の名目で核開発を行い、脱退をした後その技術と保有した核物質で、核兵器が持ててしまえるのです。そのNPT体制のもと、日本が率先して再処理を行ない、核拡散への新たな扉をあけようとしていることは大変残念です。
姜政敏(カン・ジョンミン)博士プロフィール
核問題アナリスト。1965年生まれ。ソウル大学原子力工学学士・修士号、東京大学原子力工学博士号
1998〜2000年プリンストン大学研究員。ピーター・ヘイズの主宰する国際的研究集団ノーチラス研究所の研究員。韓国「大統領持続的発展委員会」原子力問題諮問委員
論文多数。最近では、プリンストン大学のフランク・フォンヒッペル教授との共同論文で、米国で提唱されている「核拡散抵抗性」再処理技術が、実は「抵抗性」が高くないことを分析している。(「科学と世界的安全保障」誌。) |
1954年3月1日にアメリカがビキニ環礁で水爆実験を行い、静岡・焼津の漁船「第五福竜丸」が被災してから52周年の3月1日夜、500名が参加して静岡市内でビキニ・デー集会が開催されました。
ゲスト・スピーカーの作家・広瀬隆さんは、私たちの身の回りに迫っている現在の「三つの巨大な危険」として、@六ヵ所村再処理工場の稼動とプルサーマル運転、A高レベル放射性廃棄物の地層処分(日本各地が放射性廃棄物の埋没候補地として調査されています)、B巨大地震と浜岡原発の運転を挙げ、緊急にこの危険を日本からなくしていくことが訴えられました。
また、1954年ビキニ水爆実験時のキノコ雲の写真を示し、キノコ雲の直径が100km(東京駅から富士山山頂の距離に相当)、第五福竜丸は130km地点のところにおり、早朝「太陽がふたつ昇った」と思われる状況で3〜4分の間ずっと明るかったことなど、いかに爆発が甚大なものであったかを示しました。
1940〜1950年代にアメリカは太平洋において次々と核実験を行ないました。今回の3・1ビキニ・デー集会に向けて、マーシャル諸島共和国大使館からメッセージを受けましたが<別掲参照>、これらの実験は地域の人々に大きな被害を現在に至るまで及ぼしています。(これにもかかわらず1954年ビキニ水爆実験当時、時を同じくして日本では原子力予算が通過し、原子力開発がスタートしました。)
1999年には茨城県東海村でJCO臨界事故が起こりましたが、その時の政府発表では直後に地域住民に「建物の中にいなさい」という報道と同時に、「健康への心配なし」という拙速な情報がTVで流されたことも紹介されました。また今年はチェルノブイリ原発事故から20年ですが、当時「31人に過ぎない」とされた被害者が、現在数百万人と言われていることが挙げられました。
さらに、第五福竜丸展示館長の川崎昭一郎さんと、浜岡原発プルサーマルの危険性について地元の塚本千代子さんから訴えがあり、集会を終了しました。
去る2月23日には核廃絶をもとめる世論に逆行しアメリカが22回目の未臨界核実験(於ネバダ州)をイギリスとともに強行しました。
※原水禁による抗議申し入れ書は
http://www.gensuikin.org/mt/000034.html#us参照
昨年5月に開催された核拡散防止条約(NPT)再検討会議ならびに秋の国連第一委員会(軍縮、安全保障関連)で、アメリカは包括的核実験禁止条約(CTBT)をはじめ国際的な核軍縮合意の進展に杭さす立場をとり続けています。
未だ世界中で止むことのないヒバクの事実・危険性に対し、私たちは国内外の核軍縮・脱原発の運動をさらに強固かつ効果的に進めていくことが求められています。
マーシャル諸島共和国大使館から3.1ビキニ・デーへのメッセージ(抜粋)
マーシャル諸島共和国議会では、1940〜1950年代にビキニ環礁ならびにエネウェトク環礁で行なわれた米国による水爆「ブラボー」爆発とその他66の核実験による被害者および生存者への敬意を込めて、3月1日を「核の記憶メモリアル・デー」とする公法1995-134が採決・通過しました。3月1日は、人々が核実験による被害者と生存者を記憶し祈祷を捧げ、またいかなる地域においても人類の破滅となる核兵器の使用を否定し非難する、マーシャル諸島共和国中の厳粛な国の祭日です。
第5福竜丸の事故は、核に付随する無制限かつ極度に破壊的な力による、もうひとつの厳しい記憶としてよく知られています。
1946年に米国は「オペレーション・クロスロード」を開始し、ビキニ環礁と、のちにエニウェトク環礁で連続的な核実験を開始しました。現在公式記録では67回の核実験爆発が1940〜1950年代にほとんどマーシャル諸島のビキニ環礁とエニウェトク環礁において行われたとされています。
核実験プログラムは不必要な遺産です。ビキニ環礁とロンゲラップ環礁は、一度は人々の生活や活動に満ちていましたが、今や人が住める状態ではないほど汚染されています。この島の住民はマーシャル諸島や他の別の場所に移住しました。エニウェトク環礁とウトリック環礁ではいまだ頑張って住んでいる人々がいます。ビキニの人々は実験や長年のあてどない流浪によって困難や苦難を生き抜いてきました。ビキニの人々は2006年3月7日に「出郷土60周年」を記念します。
核実験の時代という亡霊が二度と起きあがってはならないことを確実にし、いかなる人々および国家も核兵器の苦悩を体験しないように、マーシャル諸島共和国は核兵器の継続使用と拡散に反対する地域および国際条約、協定、議定書に批准する国々に参加します。 |
静岡・浜岡原発の現状
−プルサーマルなどとんでもない−
浜岡原発を考える静岡ネットワーク 塚本千代子
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2001年11月、浜岡原発1号機で前代未聞の配管破断事故が起こりました。原因は、口径60?の余熱除去系の配管内に溜まってしまった水素の爆裂でした。さらに2号機も翌年圧力容器の水漏れ事故により、1・2号機は今なお停止した状態です。ともに20数年を経た老朽化した原発で、シュラウドや再循環系配管に膨大な数のひび割れも発見されています。
東海地震の震源直上に原発が!
マグニチュード8を超えると政府が発表し、『いつ発生してもおかしくない』と多くの研究者が警告する巨大地震が、静岡県にある浜岡原子力発電所(中部電力)の直下で起ころうとしています。浜岡原発は、現在4機稼働中。1機を増設、今試運転中です。
私たちは、このような老朽化した原発はもとより新品の原発であってもその安全性に大きな疑問を投げかけ、その危険性に警鐘を鳴らしてきました。
特に浜岡原発は、明日起こってもおかしくないと言われている東海巨大地震の想定震源域の真上に立地しています。マグニチュード8を超えるといわれる東海地震により静岡県内のほとんどが震度6強から震度7という猛烈な地震動に襲われることは誰も否定できないものです。
20数年前の耐震設計審査指針のもとに作られた原発は東海地震には耐えられないということを、静岡県民の多くが心配しています。一旦原発震災が起これば静岡県のみならずその被害は全国におよび国家的な災害となります。しかし、“国策”ということで行政もこれまで動こうとしていません。
さらに、昨年9月に中部電力は浜岡原発4号機へのプルサーマル導入を発表しました。ただでさえ問題を抱えている原発にプルサーマルなどとんでもない話です。
地元の御前崎市長は「燃料を少し変えるだけだから安全性に問題もなく、地震とも関係はない」という耳を疑うような発言をしていました。住民の安全と安心を守るべき行政も、正常な思考をすることすらできなくなってしまっているのです。中部電力は住民の民意を問うことも怠り、ただパンフレットを地元全戸に配布しテレビコマーシャルで誇大広告もはなはだしい宣伝をしたことにより、「住民の理解を得られた」として、今年3月初めに国への設置変更許可申請を強引にしてしまったのです。
申請の許可が下りるまで1年以上の時間はありますから、今後全国のみなさんの応援をいただきながら“プルサーマル反対”の運動を続けていくつもりです。
いま、私たちは「浜岡原発を東海地震が過ぎ去るまで原発を停止しておくべきである」という、民事訴訟も起こしています。東海地震のしくみと、その地震動が原子炉機器に及ぼす影響など次々と判明してきた新たな事実をもって争っています。今後、現場検証や証人申請などが予定されており佳境に入ってきたところです。こちらにも是非とも注目していただきたいと思っています。
核問題についてのいくつかの考察(3)
日本政府による核武装の是非
外務省は○? 防衛庁は×
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米国はNPTの老衰死を狙うのか?
ほんのわずかな月日の間に、核問題は大きく動いていきます。3月2日、ブッシュ米大統領はインドでシン首相と会談。政治・経済・軍事など戦略的関係の強化とともに、原子力発電などに米国の技術を提供することで合意しました。
新聞報道によると、現在インドには建設中を含めて22基の原子炉があり、この内の14基を民生用としてIAEAの査察を2014年までに受け入れる。高速増殖炉についても、現在運転している小規模・実験用の施設(処理能力不明)は民生用とせず、将来建設される大規模施設については、原則として査察対象とすることで米国と合意したとのことです。
米国では原子力法によってNPT未加盟国に対する核技術協力は禁じられています(インドは未加盟)が、ブッシュ大統領は原子力法を改正してでも、インドとの協力を取り付けようというわけです。しかし米国の都合だけで核問題に対処していては、NPTをますます存在意義の低い条約へ追いやろうとする行為でしかありません。
米国の行動がイランを核開発へ追い込んでいる
このような米国の対応はイランのウラン濃縮問題にも大きく影響します。3月6日〜8日のIAEA定例理事会では、イランが「米国の二重基準(ダブルスタンダード)」に反発し、エルバラダイ事務局長の「イランの濃縮活動の即時停止、EUなどとの交渉再開」を求める声明を了承するだけで終わりました。
2月のIAEA緊急理事会で、イラン核問題を国連安保理で審議するよう求める付帯決議を採択しているため、舞台は国連安保理に移りますが、長期にわたる米国のイラン敵視政策を考えると、現在イランにウラン濃縮を止めさせる手だてはなさそうです。イランがもし核武装に進むとしたら、その原因は米国自身にあるといえます。
日本の国家首脳による核武装への言及
日本の政治家のトップが核武装を考えた時期は意外に早く、1961年1月に箱根で日米貿易経済合同委員会が開かれたとき、当時の池田首相がラスク米国務長官に「少数派だが、日本も核武装が必要だとする論者がおり、それは自分の閣内にもいる」という表現で、池田首相自身の意見を述べたといいます(※1)。
中国が初の核実験を行った64年当時の佐藤首相も、日本核武装に意欲を持っていて「国民にはまだ核武装への準備ができておらず、教育が必要だが、日本の科学、産業は十分に作れるレベルだ」と、ライシャワー駐日大使に話したとのことです。米国は佐藤首相の言葉に強い衝撃を受け、65年1月の日米首脳会談の際、米ジョンソン大統領は日本に対する「核の傘」を約束し、日本が核武装を考えないよう求め、佐藤首相も「核の傘」を受け入れたといいます(※2)。
ただ米国の日本に対する「核の傘」が公になったのは、75年8月の三木・フォード会談後の共同新聞発表によってでした。
これ以降は日本政府首脳が核武装論を口にしたことはありません。日本は核武装すべきだとの思いを封印してきたのかもしれません。
日本政府関係による核武装研究
一方、日本の政府関係ではかなり早くから日本核武装の是非についての研究が行われてきています。現在明らかになっている研究では、67年〜70年にかけて、内閣調査室がその外郭団体である「民主主義研究会」(代表・蝋山正道氏)に「独立核戦力創設の可能性」の研究を委託しました。その報告書は「核戦力は持てない」と結論づけました。
同じ頃、外務省も「外交政策委員会」という非公式研究会を発足させています。この研究については毎日新聞社会部編の「ウサギの耳とハトの夢」(1995年3月・リベルタ出版発行)に詳しいのですが、この非公式研究会は68年から70年代まで続けられ、さらにその後「政策協議」と名を変えて、90年代初めまで、不定期的に行われてきたとのことです。この研究については次号で紹介しますが、外務省には強固な日本核武装論が存在していたようです(現在は不明)。
防衛庁も日本核武装について研究しています。現在手元にあるのは、81年7月31日付けの防衛庁防衛研修所(現在防衛研究所)の水野所員、内藤助手両氏による「我が国防政策(戦略)のあり方―中・長期的視点からの検討」中間報告の一部、95年5月29日付けの防衛庁による「大量破壊兵器の拡散問題について」、03年9月の防衛研究所・小川伸一氏による「再燃している日本の核武装をめぐる論議についてーブリーフィング・メモ」の3つです。
※1、※2 吉田文彦+朝日新聞特別取材班「核を追う」(2005年12月朝日新聞社刊)
新年度の出発、もう一度決意を固めて
国会は何をしているのだ
9・11以降小泉自公政権により展開されていた右傾化路線の中で、年末より、耐震偽造設計、ライブドア、BSE,防衛庁汚職・談合など小泉政権の本質が明らかになり、国会における「潮目」がようやく変化し、野党による攻勢がはじまろうとした矢先、「堀江メール」事件が引き起こされ、もう一度潮目が反転してしまいました。
前原代表を中心とする民主党執行部はどうするのだろう。代表選挙で菅直人さんに投票した皆さんはどうするのだろう。直ちに責任の所在を明確にし、闘う体制を再構築すべきであるとおもう。早ければ早いほうが良い。
野党に求められている課題は、本当に多い。高級官僚の腐敗、米軍再編成、横須賀原子力空母母港化、青森の再処理工場稼働、プルサーマル計画、教育基本法改悪の動き、憲法改悪をめざす国民投票法案、行政改革法案などなど日本の将来を左右する課題が、政治課題として、目白押しです。小泉自公政権の暴走を止める体制を早急に作り上げてほしい。
米軍再編成に対決を
米軍再編成に関わって、全国各地で闘いが拡大して連合も、米軍再編成は、「基地の整理・縮小」につながらないとして、反対の立場を明確にしています。平和フォーラムは2月23日に日比谷野音で集会を開催し、国会請願を行いました。3月5日に沖縄では3万5,000人の集会、岩国では「人文字」集会が、3月11日に相模原市主催の集会が、3月12日に座間で集会、3月19日に岩国集会等連続して闘いが組み立てられています。
米軍再編成に関係する自治体は1自治体を除いて、すべて反対です。岩国市民は、3月12日に住民投票で、「反対」の意思を明確にしました。地方自治体、平和団体の反対運動の中で、3月末「最終合意」をめざす、政府は立ち往生したままです。米政府のいら立ちも伝わってきます。私たちは、住民無視、自治体無視、自衛隊を戦争に引きずり込むための「米軍再編成」は絶対反対です。
この状況を踏まえて、野党、民主党、社民党は国会内外で闘ってほしい。小泉内閣と対決してほしい。米軍再編成は、日米軍事同盟体制の更なる強化であり、日米安保条約すら超える内容であり、米軍基地の恒久化であることを暴露してほしい。海兵隊のグアムへの移転、名護市での基地建設の費用の額と負担について明らかにしてほしい。米軍再編成での費用全体を暴露してほしい。
私たちは、平和のため、民主主義のため闘う野党を切望している。野党、民主党、社民党がんばれ。
平和フォーラムは、4月20日の総会を開催して、新年度の方針を確立し、闘いに全力で取り組む決意です。 |
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