インタビュー・シリーズ
軍隊や基地の最大の犠牲者は女性と子どもです
I女性会議神奈川県本部 小泉喜子事務局長に聞く
【プロフィール】
1944年横浜市生まれ。大学卒業後、大手書店に勤務。退社後、社会主義青年同盟(社青同)神奈川県本部で活動。30歳から日本婦人会議(当時、現I女性会議)の地域支部を振り出しに、女性運動に関わる。1990年から神奈川県本部で半専従、95年から同事務局長に就任、現在に至る。
日本婦人会議は60年安保闘争のうねりのなかで憲法を柱に平和と民主主義の社会をめざして1962年に結成された全国組織。働く女性の権利を守り、女性の政治参加、平和、人権、教育、生活、環境などさまざまな課題に取り組んでいる。2003年からI女性会議に組織名称を変更。
――今日(6月2日)はたまたま、神奈川県横須賀市で今年1月、通勤途上の日本人女性を殺害し、強盗殺人罪に問われた米海軍横須賀基地の航空兵に対する地裁判決がありました。
判決は無期懲役となりましたが、暴行は10分間も続き、殺されるまでに極限まで肉体的苦痛を受けました。本当にひどい事件でした。私たちは95年に沖縄の少女が米兵に強姦された時から、沖縄に次いで基地を多く抱える神奈川ということから、「沖縄の女性と連帯するかながわ女性の集会実行委員会」を作り活動してきました。今回も性暴力と基地撤去を求めて抗議や裁判の傍聴をやってきました。
――判決を聞いて、どう思われましたか。
早期判決を懸念していましたが、驚いています。米軍再編と原子力空母の横須賀母港化を進めたい米軍の意向を反映したのだろうと思います。私たちはこうしたことがどうして起きたのかを知りたかったのです。最近は、米兵の資質が低下しているといわれています。イラク戦争の影響で志願兵も減っていることや、軍隊での様々なストレスが原因ではないかと思います。こうしたことは基地が存在する限り、無くなることはありません。横須賀は小泉首相の地元ですが、「たかが、一兵士のやったこと」とうそぶいたそうです。まずは、不平等な日米地位協定をきちんと改正させることが必要だと思います。
――やはり神奈川では基地問題は切り離せませんね。
1962年に日本婦人会議が誕生しましたが、神奈川では、翌63年に県本部ができました。憲法9条を守ることが運動の中心でした。先輩たちは戦争の体験から、痛切な思いで反基地闘争をやってこられました。また、消費者運動、PTA活動や夫の労働争議を支えた方々が自発的に参加してきたのが、神奈川での活動の特徴でした。
――神奈川といえば、革新県政、市政の存在も欠かせません。
飛鳥田革新市政、長洲県政が誕生し、革新自治体を支える女性たちの運動も盛んでした。生活と政治が繋がっていることが実感できる生き生きした運動でした。
――その頃の大きな運動としてはどんなことがありましたか。
やはり、1972年8月からの米軍のM48戦車の搬送阻止闘争ですね。ベトナムの戦場に向け、米陸軍・相模補給廠から運び出され、横浜港から積み出される戦車を、当時の飛鳥田横浜市長が「車両制限令」を根拠に、市道使用を許可しなかったもので、横浜ノースドック進入口に架かる村雨橋の手前で、私たちや労働組合員がスクラムを組んで搬送を止めました。戦車のすぐ前に婦人会議が座り込みました。しかし、目の前を巨大な戦車が通る姿は衝撃的で、ベトナムの戦場の光景とだぶってきました。
――小泉さんが活動に参加するようになったのは、やはり当時社会党の代議士だったお父さんの影響ですか。
いいえ、父は特に押しつけることはなかったですね。母からは、「人を身なりで判断するな」と厳しく教えられました。弁護士をしていた父のもとに貧しい人たちも集まっていたので、漠然と正義とは何なのかなと考えたりしました。大学でも日韓条約反対のデモに参加していましたが、意識的ではありませんでした。いま振り返ると日韓条約の本当の意味などわかっていませんでした。
――それが、どのようなきっかけで運動に飛び込まれたのですか。
家に送られてきた労働大学の通信講座に申し込んだところすぐにオルグされてしまいました。大学でも朝鮮史を学びましたが、「歴史を正しい方向に回す側に立ちたい」という思いが強くなってきました。その後、子どもをもって徐々に生活実態から矛盾を感じていったという経緯です。
――お子さんを育てながらの活動は大変でしたでしょう。
息子が2人、娘が1人ですが、会議や集会に子連れで参加したこともたびたびでした。夫は私の活動に理解を持ってくれましたが、ほとんど子どもの面倒をみてはくれませんでした(笑)。そんな時は、近所の人の支えがありがたかったですね。また、ここ(婦人会議)もあたたかく迎えてくれて、活動をやり続けたことで、親も含めて理解してもらえました。
――反戦運動以外では、どんな活動を続けてこられたのですか。
I女性会議神奈川県本部は教育や環境、労働など、女性が関わるあらゆる問題に関わってきました。それらの問題について政治的に解決を求めるというのが、私たちの運動の特徴でしょうか。なかでも、富士見産婦人科病院の事件をきっかけに、産婦人科医療110番や裁判闘争をやりました。また、合成洗剤追放県連絡会の仲間とともに横浜の水源地である山梨県道志村へのゴルフ場建設反対に立ち上がり、ついに阻止したのも忘れられない大きな運動でした。
――高齢化社会が進むなか、最近は介護問題も大きいですね。
介護保険制度ができる時から、電話相談活動を続けています。行政がたらい回しにするような相談にもじっくり話を聞いてきました。最近は介護労働者の労働条件についての相談も多くなっています。
――戦争責任をめぐっての朝鮮などの女性団体との交流も熱心ですね。
91年から韓国と北朝鮮、在日朝鮮人の女性たちが一緒に、女性の地位向上とアジアの平和を作ろうと集会を開いてきました。そこで韓国の女性団体から「従軍慰安婦問題」が明らかにされ、衝撃を受けました。これは大きな性暴力であり、侵略戦争と植民地支配の問題でもあります。ただ、当時は男性にこの問題を訴えると、「自分はやっていないから…」と言って、逃げ腰になっていました。男性も一緒に考えてほしいですね。その後もI女性会議は女性のピースライン訪朝団、訪中団を送っています。こうした草の根交流を続けているのも私たちの組織の特徴ですし、誇りに思います。
――最近、女性の人権に対するバッシングが強まっています。
戦争の出来る国づくりは、女性に家庭を支えることを強います。それで、右翼などから女性運動に対する攻撃が強まっているのだと思います。ですから、憲法9条とともに、両性の同権を定めた第24条も一体のものとして守る運動をやっていかなくてはならないと思います。一人ひとりが声を上げて行かなくてはならない正念場だと思っています。軍隊や基地の最大の犠牲者は女性や子どもなのですから……。
〈インタビュ─を終えて〉
神奈川のI女性会議の事務所。神奈川の女性運動の長い歴史を体現している。事務所と本人の中に総評・社会党の時代の運動が息づいている。たまたま当日は、2006年1月3日、米兵による強盗殺人事件の横浜地裁判決の日だった。神奈川は、沖縄につぐ基地県である。基地が県民の生活、安全、そして環境を破壊し続けている。彼女も反戦・平和の闘いに参加し続けている。子ども3人の母親でもある。〈福山真劫〉
教育基本法改悪と「愛国心通知表」
福岡市教職員組合委員長 永井 俊策
今、教育基本法が危ない!
衆議院特別委員会で審議中の教育基本法「改正」案は、継続審議となりましたが、まだまだ予断を許しません。教育基本法「改正」を悲願とする自民党文教族は、秋の臨時国会で決着をつけようと虎視眈々と狙っているからです。
この間の国会審議を見ても、政府・与党の原案、民主党の対案ともに焦点化して質疑が交わされたのは、「愛国心」教育の問題です。前文であれ、条文であれ国家が法律をもって子どもたちに「愛国心」を強要するとき、学校教育の現場では一体どのような現象が表われるのでしょうか。それを暗示するできごととして、2002年度福岡市内の小学校69校で採用された「愛国心通知表」問題があります。
「愛国心通知表」とは何か
福岡市内の小学6年生通知表に、社会科の評価観点として「我が国の歴史や伝統を大切にし国を愛する心情をもつとともに、平和を願う世界の中の日本人としての自覚をもとうとする」という項目が挿入されました。残りの半分余の小学校においては、「愛国心通知表」は採用されませんでした。学校独自の通知表を使用したからです。
学校独自の通知表を使用する場合、その印刷費用は当該校の負担となります。しかし、小学校校長会が強力にバックアップする「公簿等研究会」が例示したモデルを採用すれば、共同印刷というシステムに乗り、印刷費は教育委員会が負担してくれます。この共同印刷に付された通知表が、いわゆる「愛国心通知表」だったのです。
では、なぜ小学6年生社会科の評価観点として「国を愛する心情をもつ」などという文言が挿入されたのでしょうか。その後の調査によれば、公簿等研究会で作成された際に意図的に挿入されたというよりも、極めて単純に、当時の学習指導要領中の文言を縮めて評価の観点としたという次第のようです。そして採用を勧める校長会役員会では、従来からの既定方針通りということで、その事前チェックは実施しませんでした。さらに学校教育現場においては、日常の教育活動に忙殺され、校内に設置された「評価検討委員会」のような組織でも、他学年の通知表までこと細かに検討する余裕もなく、事前にチェックする体制そのものが存在しないという二重のミスが重なったのです。
「愛国心通知表」の何が問題だったのか
2002年度当時、「良心的な」管理職や小学6年の学級担任は、大いに悩んだといいます。どんな方法で子どもの内心の問題である「愛国心」を測定し、「A,B,C」という評定を下すのか、そもそもそれが評価し得るのかどうか、「愛国心」という観点が社会科の評価項目としてなじむのかどうか……。ある管理職は、「配布した後、保護者から何かクレームが出なければ良いが……」と、内心ひやひやしながら6年担任に記入を指示したといいます。極めて内発的な感情である「愛国心」は、外圧や知識の外部注入によって強制されるものではないということは、古今東西の歴史を紐解くまでもなく自明のことです。それを「通知表」という形で評価するなど、憲法第19条に規定された「思想及び良心の自由」の侵害そのものに他なりません。また最高裁の判例においても、「子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上からも許されない」(昭和51年、旭川学力テスト訴訟判決)とされています。
そして、日本社会の多文化化・多民族化が進む時代状況に逆行する行為でしかありません。日本の公立小中学校に通う在日外国人児童・生徒の、「日本国家に対する忠誠心」を測定しようというのでしょうか。
教育基本法が改悪されたら
現憲法が掲げる民主的・平和的国家の創造という崇高な理念の実現は、根本において教育の力にまつべきものとされています。教育基本法「改正」の政府・与党案、民主党案ともに微妙に表現が違うとはいうものの、いずれも「愛国心」の育成を標榜していることからすれば、もし「改正」案が国会で成立すれば、「教育の目的」そのものが大きく右旋回することは火を見るより明らかです。これからの日本社会が多文化共生の道を歩むのか、はたまた戦前回帰の排外主義的民族主義、ひいては戦争遂行体制への移行を可能ならしめるのか、教育基本法「改正」の動向はその大きな岐路に位置するのではないでしょうか。
相次ぐ人権軽視の警察・監視社会化法案「改定入管法」「未決拘禁法」が成立
6月18日まで開かれた第164通常国会では、希代の悪法である「共謀罪新設法案」の採決を許しませんでした。野党や市民団体、弁護士や表現者の反対運動が広がるなかでの大きな成果といえます。
しかし、他方でこの通常国会において基本的人権に関わる重大な法案が圧倒的多数与党によって成立させられたことも見落としてはなりません。なかでも、法務委員会で審議されていた「改定入管法」(出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案、5月17日成立)と、「未決拘禁法」(刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案、6月2日成立)の2つの法律は、日本の人権確立に向けた歴史的な成果をも後退させるものであり、その問題点について触れておく必要があります。
「外国人は危険」が前提の改定入管法
改定入管法は、「テロ対策」を名目として、@16歳未満と特別永住者を除く全外国人の入国・再入国時の指紋・顔写真などの生体情報を電磁的に強制的に採取し、半永久的に保存管理する、A「テロリスト」と認定された者を簡単に退去強制(国外追放)できるようにする、B日本人も含めて事前に指紋などを登録した人の出入国審査をスムーズにできる「自動化ゲートの導入」などです。
人権軽視の日本の外国人管理として悪名をはせた外国人登録法による指紋押捺制度が、長年の反対運動の末にようやく廃止されたのは、永住者と特別永住者が1992年、非永住者が2000年と比較的最近のことです。今回の改定入管法はその復活ともいえるものです。
何よりも問題なのは、外国人を危険視することが前提としていることです。そのため、年間700万もの人の指紋などの重大な人権侵害につながる生体情報を強制的に収集する上、個人情報保護の点からも目的外利用を防ぐことが必要にもかかわらず、改定入管法による情報の収集内容をはじめ具体的な事項はすべて法務省令まかせ。また、出国時の情報消去などの措置もなされないどころか、70〜80年、つまりその人の生存中を生体情報の保有期間とするとされています。
この制度を世界で唯一実施しているのはアメリカです。しかし、アメリカでは「公共の利益」優先で通信の秘密も含めて公権力がかなりのプライバシー侵害をしていることが問題になっています。また、アメリカで入国時の生体認証システムを導入する際に、日本政府は出国時の日本人の個人情報消去を求めたことも明らかになっています。加えて、生体情報管理がアメリカのシステムと同じ企業が行う可能性があり、情報流出や目的外利用など危険性がきわめて強くあります。
えん罪の温床「代用監獄」存続させた未決拘禁法
日本の「代用監獄」は「DAIYO KANGOKU」というそのままの名前で海外でも悪評が高いもので、未決拘禁者は本来、拘置所での勾留が原則にもかかわらず、警察の留置場を「代用」する制度です。
捜査する警察が被疑者を身体拘束することは、無実の人をウソの「自白」の強要につながり、狭山差別事件をはじめ数々のえん罪を生み出してきました。捜査と留置業務の分離を求める国際人権基準に違反するものとして、内外から厳しい批判を受けてきた制度であり、一刻も早く確実に廃止しなければなりません。
ところが未決拘禁法は、いわゆる代用監獄の存続を前提とした「未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議」の提言を受けたもので、代用監獄問題の解決を先送りしたものです。日本ではいまだに23日にもおよぶ拘禁が当たり前のようになされています。自白強要とえん罪の温床である代用監獄制度の廃止に向けていっそうのとりくみをすすめていかなければなりません。
警察・監視社会の法制度強化の動きは、この他にも、進んでいます。触法・ぐ犯の年少少年に警察が関与できるようにする少年法「改正」案が、2月に国会上程されました。子どもの成長や人権を抑制する重大な法案です。衆議院法務委員会で審議入りはしなかったものの共謀罪とともに継続審議となりました。臨時国会で成立がねらわれることは間違いありません。
また、弁護士に依頼者の犯罪を警察に密告する義務を課す法の制定も画策されています。加えて、政府は「テロ関連団体」や「テロリスト」と認定した組織と人物に対し、治安当局に拘束や盗聴などの強制捜査権の行使を認めることなどを柱とした「テロ対策基本法」の策定に着手する方針を固めたと報じられています。憲法の保障する基本的人権を侵害する一連の法を許さず、警察・監視社会化の危険性から脱却していかなければなりません。
「パーム油は環境にやさしい」と言わないで!――途上国の森林・先住民族に大きな被害
環境団体がライオンの合成洗剤「新トップ」CMに抗議
広大なオイルパーム・プランテーション(アブラヤシ農園)の森をバックに、女優がニッコリと微笑みながら、「(合成洗剤の)新トップは環境にやさしい」と呼びかけるテレビコマーシャルがあります。メーカーのライオンは合成洗剤の原料を石油ではなく、植物原料を使っているから環境にいいと言うわけです。
このCMに対して、FoE(地球の友)japanやグリーンピース・ジャパンなど、世界の森林問題に取り組む団体などが、「パーム油を使用しているから環境にやさしいという表現は使用しないこと」をライオン側に申し入れました。かねてから、合成洗剤の人体や河川などの環境に対する影響が問題になっていましたが、新たに、原料となる油脂の製造過程における問題も浮上しています。
年々拡大するパーム油生産──森が乱伐
この取り組みを進めている「地球・人間環境フォーラム」主任研究員の満田夏花さんは「オイルパーム・プランテーションの急速な拡大は森林減少の要因の一つで、大規模な森林生態系の転換、用地取得に伴う地元住民の権利の侵害、不適切な農薬の使用による水質や労働者の健康への影響、低賃金・危険作業等の労働問題があります」と、生産地で様々な環境・社会問題を引き起こしていることを指摘しています。
パーム油は世界で生産量第2位の植物油であり、日本においても、マーガリン、即席麺やスナック菓子などの揚げ油、調理用油、洗剤、塗料、インク、化粧品などの原料として広く使われています。近年ではバイオ燃料の原料としても有望視されています。日本のパーム油の輸入量は、1994年に349千トンだったものが、2005年には448千トンに増加しています。
生産地では1960年代頃から、オイルパームのプランテーションが急増。マレーシアでは1990年の170万ヘクタールから2005年には362万ヘクタールに増加、インドネシアでも同様に、110万ヘクタールから365万ヘクタールになっています。その多くは森林を切り開いたもので、「先住民族が暮らしてきた豊かな森が、適切な調査や協議もないままに切り開かれ、政府も安易に企業の開発権を許しています。そのため、開発に反対する先住民族とのトラブルも発生しています」(満田さん)。
森を失った先住民はプランテーションで働くことが多くなりますが、生産に際して、日本では使用していない除草剤パラコートなどの薬品が使用され、労働者や周辺住民に健康被害をもたらしています。特に女性労働者に被害が多く、眼や皮膚障害、不妊や奇形児などの問題も起こっています。また、マレーシアのプランテーションに、インドネシアからの移住労働者も多くなっていますが、不法労働者も多く、なかには正当な賃金も支払われない劣悪な条件下で労働を強いられるケースも報じられています。
環境や社会に配慮した製品の選択を
このように様々な問題を抱えているオイルパーム・プランテーションから生産された合成洗剤が、はたして「環境にやさしい」といえるのでしょうか? 満田さんたちは「パーム油は優れた植物資源ですので、使用することを否定しているわけではありませんが、問題を解決するためには、どういう状態で生産されているかを確かめて、環境や社会に配慮しているパーム油を選択してもらいたい。企業にはその説明責任があります。その意味で、新トップの宣伝はやめてほしいのです」と述べています。これに対して、ライオン側は、「植物原料は、地球温暖化の要因である二酸化炭素の排出を抑制する点で環境にやさしい資源である」として、今後も宣伝を続けるとしています。
合成洗剤追放全国連絡会議の和田滋事務局長は、「合成洗剤は人工化学物質として、私たちの健康への影響や河川に流されて水や環境を汚染するなどの問題から追放運動を続けてきたが、原料生産地においても環境や人々の犠牲のうえに作られていることも追及する必要がある」と指摘しています。
放射線の食品照射拡大の動き
消費者から強い反対運動
2005年10月に内閣府の原子力委員会が決定した「原子力政策大綱」で焦点となったのは、核燃料サイクルやプルトニウム利用の問題でしたが、もうひとつ、私たちの食卓にとって大きな問題についても取り上げられました。それが、「食品照射」というものです。食品に放射線をあてて、殺菌や殺虫処理に利用したり、出芽を止める作用を働かせる加工技術です。
一見、新しい技術のように見えますが、日本でもすでに1970年代から一部(唯一、北海道・士幌農協におけるジャガイモの芽止めに利用)で実施されているものです。このたび、原子力委員会はこれを大幅に認めようという方向を打ち出しました。これに対して、消費者団体などは、長年にわたって反対運動を続けてきました。いま、新たに浮上している「食品照射」問題についてまとめました。
原子力委員会が急ピッチで推進
原子力委員会は昨年12月、内部に「食品照射専門部会」を設置し、急ピッチで審議を進めています。推進側からは、「放射線利用は工業用、医療用などに幅広く使われてきた。食品照射は国際的に認知されている方法だが、日本では認知が進んでいないのは、消費者などの理解不足からだ」としています。そして、「コバルト60などのガンマ線を食品に照射すると、殺菌、殺虫、発芽防止、病原菌の殺菌によって、食品の品質保持を可能にする。熱処理をせずに殺菌でき風味が変わらない。薬剤によるくん蒸の代わりに使えるので環境にも良い」とメリットを強調しています。
また、安全性についても、1980年にFAO(国連食糧農業機関)、WHO(世界保健機関)、IAEA(国際原子力機関)の合同会議で「10キログレイ(kGy)以下で照射された食品に毒性的な危険は認められない」とした結論を用いて、安全性を強調しています。
動物実験で異常が発見される
しかし、この問題に詳しい里見宏さん(食品照射ネットワーク代表、公衆衛生学博士)は、「IAEAなどの安全性の結論は、実験による根拠が示されていないものだ。日本の国立衛生研究所が行った10キログレイ以下で照射された餌を食べたマウスの実験でも、奇形や卵巣異常、死亡率の増加が報告されている」として、安全とするのは誤りだと指摘しています。
また、原子力委員会食品照射専門部会に参考人として出席した日本消費者連盟の富山洋子代表運営委員は、「消費者にとって受け入れがたいものである」として、以下のような理由を挙げています。
第1には、照射食品は安全ではないということです。たとえば、照射された食品が異臭をもつ場合がありますが、なぜ臭いが変わっていくのか解明できていません。照射することで新しい物質ができるといわれながら、その研究は進んでいません。ドイツの研究機関で生成物質のひとつである2−ドデシルシクロブタンをラットに与えたところ、細胞内の遺伝子を傷つけると報告されています。
第2に、食品が照射されているかどうかを検知する技術が確立していないことです。現在、日本では照射食品の輸入は認められていませんが、違法照射された食品が輸入されても取り締まることができないのが現状です。これ以上、その危険性を拡大することは問題です。
放射能汚染や使用済み廃棄物も問題に
第3には、消費者に何らメリットがないことです。食料の腐敗を防ぐと言われていますが、照射されたジャガイモは放射線被曝のため、菌に対する抵抗力が落ちて逆に腐りが増えています。また、食品業界ではコストのかかる照射よりも進んだ食品保持技術がすでに確立されています。
第4には、原子力の技術を食品に用いる問題です。照射施設がもたらす放射能汚染、そこで働く人々の被曝、また、使用済みの放射性廃棄物の処理など新たな問題が派生します。
こうしたことから、食品照射を推進しようとするのは、原子力産業界と海外からの輸入などを扱う一部の流通業者、さらにはアメリカなどの食料輸出国の圧力などによるものです。平和フォーラムは、消費者団体や原発問題に取り組む団体などとともに、「照射食品反対連絡会(仮称)」を立ち上げて、取り組みを進めることにしています。
青森・つがる市にXバンドレーダー配備せまる
米軍Xバンドレーダー(早期警戒レーダー)が配備される、青森・つがる市の航空自衛隊車力基地にはすでに機材の一部搬入が始まりましたが、本体の搬入は6月15日となるもようです。三沢基地から八戸港より船で輸送するといいます。
車力基地では先月から、レーダーを設置する土台づくり、既設フェンス内にさらに百メートル四方のフェンスを張るなど、百人規模の米軍人・技術者の受け入れの準備がすすめられています。6日には補給中継基地にされた三沢基地で初めて、報道関係者と三沢市側に公開しました。
米陸軍対空ミサイル防衛部長タウン大佐の説明では、電源装置のほかに、Xバンドレーダーは、いずれも大型トレーラー用コンテナ大の、電波を出すパネルが配置されているアンテナユニット、情報解析コンピューターなどのエレクトロニクスユニット、レーダー操作者が乗るサポートユニット、冷却ユニット、通信ユニットの五つで構成されます。
在日米軍再編の最終報告にも明記された、Xバンドレーダー配備に車力基地を米側に提供することを決めた5月12日の閣議決定から、この夏の運用開始に向けて着々と準備が進められています。一方、機材の一部がトレーラーで搬入された地元のつがる市には連絡もなく、何が搬入されたか分からない状態で、不安な市民感情に応える義務がある市側に「連絡があってもいいのでは」と、市の助役も語っています。
ここにも六ヶ所の再処理工場と同じく、国策として決めたことは地元の意向お構いなしといった国の基本姿勢が現れていると言えます。ミサイル防衛の根幹・レーダー情報の日米共有で集団的自衛権に踏み込む戦略的融合がいよいよ進みます。米国の核戦略に巻き込まれる前に、配備の撤回とミサイル防衛計画の中止をねばり強く求めていかなければなりません。
青森県へのXバンドレーダー配備の撤回を求める声明
「米軍施設への抵抗が少なく、機密の保全も図りやすい土地」と米軍の文書に書かれた青森県に、早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」設置の地元受け入れが3月末に決められ、既に機材の一部搬入が始まっている。日本は、米国の推進するミサイル防衛(MD)システムの導入を2003年末に閣議決定し、2006年度末の配備開始を目指している。
XバンドレーダーはMD構想の中で、米国土向けミサイルを迎撃するための重要な目の役割を担うものであり、「日本防衛と極東の平和維持」を施設提供の前提とする日米安保条約にさえ違反するものである。その航空自衛隊車力分屯基地への配備を、地元つがる市と青森県とが受け入れたのは、正式要請のあった3月3日から1か月も経っておらず、十分な議論はなされていない。軍事機密をたてに、国は説明責任を果たさず、レーダーの強力な電磁波でどのような悪影響があるのかも分からないままだ。
米軍の世界戦略に組み込まれる在日米軍再編とミサイル防衛 ―「飛んでくる鉄砲の弾を弾丸で撃ち落とすようなもの」で、迎撃できるのかの技術的信頼性もないが、MDは日本の安全保障政策の原則を大きく変える。現在の自衛隊法は迎撃対象を「現に日本に飛来する弾道ミサイル等」に表向き限定するが、日本へか米軍拠点に飛来するのか識別が事実上不可能なミサイルを撃ち落とした場合、集団的自衛権の行使に当たる。日本は今、米国の「ミサイル防衛」という名の巨大な軍事システム構築の格好の実験場とされつつある。
私たちは、武器輸出禁止三原則、宇宙の平和利用原則、集団的自衛権の不行使原則、文民統制など憲法9条のもとで形づくられてきた原則の多くを失うことと引き換えに進められる「軍事的公共事業」―MD導入によって得られるものが、三菱重工やロッキード・マーチンなど日米軍需産業への莫大な利益提供でしかないことに、怒りを禁じ得ない。
この3月、十分な議論もないまま、「国策」によって無駄で価値がないだけでなく、世界の核拡散を助長するプルトニウムを取り出す再処理工場が稼動を始め、放射能の環境放出が始められた青森県に、さらにもう一つ「国策」により無価値で危険な施設を押し付けるのは、国政の無策を示すものでしかない。青森を、東北アジアの緊張を高め、住民をむしろ危険にさらすことになるMDの拠点とすることは許されない。
私たちは、Xバンドレーダー配備の撤回とミサイル防衛計画自体の中止を強く求める。私たちの安全は、兵器の増強ではなく、周辺諸国との信頼関係を構築する外交の力、開かれた議論を伴った言葉の力と、軍縮によってこそもたらされると確信する。
2006年5月3日
原水爆禁止日本国民会議(他2団体)
在外被爆者/長崎訴訟で最高裁判決
手当の支給義務は自治体との判断
韓国の原爆被害者を支援する長崎市民の会 平野 伸人
在外被爆者裁判の経過
広島・長崎の原爆で被爆した韓国・朝鮮人、連合軍捕虜などの外国人被爆者,戦後の移民政策により広島や長崎からアメリカやブラジルをはじめとする南北アメリカに移り住んだ被爆者などのいわゆる「在外被爆者」は、被爆者援護法から適用除外されてきました。厚生省公衆衛生局長通達いわゆる「402号通達」により、日本を出国すると同時に、被爆者としての全ての権利を失効させてきたためでした。
長い間、放置されてきた在外被爆者は、多くの「在外被爆者裁判」を提起して、被爆者としての権利回復をめざしてきました。その結果、大阪の郭貴勲裁判により、「被爆者はどこにいても被爆者」という判決が出て以来この402号通達は違法との司法判断が定着し、在外被爆者問題は大きく前進しました。しかし、厚生労働省は、裁判に負けるたびに最低限の手直しをおこない、根本的な解決を怠ってきました。
在外被爆者・長崎訴訟
被爆地・長崎では,これまで全国に先駆けて多くの在外被爆者裁判が取り組まれています。まず、徴用工被爆者・金順吉裁判は勝訴はできなかったものの、その後の全国の在外被爆者裁判の提起のきっかけを作った歴史的な裁判です。
そして、李康寧裁判は、在韓被爆者の李康寧さんが出国により打ち切られた健康管理手当の支払いを要求した裁判です。2001年12月26日の長崎地裁の1審判決も、2003年2月27日の福岡高裁の2審判決も、原告李康寧さんが勝訴しましたが、国の責任を認め国に支払い命令が出たため、国が上告しました。そして、支払義務者が国か長崎市かを巡って争われてきました。
また、広瀬方人裁判は、李康寧裁判の過程で、「日本の社会の構成員でない李さんには請求権がない」との主張を国がしたため、日本人の広瀬さんが、中国に日本語教師として赴任中に打ち切られた健康管理手当の支払いを求めた裁判です。2003年3月13日の長崎地裁1審の判決は、広瀬さんの訴えを全面的に認め、健康管理手当の出国による打ち切りは「権利の濫用」として国に支払いを命じました。2004年3月19日の福岡高裁の2審判決では、原告の請求の権利は認められたのですが、時効が成立しているとして請求は却下されました。
最高裁で口頭弁論
最高裁に上告された2つの裁判は2〜3年も音沙汰がありませんでした。そして、今年4月4日に2つの裁判の口頭弁論が開かれました。争点は2つありました。最大の争点は、手当の支払い義務者は、国か長崎市(自治体)か。また、裁判の確定により国の責任の明確化がどの程度示されるかという点でした。そして、在外被爆者の手当支給などの請求に関して、時効の適用がなされるか否かということでした。
李康寧さんの病状が悪化し来日できない状況の中、広瀬方人さんが代弁する形で「在外被爆者を差別し続けてきた国の責任と時効の不当性」を述べました。続いて、代理人の龍田紘一郎弁護士が病気で出廷できない李康寧裁判の陳述を述べました。
最高裁判決について
4月4日の口頭弁論を経て6月13日、2つの長崎在外被爆者裁判の最高裁判決が下されました。その判決は、手当の支払い義務は国にはなく自治体(長崎市)にあるというものでした。しかも、広瀬裁判の争点である「時効問題」にはふれることなく広瀬さんの上告は却下されてしまいました。一審、二審の判決で原告の主張はほぼ認められているとはいえ、拍子抜けした判決であったといわざるを得ないものでした。国の在外被爆者差別政策を断罪し、在外被爆者問題の完全解決の道を開く判決を期待したのですが、果たせませんでした。
しかし、判決は制度改正前の国の施策を誤りと認めた初の最高裁判決であり、けっして敗訴というわけではありません。今後も、被爆者援護についての国の責任を追及していく取り組みを強めなければなりません。今回の最高裁判決を1つの節目として、さらに、在外被爆者の手帳取得問題や医療問題に取り組む必要があります。原水禁日本国民会議をはじめとする支援の皆様に感謝します。
被爆61周年原水禁世界大会
ヒバク体験を共有し、核廃絶・脱原発社会への新たな一歩を
広島、長崎のヒバクを原点として
昨年のNPT(核不拡散)条約再検討会議がなんの合意も得られぬまま1年が経過しましたが、核をめぐる状況は一層厳しさを増しています。今年はまたチェルノブイリ原発事故20周年の年でもあります。私たちは放射能被害の深刻さを改めて認識するとともに、61年前の広島、長崎への原爆投下による被害についても、再認識し、ヒバクシャへの支援、国際的な連帯を強めていかなければなりません。
被爆61周年原水禁世界大会は、福岡の国際会議を皮切りに、広島、長崎で連合との合同集会、さらに独自の分科会などを開催します。海外代表の参加も確定し、活発な討論が期待されています。大会を前に、私たちが当面している課題について考えて見ましょう。
6ヵ国協議の再開こそ東北アジアの平和の道
朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)の核問題をめぐる6ヵ国協議は、中断、再開、中断という状況が続いていて、現在、偽ドル問題をめぐる米朝の対立で、再開のメドが立たない状況です。
しかし米国に北朝鮮の核問題を早期に解決する意思があるなら、すぐにでも米朝会談を開き、さらに6ヵ国協議を再開することは可能です。
昨年9月13日に再開され、19日に発表された6ヵ国協議の「共同声明」は、朝鮮半島の非核化へ向けて、大きな期待を抱かせる内容でした。
「共同声明」は、@北朝鮮は一切の核兵器と核開発計画を放棄し、NPT(核拡散防止条約)に復帰し、IAEA(国際原子力機関)の査察を受け入れる。一方北朝鮮の求める原子力平和利用について、適当な時期に軽水炉提供で議論する。A米国は朝鮮半島で核兵器を持たず、北朝鮮を核兵器や通常兵器で攻撃、侵略する意図はない。米朝は相互の主権を尊重し、平和的共存、関係正常化の措置をとる──と述べています。
この共同声明の方向で協議が進んでいけば、朝鮮半島の非核化は現実のものとなり、私たちはさらに日本を含めた東北アジアの非核地帯化構想を日本政府に迫ることが出来たでしょう。しかしタイミングを図るかのように、偽ドル問題が出てきて、6ヵ国協議は中断してしまいました。
米国はどこまで北朝鮮を追いつめるつもりなのでしょう?いま現在は、あくまで北朝鮮を力で屈服させるという、まさにネオコン戦略の姿しか見えてこないのです。このような強硬策は、北朝鮮をして核実験に踏み込ませる危険が高いといえます。
そのような最悪の状況を回避するために、私たちは対話を基本とした方向、つまり6ヵ国協議の再開、そのための米朝協議を求めます。拉致問題の解決は、あくまで6ヵ国協議とは切り離されるべきです。
NPT(核不拡散)条約崩壊の危機
今年3月2日、米・ブッシュ米大統領は、現在インドの22基ある原子炉(建設中を含む)の内、14基を民生用としてIAEAの査察を受け入れることを条件に、原子力発電などの米国の技術を提供することを、インド・シン首相と合意しました。
つまり米国は、現在運転中の高速増殖炉2基(処理能力不明)を不問とし、その炉からのプルトニュウム取り出しを容認し、核兵器増強政策を認めたのです。
米国は1974年にインドが最初の核実験を行った際、原子力法(NNPA)を制定し、NPT未加盟国への核技術協力を禁じてきましたが、ブッシュ大統領は原子力法を改正してでも、NPT未加盟のインドとの協力関係を作ろうというのです。米国はこれまでイスラエルの核兵器について沈黙してきましたが、今度はインドの核兵器を容認しようとしているのです。
しかしこのような米国の二重基準こそが、世界に不信感を与え、核拡散を助長しているのです。私たちはこのような米国の姿勢に反対していかなければなりません。
米軍再編とミサイル防衛
在日米軍再編は、米軍が「不安定の弧」と呼ぶ中東から東北アジアにいたる地域に対しての抑止力を強化すること、とりわけイランと北朝鮮、中国をにらんだものであることはいうまでもありません。そして日本は、将来アジアに対してどのような位置を占めようとするのかなど、なんの戦略もなしに、在日米軍再編に協力することを、この5月30日に閣議決定しました。
米軍再編の全体を明らかにし、現在、沖縄、岩国、神奈川、そのほか全国で広がっている運動を支持し、広げていくことは、今年の大会の大きなテーマですが、とくに日米両国が急いでいるミサイル防衛(MD)について、その実態を明らかにし、反対運動を広げなければなりません。
日米合意では、今年の夏までに青森の航空自衛隊・車力分屯基地に米軍の早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」を設置することになっています。このレーダーの情報は日本と共有されることになっていますが、目的は米本土防衛のためのもので、横須賀基地に配備される迎撃ミサイル「スタンダード・ミサイル3」を搭載した米巡洋艦と連携するものです。
しかし「Xバンドレーダー」は電波の強さなどから、どのような影響(人体への影響、電波障害)が出るかは明らかではありません。さらに現在のミサイル防衛は、飛んでくる弾道ミサイルにほとんど役立たないことが明らかとなっています。米国は、昨年秋、北朝鮮による中距離弾道ミサイル攻撃などを想定した机上演習を実施しましたが、そうした想定にそって、役に立たないミサイル防衛を配備しようとしているのです。
脱原発・脱プルトニウム社会をめざして
現在すでに大量のプルトニウムを保有し、ウラン濃縮施設を運転している日本は、これまで核兵器開発がいつでも可能な国=潜在的核兵器国と見られてきましたが、さらに六ヶ所村に年間処理能力800トン(東海村再処理施設は20トン)という超大型の再処理工場を建設し、今年3月31日に試運転に入りました。
一方で、余剰プルトニウムを持たないことを国際公約している日本は、六ヶ所再処理工場から分離するプルトニウムを、原発でウランとの混合燃料として使うプルサーマル計画を1月6日に公表しましたが、当面、九州電力・玄海原発3号炉、四国電力・伊方原発3号炉などで計画が進もうとしています。
しかし、再処理工場、プルサーマル計画とも、最大の問題は、放射能の環境への漏れ出しであり、生物への深刻な影響です。プルトニウムは半減期2万4千年という、超寿命のアルファ線を出す危険な物質です。
東海大地震が近いといわれる中、浜岡原発のすべての運転停止を求める運動もさらに広がりを見せています。一方、中国電力・上関原発の建設をめぐる動きは緊迫しています。私たちはプルトニウム利用の危険を広く訴え、プルトニウム利用の停止から脱原発社会をめざさなければなりません。
さらに多くの子どもたちを広島〜長崎へ-平和への歩みを子どもたちに引きつごう
今年もメッセージfromヒロシマ実行委員会(通称メッティ)が動き出しました
メッセージfromヒロシマって?
メッセージfromヒロシマは、核も戦争もない平和な世界の実現をめざして若者や子ども自身による子どものためのイベントで、子どもたち一人一人が、広島で学び、感じたことを発表し、平和へ思いを形にする場です。毎年8月4日〜9日に広島・長崎で行われる原水爆禁止世界大会の関連企画として、子どものひろば(大人によって企画、運営される学習と体験の場)と一緒に開催しています。
首都圏・広島の高校生を中心として実行委員会を結成し、企画、プログラム作り、グッズの製作、準備などほとんどを自分たちで行っています。第1回目のメッセージfromヒロシマは2001年8月5日に行われ、全国から小・中学生や高校生が約1,500人集まりました。その後、若干規模は小さくなりましたが、毎年実行委員会も新メンバーを加えて入れ替わりながら、自立した取り組みとして行っています。広島の実行委員メンバーは参加をきっかけに、戦跡めぐりや、被爆アオギリの調査など自主的な活動も積み重ねてきています。
当日はどんなことをしているの?
メッセージfromヒロシマは約2時間にわたる大きなイベントです。年毎に趣向を疑らし、様々なプログラムが考えられてきました。毎年、海外から同年代のゲストを呼んでいます。これまでに、ベラルーシをはじめ9カ国50人を超えるゲストが参加してくれました。また、会場にいるみんなで平和への思いを、ひとつの大きなモニュメントにしています。折鶴を一面に貼り付けて描いた「笑顔」、色とりどりのメッセージカードを一面に貼り付けて描いた「ハートマーク」など、どれも完成したものを見て、参加者全員が感動しました。そして平和への思いを文章にして、会場から首相やアメリカなどの核保有国にメールで送ります。
ヒバク61年を迎える今年8月5日、さらに内容を工夫して開催しようと準備を始めています。さらに、多くの子どもたちが平和の夏の思い出作りに参加してほしいです。
■長崎でも8月9日に、高校生一万人署名(核廃絶を訴え署名運動を展開)を中心に広島同様自立した取り組み「ピースブリッジ」を行います。
⇒当日の様子を見たい人はHPへGO!写真もたくさんアップしています。
URL:http://www.peace-forum.com/kodomo
被爆61年“核廃絶の壁”
木のブロック・キャンペーン(「国際法を守る壁」プロジェクト)
8月9日、長崎の爆心地(原爆中心碑)の周囲に、平和へのメッセージを皆さんが書いた木のブロックを積み上げます(去年は海外から7万個、国内で1万5千個集まりました)。ドイツの若者がスタートしたこの「国際法を守る壁」プロジェクトのピースアクションは、広島・長崎市長が行う平和市長会議による核廃絶に向けた「2020ビジョン」でも支持され、取り組みが呼びかけられています。ぜひ、ご家族やお知り合いなど、身近な方にメッセージを書いていただいて、戦後61年の今、平和への想いを広めましょう!
◎木のブロック(横8cm縦4cm幅2cm)
◎1個100円(送料別)
※300個以上注文の場合は送料無料
問い合わせ:原水爆禁止日本国民会議
TEL:03-5289-8224
※木のブロックは、ひのきの間伐材を使用しています。木でできたものを使うことは、炭素の固定につながり地球温暖化防止に役立っています。
詳しくはHP参照:http://www.gensuikin.org/
ナ
■
ビ
日本の平和における二つの危機を克服しよう
日本の平和をめぐって、二つの危機が進行している様に見えます。ひとつは政府が憲法を蹂躙し、軍事大国化にひた走っていること、もうひとつは、対抗する側の勢力が弱く暴走を止め切れていないことです。しかし後者の危機は少しずつ克服されつつあるように見えます。
ああ憲法
通常国会は、終わりました。小泉自公政権の悪行が次々と露見してきました。マスコミは、悪行を覆い隠し、「安部だ、福田だ」と自民党総裁選挙に市民の耳目を持っていくのでしょうか。両者とも「戦犯」岸信介の率いた現在森派と称しているグループに属していることも決して忘れてはなりません。
しかし、総裁選挙に行く前に、すこし待ってほしい。私たちは、小泉自公政権が、この5年間、いったい何をしてきたのか、また何を次期自公政権に引き継ごうとしているのか、よく見極め、そして小泉の時代はいったいどういう時代であったのか見極める必要があります。そして私たちの位置を確かめ、次の取り組みを準備する必要があります。
そうした観点から見るととりわけ平和と民主主義の分野では、小泉自公政権は、許しがたい悪行を続け、本当に危機的状態です。この5年間、憲法がさらに法律と政府の政策によって蹂躙され続けてきました。靖国公式参拝、テロ特措法・イラク特措法、有事関連法案の制定、米軍再編成にかかる日米政府間決定、横須賀原子力空母母港化の日米政府間決定、原子力政策大綱の決定と再処理工場のアクティブ試験実施等が行われました。
そして現在インド洋・イラクに自衛隊は派兵されたまま、防衛庁の省への昇格法案、共謀罪・教育基本法・国民投票法案は廃案ではなく継続審議へ、米軍再編成は閣議決定を行い説明と関連法案は次期国会でと続いています。海外派兵を一般化する自衛隊法の改正も準備されています。
これだけやれば実質「憲法9条」が改悪されたのと同じ事態となってしまいます。米軍再編成のかかわる「日米同盟、未来のための変革と再編」、「ロードマップ」を読めば、憲法どころか「日米安保条約」すら踏み越える内容となっています。一方国民生活の面から見れば、格差社会が深刻化しています。それでも自公政権なのでしょうか。
自公政権の悪行を許すな
平和フォーラム・原水禁と全国の仲間は、東京で、全国で憲法9条の理念を実現するとして、取り組み強化を図っています。民主党も小沢代表誕生以来政権交代を展望しながら、野党としての役割を果たそうと動き出しました。社民党も、全力で取り組んでいます。労働団体の連合、多くの平和団体、市民団体も取り組みを強めています。米軍再編成に対する地方議員団の動きも大きくなっています。そして自公政権に対する包囲網ができつつあるように見えます。
そして新しい動きも確実に拡大しています。とりわけ米軍再編成にかかる地方自治体も「政府のアメとムチ政策」の中で、何とか反対の立場で頑張り続けています。また共謀罪新設の法案の強行採決を許さなかった取り組みも秋の闘いの方向性を示しています。
私たちももう一度、私たちの取り組み方向を確認し、求められている役割をはたしあいましょう。
8月は、原水禁大会の月です。連合、核禁会議とも連携しながら、取り組みを強化しましょう。