市民の力で憲法・教育基本法の理念にそった
教科書の採択を求める4・14緊急集会アピール
  2001年4月14日

   21世紀を人権の世紀に、子どもたちにとって希望の世紀にしようと願うとき、子どもたちが学ぶ教育は、真実と平和への希求に貫かれたものでなければならない。しかし、さる4月3日に、2002年度から使用される小・中学校教科書の検定結果が公表され、「新しい歴史教科書をつくる会」が中心になって作成した中学校歴史、公民の教科書が「合格」したことが明らかにされた。これに対して、史実を歪曲し、民主主義を敵視するものであると、日本国内はもとより、アジアの各地からも大きな批判の声が巻き起こっている。
 報道によると、この歴史教科書では、神話から歴史を記述し「天皇中心の神の国」として日本史を描いている。そして、「大東亜戦争」と表記し、アジア諸国への侵略の事実を記述するのではなく、逆にその正当化をはかっているという。また、公民の教科書では、憲法9条改正論への誘導的記述など、憲法の平和主義を否定した改憲論を基調とする内容となっている。さらに、従軍慰安婦の記述をなくしただけでなく、女性差別を肯定するなど基本的人権を否定する看過できない内容を含んでいるものである。「検定で修正されても考え方そのものは残っている」とつくる会の代表が発言したと伝えられているが、歴史学や歴史教育の学問的蓄積を無視し、国家主義的な思想に貫かれたこの教科書が発行、採択されると、実際に子どもたちが使わされ、国際的見地からも歪んだ歴史認識を植え付けられる危険性を高めることになる。
 私たちは、現行の教科書検定制度を支持するものではない。しかし、文部科学省が重大な問題を抱えた申請本を「合格」としたことは、従来の事例と比較しても著しく公平を欠いているといわざるをえない。さらに、他社の申請図書からも加害に関する歴史記述が後退したように、近隣諸国条項すら十分に適用していないことを示している。文部科学省の今回の検定に対して、ここにあらためて強く抗議する。
 このような教科書が採択されることは、憲法や教育基本法の改悪へと道を開き、アジアの人々との友好や平和を脅かし、国際的にも日本が孤立の道を歩むことになりかねない。
 教科書の採択にあたっては、実際に教科書を使用する学校現場の教職員や子どもをはじめ、保護者、地域住民などの意見を反映すべきである。今後、私たちは、多くの人びととともに、各地域での教科書展示会へ積極的に足を運び、偏狭なナショナリズムの危険性を指摘し、公正・冷静な観点から教科書に対する意見を表明していく。そして、市民の力によって、不透明な教科書行政を許さず、民主的な教科書採択が行われるようにしよう。そのための運動をいっそう進めよう。
   2001年4月14
       市民の力で憲法・教育基本法の理念にそった
                  教科書の採択を求める4・14緊急集会