日本における「人権の法制度」の総合的確立と
「人権侵害救済に関する法律」(「人権委員会」設置を
中心とする法律)の早期制定を求める要請書
   世界人権宣言56周年記念東京集会アピール

    2004年12月06日 世界人権宣言56周年記念東京集会参加者一同

   私たちは、日本と世界において、戦争や貧困、経済不況や社会不安のもとで、さまざまな差別や人権侵害が進行してきている現状を深く憂慮しています。
 とりわけ、アイヌや沖縄の人びと、被差別部落の人びと、在日コリアンや滞日外国人、女性や障害者、ハンセン病回復者やHIV感染者などのさまざまなマイノリティに対する差別・人権侵害が厳然として存在している事実があります。
 一方で、多くのマイノリティ当事者や人権NGOをはじめとする広範な各界の心ある人たちの粘り強い差別撤廃・人権確立への取り組みにより、中央政府や地方自治体をして「人権の法制度」を確立していく取り組みも徐々に前進してきていることも事実です。
 1990年代より相次いで人権にかかわる法制度が策定・改廃されてきました。例えば、「障害者基本法(改正)」(1993年)、「らい予防法」廃止(1996年)、「アイヌ文化振興法」(1997年)、「男女共同参画社会基本法」(1999年)、「外国人登録法」改正(2000年)、「人権教育・啓発推進法」(2000年)等々です。これらの法制度は、いずれもマイノリティ当事者の長年の取り組みの成果であり、一定の人権伸長の役割を果たしていることは事実です。
 しかし、差別撤廃・人権政策確立に有効に機能しているかと言えば、残念ながら「否」と言わざるを得ません。その大きな理由として、次のような点を指摘できます。
 第1の理由は、差別撤廃・人権確立へむけての「明確な理念」が打ち立てられていないということです。「差別」や「人権」についての定義が曖昧にされ、マイノリティや人権侵害の実態の正確な把握にもとづく系統的な政策が立案されず、場当たり的な施策になっているのが現状です。理念なき法制度は、硬直化するのが常であり、差別撤廃・人権確立への現実的応用や発展的展開を押しとどめるものです。
 第2の理由は、お上行政と言われる日本の伝統的な官僚手法により、国権的・公権的発想からの法制度になっており、マイノリティや人権侵害被害者の実態に立脚した有効な人権の法制度の仕組みになっていないということです。これは、人権にかかわる制度設計としては重大な欠陥です。人権確立が、「公権力への抑止」や「一人ひとりの自己実現」ということと表裏一体であることを考えれば自明のことです。
 第3の理由は、国の基本政策である差別撤廃・人権政策確立が、個別課題の担当省庁に任されて、バラバラで政策的整合性に欠ける縦割り弊害による「切り刻み人権」になっているということです。個々の人権はそれぞれに密接に関連し合っているという人権の不可分性は、人権政策における一貫性のある総合政策を必要としているのであり、それを可能にする全省庁を網羅する行政機構がいるのです。
 これらの問題点が、廃案となった「人権擁護法案」をめぐる抜本修正論議の過程で、「独立性」や「実効性」の問題として余すところなく露呈したと考えます。
 私たちは、以上のような見解にもとづき、「人権の法制度」の本格的確立と「人権侵害救済に関する法律」(「人権委員会」設置を中心とする法律)の早期制定にむけ、下記の事項につき政府および各政党に対して強く要請するとともに、本集会のアピールとして広く訴えていくものです。

                       記

(1)日本国憲法や国際人権諸条約を具体化し、あらゆる差別の撤廃と人権政策推進にむけて、「人権の法制度」の本格的な確立を図られたい。
(2)差別撤廃・人権確立を総合的・系統的に推進するための政府行政機構として、「人権省(庁)」の設置を行われたい。当面、各省庁の総合的調整機能を有する内閣府に「人権局」を設置されたい。
(3)差別実態・人権侵害実態の深刻な現状に鑑み、一日も早い「人権侵害救済に関する法律」(「人権委員会」設置を中心とする法律)を制定されたい。その際、廃案となった「人権擁護法案」の修正論議の経過と到達点さらにはパリ原則を踏まえて、創設される「人権委員会」が独立性・実効性を確保したものにされたい。また、メディアの取材や報道に対する規制、さまざまな人権団体の取り組む自主的な活動への不当な妨害をすることなく、十分な連携を取りながら活動するようにされたい。
                                             以 上
                            2004年12月6日
内閣総理大臣     小泉純一郎 様
自由民主党総裁   小泉純一郎 様
公明党代表      神崎  一郎 様 
民主党代表      岡田  克也 様
社民党党首      福島  瑞穂 様
日本共産党委員長  志位  和夫 様

                    世界人権宣言56周年記念東京集会参加者一同

【要請団体一覧】
世界人権宣言中央実行委員会
東京人権啓発企業連絡会/「同和問題」にとりくむ宗教教団連帯会議/(財)全日本仏教会/世界宗教者平和会議日本委員会/日本労働組合総連合会/部落解放中央共闘会議/女性会議/婦人民主クラブ/フォーラム平和・人権・環境/全国障害者解放運動連絡会議/北海道ウタリ協会/在日コリアン人権協会/部落解放同盟中央本部/(財)松本治一郎記念会館/(社)部落解放・人権研究所/全国人権・同和教育研究協議会/全国大学同和教育研究協議会/各都府県実行委員会
反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)

【賛同団体一覧】
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本/財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)/日本キリスト教協議会「在日外国人」の人権委員会/在日韓国人問題研究所(RAIK)/外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会(外キ協)/反差別ネットワーク人権研究会/社団法人神奈川人権センター/特定非営利活動法人DPI日本会議/北京JAC/中国帰国者の会/移住労働者と連帯する全国ネットワーク/東京精神医療人権センター/アジア女性資料センター/琉球弧の先住民族会(AIPR)/特定非営利活動法人動くゲイとレズビアンの会(アカー)/特定非営利活動法人監獄人権センター(CPR)/入管問題調査会/市民外交センター/無実のゴビンタさんを支える会/一緒企画/すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク(RINK)

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