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日豪自由貿易協定はいらない―意味のない交渉の中止を日本およびオーストラリア市民社会の共同声明

2007年4月23日

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 私たち、この共同声明に賛同する個人・組織は、日豪自由貿易協定(日豪FTA)は両国の人々にほんとうの利益をもたらさないと信じています。日豪両政府が2006年12月に発表した『日豪経済関係強化のための共同研究-最終報告書』では、FTAが両国に利益をもたらすと強調しています。しかし、それは非現実的な仮定と貧弱な経済モデルの上に組み立てられたものです。また共同研究は社会・環境への潜在的影響と、それによって人びとや労働者、農民がどんな影響を受けるかについて考察していません。

 日本とオーストラリアの間にはすでに強い貿易関係が存在している、予測されている経済的恩恵が非現実的である、社会・環境コストについて考えられていない、以上の点から、私たちはFTA交渉を行なうべきではないと考えます。必要なのは、多国間貿易ルールを再考し、真の発展と公正、民主主義、持続可能性の上に立つグローバルな貿易システムだと、私たちは考えます。

 

1 農業

 私たちは、協定に農業問題が入ることを憂慮している。もし農業分野の完全な自由化が実施されれば、とくに日本の農家は大打撃を受ける。日本は現在、農家と影響の大きい(センシティブな)農業関連産業を保護するために最大で700%の農産物関税をかけているからである。日本の農家は、安価な農産物の輸入によって深刻な打撃をうける。オーストラリアでは、グローバルな競争と構造調整の結果、小規模な家族経営農家は急減している。

 日豪の消費者は、いま各国の間で交渉が進められている自由貿易協定が食の安全基準を引き下げる圧力となり、将来的に遺伝子組み換え作物の世界的な流通が促進されることに深い懸念を持っている。

 貿易交渉によって農民の暮らしが破壊されてはならない。大事なのは、食糧主権と農村の発展、農民の暮らしの保護に立脚したグローバルな農業システムである。

 

2 環境と地球温暖化

 「最終報告書」が、国連が採択した多国間環境条約に言及していないことに対しても、私たちは憂慮している。日本とオーストラリアの間で締結されるいかなる協定も環境問題について徹底して検討し、国際的な環境基準を遵守するための国内法の整備を含むべきである。

 また「最終報告書」が、「エネルギーの安定供給」を確保するためFTAにエネルギーと鉱物に関する章を盛り込んだことにも、大きな疑問がある。貿易協定がなぜ企業間の契約で決められるべき安定供給について言及するのか、理解しがたい。

 オーストラリア政府は補助金や輸出補助金という形態で石炭産業に対する助成をしておらず、日本は鉱物とエネルギー分野では概して自由貿易政策を採っている。したがって、FTAがエネルギーと資源の貿易に与える影響は何もない。いま巨額の利益をもたらす産業として拡大しつつある石炭産業は、地球温暖化と環境に甚大な被害を与えかねない。

 事故や核廃棄物、核兵器の拡散など解決できない危険性があるにもかかわらず、核エネルギーの利用も図られている。したがって、代替エネルギーへの投資に焦点をあてること、そして貿易による地球温暖化への影響緩和についての条項を含めること、に焦点をあてるべきである。

 

3 基本的なサービス

 保健衛生や水、教育などの基本的サービスはFTAから除かれるべきである。基本的なサービスのための均等なアクセスを保障し、社会と環境の目的を達成する権利は、両国政府が保持すべきものである。

 私たちは、とくに共同研究で述べられている「GATSプラス」を憂慮している。オーストラリアも日本もすでにGATSが対象とするサービスから公共サービスを除外することを公約しようとしてきた。したがって、GATSの対象範囲を拡大しようというのは驚くべきことである。それは、日豪両政府が国民の利益のためにサービスを保護することを優先せず、利潤を求める多国籍サービス供給企業のために動いていることを示すものだ。

 公共サービスは貿易協定から除外されるべきである。

 

4 人権と労働の権利

 日豪両政府がすでに批准している人権や労働基準(「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」を含む)の遵守状況についての分析を、共同研究は行なっていないことを、私たちは憂慮している。

 日本とオーストラリアの間で提案されるいかなる協定も、人権・労働基準について詳細に検討し、投資家が人権と労働基準を遵守するための強制力をもつ公約(実効性のある監視メカニズムと違反した場合の罰則)を取り入れるべきである。

 

5 公聴会と開かれた議論

 「共同研究」を進める過程において、実効性のある透明性の高い公聴会が開かれたかどうかについても私たちの危惧するところである。日豪両政府が、貿易協定を提案しようと考えるならば、それが暮らしや仕事、環境にどんな影響を与えるかについて、充分な時間を取って、充分な情報を公開した上で、広い議論を行なうべきである。

 自由貿易協定の協議プロセスをどう進めていくかに関して、両国政府は原則と目的をはっきり持つ必要があり、労働組合や農民、地方自治体、関心を持つ人びととの定期協議がそのプロセスに含まれるべきである。

 

 私たちは日豪FTAに反対します。いま世界中に広がっている二国間貿易協定は、大多数の人びとに何の恩恵ももたらさない不平等な協定でしかないからです。

 私たちは、多国間貿易ルールは、真の経済発展をもたらす包括的で民主的なグローバル貿易システムをめざすもの、各国政府が住民の利益のために規制する権利を保持するものに生まれ変わるべきだと信じています。

 

日豪NGOの共同声明への賛同を呼びかける運動について

 この共同声明は、オーストラリアのNGOと共同で作成したものです。現在、オーストラリアでの日豪FTAに反対する運動は、AFTINETが中心となっています。

 AFTINETは、オーストラリアの90以上の団体(地域の組織、協会グループ、労働組合など)および個人がつくる、公正な貿易と投資を求めるネットワークです。調査・研究などを中心に、WTOやFTAに関する教材、ニュースレターを出しています。豪タイ自由貿易協定、豪米自由貿易協定についても、豪州政府に意見書を提出して活動しています。

 日本でも、賛同する団体を集め、次の日豪EPA交渉時等に賛同状況を公表していて、両国での運動を盛り上げていく運動を進めます。

 

 

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