「食料・農業・農村基本計画」の見直しに関する要請

現在、政府は2000年に定めた「食料・農業・農村基本計画」の見直しを検討しています。来年の3月に策定される新たな基本計画は今後の日本の食料・農業政策を大きく左右するものです。
 これまでの、規模拡大・効率化一辺倒の農業政策を進めてきた結果が、BSEなどの食の不安を引き起こしている現状から、食の安全や環境問題などに配慮した政策への転換が必要です。
 私たちは、基本計画の見直しにあたっては、「食料・農業・農村基本法」に基づき、食料自給率の引き上げ、食の安全・安定に結びつく施策を展開することが、日本農業の再生・発展につながると考えます。
 つきましては、下記について、その実現を強く求めます。

1. 食料自給率について
 この5年間、食料自給率が横ばいで推移してきた原因と関係諸施策の問題点を明らかにし、生産者と消費者の理解と協力のもと自給率引き上げ政策を推進すること。
2. 担い手のあり方について
 政策対象者たる担い手は、意欲を持つ農業者及び地域で「育成すべき担い手」として認定される者すべてを対象とすること。また、集落営農は、地域の条件に見合った多様な農業の展開を可能とするものとして位置付けること。
3. 新たな経営安定対策(品目横断的政策等)について
 新たな経営安定対策は、農産物価格の構造的な低落をカバーし、耕作意欲をもてるよう本格的な所得補填策とすること。
4. 農地制度のあり方
  @農地等の土地利用規制の体系を整備し、農地を農地として利活用できる法・制度を早急に確立すること。
  A構造改革特区でのリース方式による株式会社の農業参入について、拙速な全国展開を行わないこと。また、株式会社の農地取得を認めるような法改正を行わないこと。
5. 農業環境・資源保全政策の確立
 @担い手以外の農家、非農家、地域住民などを含めた農業資源保全の「共同」の取り組みに対する本格的な支援策を導入すること。
 A環境直接支払い制度を創設するなど、有機農業・環境保全型農業の推進を支援すること。
 B現行の中山間地域等直接支払制度は、対象地域の拡大、要件の緩和、支払い単価の引き上げなど、拡大・充実して継続すること。

 

WTO・FTAにおける農業交渉に対する要請

 WTO(世界貿易機関)交渉は、先に、今後の交渉に前提となる大枠合意がなされました。関税などの具体的な数値は今後の交渉に委ねられたものの、アメリカや農産物輸出国からは依然として、上限関税の設定や、高関税品目の大幅引き下げ、関税割当数量の大幅拡大などが要求されています。
 また、アメリカなどが行っている国内農家への手厚い補助や、輸出補助政策について、大枠合意では実質的削減に結びつかないといわれ、途上国などから反発が高まっています。このような公平さを欠いた交渉を是正し、地球規模での食料・環境問題を解決するため、各国が自国の生産資源を最大限活用し、共生・共存できる「新たな農産物貿易ルールの確立」が求められています。
 また、FTA(二国間自由貿易協定)については、現在、韓国、マレーシア、フィリピン、タイとの交渉が行われていますが、特に東南アジア各国からは農産物の貿易自由化が求められています。先のメキシコとのFTA交渉でも見られたように、工業製品の輸出促進のために、農業分野が大幅な譲歩を強いられ、食料や農業は大きな影響を受けることになるのは必至です。
 私たちは、WTOおよびFTAにおける農業分野の交渉にあたって、農業の多面的機能の発揮と食料主権、各国の農業の共存と食料自給向上が可能な貿易ルールが実現できるよう、下記の通り強く求めます。

1. WTO農業交渉では、世界的な飢餓の拡大や地球規模での環境悪化につながることのないよう、農林水産業の多面的機能の発揮や食料主権を確立し、各国の多様な農林水産業が共生・共存できる貿易ルールに改めるよう確固たる姿勢で臨むこと。
2. 上限関税の設定や関税割当数量の一律的・義務的拡大には断固反対すること。
3. 国内農林水産業の維持を可能とする関税率水準や国家貿易体制、特別セーフガードの維持などの国境措置を確保し、急速な市場開放には絶対に応じないこと。
4. 行き過ぎたAMS(助成合計量)削減の是正と、「緑の政策」の要件緩和など国内支持政策に関する適切な規律を確保すること。
5. 各国とのFTA交渉において、農林水産物の関税撤廃・削減は、国内農業へ打撃を与え、WTO農業交渉や他国との交渉に重大な影響を与えることから、絶対に行わないこと。
6. WTO・FTA交渉についての情報公開を徹底し、各国の農業者や消費者・市民の声を反映すること。


 

BSE対策に対する要請

 10月15日、厚生労働省・農林水産省によるBSE対策の見直し案が食品安全委員会に諮問され、今後、食品安全委員会の答申が出されれば、新たな国内対策が行われようとしています。これは、現在輸入が禁止されている米国産牛肉の輸入再開にもつながるものです。消費者・生産者にとって食の安全問題についての象徴たるこのBSE問題については現行の国内対策を継続することが必要であると考えます。
 つきましては、20ヶ月齢以下の牛を検査の対象からはずすことなどの新たな対策案は撤回し、米国産牛肉の輸入再開を行わないよう、以下の通り要求します。

1.  
2. 米国産牛肉については、日本と同等の検査体制を求め、これらに応じない場合は輸入再開をおこなわないこと。