韓国・ソウルでのアジア社会運動団体共同行動報告(6月12日〜15日)

 6月13日と14日、韓国のソウルで「世界経済フォーラム東アジア会議(WEF-EA)」が開かれました。世界経済フォーラム(WEF)は通称「ダボス会議」と呼ばれ、経済のグローバリゼーションを推進するため世界の経済界や政界のエリートが集うフォーラムとして知られています。
WEFの行動原理とも言うべき新自由主義的グローバリゼーションは、貧富の格差、南北間格差を拡大するものとして、これに対し、韓国において「世界経済フォーラム反対韓国組織委員会」が作られ、日本をはじめ、アジア各国の社会運動団体が集まり、 6月12日から15日までの期間、ソウルにおいて、さまざまな対抗行動が展開されました。
 日本でもこの呼びかけに応え、平和フォーラムや市民団体などにより、「6月ソウル行動実行委員会」が作られ、約100名が韓国での行動に参加。アジア各国からも50名程度が参加しました。
12日は前夜祭、13日は大規模集会とWEF-EA会場に向けてのデモ行進、 14日と15日には、「アジア社会運動会議」が開かれ、グローバリゼーションや反戦などの課題について討議し、最終日に 「アジア社会民衆運動団体の行動の呼びかけ(共同宣言)」 を採択して閉幕しました。以下はその概要報告です。

世界経済フォーラム東アジア会議に反対する集会・デモ

 6月12日は、一昨年、ヒョスンさん、ミソンさんという2人の女子中学生が米軍の装甲車によってひき殺されて2周忌にあたり、夕方から追悼集会とともに、イラク派兵反対および朝鮮半島に平和を求める全国集会が光化門で開かれ、3000人が参加しました。集会では、ブッシュによるイラク占領を皮肉る寸劇なども上演されました。(写真1)
 12日夜は、「グローバリゼーション、戦争および米国に反対し、朝鮮半島に平和を求める文化イベント」が、WEF-EAの会場となった新羅ホテルが正面に見える東国大学グランドで開催され、学生を中心におよそ2000人あまりが参加しました。
最初に、インドネシア、インド、ネパール、バングラデシュ、香港、ブラジル、米国、ベルギー、タイなど、12か国から来た150人あまりの紹介と連帯の挨拶が行われました。
 タイから来た代表は、「第三世界の民衆は経済的、社会的に抑圧されて似たような境遇に直面している。タイでは電力と水の私有化に反対する闘争を展開している。」と話しました。
日本の参加者は、アニメーション「千と千尋の神隠し」をパロディ化した寸劇を披露し、「もう一つの世界は可能だ」、「イラク派兵反対」「WTO・FTA反対」などの内容を込めて参加者から多くの拍手を受けました。(写真2)
 13日は、午前中、日韓FTA反対共同行動がマロニエ公園で開かれました。日本と韓国の間では、自由貿易協定(FTA)の締結をめざして、昨年12月から政府間交渉が行われていますが、内容が公開されず、自由貿易となれば、経済力に勝る日本が韓国の産業を席巻し、倒産・失業が増大することも予想され、韓国内では反対運動が広がっています。また、日本の経済界からは韓国の労働運動を抑圧する要求も出されており、労働組合からの反発も高まっています。韓国と日本の参加者が、それぞれ、国内での運動を強化していくと同時に、国際的な連帯運動が必要であると訴えました。(写真3)
 午後からは、大学路と呼ばれる道路を占拠し、「世界経済フォーラム東アジア首脳会議反対共同行動決起大会」が、1万人以上の参加で開かれました。主催者のチョングァンフン民衆連帯常任代表は、「世界経済フォーラム東アジア会議はアジアの平和と繁栄のためのものでなく、アジアの緊張(戦争)と独占のためのもの」だとし、「多国籍企業は世界貿易機構を武器として、武器やコメをはじめとする穀物、医療、教育、基幹産業、知的財産権、そして水までも独占して、さらに開放を迫っている」と批判しました。また、イスホ民主労総委員長や、全国農民会総連盟のムンギョンシク議長、民主労働党の段炳浩国会議員などが、「新自由主義経済は環境や食料、公共サービスなどを破壊し、貧富の格差をもたらしている。資本のグローバル化に反対して、人間のグローバル化のために闘かおう」と呼びかけました。(写真4)
 集会後、参加者は世界経済フォーラム東アジア首脳会議が開かれている新羅ホテルに向けて、道路いっぱいを使ってのデモ行進を行いました。デモ隊は、東大門運動場で大会を行っていた露天商4千人あまりが加勢して 1万5千余人に増えました。(写真5)
 新羅ホテル近くで、警察による阻止線が貼られたため、機動隊と対峙しての集会が開かれました。(写真6)。
さらに、代表団による抗議書簡をWEF事務局が受け取らなかったため、学生達を中心に新羅ホテルへの行進が始まり、これを防ごうとする警察との衝突が起こり、学生多数が負傷しました。(写真7)


アジア民衆・社会運動会議を開催

 14日から15日にかけて、アジア各国やインド、ブラジル、アメリカの社会運動団体の代表者などが高麗大学で 「アジア民衆・社会運動会議」を開催しました。
 最初に全体討論として、「新自由主義と戦争に対抗するアジア社会運動の課題」をテーマに、経済のグローバリゼーションと、「テロとの戦争」の名の下でのイラク戦争などに対する、市民・労働者・農民・女性の運動が提起されました。反戦平和の課題については、福山真劫平和フォーラム事務局長が基調提起を行い、ブッシュの世界戦略と米軍のアジア戦略について見据え、日本の軍事大国化・対米追随路線との闘いや、世界的な共同行動の連携強化を呼びかけました。(写真8)
 その後、二日間にわたり、食料・農業、WTO・FTA、反戦平和運動、食の安全、貧困とホームレス、非正規職労働者と人権、女性問題、水の私有化、教育問題など、さまざまなテーマでの分科会討議を行った後、最後に「アジア社会民衆運動団体の行動呼びかけ(共同宣言)」を採択して閉幕しました。(写真9)

 共同宣言では、今後アジアの民衆社会運動のネットワークを形成し、国際的共同行動への参加を呼びかけました。具体的には、 「6月30日のイラク主権委譲に際するイラク占領反対共同行動」、 「7月19日〜24日のWTO農業交渉反対の行動」、 「9月10日の、昨年メキシコ・カンクンでのWTO閣僚会議に抗議して自殺したイキョンヘさんの1周忌を迎えての食料主権とWTO反対のための共同行動」、「2005年に香港で開かれるWTO閣僚会議に対する共同行動」があげられています。→共同宣言文はこちらへ


 15日夜は、仁川(インチョン)スタジアムに25000人が参加し、南北首脳会談4周年を祝う南北統一大会が開催されました。この大会には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からも約100人が参加しました。スタジアムは、統一旗(白地に青で朝鮮半島が描かれている)を振る韓国の人々であふれかえっていました。(写真10)
このほか、平和フォーラム訪韓団は独自に韓国の政党関係者との話し合いを行いました。13日に、新たに国会に議席を得た、民主労働党のユン・ヒューウォン国際局長と懇談したほか、15日には、与党ウリ党の有力国会議員のチャン・ヨンダルさんと懇談しました。チャン議員と、先の選挙での勝因や、イラク問題、東北アジアの非核化問題で意見を交換し、日韓の平和運動の連携を積極的に強化することで合意しました。(写真11)