広島、長崎は暑い夏を、被爆後64年の今年もまた、迎えました。そして、「核も戦争もない平和な21世紀!」にすることを掲げ、高校生を中心とした実行委員会によって企画、運営される「メッセージfromヒロシマ」は、記念すべき10回目の開催となりました。 当日は、海外ゲストや初参加の和歌山県を含め、全国から広島を訪れた約300人が参加して、大いに盛り上がりました。
オープニングは、広島朝鮮初中高級学校、高級舞踊部の皆さんが「チェンガンの舞」を踊ってくれました。その優雅な踊りは、子どもたちはもちろん、付き添いの大人たちまでも夢中にさせるものでした。
そして、総合司会の山本遼さん、岡崎好司さんが登場し、挨拶とともに元気良く「メッセージfromヒロシマ2009」が始まりました。その後、司会の花岡美々さん、比名夢穂さんも登場し、華を添えてくれました。
第1セクションは、実行委員の登場で始まりました。黄色い手作りの花をつけた高校生たちが登場し、全体を代表して広島県実行委員長である高校三年生の横山昌典さん、三重県実行委員長の立嶋亜美さんが子どもたちに呼びかけました。 ダンスの練習に移ると、振付指導の池之上さんが舞台に登場。まだ少し緊張した面持ちの子どもたちでしたが、「BANZAI」の振付練習に夢中のようでした。
第2セクションは、平和への思いを表現する時間です。キラキラした花型のフィルムにメッセージを書き込んでいきました。中には、何を書こうかと迷っている子もいれば、ペンを持参して意欲的に書き込んでいる子どもたちもいました。 想いを書き込んだ花形フィルムは、あるものをかたどったシートに張っていきました。シートへと、もうこれ以上貼り付ける部分がないくらいに花形フィルムを張り込む姿からは、強い気持ちを感じることが出来ました。
今回、北は北海道から、南は長崎まで、全国の都道府県・団体からたくさんの子どもたちが参加してくれました。参加してくれた子どもたちは、それぞれに平和に対する思いを抱いています。第3セクションでは、多くの想いを代表して、18人がメッセージを発表してくれました。 トップバッターは、テレビや『はだしのゲン』などを見て、戦争のことを知ったという、北海道代表のHS君です。『はだしのゲン』の話の中にある、「戦争に使う力とお金を平和のために使う」というセリフに感銘を受けたことを教えてくれました。
全国の子どもたちからの心を動かすメッセージが読み上げられた後は、海外のお友だちからのメッセージです。 韓国から参加してくれたのは、(左から)イー・イェギョンさん、キム・ドンピルさん、キム・ミンジョンさんです。代表して、イー・イェギョンさんが、今後も日本と韓国の平和交流活動に力を注いでくれていることを話してくれました。
また、フィリピンから来てくれたアライザ・カレオンさんは、自身や家族の現状を踏まえ、自立支援施設「ブカス・パラド」について話してくれました。
第4セクションは、広島からの活動報告として、二つの高校が作品を発表してくれました。まず、国泰寺高等学校放送部が、「希望を探して」(テレビドキュメント作品)を通してフィリピンの「パアララン・パンタオ」というフリー・スクールを支援する岩崎一三さんついて、紹介してくれました。
続いて、三次青陵高校の人権問題研究部からは、被爆樹木についての発表がありました。 どちらの発表も、広島にいるからこそ気づくこと、思うことを伝える内容でした。
内容盛りだくさんの「メッセージfromヒロシマ2009」も早いもので、エンディングの時間となりました。 「メッセージfromヒロシマ」における大切な目的の一つとして、「反核」ということから核保有国へ向けて、平和のメッセージを発信するということをしています。 実行委員、そして、参加者、関わったすべての人を代表して、坂井美咲さん、望月鈴子さん、藤原朱璃さんがメッセージを読み上げてくれました。 会場からは自然と拍手が沸きあがりました。 メッセージは、みんなの気持ちを乗せ、核保有国にメール送信されました。 その後、第二セクションで書いた平和メッセージが、きらめく大きな鳩となって現れました。キラキラと光る花形フィルムのきれいさと迫力に、会場全体が圧倒されました。そこに、司会者からの「最後に思いっきり踊りましょう」という声がかかり、子どもたちも実行委員も、全員が笑顔で思い切り踊りきりました。 楽しみながらも、平和について考える機会となった「メッセージfromヒロシマ2009」。「BANZAI」の歌詞に「前進するのが大事よ」とあるように、今後、全世界が核のない平和な世界へ向かって前進することを願っています。
≪韓国からのお友だち≫ イー・イェギョン(李例耕)さん 1993.12.4生 キム・ミンジョン(金旻廷)さん 1993.10.11生 キム・ドンピル(金東弼)さん 1992.11.27生
≪フィリピンからのお友だち≫ アライザ・カレオンさん (13歳)
被爆電車に乗って被爆者の人の話を聞きました。「戦争は絶対にいけん。原爆はいけん。今の若い人たちに、こんな苦しい、むごいことは、絶対に体験させたくない」。64年前、ヒロシマとナガサキに落とされたたった二発の原子爆弾は、一瞬にして数十万の人々の命を奪い、さらに、多くの人々を苦しめ続けていることを知りました。また原爆は、大人だけではなく、何も知らない沢山の子どもたちの未来をも奪ったのです。今からは私たちが、原爆のおそろしさ、戦争のおそろしさを、みんなに伝えていかないといけないと思いました。
2003年からのイラク戦争によって、米兵4,000人以上、イラク人100万人以上が命を落としました。無差別に人を殺す「クラスター爆弾」や「劣化ウラン弾」などの、残酷な兵器も使用されました。ヒロシマ・ナガサキに通じる地獄の世界を、イラクの人々は経験しています。私たちは今もなお戦争によって、何の責任もない小さな命が奪われていることにもう耐えられません。
生まれたところや、障害があるから、生まれた国が違うからという理由で差別される人がいます。戦時中は朝鮮などから労働者としてたくさんの人が日本に連れて来られ、そして原爆の犠牲者となりました。日本は戦争によって被害を受けたことだけでなく、アジアの国々に対して日本は加害国であった事実も忘れてはいけません。
私たちは戦争で殺されたくもありませんし、人を殺したくもありません。差別されたくもないし、差別したくもありません。戦争するのもしないのも、差別するのもしないのも、選ぶのは私たちです。だから私たちは、よく考えることで、平和をつくっていけると思います。
私とあなたでは顔が違います。性格が違います。当り前といえば当り前。なぜなら人は他の人と違っているのだから。大切なのは同じであることではなく、お互いに違いを認め合うことなのです。お互いに違いを認め合い尊重すること、それは私たちにできる平和への第一歩だと思います。「一人が皆のために、皆が一人のために」、世界中の人たちがこの気持ちに共感できたなら、戦争はなくなると思います。
私たち一人ひとりが世界に訴える力は、とても小さく無力に思えます。しかし、ここにいる私たちが手を取り合って、世界に平和を訴えかけたなら、世界は必ず変わります。一人では小さな力でも、みんなで心を一つにすれば大きな力になるのです。 「もう戦争はいらない! 核兵器もいらない!」
子どものひろば 「メッセージ from ヒロシマ2009」 2009年8月5日 首相官邸や核保有国の代表宛にメールで送信
2009年8月5日(水) ☆8:00〜8:30 子どもの慰霊祭 【平和公園内 原爆供養塔前】 ☆8:40〜10:20 フィールドワーク ☆10:25〜10:40 ダイイン ☆10:40〜11:40 被爆電車 ☆10:40〜11:40 被爆のお話を聞こう ☆12:50〜14:50 『メッセ−ジ from ヒロシマ2009』 ☆15:00〜16:40 海外のお友だちとの交流会 ☆15:00〜16:00 マイ灯ろう作り
12:50 オープニング ・広島初中高級学校の皆さんの朝鮮舞踊 13:02 第1セクション 全国のお友だちと仲良くなろう ・実行委員の紹介 ・踊りと歌を覚えよう! 「BANZAI」レッスン 13:06 第2セクション 考えよう、表現しよう、平和の思い ・平和のメッセージを書こう! 表現しよう! 13:49 第3セクション 世界のお友だちと平和を語ろう ・全国のお友だちからの一言メッセージ ・海外のお友だちより(フィリピン、韓国のお友だちからのメッセージ) 14:12 第4セクション 広島を学んで、そしてお友だちをつくろう ・広島のお友だちの平和への取組みを紹介 ・全国のお友だちと「BANZAI」を歌って踊ろう! 14:38 エンディング 平和はみんなの心から ―2009夏休み― ・世界への平和メッセージを発進! みんなで書いた平和のメッセージが???になって登場!