原州・米軍基地重油流出対策闘争を通じた市民団体と自治体の役割
朴守泳 パク・スヨン(汚染された米軍基地をきれいに取り戻す原州市民の会)


1.原州市民の会、2002年の活動と2009年の活動
1)主要活動内容
○2002年、重油?出関連闘争は被害地域の住民対策委が構成され、市民団体がキャンプ・ロンの前で長期間のテント座り込みを行った。60日間に及ぶ座り込みとともに、原州市民約1,000人が参加した人間の鎖大会、?週土曜の集会と1万人署名運動、原州市民キャンペーン、環境部抗議訪問、?山米8軍基地の前での抗議デモ、電話アンケートなど、実に多彩な闘争を繰り広げ、多くの市民が応援してくれた。一連の活動の成果として、駐韓米軍司令官が油?出を認め謝罪、補償を約束した。

○2009年の重油?出関連闘争は、2002年よりもはるかに多い市民団体が参加したが、被害住民、地域市民ともに行った活動自体は少なかった。
 それでも米軍を刺激した活動は、韓国とアメリカの大統領への抗議の葉書送りだった。米軍と環境部は、2002年の?況のように自分達の非常識的な姿が市民に知られることを恐れ、環境部は原州市民の会の活動がより活発になる前に、慌てて重油?出地域を?元することで事件を沈静化しようと試みた。

2)活動比較
 2002年の闘争と2009年の闘争は、すべて同じキャンプ・ロン米軍基地から発生した重油?出事件だということだけは一致するが、いくつかにおいて異なる事項がある。

2002年

2009年

被害住民對策委の構成

被害住民が對策委を構成できるように市民團體が支援し、住民も積極的に参加した。テント座り込みも住民對策委とともに行う。住民被害?明會などの活動が特徴。

自治体が率先して、被害住民の重油?出事件を自治体に委任するよううながし、市民團體も別途の住民對策委を構成することに努力を惜しんだ。住民被害状況が小さかったことも原因。

一般的な市民團體の位相

當時市民團體の位相は、2000年總選市民連帯活動などによって比較的高かったと推定される。

ロウソク集會、あるいはそれ以後にみられたように、代案提示に疲れを感じ、慣習的な運動方式、比較的 低い位相であったと推定される。

原州對策委の活動 

住民に査實關係を積極的に知らしめ、テント座り込みのような困難な闘いにも挑み、?週土曜集會を成し遂げたように活動が途絶えることなく回数も多い。

聲明書、記者會見、機關長面談などの活動ばかりで、住民とともに活動した部分が少ない。しかし韓國、アメリカ大統領への抗議の葉書送りのような鬪爭形式が特徴。

市民對策委の?部結合度

?部活動力と結合度が高かった。地域?民主化運動團體で構成されたが、米軍問題に対する全面的な闘争經驗はなく、鬪爭の勝利を豫見が難しかった。しかし代表團、實務者、學生の積極的な活動が、困難な鬪爭を 勝利にみちびく原動力となった。

結合度が低い。参加團體の数は過去と比べて2倍以上だが、名前だけで実際は参加しない團體が多く、市議會などが結合し、鬪爭水位、原州市を相對にした鬪爭の方向に対する異見が多かった。 

 

自治体との關係

特別な關係はなかった。主には米軍と環境部を相手に鬪爭を進めた。ただ、以後、鬪爭の成果として公式的ではないが、原州市環境課の公務員との結合力が存在した。また市議會が以後様々な活動に介入するという姿が見られた。

市議會が對策委の結成当時から参加した。しかしその内容においては大きな成果はなかった。むしろ環境部の?場を受け入れた原州市は、汚染地域?元を急ぎ、適當な線での沈静化を図った。原州市と?害關係にある團體の場合、原州市と接點を形成するにあたり消極的であった。

市民團體の 協議力

當時は自治体や環境部との協議よりは事實關係を知らせ、重油?出の?當性を??する鬪爭を進めた。協議を進めるだけの動機がなかった。このような理由でむしろ住民へ近づいていくことができた。

市議會が参加するという一定の成果があったが、自治体との協議力は大きく改善されはしなかった。原州市と協議を市議會が主に受け持ち、原州市の一方的な?元に市議會が贊成?場をみせ、鬪爭は小康?態に陥った。


2.市民団体と行政機関の役割
1)市民団体の活動

○2002年度の市民団体の活動が住民に事実関係を知らせ、住民を組織化し、住民被害の説明会、テント座り込み、土曜集会のような積極的な闘争を先導的に行い、住民とともに進める闘争を中心としてきたならば

○2009年度の活動は市議会が参加し地域の進?、保守団体など、約40の市民団体が参加した。しかし主に声明書、記者会見、面談とマスコミ操作、上層部との協議を通じて問題解決を図った。
 もちろん2009年度の活動で被害住民に対する組織化が?足していたのは、まず直接的な被害住民が1名であり、2002年に比べてたいへん少なく、被害範囲が狭いというのもその理由だ。
 しかし街に出て原州市民とともに行動しようという努力も足りなかった。このような活動に対して一定の疲れを感じていたともいえるほどだ。

○以上から見て取れるように、住民を米軍基地重油?出解決の主体として、住民に事案を知らしめ、住民が直接参加して解決をめざし?議し、これを実践するという活動が、米軍との闘いにおいて最も有力な問題解決方法であることに気付いた。韓国とアメリカの大統領に抗議の葉書送りのような闘いを、米軍が最も嫌がるという事実を後に伝え聞いたことからわかるように、米軍と環境部が最も恐れるのは住民が闘争の主体となることだ。
 
○原州の場合、2002年とは違って2009年には進?、保守約40の団体が集まり気勢を吐いたが、内部では互いの?場を充分に共有する機会が少なかった。特に参加団体の場合、集会や街頭宣伝戦に参加せず原州市との関係において自由になれない部分があり、原州市民の会の活動に一定の制約を受けた。

○いくつかの団体が各団体の特性にあわせて、多樣な実践活動を打ち出せなかった執行部の企劃力の限界を指摘する。

○しかしだいたいにおいて市民團體の最も深刻な問題は、代案生産能力の?足という事實だ。單純な参加制度の形成や、政策過程の民主性、手続き性の確保など、民主主義において注目しており、むしろ建設的な批判能力、代案樹立能力、世論形成能力、自治体との協議力など、?的な政治力を發揮するにおいて、原州地域の市民團體の?的な能力が不足している。

○自治体と接點を形成できていない点が問題だ。2002年の鬪爭の場合は米軍と環境部を相手に進められたため、自治体と市民團體が直接的な?害關係が生まれなかった。しかし2009年の場合、自治体と對立関係になり、自治体を相手に闘うことに対して、自治体と一定の?害關係がある團體の場合には回避する姿が見られ、?部でこれを調停することができなかった。自治体との一定の協議力をそなえるためにどうすればいいのか?部での討論が?足し、代案提示に至らなかった。

○原州米軍基地の問題が環境汚染浄化の問題だけではなく、返還基地の活用問題までが重なってきている時點で自治体とどう協議力を維持していくのかに対する?部學習と討論が必要だ。同時に市民に感動を与えうる企劃力を備えるべく努力し、そのためには市民團體が住民とともにあるという原則を守るべきだ。

2)行政機關の役割
○環境部、外交部など、中央の行政機關が米軍問題において基礎的な協議能力が?足しているという認識はいまにはじまったものではなく、このような結果で-不利な協議の結果として裁判所でも認められた協議關聯主要文書の情報公開もせずにいる。
 もちろん韓米關係においてわが国が政況上 -北朝鮮の核問題などの安保に重要な變數 -いくつかの不利な條件があるということも認める。しかしながら安保の問題と環境汚染、住民被害の問題は分けて考えられるべきだ。
 米軍問題の解決において我が政府が日本政府と大きく違っているのは、住民を?得する努力を惜しんだという点だ。いまだに住民と對話し合議を導く活動には初?的だ。より洗?された住民行政が望まれる。

 ○自治体の場合、普段は米軍を支持し環境汚染問題に大きな關心を見せてはこなかった。中央部處で解決する問題だと認識しているケースが多く、實際には大きな役割を果たせていなかった。しかしながら最近においては米軍基地が返還され、基地開發に関する法律が制定され、自治体の役割が高まってきている。

○返還米軍基地活用において自治体がなすべき役割を述べると
-.返還供與地の活用において細部活用計劃を住民と共有し、民と官が互いに相生するという方向でことを進めるべきだ。開發計劃前後の公聽會、開發計劃發表會、米軍基地周邊地域土地 補償案??明會などを開催し住民との疏通に努めるべきだ。
-.返還供與地環境汚染問題を原則的で愼重でありながらも、迅速に處理するべきだ。返還基地開發に目がくらみ、環境汚染と各種危險物除去を適当に處理するならば、開發された土地を再び閉鎖せねばならないという最惡の事態が發生するだろう。
-.返還供與地を開發するにおいて、周邊地域の?動産投機が發生することが憂慮される。そのため自治体は實踐可能な政策を導入し、弘報を通じた自?的な住民監視制などの檢討を行うこと望まれる。
-.返還供與地周邊地域の土地收用時に、該當住民への現實的な補償が成されるべきだ。
-.返還基地を特化された方向へと開發するべきだ。韓國では米軍基地の返還は‘平和’と‘生態’の?念が象?的に含まれている。周邊都市計劃とうまく調和する線で、平和と生態の意味が生きるような開發が望まれる。

○原州のように返還が確定していない場合には、自治体は返還を準備する活動を進めるべきだ。そのような活動としては
-.基地の外の環境汚染の基礎調査實施。
-.基地の内部の環境汚染浄化基準を米軍、環境部、國防部などに明確に提示し、合理的な淨化となるように努める。
-.都市開發計劃にしたがって市民公園が豫定されている所は、米軍基地返還という象?的な意味にあうように平和と生態の意味がこめられた綜合計劃を立てる。
-.綜合計劃には?存の施設物(運動場、道路、公園など)の再活用の可能性を最大限檢討すべきだ。
-.綜合計劃を立てるにあたっては、公聽會など、住民へ多樣な方法で知らしめ、住民とともに進め、近隣の住民の所得搗蛛A及び住民要求事業などへの配慮が必要だ。
-.以上を正しく進めるために、現在環境、建設、都市開發、都市デザイン、企劃豫算など、部處別の協力関係が円滑に進められるよう、協助體制を備えたり、專擔部署を新設し、事業を進める必要性がある。
-.反面、市議會の場合‘00市米軍基地返還、及び施設移轉に伴う調査特別委員會’を構成し、基礎統計調査、及び基地返還に伴う環境汚染調査、開發計劃に必要な基礎?容調査を行うべきだ。

○自治体が米軍基地問題を解決するにあたって、いつものように中央部處の顔色ばかりをうかがって受動的な姿勢のままでは住民の期待に答えることは不可能だ。住民の?害を代辯し、住民の意思に基づいて原則的で堂々とした姿勢で、基地返還問題を合理的に解決する主体として動かなければならない。

3.原州市民の会、今後の活動方向に対するいくつかの原則
1)住民を中心にすえて考えよう。

 環境汚染淨化、被害補償などの問題や返還地開發問題など、米軍に関連するすべての問題の中心は、住民とどこまで疎通し、住民を主人公にすえて、住民の要求にあわせて闘ってきたかということだ。市民團體の生活力も実はこの内にある。住民を中心に鬪爭計画を練るべきだ。

2)環境淨化と返還基地活用は別個の問題ではない。
 返還基地活用に目がくらみ、環境汚染淨化の原則と各種危險物除去をおろそかにしてはならない。特に基地閉鎖以後、國防部などと妥協するに至るかもしれない。環境汚染淨化基準を正しく決めて、常識的な汚染問題の解決後、開發に関する?議を進めることが望まれる。

3)市民團體の?的能力が重要だ。
 まず代案生産能力が最も重要である。特に基地開發へと移る段階に入ると、たいへん複雑な樣相が展開されるだろう。前もって豫測可能なシナリオを假定して、いくつかの變數を考慮しつつ自治体へ先に提起するという方法で對應すべきだ。
 自治体と協議力が要求される。自治体と?害が深い團體は調停を通じて他の活動を展開するようにし、協議單位は別途に構成するべきだ。

4)民官協治(ローカルガバナンス)を構成しよう。
 米軍基地問題は自治体と力をあわせ共同で對應することが良い結果を生むだろう。市民團體が可能な領域には限界があるからだ。もちろん自治体にも限界はある。重要なのは互いの限界をどう補完していくかだ。
 ローカルガバナンス構成においての核心は、市民團體の?的能力(代案生産能力と?況にともなう分析能力)だ。同時に?容の中心をいつも市民團體が握っていなければならない。

4.結びにかえて
 2002年の鬪爭を思い出してみよう。米軍基地前でのテント座り込みは不可能だと皆が口をそろえた時、何とか鬪爭を成し遂げ、ついに米軍を屈伏させた活動家たちの信念にあふれた努力と勇氣を忘れない。大衆を信じるとき、大衆とともにあるとき、私たちの鬪爭は必ず勝利するのだ。


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