平和フォーラム資料
普天間基地問題に対する沖縄県議会のとりくみ
新里米吉 沖縄県議会議員(社会民主党)のお話し


会議名称 沖縄等米軍基地問題議員懇談会
日時   2010年4月7日(水)午後5時30分〜
会場   衆議院第1議員会館・第4会議室


 沖縄県議会議員の新里米吉です。沖縄県議会では2月24日に、お手元にあるとおり意見書を全会一致で採決しました。そこに至るまでにさまざまな経過がありました。私は1月末に「退場のない全会一致」の県議会意見書を目指すことを、県議会の全会派に話し、マスコミにも発表してきました。いろいろ協議をして、約3週間の与野党内での話し合いを経て、最終的に全会一致になりました。途中では「新里が余計なことをいっている」、「退場なき全会一致などできるはずはない」という意見が県議会の外からいわれました。しかし県議会では現実のものとなりました。
 沖縄が置かれている厳しい事態に対して、沖縄県議会が県民の総意、民意基づく意見書を採択しなければならないという共通の認識が、県議会議員の中にあったからできたのです。そうとうな意見の隔たりもありましたが、協議をしながら不一致を克服して、民意に沿うかたちで違いを乗り越え、譲り合いをして、大同団結をした成果だと思います。
 11月8日に、野党が中心になって県民大会を開催しました。これは11月にオバマ大統領が訪日するという情報があるなかで、沖縄の民意をオバマ大統領にしっかりと伝えなければならない、そうしたことで、大急ぎで県民大会を開催することにしたのです。この時にも、厳しいかなとは思いましたが、自民党や公明党にも会って話し合いをしました。そのときには自民党の中も、「一緒にやらなければいけない」という雰囲気になっていました。
 12月には自民党の役員と、「1月に入ったら本格的な話し合いをしよう」と話をしました。しかし1月24日の名護市長選挙の前では、お互いに状況があるから、名護市長選挙が終わったら、すぐに話し合いを始めようとしていたのです。4か月から5か月の経過があったのです。
 最終段階では、いろいろ意見の違いがありました。「県外」という言葉には、共産党と意見の相違がありました。そこで「県外」「国外」という表現になりました。また共産党からは「賛成討論をさせて欲しい」という要望もありました。みんなでまとまることが大切ですから、自民党や公明党も、そのことを了承しました。また自民党からは「これを先例にしない」という条件も付きました。これも当然のことです。さらにべつの会派で、最後まで悩んでいる方がいましたが、会派の話し合いで、苦しみ悩みながら、しかし県民の声を尊重するということで、会派によっては厳しい思いをしながら、今回の意見書の採決になったのです。

 意見書が採択されました。そうして今後が大切だということで、意見書に基づく県民大会を開催することにしました。
 昨日、県民大会の実行委員会が行われました。大会の趣旨は、県議会の意見書の趣旨を実現させることです。大会名称は「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」、略称「4・25県民大会」です。日時は4月25日午後3時からです。会場は読谷村の運動広場です。共同代表には県議会議長・那覇市長・婦人連合会長・連合会長が就任しました。また経済界関係からお一人を想定しています。県民全体を網羅するような県民大会を開催しようということになっています。
 大会での発言は、共同代表以外は、沖縄県知事、宜野湾市長、うるま市長、名護市長に要請することにしています。予算は各団体、個人、県議会議員、国会議員に要請しています。県議会議員は一人3万円ですから、国会議員には県議会議員を下回ることのないように依頼するつもりです。(笑い)
 県民大会終了後には、翌日から28日くらいまでの間に、政府要請行動を予定しています。その時には、国会議員の皆さんにもお世話になります。県民大会の要請団への対応が、副大臣や政務官では、少しまずいと思いますので、ぜひ大臣に対応していただきたいと思います。
 会場については、「なぜ宜野湾市ではないのか」という質問をいただきました。宜野湾市で調整しましたが、宜野湾市の海浜公園広場が、今年8月の全国高校総体にむけて芝の植え替えをしているのです。そのために諦めました。市内では別の会場をさがすことができませんでした。
 読谷村の運動公園は、宜野湾市の海浜公園よりもすこし狭いくらいです。隣には多目的広場があります。これをあわせると海浜公園よりも広いスペースになります。また運動公園はもともと米軍滑走路の跡ですので、ここには車を数千台も駐車することができます。ただ残念ながら県民にも場所が知られていません。場所がわかればこれほどいい場所はないのです。

 大会開催を決めてからの県内の動きについて説明します。うるま市では県議会議員4名が市長に要請にいっています。那覇市はバス15台をチャーターしての参加を決めています。この両市は、11・8県民大会では、地域実行委員会を作ることができなかったのです。超党派の県民大会になったことで、対応の違いがでてきたのでしょう。また市町会(11名)が、全会一致で国外・県外移設の決議を行いました。県の漁業協同組合も、勝連沖埋め立て案に反対する決議を行いました。
 そのような動きが、県内でも作られつつあります。県議会議員はそれぞれの地域で、首長に対して、地域実行委員会の設立を申し入れています。

 こうした現状に対する私の感想を申し上げます。現在の民主党政権の政策に関して、生活優先の課題では、野党時代から議論を積み重ねていたことがうかがえます。ところが安全保障・日米安保については、どれだけ議論してきたのでしょうか。十分に議論されないままに、政権を握ったのではないでしょうか。というのは政権を取る前と、取った後の発言では、個々の議員の発言がバラバラであると思うのです。一定の統一性があったのなら、ここまで混迷しなくても済んだのではないでしょうか。
 安保に対してどういう考え方をもつのか、一定の方向性があれば、米国との交渉もできたのでしょう。しかし大臣の発言はバラバラですし、これまで沖縄に来て発言されたこととは異なる発言が、各大臣からでています。総理だけではなく、関係大臣に就任した方々も、「県外」「国外」といってきたのです。県民はそのことに大きな期待を持ってきました。いまのような状態ですと、県民からは強い不満と怒りが出てきています。沖縄県選出の民主党国会議員の皆さんも、非常につらい思いをしていると思います。民主党の嫌疑かい議員の皆さんもつらい思いをしています。そういう問題を抱えながらも、沖縄では皆で励まし合っています
 現政権も、歴代政権と同じように、日米安保を維持しながらどのように対処するのかとなっています。県民からは「県内移設ありき」としか受け取れないような発言になっています。「これは何だ」ということになります。沖縄では以前から、日米安保を認めるのであれば、なぜ沖縄だけに負担を求めるのかという議論になっています。沖縄に米軍基地を押し付けたままで、自分県に米軍基地が来るのは反対、沖縄にそのまま置いておけ――県民はそのように考えています。
 「最低でも県外」という発言があったわけですから、大きな不満がマグマのようになっています。そのことをぜひ、御理解いただいて、そうしたことにならないようにしていただきたい。沖縄県内にもさまざまな意見があります。しかし最終的には、県民の意見は意見書の通りなのです。これが最大公約数で、ここにまとまっているのです。それを受取っていただきたい。そのために皆さんのお力をお借りしたいと思います。よろしくお願いします。


「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書」(沖縄県議会 10年2月24日)


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