原水禁/米国「核態勢の見直し(NPR)」発表に際して原水禁の見解
2010年4月8日
米国「核態勢の見直し(NPR)」発表に際して原水禁の見解
原水爆禁止日本国民会議
事務局長 藤本泰成
プラハで行われる新START(戦略核兵器削減条約)の調印式をひかえ、米国の「核態勢の見直し(NPR)」が6日に発表されました。プラハ演説から1年、核の無い世界にむけて、ようやく具体的な一歩を踏み出しました。NPT遵守という条件付きですが、米国として消極的安全保証 ─ 非核国を核で攻撃しない、を宣言し、核兵器の役割を縮小する方向を明確にしました。原水禁は、核廃絶の運動に取り組んできた立場から、今回のNPRを核廃絶への一歩として歓迎します。
これまで米国政権内での議論がまとまらず、NPRの発表が延期されてきました。その原因と言われた、同盟国への核抑止の提供の問題に、今回一つの解決をみせたと言えます。日本の外交政策は、これまで核によらない攻撃に対しても米国の核抑止力を求めていました。日本からの要請を口実に戦術核の延命をはかる勢力が米国内でも一定の力をふるう中、新たな核弾頭の開発を廃止し核の数を減らす方向を示し、加えて「核兵器の基本的役割を核攻撃への抑止である」とした今回のNPRの内容は高く評価されます。
しかし、ロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)や包括的核実験防止条約(CTBT)の議会批准を見据えたとはいえ、保守派への配慮から核兵器維持管理・核開発施設強化、ミサイル防衛の拡大などが盛り込まれ、全体としてNPRの内容が後退したことは遺憾であると言わざるを得ません。
この間、原水禁は、旧来の通常兵器による攻撃にも核抑止力を求める政策を問題にし、国際的な核兵器廃絶運動に取り組む専門家を招聘するなど、核拡散核軍縮に関する国際委員会(ICNND)や政府への働きかけ等を通じて、「核の先制不使用」やそれにつながる「核の唯一の役割宣言」を求めることに取り組んできました。新政権の鳩山由紀夫首相・岡田克也外相ともに、核兵器廃絶への姿勢を明確にし、特に岡田外相は先制不使用の考えを支持し、米国へ核付きトマホークの延命を求めない書簡を送付するなど、日本外交としては画期的な動きを示してきました。11月のオバマ大統領の初来日時には、原水禁としても核付きトマホークの廃棄や「核兵器の唯一の役割宣言」を求める書簡を送りました。2月には民主党を中心に204人の超党派議員が連名で、同様の要請書簡をオバマ大統領に送る等、様々なレベルでのとりくみが行われてきました。
今回、核の役割が縮小されたことやトマホーク退役が決定したことは、日本からの働きかけの成果であるとも言えます。
4月8日の新START調印、12-13日の核セキュリティー・サミット、5月のNPT再検討会議と核問題に関する重要な舞台が続きます。パン・ギムン国連事務総長はNPRに消極的安全保証が含まれたことを高く評価し、核保有国に対し、すべての核兵器を廃棄するよう促すと発言しています。原水禁は、核軍縮への流れを止めることなく「核と人類は共存できない」という基本姿勢を堅持し、とりくみを強化していくものとします。
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