4月, 2026 | 平和フォーラム
2026年04月10日
憲法審査会レポートNo.67
衆院憲法審で今国会初の自由討議
4月9日、今国会2回目の衆議院憲法審査会が開催されました。1回目は(今国会開会直後の)2月20日に開催され、会長と幹事の互選の手続きのみ行われたものですので、今回が2026年に入ってから初めての、実質的な憲法審査会の開催と言えます。
1月23日の通常国会冒頭解散、そして2月8日投開票の総選挙を経て、衆議院の構成が大きく変化しています。衆院憲法審査会の会長は枝野幸男・前衆院議員(立憲民主党)から、古屋圭司・衆院議員(自民党)へと移りました。
古屋新会長は過去に自民党憲法改正実現本部長を務め、高市首相の意を体する人物とみられています。この間のマスコミ各社のインタビューに対しても、改憲の機運が熟しているなどと述べ、改憲項目の意見集約をすすめたい意向を示しています。また、「条文起草委員会」設置にも前向きです。
今後、7月17日の国会会期末まで、この衆院憲法審査会がどのように動いていくのか、しっかりと注視していかなくてはなりません。いっぽう、参院憲法審査会は長浜博行会長(立憲民主党)以下、基本的には昨年同様の構成ですから、安易な改憲論議へとは進まないとは思われますが、こちらの動向もしっかりと見定めていく必要があります。
【参考】
衆院憲法審の討議、4月始動へ 改正項目「集約の時期来ている」
https://www.47news.jp/14062970.html
2026年4月10日(木)第221回国会(特別会)
第2回 衆議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56150
※「はじめから再生」をクリックしてください
【マスコミ報道から】
衆院憲法審査会 今国会で初めての討議 各党が意見述べる
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015095661000
憲法改正、与党が加速狙う 「緊急事態」照準、中道は慎重論
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026040901093&g=pol
衆院憲法審会長、現状は「立法府の不作為」 早期改憲発議に意欲
https://mainichi.jp/articles/20260409/k00/00m/010/275000c
衆院選後初の憲法審論議 自民、改正条文起草検討を 中道「必要なら真摯に」
https://www.sankei.com/article/20260409-233LYFZ5GVKYJIULBBJLGJ5BHM/
憲法審査会 今国会で初討論、ホルムズ海峡派遣で「憲法9条」が再注目、星浩さん「2つの心配」【Nスタ解説】
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2590269
【傍聴者の感想】
実質的な審議としては今国会では初回で、自由討議ということで各会派が基本的なスタンスを述べました。
自民党は従来の改憲4項目の推進と国民投票法の整理(改正公選法との平仄合わせ、および広報協議会のあり方)について発言し、中道改革は改憲そのものを目的とした議論には与しないが、新たな課題には目を背けず、必要と認められれば真摯に検討し、拙速な議論は避けつつも定例開催に賛成する旨を発言しました。中道はその上で今後取り組むべきテーマとして、①自衛隊の憲法上の位置づけ、②臨時国会の召集期限、③首相の解散権、④デジタル社会と人権、⑤国民投票法などを課題としてあげました。
以下、日本維新の会、国民民主は、これまでで論点は整理されていると主張、条文起草委員会設置に進まないことへの批判という従来の主張を展開し、参政党は憲法を一から作り直す、チームみらいは手続法の課題と本体改正議論は切り分けて考えるべきという意見を述べ、最後に共産党が審査会は開催すべきでない旨を主張しました。
改憲勢力が圧倒的多数ではありますが、9条および自衛隊の取り扱いについては各会派まちまちで、傍目には一致した条文の取りまとめは難しく思えます。その上で自民党が単独でも多数を占める状況なので、改憲推進他会派の合意を得られなくても自民党案を押し通すことまでするのか、何らかの他会派との調整が図られるのか、あるいは9条改憲で無理をすることを避けるのか、注視が必要だと思います。その上で緊急事態条項、とりわけ選挙困難時の議員任期延長は相対的に一致度が高く、改憲発議の具体化に進む危険性は高いと言えます。
しかし「自然災害など緊急事態だからしょうがない」という一見通りやすそうな理屈の裏には、戦争という緊急事態と、その時に国民の政治参加を制限するという重大な問題が含まれていることを見逃してはいけません。緊急時こそ国民の判断を求める制度をしっかり作るということが主権在民の意味です。
立憲野党は少数ですが、稚拙、拙速、欺瞞的な議論にはそのつど的確に反論していくために今後も審査会ウォッチを継続していきます。
