11月, 2026 | 平和フォーラム
2026年11月06日
憲法審査会レポートNo.81
2026年11月4日(水)第222回国会(臨時会)
第1回 参議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=9302
【マスコミ報道から】
参院憲法審査会 今国会初開催 各党が意見表明
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20261104de70392
与党、改憲へ議論推進 立民は高市首相批判―参院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026110400975&g=pol
自民、憲法改正へ速やかに集約 参院審査会、今国会初討議
https://www.47news.jp/15183559.html
参院憲法審が今国会で初討議 自民は改憲へ集約呼びかけ
https://mainichi.jp/articles/20261105/k00/00m/010/009000c
【傍聴者の感想】
今回の臨時国会ではじめての参議院憲法審査会の開催となりました。1時間25分の開催時間を示したうえで、冒頭に幹事の交代を確認することから始まり、初回は「憲法に対する意見表明および意見交換」がテーマであることを確認しました。
これまでの各党各会派の主張と変わることなく、繰り返しとなりましたが、はじめに態度や考え方を明らかにしたうえで議論を進める手続きであったように思います。
各党の意見表明を聞き取った概要は以下のとおりです。
〇自民党:改憲4項目(①自衛隊の明記②緊急事態条項の制定③合区解消④教育の充実)を示したうえで、参議院の「70日限定」緊急集会の議論と合わせて任期延長の議論を行うべき、国民の過半数が改正の必要を感じていると主張
〇立憲民主党:11月3日の憲法公布80年にあたり全国で開催された「改憲反対」の集会を紹介し、高市首相の答弁が「これからよく議論を尽くしたい」「議論は出尽くした」とぶれていることを指摘しながら根本的な理解が不足していることを指摘
〇国民民主党:時代を見据え議論をまとめるべきとし、合区解消、緊急事態の議員任期延長、国民投票のネット規制について意見を述べた
〇公明党:「憲法施行時になかった課題」があるのであれば議論を要するとしたこれまでの立場を繰り返し確認したうえで、①政治とカネの決着②平和安全法制③選挙制度改革(議員定数削減)について述べた
〇日本維新の会:3か月ぶりの開催、半年前も同じテーマで行った。半年で各党の考え方は変わらないので、同じテーマで開催は必要ない。衆参憲法審査会に条文起草委員会の常設が必要。「選挙困難事態」参議院の緊急集会70日を大幅に超える可能性がある。参議院が国会機能はすべて担うのは無理がある
〇参政党:①創憲②改正手続き③防衛力、9条の2を正面から議論すべき④国会議員の帰化情報の公開⑤国民投票法ネット規制⑥演説妨害⑦任期延長、それぞれに意見を述べ、改めて自分たちの手で憲法を創る「創憲」を主張
〇共産党:国会前1万4000人集まり改憲反対の声あげる。改憲目的の憲法審査会は開催する必要なし。比例定数削減で多様な民意が反映できなくなる。8・15の高市首相の演説から「侵略戦争」への認識がないことは明らか。法の支配の貫徹が必要
〇いのちの党:改憲準備法が通ると改憲に向けて動くことはわかっていた。緊急事態はすでに起きている。被災者おきざりなど。旧統一教会・勝共連合と自民党、現政権の関係性はずぶずぶ。徹底調査を要求
〇日本保守党:大日本帝国憲法は10年かかってできた。日本国憲法草案はわずか10日ほど。日本国憲法は他国の憲法をコピペしている部分が多々ある。この審査会のメンバーで憲法の本を書いているのは私(百田議員)だけ
それぞれ述べられた内容は相変わらず平行線です。これをもって「議論は出尽くした」とするのか、互いの違いをどう乗り越えるかという議論を行うのか、はたまた、それが改憲にすべてつながるのであれば、憲法審査会自体を開催しないことが良いのか……。
そもそも憲法審査会は「議論」とよべるものが交わされているのか、傍聴をするたびに毎回感じる違和感です。互いの主張をただ繰り返すだけに終わるのが「必要な議論」なのでしょうか……。
憲法審査会は改憲議論のみを行う場ではないはずです。「憲法について広範かつ総合的に調査する」憲法審査会の役割を考えた時に、眼前で繰り返されるいつもの光景は何を意味しているのでしょうか。
開催実績回数を重ねることが議論を尽くしたことになるのであれば、それだけは違うと声を大にして言いたい気持ちです。
変えなくてはならない根拠がどこにあるのか、それがわからない限り、そもそも話の大元が違っているのではないかと思います。
違和感の積み重ねに私自身が慣れないよう、意識をしっかり持とうと感じる時間でした。
【国会議員から】小西洋之さん(立憲民主党・参議院議員/憲法審査会幹事)
昨日11月3日に日本国憲法は公布80年の記念日を迎えました。日本国憲法は、世界唯一の徹底した平和主義を掲げ、世界屈指の人権法典にして優れた民主制度を定めたものであり、今日のわが国の発展の礎となり、国民に定着したその真価を正当に評価しなければなりません。昨日は国会周辺を始め、全国の各地域で高市総理の自民・維新新政権下での改憲に反対する多数の市民集会が開催されました。
先の特別国会においては、殺傷兵器輸出の全面解禁、皇室典範の改正、国旗損壊罪、高額療養費の負担増など、憲法の基本原理に相容れない法案などが強行され、今国会でも衆院の定数削減、非核三原則の見直しなどの安保三文書の改定を行うとしています。高市総理は本年8月15日の全国戦没者追悼式において、戦争の惨禍を2度と繰り返させないと、従来の発言を変更しましたが、これは主権者・国民が最高権力者の高市総理に対して、戦争の惨禍を起こさせないことを命ずる日本国民は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」の憲法前文の平和主義に反するものであります。国民主権に基づく議会制民主主義の否定である国会への出席拒否なども含め、憲法の基本原理および立憲主義への根本的な理解を欠くと言わざるを得ない高市総理に、来春の自民党大会までに改憲発議の目途と訴える資格はなく、改憲の自己目的化、憲法の私物化を許すわけには参りません。
また、議員任期の延長改憲については、5月14日の衆議院憲法審に示された緊急事態条項のイメージ案は、依然として緊急集会70日間限定説の暴論を根拠とし、その長期性要件、広範性要件などは何らの憲法適合性も具体的な立法事実も認められないものであります。逆に、緊急集会に関する戦前の権力乱用の反省の根本趣旨や平時への強力な復元力などに関する議論は全く行われていません。
7月22日の本審査会では、維新の馬場幹事は私からの憲法54条1項の40、30日の規定は、衆院解散時の内閣居座り排除の趣旨と考えているかとの質問。さらには70日間限定説について、参院憲法審の平成26年付帯決議にも明記されている法令解釈のルールに当てはめて、結論を導いたことがあるかとの質問に答弁を避け続け、挙句の果てには衆院でよく議論を積み重ねてまいりたいなどと発言しました。馬場幹事はこの間、毎週開催の衆院憲法審で任期延長改憲について、毎回のように「論点は出尽くした。条文起草委員会の設置を」などと主張しています。にも関わらず、これからよく議論を積み重ねたいなどというのは、その場しのぎの背理そのものであります。そして、その舌の根も乾かない今国会の10月22日には、やはり「論点は出尽くした。可及的速やかに条文作成作業に」などと主張しています。このような、まさに改憲ありきの主権者国民とわが参議院を愚弄する言動を看過するわけには参りません。
日本維新の会に対して緊急集会70日間限定説について、憲法54条1項の解釈も含め、法令解釈のルールに当てはめた上で、その憲法並びに法の支配、立憲主義への適合性の説明文書の提出を本審査会に求めます。なお、任期延長改憲については、衆院法制局の橘特別参与の54条の連関構造説の主張や緊急集会の立法事実の記載が省かれていた衆議院憲法審提出資料の内容などを巡って、参議院法制局の川崎局長が異なる見解を示すなど、深刻な混乱があります。
このような状況下で、自民・維新の連立合意の緊急事態条項の条文案の本年度末までの国会提出などが絶対に許されるわけはありません。この点、岡田筆頭を始めとする参議院自民党のご奮闘によって、2024年には、今は衆院の憲法審査会長を務められる古谷本部長のもとで72時間限定説などを否定する緊急集会の正しい自民党見解がまとめられ、参議院憲法審においては、任期延長改憲と緊急集会とは切り離して議論を進めるべきなどと主張されていることには、深く敬意を表させていただきます。
また衆院憲法審においては、特別国会で2度、合区の改憲論議が行われていますが、合区問題は参議院議長のもとの改革協議会において、参議院のあり方論から議論を重ねているものであり、任期延長改憲と同様に、これはわが参議院を著しく愚弄する行為に他ならず、厳重に抗議をいたします。
さて、本審査会では、先の特別国会で国民投票法の抜本的な見直しに関する付帯決議が成立しており、10月28日の幹事懇談会では、これらに基づいてしっかりと議論を行っていくことで多くの会派の基本的な認識が一致したものと存じます。この付帯決議においては、令和3年附則4条2号について、現在も当然に法規範性を有するとの認識のもと、国民投票の公平公正の確保のためのテレビネットのCM規制、資金規正、インターネット利用の規制、さらには特別国会での公選法情報プラットフォーム法改正によるSNS事業者などへの規制について、法改正を始めとする必要な措置を講じると明記されています。さらには、インターネットを利用した広報の明文規定がない国民投票広報協議会の役割の検討が明記されています。
これらは国民投票法の抜本改正というべき三つの法改正事項が必須と確認されたものと考えます。これらに加えて、2016年のイギリスのEU離脱の国民投票やわが国の衆参選挙でも指摘されている外国勢力の介入の排除。また、公選法に比べて著しく限定されている買収罪の要件などの改正の必要性も意見いたします。もとより、わが会派は緊急集会70日間限定説や、昭和47年政府見解の曲解による集団的自衛権行使容認など法解釈ですらない暴論を用いて、戦前の反省に基づく憲法の現行条文を毀損し、主権者・国民を欺いて行う改憲などに国民投票法が利用されることは、断じて許すわけにはまいりません。
国民投票法の抜本改正の議論の前に、衆参の憲法審が国会法126の6が定める憲法違反問題の調査審議を始め、立憲主義と法の支配、憲法の基本原理に基づく審議を徹底する必要があり、これらのことも、このたびの付帯決議の第1項第7項に明記されているところであります。
結びに、憲法前文、憲法11条、97条に明記されている通り、憲法の基本原理や基本的人権の尊重の価値は永久不可侵の普遍的なものであり、これをアベノミクスの失政の物価高騰に喘ぐ国民生活を始め、こんにちの様々な政治課題の解決に生かし続ける叡智と努力が99条の憲法尊重義務によって我々に求められています。立憲民主党は立憲主義に基づく論憲の力で、誤った改憲論を打破するとともに、憲法を生かし、国民を守る決意を申し上げて、私の意見といたします。
(憲法審査会での発言から)
2026年11月5日(木)第222回国会(臨時会)
第3回 衆議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56509
※「はじめから再生」をクリックしてください
【マスコミ報道から】
衆院憲法審査会 各党が今後の議論のあり方について討議
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20261105de70923
自民、条文起草委設置訴え 9条集中討議も主張―衆院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026110500155&g=pol
自民「9条集中討議を」 衆院憲法審、異論も
https://www.47news.jp/15186395.html
【傍聴者の感想】
今回は、「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題)」を案件として開催されました。
各党の主張は、それぞれ異なる方向を向いています。自民党は9条について議論したいとし、公明党は緊急事態条項の議論を深めたいと主張。日本維新の会は9条2項の削除を求め、国民民主党は合区解消を取り上げています。参政党は「創憲」を訴えながら各党協議会の設置を求め、チームみらいは非常時のオンライン国会を提案。一方、共産党は憲法改正を優先課題とすること自体に否定的な立場です。
これだけ各党の主張や議論したいテーマが異なれば、議論がかみ合わないのも当然です。傍聴しながら、私自身も何を論点として受け止めればよいのか、感想をまとめることが難しいと感じました。
自由討議では6人の委員が発言しました。維新の池畑委員による9条2項をめぐる議論の整理は各会派の見解を紹介する発言は非常に分かりやすいものでした。各会派の主張が大きく異なっていることは明白で、なおさら早急に結論が出せるものではないと感じられました。
各党が主張することも、議論したいテーマもバラバラ。何をめざして議論を進めようとしているか。これほど議論の方向性が定まらないのであれば、わざわざ憲法審査会を開いて議論するよりも、いま国会で話し合うべき、もっと優先すべき課題があるのではないでしょうか。
【国会議員から】階猛さん(民主改革の会・衆議院議員/憲法審査会委員)
前国会で成立した改正国民投票法の付帯決議に掲げられている放送支援、ネットCMの制限、国民投票運動等の資金規制、およびインターネット等の適正利用の確保策については、本来なら令和3年改正法の附則4条に基づき、2年前に必要な措置を講じておくべきでした。遅きに失した感はあるものの、法整備の環境はこの間に整いつつあります。
第一に、CM制限については、アルゴリズムを駆使して相手の関心を引きつけるネットCMの影響力が強まり、その制限に関して海外の実例や日弁連の提案も出ています。放送CMと併せ制限は不可避です。
第二に、資金規制については、多数の団体に資金を分散させれば、総額規制が骨抜きになるとの議論がありました。しかし、政府は現在、法人の実質的支配者を把握するための法整備を目指しており、今後は実効性のある資金規制が可能になると思います。
第三に、ネットの適正利用については、前国会で成立した公選法、情報プラットフォーム対処法と、これに基づく総務省ガイドラインを参考にして法令を整備できます。
以上3点につき、先の付帯決議に則って早急に議論を進め、成案を得ることを希望します。
次に、平時の国会機能の維持ですが、これは衆議院の解散制限と臨時国会の迅速な召集によって図られるべきです。なおかつ、これらは選挙困難時の任期延長と異なり、反復継続的に問題となりうるため、法的措置を講じる必要性は極めて大きいと言えます。今回は衆議院の解散に絞って意見を述べます。
解散は、現在の民意を反映するという民主的機能と、直近の選挙で選出された衆院議員全員の身分を行政府が奪うという非民主的性格の二面性を持ちます。さらに解散から特別国会が召集されるまでは、国会の機能が原則停止されるという問題や、時の政権が都合の良い時期を選んで解散を行えば、総選挙における与野党の候補者間の公平性を害するという問題も生じます。本来であれば、個々の衆議院の解散に際して、解散の民主的機能というメリットが、解散の非民主的性格、国会の一時機能停止、総選挙の公平性というデメリットを上回るかどうかを検証すべきです。しかしながら、立法府などによる事前の検証の場面はなく、事後の検証もこれを担うべき司法府が統治行為を理由に、地方審査に消極的であるため機能していません。
それどころか、解散は総理の専権事項といった根拠のない俗説がまかり通っています。すなわち、正当性を欠く解散が構造的に起こりやすい状況にあるわけです。これを防ぐためには、理論的には解散事由を、内閣不信任案の可決の場合など、憲法69条が定める場合に限定するか、衆議院の特別多数決による自律的解散をこれに加える程度として、内閣の裁量による解散を規定する方法が考えられます。しかし、与党の反対は必須でしょう。
解散の民主的機能にも配慮した、もう少し穏当な方法としては、内閣の解散権を認めつつ、例えば予算案や首相が登壇する重要法案が否決されたとき、あるいは衆議院議員の任期が残り1年となったときなど検証の必要がないほど、一義的な事由がある場合に限って行使できるようにする方法も考えられます。
今述べた方法は、解散の正当性を担保する効果は高いものの、憲法改正が必要となります。他方で憲法改正によらず、法律によって事前に国会等が解散の正当性を検証する仕組みを導入することも考えられます。すなわち、憲法7条に基づき内閣が解散に係る助言と承認を行う場合は、解散の予定日と理由を解散の日より10日以上前に衆議院に通知するとともに、中央選挙管理委員会からの意見聴取を義務づけます。併せて選挙の公平性を担保するため、解散日から公示日まで最低20日間程度の間隔を空けることも盛り込めば、正当性を欠く解散を相当程度防げると考えます。当審査会で今後議論を深め、成果を得ることを希望します。
(憲法審査会での発言から)
「いのちを見つめ 平和をつなぐ、憲法理念の実現を求める全国署名」にご協力ください!
一人ひとりの人権が尊重され、立憲主義に基づく市民が主役となる社会、すべての国の人々がお互いを尊重し合い、戦争を放棄する国際社会の実現のために、「いのちを見つめ 平和をつなぐ、憲法理念の実現を求める全国署名」に参加して声を上げましょう。

