憲法審査会レポート、2026年

2026年04月24日

憲法審査会レポートNo.69

2026年4月22日(水)第221回国会(特別会)
第2回 参議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=8977

【マスコミ報道から】

参議院憲法審査会 参院選“1票の格差”テーマに参考人質疑
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015105651000

参院の在り方も議論を 憲法審、合区で参考人質疑
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026042200976&g=pol

改憲で合区解消「国民理解得やすい」「憲法照らし疑念」 参院憲法審
https://www.asahi.com/articles/ASV4Q3D6DV4QUTFK00MM.html

「合区」解消めぐり与野党が議論 自民は改憲、立民は法改正を主張 参院憲法審
https://www.sankei.com/article/20260422-WBE5WY36ZVMENOAUJFRS75DNIU/

【傍聴者の感想】

4月12日の自民党大会では、高市総裁(首相)から憲法「改正」に対する強い意欲が改めて示されたばかりか、次の自民党大会までに、つまり一年後には発議のめどを立てることを示唆 し、国会での改憲議論を加速するべきとの認識を示しました。

言うまでもなく憲法改正を行う主体は、主権者である私たち市民です。個人の権利・自由を保障するために最高法規である憲法で権力者は縛られます。ここに立憲政治の揺るがすことのできない核心があります。今後の憲法審査会の議論に注目が集まります。

多くの傍聴者が駆けつけた4月22日の参議院憲法審査会は、「参議院議員選挙における一票の較差」について、参考人の意見陳述を受け、参考人に対する質疑を中心に行われました。

参院選における「一票の較差」は、憲法が保障する「法の下の平等(投票価値の平等)」の観点から長年大きな論点となってきました。司法(最高裁)は、格差が3倍を超えていても直ちに「違憲」とはせず、「違憲状態」または「合憲」とする判決が続いていますが、是正を求める姿勢は崩していません。

この日の参考人の一人である上田健介・上智大学法学部教授は、一票の較差の過去の判例を「憲法は投票価値の平等を要求しているが、投票価値の平等は唯一絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮できる他の政策的理由との関連で調和的に実現されるべき」と紹介し、参議院と衆議院の権限の関係性がポイントになると指摘しました。

もう一人の参考人である砂原庸介・神戸大学大学院法学研究科教授は、参議院を「地方の府」とするなら衆参の権限は非対称となり、その場合は「一票の較差」は許容されるのではないかと、地方自治の観点から現在の選挙制度について見解を述べられました。

2016年の参院地方選挙区選挙から、一票の較差解消の観点から「島根・鳥取」、「徳島・高知」が合区となっています。立憲民主党の山内佳菜子参院議員は、「選挙区選出議員は必ずしも都道府県の代表になっておらず、合区は制度として限界である。改憲に依らずに参院の特性を活かした改革こそ必要」と指摘しました。

枝野幸男・立憲民主党元代表が会長を務めた衆院憲法審査会は、「選挙困難時の立法事実」や「国民投票をめぐる諸問題」、「首相の解散権の制限」や「臨時国会の招集期限」など、これまで見過ごされてきたテーマにも焦点が当たりました。しかし、2026年2月の衆院選で圧勝したことから、自民党議員が圧倒的な人数を占める衆院憲法審査会は、再び「緊急事態条項」の発議に向けて起草委員会の設置を求める意見が出るなど、再びの堂々巡りの議論に陥ることを思わされます。

参院憲法審査会は立憲民主党の長浜博行議員が会長を務め、与野党委員が拮抗しています。緊急事態創設は、衆院解散時に参院だけで予算案や法案を議決できる「緊急集会」の規定があります。緊急事態の創設は、参院の役割を弱めかねません。参院憲法審査会の主体的な議論に期待します。

市民が求めるのは物価高対策や社会保障の充実など、市民生活に密着した政策の実現です。国のあり方を規定する「最高法規」である憲法は、国論を二分するどころか二分させてはいけない極めて重要な課題です。

2026年4月23日(木)第221回国会(特別会)
第4回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56206
※「はじめから再生」をクリックしてください

【マスコミ報道から】

衆院憲法審査会 緊急事態条項に関する集中的な討議を開催
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015106341000

「内閣権限強化」 賛同は広がらず 憲法審・緊急事態条項
https://mainichi.jp/articles/20260424/ddm/012/010/038000c

与党「緊急事態」改憲を加速 中道慎重、合区優先論も壁
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026042301053&g=pol

自民、緊急条項の具体案明示を 中道、参院含めた合意要求
https://www.47news.jp/14194902.html

「NHKで中継を」衆院憲法審査会で要望も…かつて示された局側の見解に議員から失笑ザワつき
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202604230000965.html

【傍聴者の感想】

今国会第4回目となる今回は、「緊急事態条項」にテーマを絞っての集中的な討議となりました。

自民党は参院の緊急集会の権限は限定的なので任期延長が必要との従来の主張を繰り返したうえで、議論は十分深まっているとして次回にも具体的なイメージの提出することを提案。維新の会もこれに同調し、条文起草委員会設置などのスケジュールや緊急事態条項に関する議論の取りまとめを要求しました。

中道改革連合は議論を深めること自体には賛同しつつ、国会機能維持の観点から、臨時国会の召集期限や解散権行使についての問題を議論する必要があるとしました。

国民民主党は昨年発表した5党派による「議員任期延長」の改憲骨子案に基づいて議論をすすめることを主張、チームみらいは選挙困難事態における国会機能維持に絞って議論を始めることを提案しました。日本共産党は「緊急事態条項」全般に反対する(従来の)主張でした。

参政党の主張が面白く(?)、曰く、「緊急事態条項」改憲はこれならやれるという改憲のための改憲論で、国を守れない現行憲法の本質的な改憲を行うべき、9条のみならず全体的な「創憲」を!とのことでした。

国民的議論を深めるために憲法審査会のNHK中継を求める主張(国民、維新)に対し、法制局がNHKに対するヒヤリング結果として「現状は通常の番組編成を変更して国会中継を行うほどには国民の関心が高くない」と述べたため、会場全体が思わず吹き出す事態に。

一所懸命、改憲ムードを煽り立てようという雰囲気が漂っていますが、けっしてそのような世論醸成はなく、むしろ目の前の物価高や石油不足をどうにかすべきというのが自然な意見だと思います。改憲頼りの政府与党は自らの政治責任に真摯に向き合うべきです。

TOPに戻る