憲法審査会レポート、2026年
2026年07月17日
憲法審査会レポートNo.77
本号編集時点では国会に会期延長の提案がされていませんが、7月25日までの小幅延長が見込まれています。こうした動きにより、15日の参院憲法審査会での「国民投票法改正案」の採決は見送られました。また、衆院憲法審査会では当初今国会中に目論まれていた「条文起草委員会」設置が見送られています。
衆院議員定数削減法案しかり、皇室典範改定案しかり、「副首都」構想法案しかり。まともな審議なしで強行しようとするも、国会運営上の最低限のルールすら守れずに空回りする様子が見て取れます。このような政府・与党には憲法という根幹となるルールに手を出す資格などないことが、よりいっそう明白になっていると言えます。
【マスコミ報道から】
国民投票法改正案、立憲が参院憲法審での採決見送りを自民へ伝達
https://mainichi.jp/articles/20260715/k00/00m/010/133000c
与党、条文起草委見送り 衆院憲法審、中道の反発強く
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026071400808&g=pol
2026年7月15日(水)第221回国会(特別会)
第7回 参議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=9171
【マスコミ報道から】
参議院憲法審査会 国民投票の課題めぐり意見交換
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015177841000
国民投票法案、採決を見送り 参院憲法審、野党が反発
https://www.47news.jp/14629034.html
国民投票法改正案、質疑と採決を見送り 会期延長に野党反発
https://mainichi.jp/articles/20260715/k00/00m/010/391000c
【傍聴者の感想】
15時10分開会と、通常の時間設定(13時ころ)とは異なる開催となった参議院憲法審査会。同時刻で開催された党首討論や国会会期延長といった状況との関係だと思われます。
今回は「改正国民投票法」(改憲手続き法)についての採決を見送るということが確認されての開催となりました。よって、各党各会派からこれについての意見を表明するということになり、一人8分の持ち時間の中で8人が話して散会となりました。
それぞれの発言内容については以下の通りです。
(自民)国民投票法を公職選挙法と同様にすることは、事務負担の観点から考えても必要。広報協議会の役割が重要になるので両院憲法審査会でそのルール作りを進めるべき
(立憲)世論は今、憲法改正を望んでいない。ネット広告規制等がないことは欠陥と言わざるを得ない。自由意志がゆがめられる可能性がある限り憲法改正発議は許されない
(国民)速やかに改憲手続き法を改正すべき。ネット規制については事業者のとりくみに期待する。国が直接ではなくてもファクトチェックする仕組みを整えることは重要
(公明)投開票事務の観点から考えると改憲手続き法は速やかに成立をはかるべき。ただこれで環境が整う訳ではないので、両院憲法審査会事務局は次の準備を始めてもらいたい
(維新)速やかに改憲手続き法を改正すべき。憲法改正に向けた条文起草委員会の常設が必要。参議院憲法審査会にも衆議院憲法審と同様にNHKの取材を入れて欲しい
(参政)もともと日本国憲法は占領下でつくられたもので、「改憲」の考えに「全面改正」の観点を入れるべき。街頭宣伝妨害を防止する国民投票運動の規制の追加も必要
(共産)「国民投票法」もともと安倍政権下で強行に作られた反民主的な内容。根本的に欠陥がある。公選法と性格が違うので並べて考えることは間違い。なぜ今必要なのか
(れいわ)今回は採決にならなかったが来週採決するのであれば意味がない。参院憲法審の会長権限で憲法審査会を開くな。最低投票率の規定がないなど問題が多くある。
各党各会派がそれぞれ自分たちの態度を表明するということに終始した1時間でした。れいわ関係者による傍聴行動、また議員会館前でのパブリックビューイングと報告集会に、支援者が多数駆けつけていました。その影響もあって傍聴席はいっぱいになり、一部入れ替えも実施されました。
今週「改憲手続き法」の採決を見送る決定を話し合った際、「来週は採決を実施する」とすでになっているのではないかと感じてしまいました。この一週間、国会の会期延長とあわせ、立憲を中心とした野党のがんばりをできるだけ後押ししたいと考えます。7月16日に開催される衆議院憲法審査会はNHKが入り、放送されます。そこでの議論も注視をしていきます。
今回の法改正は、立会人の要件緩和等が内容になっています。その根底にある「公職選挙法と国民投票法はできるだけ同じルール」が望ましいのか、「二つのそれぞれの違いを考えると異なっていること」が望ましいのか、その相違について議論を尽くす必要があると感じました。憲法「改正」の国民投票についてはもちろん実施したことがないのですから、そこに関わる事務作業の観点も含めた幅広い議論は必要だと考えます。憲法「改正」の中身の議論とは分けたうえで、手続きについても十分見通しを持つことができないのであれば、おのずと結論は、国民投票の実施はそう簡単ではないとなるはずです。拙速に進めると混乱や分断を招く危険性が高まります。
何をもって「時が来た」と判断したのか、今日の憲法審査会の各党各会派の意見表明を聞いていると、到底議論が深まった状態とは思えません。審査会を開くのであれば、その議論内容については「憲法が活かされた社会となっているか」「そうなっていないのであればどういった法改正が必要か」を考える必要があるのだと思います。憲法「改正」の結論ありきで、手続きをどうするかといった話を展開する審査会に、はじめからおわりまで「そうじゃないのだけど」と感じてしまう私の感覚が、間違っているのでしょうか……。
2026年7月16日(木)第221回国会(特別会)
第13回 衆議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56385
※「はじめから再生」をクリックしてください
【マスコミ報道から】
衆院憲法審査会 今国会の審議振り返る総括的な討議
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015178131000
自維国、緊急条項「議論加速を」 中道は慎重―衆院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026071600107&g=pol
自民、早期の改憲案主張 審査会初中継、中道慎重対応を
https://www.47news.jp/14631304.html
改憲の起草委、今国会でも困難に 高市首相が「時は来た」と主張も
https://www.asahi.com/articles/ASV7J30XLV7JUTFK007M.html
憲法9条めぐり自民「自衛隊明記」維新「国防軍の創設」国民民主「優先度低い」…改憲勢力間でも違い鮮明に
https://www.tokyo-np.co.jp/article/501868
憲法審査会、事実上最後の討議 改憲政党間の主張に隔たり顕著
https://www.sankei.com/article/20260716-JF7PESIOXVMB3FK4PTHUAGNNLM/
【傍聴者の感想】
会期通りであれば今国会最後となる審査会は、国会が延長されるかどうか定まらない中でしたが、「今日で終了」の雰囲気が色濃く漂いつつも、審査会始まって以来初のNHKの実況中継が入る(ネット中継は今までもやっていましたが)ということで、少し「まじめ」さを増して始まりました。
本日の課題は総括的な討議ということで、7つの会派がそれぞれ10分ずつ、会派の主張を行うというもの。したがって相互の質疑応答や新たな知見の提示もありませんでしたが、NHK中継ということもあり、あらためて各会派の姿勢をわかりやすく示すものでした。
自民党の(新藤幹事の)スタンスは「現行憲法の未完成部分を補う」というもので、今の憲法を基本的にあまり悪く言わないというもの。悪しざまに「みっともない憲法」などと発言していた安倍元首相に比べればトーンが変わっていますが、この辺がテレビ中継を意識したものなのでしょうか。
維新の会は、審査会の定例化や「議論が進捗した」ことは自身が成し遂げた成果であると強弁することに半分を費やし、残りの半分は国民民主党・玉木代表の「9条は後回しに」という主張をやり玉にあげ、改憲を主張しつつも与党との違いを目立たせようとする国民民主党の姿勢を批判しつつ自らの「革新性」を主張するというものでした。
その国民民主党の主張は、憲法改正は「護憲・改憲」「保守・リベラル」という二項対立を乗り越えて進まねばならず、議論の幅が大きい9条は急がずに、緊急状態条項と合区解消にしぼって進めるべきで、そうしないと再来年の参議院選に間に合わないから夏休み返上で審査会をやるべきだというもの。本質的な議論を避けつつ改革派のポーズを示し続ける、いかにも玉木代表らしいというのが筆者の感想です。
これらに対して中道改革連合は、改憲そのものを目的とした議論には与しないということを前提としつつ、3つの原則を堅持するために必要があれば検討することは拒まないという姿勢。その上でアメリカとの同盟関係の維持、防衛力の強化は必要であり、安保法制によって相互防衛関係が整備されているから憲法改正は必要がない、一方で自衛隊の民主的統制のために73条に書き込むことは検討の余地があると表明。また緊急事態条項よりも平時の国会機能の充実・強化が重要としつつ、万万が一のための緊急事態に備えるなら、その際に権力の乱用を防ぐための要件の検討こそすべきという見解を示しました。従来の立憲民主党の考え方と変わってきていると個人的には感じる部分もありますが、主張そのものが変わったのか、強調するポイントが変わったのか、目指すものまで変わったのかなどは、審査会での意見表明から軽々に判断はできません。
憲法について議論をすること、テレビ中継を含めて少しでも多くの人が知る機会を得ることは、筆者は悪いことだとは思いません。仮に改憲発議ということになれば、多くの人があらためて憲法に興味、関心を持ち、このことが憲法の価値をさらに高めることになるかもしれません。
ある意味最悪なのは、改憲などしなくても憲法理念が骨抜きにされ、憲法が守られていようがどうだろうが関係ないという事態でしょう。
改憲阻止を声高に叫ぶだけでなく、日常的に個人を尊重すること、主権者としての権利を守ること、他国であっても戦争の犠牲に胸を痛めることを当たり前のことにしていくことが憲法を実践することだろうと思います。
「いのちを見つめ 平和をつなぐ、憲法理念の実現を求める全国署名」にご協力ください!
私たちは、日本国憲法の基本理念「基本的人権の尊重」、「主権在民」、「平和主義」の実現を求めます。
私たちは、すべての人びとの人権が尊重される社会、差別のない社会、多様性を認め合う社会、違いを尊重し合い誰ひとり取り残されることのない社会を求めます。
私たちは、民主主義が守られ、権力の集中を許さない立憲主義に基づく政治を求めます。
私たちは、戦争放棄を宣言する日本国憲法9条を変えることに反対します。
私たちは、憲法前文で謳う「国際協調主義」の実現のために、日本政府が国際社会の先頭に立つことを求めます。
私たちは、政府・国会に次のことを求めます。
1.私たち市民が求めていない憲法「改正」はやめてください。
2.大軍拡路線を止めて、社会保障や教育の充実など市民生活を優先してください。
3.日本政府は、世界平和の実現のために国際社会の先頭に立ってください。

