沖縄「5・15平和行進」に7000人が参加
基地の撤去と歴史歪曲反対を訴える

2008年5月15日〜18日・沖縄県


●今年も沖縄「5・15平和行進」を開催
 5月15日(木)から18日(日)までの4日間、沖縄平和運動センターの主催で、「5・15平和行進」が行われました。
 15日には名護市役所前で結団式を開催。16日から18日は、沖縄本島内の東・西・南3コースに、宮古コース・八重山コースを合わせた5コースでの平和行進。18日夕方には、宜野湾市の海浜公園野外劇場で県民大会を行いました。
 今年の平和行進には、県外2000人を含む7000人が参加、県民大会には4000人が結集しました。また韓国からも、民衆歌謡グループ「希望の歌・コッタジ」や民族舞踊グループ「トヌム」のメンバーなど20人が参加し、各コースの出発式や県民大会で、歌と踊りを披露しました。


●辺野古を出発する東コース行進団。(5月16日・名護市辺野古海岸)


●基地撤去を訴えた東西2コース、沖縄戦跡を訪ねた南コース
 東コースは、1日目に新基地建設が強行されようとしている辺野古海岸を出発して、海兵隊のキャンプ・ハンセンを通過、ゲート前では抗議集会を行いました。2日目には沖縄市役所前を出発して嘉手納基地を東側から半周、北谷町の砂辺馬場公園では西コースと合流して嘉手納基地の爆音被害に抗議する集会を開きました。3日目には県企業局前を出発して、在沖石平司令部前で抗議行動を行い、海浜公園にむかいました。
 
 西コースは、1日目に名護市役所前から出発して、国道58号線を南下しました。2日目には米軍返還跡地に建設された読谷村役場を出発し、陸軍特殊部隊が駐留するトリイ・ステーションを経由、嘉手納基地を西側から半周し、夕方には東コースと合流しての抗議集会を行いました。3日目には北谷町役場前から宜野湾市をめぜしました。

 南コースは、1日目に那覇市役所前を出発し、バックナー司令官の塔や、ひめゆりの塔をたずねました。2日目には摩文仁の丘にある平和記念公園・平和の火前を出発し、アブチラガマを見学しました。3日目には浦添市役所前を出発して、嘉数高台を経由、海浜公園にむかいました。


●4000人が参加した県民大会。(5月18日・宜野湾市海浜公園野外劇場)


●沖縄県と5月15日
 沖縄ではなぜ、毎年5月15日に平和行進を行っているのでしょうか。
 太平洋戦争末期の1945年、米軍は3月26日に慶良間諸島へ、4月1日には沖縄本島への上陸作戦を開始しました。6月23日には日本軍による組織的な抵抗は終わり、沖縄は米軍の占領下に置かれました。日本も同年8月15日にポツダム宣言を受諾し敗戦、連合国軍は日本全土を占領することになりました。

 1951年、連合国と日本はサンフランシスコ講和条約を締結し、日本は独立を回復します。しかし同条約の3条で、沖縄は本土から分断され米軍の施政下に置かれることになったのです。沖縄の人々は日本本土と平和憲法への復帰を求め、粘り強く運動を続け、1972年5月15日には沖縄の本土復帰が実現します。復帰に関する日米間の合意は「核抜き・本土並み」とされていました。しかし、実際には復帰後も多くの米軍基地が残り、沖縄の人々にとっては復帰前と変わらぬ日々が続いたのです。

 こうした中で1977年から、沖縄の本土復帰の日である5月15日に、本土復帰後も続く米軍による占領状態に抗議し、基地の撤去を訴えて沖縄全土を歩く平和行進が、沖縄県内の労働組合や革新政党が中心となって始まりました。

 最初は県内のみの取り組みでしたが、やがて本土からも参加するようになり、平和行進は今回で31回目をむかえたのです。


●沖縄戦の体験者から、当時の話をうかがう。(5月16日・糸満市ひめゆりの塔前)


●今年の特徴
 文部省は昨年、高校歴史教科書の検定で、沖縄戦の中で起こった「集団自決」に関して、「軍による自決命令や強要があった」とする記述を削除させました。沖縄県民は日本政府による歴史歪曲に大いに怒り、6月9日・9月29日の2回にわたって抗議の県民大会が開かれました。

 沖縄では、在日米軍再編の一環として、基地の強化が進んでいます。名護市辺野古では、普天間基地の移転先として新基地の建設が強行されようとしています。東村高江では、ヘリパット(ヘリコプター離着陸帯)の建設が進もうとしています。嘉手納基地には、米本土や韓国からも戦闘機部隊が訓練でやってきます。

 在日米軍の特権を認めた日米地位協定をめぐっても、問題が起きています。今年2月には米軍兵士が女子中学生に性暴力を加える事件が発生、その後も米軍兵士や家族による事件が続いていますが、地位協定上、日本の警察には十分な捜査権が与えられていません。また事件の現場となった北谷町には、住民登録を行はず、パスポートすら所持していない基地外居住の米軍兵士や家族が増加し、近隣住民との間で様々な問題が起きています。
  
 復帰36年・行進31回をむかえる今年の平和行進は、こうした問題を訴えながら行われました。


●嘉手納基地の爆音被害に抗議する集会。後ろの建物は基地外居住米兵の専用住宅。
(5月16日・北谷町砂辺馬場公園)


■写真速報 その1
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