イラク情勢Watch vol.7 05年8月14日
         発行:フォーラム平和・人権・環境  編集:志葉 玲

       毎週更新(予定)


Topics
1)週間イラク報道Pick up
2)イラク人ジャーナリスト、イサム・ラシード氏講演 
3)渇水に苦しむバグダッドの人々への日本の市民からの支援が始動
4)訂正とお詫び


1)週間イラク報道Pick up

【05.8.13】<米大統領>抗議デモの母親の要求拒否 面会にも応じず(毎日)

【05.8.12】「日本の首相を非難せよ」 サマワ、金曜礼拝で(共同)

【05.8.11】イラクで新憲法起草作業大詰め 「連邦制」妥協点を模索(産経)

【05.8.10】陸自7次隊がサマワ到着 九州初の部隊派遣(共同)

【05.8.9】米、小泉退陣を懸念 衆院解散 各国反応(西日本)

【05.8.8】<イラク>サマワで3000人デモ 1人死亡、8人負傷(毎日)

【05.8.7】ブッシュ氏支持率、過去最低=対テロ・イラク政策に不満(時事)



2)イラク人ジャーナリスト、イサム・ラシード氏講演 

 今月8日、第二衆議院会館第二会議室にて、来日したイラク人ジャーナリストのイサム・ラシード氏による報告会が行われた。郵政民営化関連法案の採決と重なり、国会議員は参加できなかったものの、市民運動関係者やジャーナリストらが参加、ラシード氏の話に耳をかたむけた。


 ビデオを見せながら報告するラシード氏 (C)志葉 玲

 ラシード氏は自身が撮影した、昨年11月の米軍によるイラク中西部の街ファルージャへの総攻撃のビデオを見せながら報告。「明らかに市民だとわかっていても、家から引きずり出して銃やナイフで殺害した」「あるイラク人男性は、戦車に腕をひき潰され、さらに体全体をひき潰されて死んだ」などの米軍による非人道的な行為についての人々の証言を紹介した。映像には、「標的」に銃撃・砲撃を加えながら奇声をあげる米兵達の姿も映っており、ラシード氏は「彼らは喜んでいるんです。彼らの殺している人々は兵士なんですか。武装勢力なんですか。病院に行こうとしている普通の市民です」と戦争の狂気ともいえる米兵の所業を批難した。

 また、ラシード氏は米軍情報をソースとする報道の危うさについても指摘。ファルージャで生まれ育った男性が米軍に拘束された時にビデオで撮影され、後に彼が「ファルージャに流入してきた義勇兵だ」というように、米軍が発表した例をあげた。ファルージャ総攻撃の口実とされた、ヨルダン人テロリストでアルカイダの幹部とされるアブムサブ・ザルカウィ容疑者についても、「イラクに外国人武装勢力はほとんどいないし、我々イラク人はザルカウィいついては何も知らない。ザルカウィという一つの恐怖のイメージを作り出しているのはアメリカ人自身だ。そしてその恐怖のイメージを利用している」と、同容疑者がイラクにいるという情報に懐疑的な見方を示した。

 ラシード氏は報告会の後の会談で自衛隊のイラク派遣についても触れ、「イラクの多くの人々が自衛隊に帰ってもらいたい、日本人の人々には武器を捨ててまたイラクに戻ってきてもらいたい、と考えている」と語った。ラシード氏は、 イラクの女性NGO「女性の意志委員会」による「自衛隊を含めたすべての占領軍の撤退を求める署名」に協力、集められた署名を今回の来日で持ってきており、これは国会に提出されることも検討されている。

イサム・ラシード氏プロフィール:
1973年生まれ。バグダード出身のフリーランス・カメラマン。
 イギリスのテレビ局「チャンネル4」など、多くの報道機関で仕事をしてきた。2004年4月と11月のファルージャ攻撃や、その後の避難民の状況の取材など、米軍による市民の被害状況を明らかにし続けている。
 これまで米軍に3度逮捕され、2004年1月の逮捕では、17日間にわたって拘禁され、拷問・虐待を受けた。



3)渇水に苦しむバグダッドの人々への日本の市民からの支援が始動

 以前、本コーナーでも、バグダッドの水不足について紹介したが、支援策が確定し、寄付金を集めることとなった。本コーナー編集人も呼びかけ人であるので、この場を借りて告知を行いたい。このプロジェクトの最新情報は、「イラク“命の水”支援プロジェクト」ブログをご参照。http://www.iraq-hope.net/water/contents.htm

 以下、転載歓迎。
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★☆★バグダッドへ水を送る緊急支援にご協力ください★☆★
    ―イラク「命の水」支援プロジェクトからのお願いー

 サダム政権崩壊から2年。米軍の占領政策破綻により、イラクでは相変わらず水と電気が不足しています。
 バグダッドも例外ではありません。7月19日の浄水場爆破によりサドルシティを始めとして市内領域の50%で給水がストップしました。(3日後に給水が始まりましたが、過去6週間のうち給水されなかった週が4回もありました)。
人々は常に水が来ない不安にさいなまれています。

 イラクレジスタンス・レポートによると、バグダッドでは、水不足により、重症患者が続出しています。(以下、イラクレポートからの引用)

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私たちにできることは、このことによる死者を減らすことだけ。病院と診療所で見られる患者の数は非常に多いが、その原因はいつも同じです。子どもたちは汚染された水で重い病気になっています。それも家庭で普通に使っている水ですよ」
−バグダッドのシャブ地区で内科を専門とするハリド・アドナン医師が悲惨な状況を話したが、占領軍とその手先がレジスタンスとの戦闘や宗派間の不一致にしか関心を示さず、水処理問題を無視しているために事態は悪化の一途をたどっている。

 イラクの首都バグダッドはチグリス川をはさんで2つに分かれている。この都市の居住者は、現在悩まされているような水問題を、かつて歴史的にも、何千年にわたって経験したことがなかった。

 だが現在のバグダッドは、暑い夏に入って水不足の都市となり、その市民はきれいな水を切望しているものの、それを手に入れることができないでいる。
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 夏には50度を越えるイラクで水がないことは生命に関わる問題だと認識し彼らを支援するためイラク「命の水」支援プロジェクトを設立しました。


 私たちは
 
@バグダッド市内に井戸を掘ります(生活用水として)
Aミネラルウォーターをバグダッドに送ります(飲料水として)

井戸を掘る費用はおよそ12000ドル(500家族分)。
ミネラルウォーターは1家族1週間分として10ドル必要です。

 ★ みなさま、バグダッドの人々が無事にこの夏を過ごせるようにご支援
   下さい。 
 ★ 一口1000円(複数口歓迎)でお願いします。
 ★ 1000円で1家族の飲料水1週間分を送ることが出来ます。

 * イラク「命の水」支援プロジェクト振込み口座は
     郵便振替口座  00150−4−540335
     口座名   イラク「命の水」支援プロジェクト
  

・呼びかけ団体
 イラクホープネットワーク
 リバーベンドプロジェクト
 劣化ウラン廃絶キャンペーン
 自衛隊のイラク派兵反対 声をあげる女の会
 STOP!劣化ウラン弾キャンペーン
 NPO法人 PEACE ON

・呼びかけ人
相澤恭行、安藤多恵子、池田真里、石坂 啓、石原みき子、石丸 朗、泉田守司、稲垣仁史、猪俣やよい、伊藤美好、今井泰子、岩崎久美子、生方 卓、荻野仁司、加藤千代、鎌仲ひとみ、神川辰子、きくちゆみ、河野義広、國場大介、こやままゆみ、齊藤力二朗、坂本一晃、佐藤好美、志葉 玲、醍醐 聰、高遠菜穂子、高橋茅香子、千早、中川 敬、にしだかずこ、平山基生、星川 淳、細井明美、宮城幸太郎、宮沢さかえ、向井雪子、毛利正道、森住 卓、渡辺一枝、
                           (8月4日現在)
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4)訂正とお詫び

 イラク情勢ウォッチ第6号、『懸念されるイラクの女性の権利の後退』で、「・・・米国を宗派・民族ごとに分断された新政権発足のプロセスにあると指摘・・・」とありますが、正しくは「米国によって宗派・民族ごとに分断された・・・」でした。単純なタイプミスですが、今後このようなことがないよう、気を引き締めてまいりたいと思います。



バックナンバー
第6号 2005年08月05日
第5号 2005年07月30日
第4号 2005年07月22日
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第2号 2005年07月05日
第1号 2005年06月29日