全国各地から400人も集まれば、主張は様々。しかし、共通しているのは、「全国・世界のお友だちと平和を語ろう」という気持ちでした。
トップバッターは、少し緊張気味な北海道代表のK.Aさん。会場中央のお立ち台に上り、マイクを使ってのアピールです。「震災で苦しんでいる人が何万人もいます。その人たちを苦しめているものの一つは、放射能なので、放射能を使わない日本をつくれたらいいなと思います」と、放射能におびえながら生活している人々を心配する気持ちを伝えてくれました。
東北ブロックからは山形県代表のH.Rさん、W.Rさんが「ヒロシマで学んだことを山形に帰って、たくさんの人に伝え、核兵器や戦争のない世界を作って行きたい」と力強い発表でした。
関東ブロックの一番手は、神奈川県代表のK.Kさんです。会場に向けて元気なあいさつから始まったアピールは「何を食べ、何処に住んでいいのか、目に見えないので、とても心配です」と、福島原発事故のことに触れ、放射能に対する恐怖と「一日も早く解決して欲しい」という願いを込めたものでした。
生協クラブ神奈川の代表であるI.Yさんは、東日本大震災で犠牲になった人々への哀悼の意を表すとともに、原爆で実際に被災した人から話を聞いて、「現代を生きる戦争を知らない私たちは、原爆について語ってくださる人の話に耳を傾ける」ことが大事だと訴えました。
続いて、東京三多摩を代表して、二年連続で代表メッセージを読んでくれたのは、O.Sさんです。「戦争をして誰が幸せになったのでしょうか。原爆を落として誰が喜んだのでしょうか」今も悲しみ続けている人々のことを思う率直なフレーズには胸を打たれた人も多かったのではないでしょうか。
埼玉県からは、M.Sくんが、「過去に日本が被爆したヒロシマの街には、僕の知らない、想像の出来ない現実が数多くあったと思います。この機会に、もっと原爆、原発について知って、自分に出来ることは何か、伝えて行きたいです」と今後の活躍を期待させるアピールとなりました。
関東ブロックの最後は、群馬県です。O.Sさんは、横断幕を掲げたお友だちの応援を受けて、「原爆は豊かな自然、笑いが耐えない街、そして、温かい家族の輪までも破壊しました」と言いつつも、今の広島があるのは、復興へ向けて頑張ってきた人々の努力の結晶であるとして、今後戦争をなくすのも日本の人々、世界中の人々が協力することで達成できるだろうと強くアピールしました。
北信越ブロックからは、長野県代表のM.Aさんがメッセージを発表してくれました。「ここに来る前に『人間を返せ』というビデオを見てきました。目を背けたくなるような映像で、とても怖くて、とても悲しくなりました」と発表しました。やはり広島に来たからこそ、平和学習の成果も上がったのではないでしょうか。「長野に帰ったら、クラスの友だちにこのことをしっかり話そうと思います」と締めくくったのが、何よりの証拠です。
近畿・東海ブロックからは三重県代表で二度目の参加というN.Nさんです。「色々な人とつながりを持つため」に参加してくれました。前回参加したときには、その後、学校で平和について発表をしてくれたということで、今年も「ここで学び、感じたこと、考えたことを学校でみんなに教えていきたい」と、真面目な姿勢を示してくれました。
四国、九州ブロックの長崎県からは、「高校生1万人署名」のS.Rさんが、日ごろの署名活動のときに鍛えられたアピールを披露してくれました。核兵器廃絶のための署名活動を行い、それを国連へ持っていく平和大使のためのカンパ活動も行っていて、「16日に、12人の平和大使が国連へいきます」と活動の活発さが伺えました。
そして、最後は、開催地である広島県代表の発表です。昨年に引き続き発表してくれたA.Nくん、昨年発表してくれたお兄さんからバトンタッチをしたH.Sさん、そしてS.Kくんの三人です。「毎年参加している平和行進で、今年は『ノーモアフクシマ』というコールがありました」と原田さん。また、A.NくんとS.Kくんは、福島の被災者が避難先で差別にあったことなどに触れ、「何もしていないのに、急に避難しなくちゃいけなくなって、避難したところで差別されたと思うと、とても腹が立ちます」と自分に置き換えて考えてくれました。また、原発や差別などの人間が作ったものは人間が止めることが出来るものだとして、「僕たちが止めます」と力強く宣言しました。
参加者代表からメッセージをもらった後は、海外ゲストからのメッセージ発表です。韓国ゲストはチャン・チュスンさん、チェ・ジェホさん、イ・ゴウンさんです。三人とも日本語での自己紹介だったことに会場は驚きました。代表して、チェ・テホさんが、3月に行われた釜山での原爆写真展、核兵器廃絶の署名活動、東日本大震災への募金運動に参加し、それらを通じて原爆被害について深く知ることが出来たこと、そして、「世界の若者たちが平和交流活動を通じて、戦争と核の危険がない平和な世の中を実現するために頑張ります」と力強いメッセージを発表してくれました。
第3セクション、最後の発表は、フィリピン代表のマイテ・イバルダローザさんです。小さい頃のつらい体験とその現実を受け入れて頑張っていること、そして今の生活の大変さを報告してくれました。また、「ブカス・パラドという自立支援施設でのボランティアの経験を通して、与えることで出てくる喜びが分かりました」と、何事にも一生懸命に取り組んでいることを伝えてくれました。ところで、マイテさんの通訳は、長崎「高校生1万人署名」のメンバーが担当してくれました。とても仲がよく、言葉を超えて通じ合っている姿を見ているようでした。
さて、第三セクションでは、表現の仕方は違えど、それぞれが広島に来て感じたこと、その上で何が出来るかを考えてくれたということが、鮮明に伝わるものばかりでした。緊張していたり、恥ずかしかったりというのもあったと思いますが、このことは今後、貴重な体験として残っていくことと思います。
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