2026 | 平和フォーラム - パート 3
2026年03月06日
イラン戦争の序章としてのイラン核合意崩壊
役重善洋
はじめに:イスラエルと米国のイラン攻撃
本稿では、第二期トランプ政権発足後、イラン核合意が最終的に破綻した過程、とりわけその紛争解決メカニズムが機能不全に陥ったプロセスを追う。まず本題に入る前に、脱稿直前に始まった米・イスラエルによるイラン攻撃の状況を確認しておきたい。
2月28日、イスラエルと米国はイランに対する大規模攻撃を開始した。昨年6月13日に開始された「12日間戦争」のときと同様、米・イラン間の核交渉が進められている中での騙し討ち的奇襲攻撃から始まった。2月6日、17日、26日とオマーンで行われた間接協議の3回目終了後には、仲介国のオマーンが「大きな進展」があったとし、3月2日にIAEAを交えての第4回協議が予定されていたが、これらの協議は、開戦準備が整うまでの時間稼ぎであったという分析が説得力を持たざるを得ない。
昨年の攻撃ではまずイスラエルが核施設や革命防衛隊司令官や軍参謀長、核科学者などをターゲットにした他、防空レーダー施設も破壊し、その上で、米国がウラン濃縮施設に対する攻撃を行った。イランはイスラエルに対しては本格的な報復攻撃を行ったが、米国に対しては、カタルの米空軍基地への限定的ミサイル攻撃に留め、結果的に米国の強い意向で停戦合意がなされた。
イランの防空体制を弱体化した上で、米空母2隻を投入した今回の攻撃は、「壮絶な怒り」作戦と名付けられ、最初から米・イスラエルの共同作戦として行われている。開戦直後、トランプ米大統領とネタニヤフ・イスラエル首相がそれぞれ出した声明にはイラン国民に対する政権転覆の呼びかけが含まれていた。初日の攻撃で最高指導者ハメネイ師やナシルザデ国防相、ムサビ参謀総長、パクプール革命防衛隊司令官らの殺害に成功した。ミサイル製造拠点などが標的となっているようであるが、イラン南部ミナブでは女子小学校が攻撃され、180名の生徒・教員らが死亡した。
イラン側も、イスラエルに対するミサイル攻撃に加え、周辺アラブ諸国(バハレーン、カタル、サウジアラビア、UAE、ヨルダン)の米軍基地や米国大使館、石油関連施設、空港などに対してドローンおよびミサイルを用いた攻撃で応戦している。
現状で言えることは、イラン核合意の崩壊が、イスラエルと米国のイラン攻撃の前提条件となったということであり、2018年の米国の合意離脱以降、着々とイラン攻撃に向けた条件づくりがされてきたということである。以下、そのプロセスを検証する。
1.イラン核合意の紛争解決メカニズムと米国の合意離脱
2015年にイランとE3/EU+3(英仏独EU+米中露)の間で成立したイラン核合意は、核開発問題をめぐる対イラン制裁の解除と引き換えにイランの核開発に対する制限・監視を定めたもので、共同包括的行動計画(JCPOA)とそれを承認する国連安保理決議2231号から成る。米・イラン間の信頼関係がない中、技術的に複雑な手続きを要する合意を成立させるため、核開発等に関する規制を段階的に解除するサンセット条項など、イラン核合意にはいくつかの特徴的な取り決めが含まれることになった。それらの複雑な取り決めは、2018年に米国が一方的に合意を離脱し対イラン制裁を復活させて以降、条文の解釈をめぐる対立の原因となった。
問題の焦点となったのは紛争解決メカニズムで、JCPOA第36条には、核合意参加国が他の参加国による合意不履行があると考えた場合、一定の手続きを経た後、応報的に合意の履行を部分的ないし全面的に停止することができるとされている。さらに第37条では、イランによる重大な合意不履行については、他の参加国が36条の手続きを尽くした後に国連安保理に通告することで、30日を経た後に安保理によるイラン制裁決議の解除取消しを可能とするスナップバック条項が別途定められている。
このスナップバック条項は、安保理決議2231号の方でも規定されており、その実効性を保証する形式が取られている。ただし、JCPOAにはこの決議が発効後10年で無効となる「終了日」を定めたサンセット条項があり、その期限は2025年10月18日とされている。ちなみに第一期トランプ政権は、2020年10月18日に対イラン武器輸出規制の終了を定めたサンセット条項の失効を止めるためにこの条項を発動しようとしたが、他の合意参加国は、合意を離脱した米国にその資格はないとの判断で一致し、その試みは挫折していた。
後述するように、安保理決議失効の期日が近づくにつれて、JCPOAに残る「西側諸国」である英仏独がスナップバックを発動するかどうかに再び注目が集まることになった。他方、第二期トランプ政権は、「最大限の圧力」政策を背景にイランに対して、ミサイル開発への制限やヒズブッラー等国外組織への支援中止などを含めた新たな合意を迫り、いわばJCPOAの内側と外側の両方でイランは対応を迫られることとなった。
2.「未申告の核物質」問題とウラン濃縮問題――IAEA決議
核問題に関するイランに対する圧力として、英仏独のスナップバック条項発動の動きや米国の軍事的・経済的圧力とは別に、IAEAが追及してきた「未申告の核物質」問題にも言及する必要がある。これは、20年以上前の核活動に関するもので、イラン核問題の出発点に議論を戻す性格を持つ。IAEAは、JCPOA成立を受け、2015年12月に過去の核開発疑惑に関する調査を終了すると宣言していたが、2018年にイスラエルがイランから超法規的に入手したと主張する核開発計画の関連ファイルの情報に基づき査察した未申告の場所から人為起源のウラン粒子が検出されたことについて、調査終了を宣言したものとは別の問題だとして2019年より繰り返しイランに説明を求めてきていた。イランは、この要求が、①イスラエルの誤情報に基づくものであり、②核合意を受けてIAEAが過去の核開発疑惑に関する調査を終了すると宣言したことに反しており、また、③イランとして調査をしたが問題とされるウラン粒子が検出された原因は不明であるとして、IAEAがこの問題を追及し続けることに強く反発し、理事会で非難決議が出る度に報復措置としてIAEAへの協力のレベルを下げるなどの措置を取ってきた。
イランは、米国の合意離脱から1年後の2019年5月以降、米国の制裁復活に対する報復措置として段階的に核活動を活性化させ、JCPOAによる制限を超えたウラン濃縮を進めてきた。このことに関して、JCPOAに残る5か国の中で、英仏独とイラン・中露では見解が大きく分かれる。英仏独はイランがJCPOAの規程に違反していると主張しているが、イラン・中露は、イランが米国の一方的合意離脱と制裁復活に対する対抗措置として、JCPOAの紛争解決メカニズムに従って履行義務の相互的停止の権利を行使しているに過ぎないと主張している。
2025年3月のIAEA四半期報告書で、イランは、核兵器6個分と換算できる275kgの60%濃縮ウランを貯蔵するとされた。この報告書が出てから間もなくしてトランプ大統領はイランに対し新たな核交渉の開始を呼びかけ、武力攻撃をほのめかしつつ2か月以内の合意を迫った。これを受け、4月から5月にかけてオマーンの仲介により5回にわたる間接協議が行われたが、ウラン濃縮活動の全面的中止を求める米国と平和的原子力開発の権利行使を絶対条件とするイランとの間で交渉は難航した。
第6回目の交渉日程が折衝される中、IAEAは、5月31日付四半期報告書で60%濃縮ウランが408kgに増加したと報告した。さらに6月12日には「未申告の核物質」問題に関するイランのIAEAへの非協力は、NPTの保障措置協定違反にあたるとの決議を理事会で採択した。IAEAによるイラン非難決議は2020年以降、6回目になるが、保障措置協定違反だと断定したのは初めてのことであった。
3.イスラエル・米国のイラン攻撃(2025年6月)
決議翌日の13日未明、イスラエルは200機以上の戦闘機でナタンズのウラン濃縮施設などの核施設や軍幹部・核科学者の自宅などを奇襲攻撃した。同日、イランは弾道ミサイルで報復攻撃を開始し、以後断続的に交戦状態が12日間にわたり続いた。イラン側で死者1000人以上(内軍人が800人弱)、イスラエル側で死者28人(内軍人が1人)を出した。22日には米軍が参戦し、フォルドウの地下深くに建設されたウラン濃縮施設にバンカーバスター爆弾GBU-57/Bを14発投下するなど、イランの核施設3か所を攻撃した。23日、形式的な報復としてイランがカタルの米空軍基地をミサイル攻撃した後、停戦合意が成立し、「12日間戦争」は終結した。
イスラエルの攻撃に対するグロッシIAEA事務局長の声明は、平和目的の核施設への攻撃を国連憲章違反とするIAEA総会決議を引用しつつ、「原子力の安全、核セキュリティ、保障措置、そして地域および国際の平和と安全保障に深刻な影響を及ぼす」というもので、核不拡散体制そのものが攻撃されているとの認識は十分に示されなかった。米国の攻撃に際して出された緊急安保理における6月22日のIAEA事務局長の声明では、冒頭で「半世紀以上にわたり国際安全保障を支えてきた核不拡散体制が危機に瀕している」との認識が示されたが、米国の核施設への攻撃が違法である可能性について総会決議の引用というかたちであれ明示されなかった点においては後退した印象もあった。
イランは、IAEA事務局長の姿勢を「西側寄り」だとして強く反発し、25日には国会がIAEAとの協力を停止する法案を可決した。7月4日、IAEAはイランからすべての査察官を退去させ、イランの核活動に対する査察体制は途絶した。米・イラン間の核協議も当面再開の見込みは失われた。
4.スナップバック発動をめぐる国連安保理の分裂
イスラエル・米国のイラン攻撃に伴う信頼関係の崩壊は、英仏独によるスナップバック発動を確実なものとしたように思われる。7月14日、E3が8月末にスナップバック発動を行う決定をしたとの報道があり、イランは、国連事務総長および安保理議長宛書簡を通じて、イランは米国による核合意離脱と制裁復活から二日後(2018年5月10日)にJCPOAの紛争解決メカニズムを発動しており、その枠組みにおいてJCPOA履行義務を段階的に解除してきたことに対し、E3はスナップバックを発動する権利を持たないと主張した。これに対し、E3は、そもそもイランによる紛争解決メカニズム発動を認めていない立場を示したが、その根拠については述べていない。仮に紛争解決メカニズム発動が有効だとすれば、イランの主張する通り、E3の合意不履行に対する報復措置として取られたイランの行動についてE3が合意不履行として申し立てることは、「自らの義務を否認したり、履行しなかったりする当事者は、その関係から生じると主張する権利を保持しているとは認められない」とする国際法上の原則に反することになる。
E3は、8月28日にイランの核活動をJCPOAの著しい不履行であるとして安保理議長に通告し、スナップバックを発動した。国連安保理はイラン制裁関連決議解除の継続を求める決議案を9月19日に否決し、28日に事実上イラン制裁が復活した。同日、日本外務省も制裁決議の再適用を確認する談話を発表した。しかし、常任安保理国のロシアと中国はイランと共に、英仏独によるスナップバック発動は無効だとの立場を維持し、安保理決議2231号が無効となるとされていた10月18日には、同決議およびそれ以前の制裁関連決議がもはや無効であることを確認する書簡を安保理に提出した。しかし、安保理のHPでは過去の制裁決議に関わる委員会の記述が復活し、12月には事務総長による決議2231号の履行状況に関する定期報告書が提出されるなど、スナップバック成立を前提とした動きが進んでいる。
もともと、イランによる合意違反への予防策として導入されたスナップバック条項が、米国の合意離脱に伴う制裁復活への対抗措置を理由に発動されたことは、決議2231号が法的に有効かどうかをめぐり安保理が分裂するという前代未聞の状況を生み出した。これは、拒否権による安保理の機能不全とは質的に異なる事態であり、安保理の機能崩壊ともいうべきものである。当面は米国主導の「力による平和」を暴力的に実現しようとする動きが国連の平和構築機能に取って代わろうとする動きが続くものと考えられる。
おわりに:崩れ行く国際法秩序と日本の選択
国連制裁の事実上の復活は、通貨リヤルの暴落をもたらし、2025年12月末には首都テヘランで経済的に追い詰められたバザール商人らによるデモが行われた。これを契機に反政府デモが全国的に拡がり、1月2日にはトランプ大統領が軍事介入を仄めかすSNS投稿を行った。デモ隊が外部勢力の支援を受けているとの確証の下、イラン政府は1月8日から9日にかけて治安部隊側も含め数千人規模の犠牲者を出す大規模な弾圧作戦を行い、デモは鎮静化に向かった。この事態を受け、トランプ大統領は空母打撃群の中東への追加配備を決定し、これが今回の大規模攻撃に直結する動きとなった。
以上に述べたような状況は帝国主義時代への逆行のようにも見える。2026年1月、トランプ大統領はニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで「国際法は必要ない」と豪語し、2月に入り、ルビオ国務長官はミュンヘン安全保障会議で「西洋文明」の再生を訴え、ハッカビー駐イスラエル大使は、自身のポッドキャスト番組で「エジプトの川から大河ユーフラテスまで」が、神がユダヤ人に与えた土地だとして「彼らが全て奪取すれば問題ない」と述べた。こうした世界認識が米国のイスラエル支援とイラン攻撃の背景にある。このような歴史の退行に対して日本の政治と市民社会がいかなる姿勢を見せるかが今、知的・倫理的にも厳しく問われている。
2026年02月24日
ニュースペーパー News Paper 2026.2
2月号もくじ
ニュースペーパー News Paper 2026.2
表紙
*朝鮮学校の高校・幼保無償化適用を求めて
*「スパイ防止法」・私たちの原理原則
*三沢における反基地運動の継続を(下)
*国共内戦の「化石」化が中・台両岸民衆の願い(下)
*賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ
記事の文中に誤りがありました。
以下の通り訂正し、お詫び申し上げます。
2026年02月19日
【ヘイトにNO!全国キャンペーン】署名運動へのご協力をお願いします!
平和フォーラムをはじめ11団体が呼びかけ団体となって「ヘイトにNO!全国キャンペーン」を立ち上げています。その一環として「ヘイトにNO!全国キャンペーン署名」がスタートしています。ぜひご協力・ご紹介をお願いします。
今後、これから6月にかけて、全国各地でのキャラバン街宣行動や東京での大集会などのさまざまなとりくみを行う予定です。詳細な活動予定はあらためてご紹介しますので、ぜひご注目をお願いします。
2025年7月の参議院選挙を前後して、いわゆるヘイト言動が大きくなりました。
そしてそのヘイトは、ほとんどすべてがウソやデマによるものです。ヘイト扇動の渦中に、ある埼玉県会議員は、メディアで「多文化共生は求めない」と広言しました。
また、参議院選挙の結果として、デマやウソによるヘイトをまきちらす政治勢力が国会で議席を得たことで、あたかも「多文化共生を求めない」という声が多数であるかのような印象がつくられ、自民党の総裁選挙の際にも「外国人問題」が論点として注目されました。そして 10月に成立した高市政権では「外国人規制」を打ち出しています。
しかし、ほんとうにそうでしょうか。
今この社会がさまざまな国や地域からやってきた人びとの活動で成り立っていることは、実は誰もが知るところでしょう。そして、それはずっと以前からの歴史的事実です。
アイヌの人びとが先住民族であることは 2008年に国会でも決議されています。また、国や地域の「出身」だけではなく、LGBTQ+など多様性を尊重する声が上がってきていることも事実です。障害のある人、女性、被差別部落出身者への差別に対する闘いも持続的に永く取り組まれています。そして、SDGsやビジネスと人権の行動計画など、地球規模的に人権尊重の声がひろまってきています。
今、私たちの多くは、差別のない社会、人権や労働者の権利が尊重される社会を求めているのです。
誰ひとり取り残されることのない社会、よりよい多民族・多文化共生社会を求めています。
ところが、ある入管庁幹部は言いました。「入管に来るメールやファックスは(共生に)反対のものばかり」と。
よりよい多民族・多文化共生社会を求める声は、確かに穏やかで緩やかな声が多いのでしょう。でも間違いなく、とりわけ地方では目の前にいる外国人と「うまくやっていきたい」との思いが広がっているのです。
今、声を上げましょう。「ヘイトにはNO!」、よりよい多民族・多文化共生社会を求めていることを。
違いを尊重し合う社会、人権や労働者の権利が尊重される社会、差別のない社会、多様性を認め合う社会、そして誰ひとり取り残されることのない社会を、私たち一人ひとりが求めていることを形にしましょう。
ヘイトにNO!全国キャンペーン署名
内閣総理大臣 様
衆議院議長 様
参議院議長 様
私たちは、ヘイトに反対です。
私たちは、よりよい多民族・多文化共生社会を求めます。
私たちは、日本社会のすべての人びとの人権が尊重される社会、差別のない社会、多様性を認め合う社会、違いを尊重し合い誰ひとり取り残されることのない社会を求めます。
私たちは、政府・国会に次のことを求めます。
・首相みずからがヘイトスピーチに反対することを明言してください。
・差別を禁止する法律をつくってください。
・日本が加盟している国際人権諸条約に基づき、日本に暮らす外国人の人権が守られる制度にしてください。
・外国人労働者に差別なく労働法を適用してください。
オンライン署名はこちらから→ https://www.change.org/NoHate2026
署名用紙データはこちら( PDF )
【呼びかけ団体】
移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)/外国人技能実習生権利ネットワーク/「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定を求める連絡会(外国人人権法連絡会)/外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)/コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク/人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)/全国労働安全衛生センター連絡会議 /中小労組政策ネットワーク/つくろい東京ファンド/反貧困ネットワーク/フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)
『ヘイトにNO!全国キャンペーン』にご参加ください
●この「ヘイトにNO!」署名を、地域や職場で広げてください。
●全国各地で開かれる「ヘイトにNO!全国キャンペーン」関連企画に参加してください。
●賛同金・カンパもお願いします。賛同金は団体・個人一口1000円です。
<全国キャンペーン共同連絡先>
・平和フォーラム office@peace-forum.top
・移住連 smj@migrants.jp
・中小労組政策ネットワーク chushorosonet@gmail.com
<署名用紙の送付先>
・平和フォーラム:101-0062東京都千代田区神田駿河台3-2-11連合会館1F
<賛同金・カンパの送金先>
・中央労働金庫 本店営業部 普通 6131229 フォーラム平和・人権・環境 事務局長 谷雅志
2026年02月13日
差別・排外主義許さず共生社会の実現を!「憲法と『建国記念の日』を考える集会」を開催
戦前日本で重要な国家的祝日(「四大節」のひとつ)「紀元節」とされた2月11日が、多くの反対の声のなか、1966年に「建国記念の日」として再度祝日化されました(翌1967年から実施)。このような国家主義復活の動きに抗し、「主権在民」など憲法理念の実現をめざす平和フォーラムは、歴史認識や人権課題をテーマとした集会を例年開催してきました。
本年は2月11日、東京・日本教育会館で「憲法と『建国記念の日』を考える集会」を開催し、約200人が参加しました。街頭で、インターネット上で、外国人差別の煽動が後を絶ちません。しかし高市政権はそうした動きに対して規制をするどころか、「外国人政策の厳格化」を掲げ偏見を助長しています。こうした状況も踏まえ、安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト、Dialogue for People副代表理事)の講演、そして鳥井一平さん(移住者と連帯する全国ネットワーク共同代表理事)からの報告を受けました。
安田菜津紀さんは「共に生きるとは何か 難民の声、家族の歴史から考えた多様性」と題して講演。海外、そして日本各地での豊富な取材のなかで培った知見とともに、安田さんご自身のファミリーヒストリーにも触れつつお話しされました。パレスチナの人びとはイスラエルによる差別・抑圧のもとで、もはや人間としてではなく、非人間的な存在として扱われています。川崎や川口などでヘイトがもたらしている実態の一端を紹介しながら、差別の放置は暴力や虐殺につながっていることを指摘しました。
続いて鳥井一平さんからは「ヘイトにNO!全国キャンペーン」のスタートにあたっての報告がありました。外国人に関するデマがいかに根拠を欠いているのか、実際のデータを示しながら解説し、100回のウソ・デマに対しては101回の事実で対抗すること、誰ひとり取り残さない共生社会を実現するために「ヘイトにNO!全国キャンペーン」への参加を呼びかけました。
平和フォーラムは「ヘイトにNO!全国キャンペーン」の呼びかけ団体のひとつとして、これに全面的に協力していきます。今後署名運動のほか全国各地での共同行動を展開する予定です。具体的な内容については近日中にお知らせしますので、ぜひ多くのご参加・ご協力をお願いします。
2026年02月10日
【平和フォーラム声明】第51回衆議院議員選挙の結果を受けて
平和フォーラムは2月10日、以下の声明を発表しましたので、お知らせします。
第51回衆議院議員選挙の結果を受けて
2月8日に投開票された第51回衆議院議員選挙(小選挙区289、比例代表176)は、与党・自民党が公示前から一気に118議席を増やして316議席となり、少数与党の参議院で法案を否決されても衆議院で再可決できる3分の2を超える議席を獲得するという結果となりました。単独政党が3分の2にあたる議席を確保するのは戦後初めてとなります。
自民党と連立を組む日本維新の会は、公示前から2議席を増やして36議席となり、与党は衆議院の過半数(233議席)を大きく上回る352議席となりました。一方、公示日直前に結党された新党「中道改革連合」は、公示前勢力の167議席から大きく減らし、49議席にとどまりました。旧公明党系議員を比例選挙区の名簿順位で優遇し、小選挙区で旧立憲民主党系議員を支援することとしましたが、当選者は旧公明党系議員が公示前の21人から7人増えたのに対し、旧立憲民主党議員は公示前の144人から21人と8割以上も減らしました。大勝した自民党以外でも日本維新の会や国民民主党、参政党やチームみらいも議席を増やし、主要政党では旧立憲民主党が「独り負け」という結果になりました。
高市首相は昨年の臨時国会中は「解散を考えている暇はない」と繰り返していましたが、年が明けるや一転して通常国会冒頭の解散を決めました。歴代首相は当初予算案や関連法の年度内成立を優先して年明け早々の解散を避けてきましたが、高市首相が通常国会冒頭の衆議院解散を決断したのは、野党の選挙準備が整わず内閣支持率が高いうちに選挙に打って出て、自民党の議席を増やし政権基盤を安定させる狙いがあったはずです。さらに昨年11月の台湾有事に関する国会答弁により、日中関係はかつてないほど悪化しています。今後の中国の対応次第では、高市政権が看板政策として掲げる経済にも多大な悪影響を及ぼす可能性があります。その他にも本人は否定していますが、旧統一教会との深い関係を週刊誌に報じられるなど、国会で予算委員会が始まると野党から厳しい追及を受け、支持率が低下する可能性がありました。
1月19日、記者会見で解散を表明した高市首相は、解散の理由を「国論を二分する政策に挑戦する」と4度も繰り返しましたが、国論を二分する政策が何を指すのかは明らかにせず、「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか、今、主権者たる国民の皆様に決めていただく。それしかない」と胸を張ってみせました。「国論を二分する政策」を自民党と日本維新の会の連立政権合意書にある主な政策から推察すると、「スパイ」防止法、対外情報庁の創設、防衛装備輸出制限「5類型」の撤廃、防衛力の抜本的強化、日本国国章損壊罪、皇室典範改正、旧姓使用の法制化、外国人政策の厳格化、そして自民党が党是とする憲法「改正」などが考えられます。これまでの自公政権でブレーキ役だった公明党が連立を解消し、保守色の強い政策を掲げる日本維新の会と連立を組んだことにより、これまでの自公政権では示されなかった保守色の強い、国の根幹にかかわる重要政策の大転換を図っていく狙いは明らかです。
昨年12月18日には、首相官邸の幹部が個人の見解と断りながらも「日本は核兵器を保有すべきだ」との考えを示しました。世界で唯一の戦争被爆国である日本は、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を堅持してきました。日本が核開発に乗り出せば、日本も加盟する核不拡散条約(NPT)体制崩壊の引き金を引くことになりかねず、国際社会からの批判は必至です。事態を重く見た原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は、この官邸幹部の発言に対しただちに抗議声明を発出しました。
2026年度予算の年度内成立が極めて困難となり、極寒の雪国では選挙活動や投票行為の困難さが指摘され、「大義なき解散」という批判も相次ぎました。高市首相は各党の党首が集まる討論番組では直前の連絡で欠席を伝え、欠席の理由を「手の治療」としましたが、その後の遊説活動は予定どおりに行っているばかりか、討論番組の2日前から何人かの自民党議員に代役を打診していたことも明らかになっています。
2月1日に行われた高市早苗首相の街頭演説では、進行する円安について輸出産業の利益などに触れ、「今、ホクホク状態だ」と発言したことに「物価高で家計が苦しいなかで、為替は一般市民に直接の関係はなく、呑気すぎる」と批判を浴び、みずほ銀行は、「みずほマーケット・トピック高市演説を受けて〜危うい現状認識〜」(2026年2月2日) で、「前時代的な発想」だと警鐘を鳴らす異例のリポートを発出しています。
今選挙の公示日の1月27日から7日間で、SNSなどの自民党の動画再生回数は昨年の参議院選挙よりも4割近く増え、その内容は高市首相への言及が多く、高い内閣支持率が背景にあるとみられます(毎日新聞)。自民党は今回の選挙戦で、“高市推し”や“サナ活”など社会現象にまでなった党首人気を最大限に利用しました。高市人気で無党派層を掘り起こし、終盤に向かうに従ってその勢いは増しました。「失われた30年」と言われる社会全体の閉塞感の中で、強い物言いや対外的にもひるまない姿勢を演出する高市首相の高い支持率は、「現状を変えてくれるかもしれない」という有権者の期待の表れです。
新党「中道改革連合」は中道勢力の結集を掲げましたが、「中道」が何を指すのかも明確に伝わらず、与党への対抗軸として有権者が期待を寄せる存在にはなりませんでした。突然の解散から新党結成と政治情勢が大きく動く中、中道改革連合の理念や政策を浸透させることが困難であったとはいえ、一強与党対多弱野党の政治情勢に戻した責任は重いと言わざるを得ません。しかし、野党のチェックアンドバランスがなければ民主主義は機能しません。わかりやすい包摂的な言葉で、多くの市民に伝わる形で現政権の問題を指摘することが、野党には求められています。
今回の選挙結果は、これからの日本の進路の大きな分岐点となる可能性があります。私たちはそのことを重く受け止めなければなりません。今問われているのは、分断と対立を煽るポピュリズムや右傾化する政治の流れにどうブレーキをかけるかです。戦後80年が過ぎ、この間日本は一度も戦禍にまみれることはありませんでした。一貫して平和国家としての道を歩み、経済成長を遂げました。私たちの運動の成果であることに自信と確信を持てるものです。
しかし、世界では依然として多くの戦争や紛争が起きています。終戦から80年の節目の年が過ぎ、戦争の記憶を継承し平和な未来を築くための運動はより重要視されています。「フォーラム平和・人権・環境」の結成から四半世紀が過ぎました。誰一人取り残さない、軍備拡張ではなく市民の生活第一、対立ではなく対話の政治を取り戻すために、対米追従を強め軍備拡張や憲法「改悪」を目論む高市政権に真正面から対峙し、これまでの取り組みをさらに強化する決意を明らかにします。
2026年2月10日
フォーラム平和・人権・環境
共同代表 染 裕之
共同代表 丹野 久
2026年01月30日
国際秩序を崩壊させる大国の軍事行動
鈴木達治郞(NPO法人ピースデポ代表)
2026年1月3日、世界は衝撃的なニュースで新年を迎えることになった。米国がベネズエラに軍事攻撃を加え、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束したのである。昨年6月にはイスラエルに続いて、米国はイランの核施設を軍事攻撃して破壊している。今回のベネズエラ軍事攻撃に対し、「国際法違反」と批判しているロシアもウクライナ侵攻という国際法違反を犯して軍事行動を行った。米ロという核保有国である大国が国際秩序を崩壊させようとしている現実を、我々は直視しなければいけない。果たして、国際社会は今後どう対応していけばよいのか。今回のベネズエラ軍事攻撃を機会に検討してみる。
軍事行動を規制する国連法(国連憲章と国際人道法)
そもそも、国連憲章は世界の平和と安全保障を守るための国際条約として、1945年10月24日に発効した国際条約で、全ての加盟国が従う義務を負うものとされている。軍事行動を規制している重要な項目は、第2条第4項である(注1)。
「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」
これにより、加盟国は原則として武力による威嚇や武力の行使をしてはいけないことになっているが、実は例外的に軍事行動を認めているのが、次の第51条である。
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利(注2)を害するものではない。」
今回の米国の行動が、これらの国連憲章に違反するかどうかが問われることになる。今回、ベネズエラが米国に対して、武力攻撃を行ったという事実はなく、自衛権で今回の軍事行動を説明することはできない。これは、昨年6月に行ったイラン核施設への攻撃も同様である。ロシアによるウクライナ侵攻の場合は、領土を奪うなど異なる側面もあるが、武力行使・侵略禁止という点でやはり国連憲章違反といえる。
さらに、自衛権に基づく軍事行動であったとしても、その軍事行動には「国際人道法」による制約がある。1977年に採択された「ジュネーブ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書」(第1追加議定書)(注3)において、基本原則として文民を保護する目的で「均衡(比例)性原則」(proportionality)」が定められている。これは先行武力攻撃に対する自衛目的の武力行使であっても、その措置は先行攻撃と自衛攻撃で「均衡がとれている」ことを求めるもので、過度に文民の被害をもたらすことのないよう、攻撃対象を限定することが求められている。また追加議定書56条には「危険な力を内蔵する工作物(ダム、堤防、原子力発電所)の保護(軍事施設であっても攻撃をしてはいけない)」が規程されている。ロシアによるチェルノブイリ、ザポリージャ原発への攻撃は、まさにこの56条違反の疑いがある。イランのウラン濃縮施設はその対象ではないものの、2009年に国際原子力機関(IAEA)の総会決議 (注4)「全ての民生用原子力施設への攻撃を禁止する」に違反する行為であると判断される。
ベネズエラ軍事攻撃に関する米国の見解
これに対して、米国はどのような見解で軍事攻撃を正当化しているのか。イランのウラン濃縮施設攻撃に対しては、「我々は戦争を求めているのではないが、米国市民や同盟国の利益が損なわれると判断したら素早くかつ決定的に行動する」(ヘグセス国防長官)として、「『自衛権』での攻撃だ」との解釈を示している。さらに「正確な攻撃により、イラン軍や市民を攻撃対象とせず、核プログラムを完全に破壊した」(同長官)として、人道法にも違反していないとの説明を行っている(注5)。
ベネズエラ攻撃については、米国内法による「麻薬取り締まり」の延長で、「麻薬の元締めであるマドゥロ大統領を逮捕することが目的であり、軍事行動でも侵略でもない」、との主張である。また、「マドゥロ大統領は正当な大統領選挙で選ばれたのではなく、ベネズエラ国民にとっても、望ましい結果だ」(ルビオ国務長官)との説明である(注6)。
今回の米国の軍事行動を理解する上で、2025年11月に発表された「米国家安全保障戦略」を読み解くことが必要だ。その中で、「西半球における米国の支配を回復するという『モンロー主義』を再び主張する」と述べており、ドナルド・トランプ大統領の頭文字をとって「ドンロー主義」と呼ばれている。また、「武力こそ最善の抑止力である」と明言しており、軍事力による支配を絶対視している点が注目される。さらに、トランプ大統領は、米ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、「私を止めることができるのは私自身の道徳心、精神だけだ。(中略)国際法など不要だ」とのべたのである(注7)。国際法を守ることより、武力で自国の利益を追求することが、トランプ大統領の「国家安全保障戦略」であり、このままでは戦後80年継続してきた「法に基づく国際秩序」は崩壊していくと懸念される。
さらに驚くのは、米有力紙のウォール・ストリート・ジャーナル紙は社説で、今回のベネズエラへの軍事行動を支持する意見を以下のように述べている(注8)。
「米国が長い時間をかけ、多大な努力をして構築してきた国際法の集大成を捨て去るのは賢明でないが、それをねじ曲げる行為はもはや無視できない。世界のならず者たちは全てのルールを破っている。そして彼らは違法行為を続ける手段の一つとして、法を順守する民主主義国家にそれを押しつけるようになっている。(中略)世界のならず者国家に対する防御策として機能しているのは、西側諸国の軍事的抑止力だけだ。米国の決意と軍事能力を示すことは、自由世界を防衛し、ロシア、中国、イランを躊躇させる上で、国連の千の決議よりも大きな効果を持つだろう。」(2026/01/06)
これが米国の主流を占める意見だとすれば、なお恐ろしい。
高まる国際批判と懸念
米国がイランの核施設を攻撃したときも、グテーレス国連事務総長は「世界の平和と安全保障に対する直接的な脅威である」(2025年6月21日)(注9)と述べていたが、今回も強い言葉で米国のベネズエラ攻撃を次のように批判した。
「米国のベネズエラ軍事行動により、世界は深刻な時代を迎えている。(中略)国際法を尊重しない1月3日の軍事行動に対し、強い懸念を表する。(中略)国際安全保障と平和は、全ての加盟国が国連憲章を全面的に遵守することにより保たれる。軍事による威嚇の禁止、法の力が支配する世界であるべきだ」(2026/01/05)(注10)
世界の有識者も同様の懸念を表して、米国の行動を批判している。以下、国内外からの意見を簡単にまとめた。
・どのような国際法に照らしても、今回の米国軍事行動を説明することはできない。結論は明白だ。米国は主権国家に対する軍事行動という形で2026年を開始したのだ。これには法的正当性は全くない。(注11)(Jannia Dill, Blavatnik School of Government, University of Oxford, UK, 2026/01/07)
・米国憲法においても、戦争を開始する権限は議会にあり、大統領にはない。さらに、軍の行動を規制する権限も議会にはある。今回の行動には国内法からみても全く正当化できない。(注12)(Katherine Yon Ebright, Brennen Center for Justice, New York University Law, US 2026/01/06)
・あらたな賭けは行き過ぎたり、意図せぬ結果を招いたりするリスクをはらんでいる。(イラン・ブレマー 米国際政治学者(26/01/09, 長崎新聞評論))
・これまで米国は一方で国際法違反をしつつも、他方で世界最大の対外援助や自国市場へのアクセス供与で、世界の安定と繁栄に貢献してきた。今やそれらの「善行」はみられない。『米国の時代』の終わりがさらに早まりかねない。(石井正文 りそな総合研究所理事2026/01/07、長崎新聞評論)
国際社会はどう対応すべきか
超大国が国際法を軽視し、核兵器をはじめとする巨大な軍事力を背景に世界を支配するような時代が目前にせまっている。そのような危機感を代表して、カナダのカーニー首相が1月に開催された「ダボス会議」で行った演説 (注13)を引用して、本論のまとめとしたい。
「本日私は、世界秩序の断絶、美しい物語の終焉(しゅうえん)、そして大国間の地政学が一切の制約を受けない残酷な現実の始まりについて話します。しかし同時に申し上げたいのは、カナダのようなミドルパワー(中堅国家)をはじめとする他の国々が無力ではないということです。これらの国々は人権尊重、持続可能な開発、連帯、主権、領土の一体性といった、私たちの価値観を体現する新たな秩序を構築する能力を持っているのです。(中略)率直に申し上げます。私たちは移行期ではなく、断絶の真っただ中にいます。(中略)ミドルパワーは結束して行動しなければなりません。強い者には強い者の力があります。しかし、私たちにも力はあります―偽りを止め、現実を直視し、国内で力を蓄え、共に行動する力です。」
カーニー首相の言うとおり、大国に依存するだけではなく、ミドルパワーが国際法・秩序に基づき、連携していくことが、現在の危機を乗り越える唯一の道かもしれない。
(注1)国連憲章。
https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
(注2) これを「自衛権」と呼ぶ。国際司法裁判所(ICJ)では「自衛権」を「国家に対する重大な『武力攻撃』が発生した際に、他に手段がない場合に限り(必要性)、受けた攻撃に見合う範囲内で(均衡性)、一時的に認められる固有の権利」であると定義づけられている。
(注3)Protocol Additional to the Geneva Conventions of 12 August 1949 and relating to the Protection of Victims of International Armed conflicts (Protocol 1), 8 June 1977.
https://ihl-databases.icrc.org/en/ihl-treaties/api-1977
(注4) IAEA General Conference, “Prohibition of Armed Attack or Threat of Attack against Nuclear Installations during Operation or under Construction” September 2009. https://www.iaea.org/sites/default/files/gc/gc53dec-13_en/pdf
(注5)米国防省のプレスリリース(オペレーション・ミッドナイト・ハンマー)
https://www.war.gov/News/Transcripts/Transcript/Article/4222543/secretary-of-defense-pete-hegseth-and-chairman-of-the-joint-chiefs-of-staff-gen/
(注6)ABC News, “Rubio: Maduro ouster is ‘not about securing oil fields’”, ABC New’s George Stephanopoulous interviews Secretary of State Marco Rubio on “This Week”. January 4, 2026. https://abcnews.go.com/ThisWeek/video/1-1-secretary-state-marco-rubio-128886956
(注7)ニューヨーク・タイムズ紙によるトランプ大統領インタビュー(2026/01/08)
https://www.nytimes.com/live/2026/01/08/us/trump-nyt-interview
(注8)The Wall Street Journal(日本語版)、社説「ベネズエラ問題における『国際法』という幻想」、2026年1月6日。
https://jp.wsj.com/articles/the-international-law-illusion-in-venezuela-c962b7d3
(注9)https://www.un.org/sg/en/content/sg/statements/2025-06-21/statement-the-secretary-general-iran
(注10)https://www.un.org/sg/en/content/sg/2026-01-05
(注11)
https://www.ox.ac.uk/news/2026-01-07-expert-comment-illegality-us-attack-against-venezuela-beyond-debate-how-world-reacts
(注12)https://www.brennancenter.org/our-work/analysis-opinion/no-legal-basis-invading-venezuela
(注13)朝日新聞、「カナダのカーニー首相、ダボス会議演説が話題。前文を日本語と英語で」、2026年1月22日。
https://digital.asahi.com/articles/ASV1Q2BVZV1QUHBI016M.html
2026年01月28日
衆議院選挙にあたり排外主義の煽動に反対する緊急共同声明
平和フォーラムは1月26日、外国人の人権問題にとりくむ諸団体とともに記者会見し、以下の声明を発表しましたので、お知らせします。
衆議院選挙にあたり排外主義の煽動に反対する緊急共同声明
私たちは、外国人、難民、民族的マイノリティ等の人権問題に取り組む団体です。
私たちは、昨年7月の参議院選挙の際に、政府も多くの政党も排外主義煽動を競い合っている状況を批判し、政府等に対し、ヘイトスピーチが許されないことを広報することなどを強く求める声明を出しました。
しかし、各地の選挙演説で外国人を排斥するヘイトスピーチが多数行われ、それを批判する人々に対し、「お前日本人じゃないだろう」等の差別的な脅迫や排除が行われました。また、排外主義を唱えた政党が当選者を増やす結果となりました。
昨年10月に発足した高市政権は、外国人への根拠のない不安を煽り、在留審査や日本国籍取得の厳格化、教育の無償化制度からの外国籍者の排除などの外国人規制策を急速に進めています。同年5月に出入国管理庁が発表した「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を強行に推進し、強制送還を前年比でほぼ倍増させています。その結果、日本で生まれ育った非正規滞在の子どもたちやその家族、他国であれば難民認定されたであろう人々等が、突如日本での生活を根こそぎ奪われる理不尽に苦しめられています。政府の差別的政策に後押しされ、昨年10月以降、外国人やイスラム教徒の人たちを排斥するデモや街頭宣伝が急増し、インターネット上にヘイトスピーチが氾濫しています。住居や駐車場を貸してくれなくなった、クレジット契約更新を断られた、クラスメートから「日本人ファースト」と言われたなど、日常的な差別も悪化しています。
しかし、「外国人が優遇されている」「外国人による犯罪が多い」というのは根拠のないデマです。日本には外国人に基本的人権を保障する法律すらなく、選挙権もなく、公務員になること、生活保護を受けること等も法的権利としては認められていません。医療、年金、国民健康保険、奨学金制度などで外国人が優遇されているという主張も事実ではありません。それどころか、住居移転の届け出義務違反の罰則は、日本人は5万円以下の過料、外国人は20万以下の罰金とされているなど法的な差別もあります。
ヘイトスピーチ、とりわけ排外主義の煽動は、外国人・外国ルーツの人々を苦しめ、異なる国籍・民族間の対立を煽り、共生社会を破壊し、さらには戦争への地ならしとなる極めて危険なものです。
だからこそ、人種差別撤廃条約は、締約国に対し人種主義的ヘイトスピーチを禁止し終了させ、様々なルーツの人々が共生する政策を行うことを求めています。
しかし、先の参議院選挙の際、政府や多くの政党は、逆に差別を煽る側に立ちました。他方、多くの報道機関は、各候補者の主張のファクトチェックを実施しました。また、神奈川新聞は、昨年10月の川崎市長選挙において、大量の部落差別を繰り返してきた候補者を別扱いし、その差別的言動を批判しました。
私たちは、今回の選挙において、さらに排外主義煽動が行われ、外国にルーツのある人々が恐怖の下に置かれ、差別に反対する声を封じる暴力的攻撃が行われることを危惧します。選挙運動におけるヘイトスピーチは放置すれば民主主義自体が破壊されます。
そこで、総選挙にあたり、私たちは下記のことを求めます。
1.各政党・候補者は、外国人に対する偏見を煽るキャンペーンを行わず、差別を批判すること
2.政府・自治体は、選挙運動におけるヘイトスピーチが許されないことを徹底して広報すること
3.報道機関は、選挙運動についてファクトチェックを徹底するのみならず、デマやヘイトスピーチもあたかも一つの意見のように並列的に扱わず、明確に批判すること
国籍、民族によって差別されず、誰もが人間としての尊厳が保障され、未来に希望を持ち、平和に生きる共生社会を作っていきたい。そのために、私たち一人一人が、選挙における差別の煽動を放置せず、声をあげることを訴えます。
2026年1月26日
移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)/外国人技能実習生権利ネットワーク/「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定を求める連絡会(外国人人権法連絡会)/外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)/コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク/人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)/全国労働安全衛生センター連絡会議/中小労組政策ネットワーク/つくろい東京ファンド/反貧困ネットワーク/フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)
2026年01月26日
「憲法と『建国記念の日』を考える集会」開催のご案内
戦前日本で重要な国家的祝日(「四大節」のひとつ)「紀元節」とされた2月11日が、多くの反対の声のなか、1966年に「建国記念の日」として再度祝日化されました(翌1967年から実施)。このような国家主義復活の動きに抗し、「主権在民」など憲法理念の実現をめざす平和フォーラムは、歴史認識や人権課題をテーマとした集会を例年開催してきました。
本年は2月11日(水・休)、「憲法と『建国記念の日』を考える集会」を開催しますので、以下の通りご案内し、ご参加を呼びかけます。
憲法と『建国記念の日』を考える集会
昨年の参議院選挙後、「秩序ある共生社会」や「外国人の適正管理」といった言葉のもとで、排外主義的な言動や政策が強まっています。昨年5月に打ち出された入管庁の「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」や、高市新政権による外国人への規制強化の動きは、共に生きる社会をめざしてきた私たちの歩みを後退させるものです。社会保障費の引き下げ、スパイ防止法制定など、人権保障に逆行する政策も次々と画策されています。
今、必要なのは「管理」や「排除」ではなく、すべての人が人間として尊重され、差別なく安心して暮らせる社会です。
本集会では、安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト)や鳥井一平さん(「移住者と連帯する全国ネットワーク」共同代表理事)をお招きし、現場からの報告や当事者の声を共有しながら、デマや差別に基づく排外主義を乗り越え、すべてのマイノリティの人びとの人権を尊重する共生社会の実現について考えます。
日時:2月11日(水・休)14時~16時
場所:日本教育会館8階第一会議室(東京都千代田区一ツ橋二丁目6-2)
参加費:無料
内容:
講演「共に生きるとは何か ―難民の声、家族の歴史から考えた多様性―」
講師…安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト、Dialogue for People副代表理事)
報告と呼びかけ「ヘイトにNO!全国キャンペーン」
報告者…鳥井一平さん(移住者と連帯する全国ネットワーク共同代表理事)
主催:フォーラム平和・人権・環境
2026年01月23日
ニュースペーパー News Paper 2026.1
1月号もくじ
ニュースペーパー News Paper 2026.1
表紙
*被爆80 年からその先へ
*三沢における反基地運動の継続を
*柏崎刈羽原発再稼働をめぐる情勢
*日本の平和と民主主義の歩みをさらに強固に
*国共内戦の「化石」化が中・台両岸民衆の願い(上)
*時代の転換点、私たちの未来を決めるのは私たち!





