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【68大会・報告】広島第1分科会・フクシマを忘れない~福島原発事故の現状と課題

2013年08月05日

広島第1分科会.JPG

 講師 振津かつみさんの報告
 福島原発事故で大量の放射能が放出され、多くの住民が被ばくさせられた。地震が多発する日本での原発推進は全くの人災である。「放射線管理区域」に相当するレベルは県外に広範囲に拡散した。原発事故で高被ばくをしながら働く被ばく労働者は1ヶ月で、通常の被ばく労働者の1年分を被ばくする。被ばくに応じた健康の補償が必要だ。
 事故は収束していない。汚染水の備蓄、地下水の汚染、大気中の放出が続いている。進まない除染、食品汚染、健康管理などの汚染と被ばくに加えて、家族、地域社会の崩壊、生活基盤が損なわれる事態がある。「県民健康調査」は20万人を対象にしたが、回収率は23.4%だ。国の責任で全ての被災者への健康調査が必要だ。
 国の責任による「健康手帳」の交付等、被災者の健康、命、生活の保障を求め、闘うこと。全国の脱原発運動をヒロシマ、ナガサキを結んで、フクシマ支援を取り組もう。国家補償に基づく全般的な被災者支援を。
 
 講師 伴英幸さんの報告
 福島原発事故の原因は未解明であり、過酷事故は起こりうるということ。いまも1号~4号機は危うい状態であり、廃炉に向けて40年以上の闘いになる。
 汚染水管理の失敗から漏洩事故が起きた。1日400トンもの地下水が流入している。労働者の不足と被ばく労働が避けられないが、被ばくを低減する観点から廃炉計画を全面的に見直す必要がある。しかし、事故原因を明らかにせず、他の原発を止めさせないための矮小的な議論が行われている。
 
 現地報告 角田政志さん(福島)
 福島市内に居住しているが、現在も1.6~2.3マイクロシーベルトもあり、子どもは庭で遊ばせない。庭は荒れ放題だ。年間1ミリシーベルトへの除染は進まない。震災後、臨時休校したままが10校、再開した28校も生徒が減少した。双葉地区では生活する環境がない。
 福島市内では身の回りに放射能が存在しているにも関わらず、体力回復などの安心意識作りが進められている。子どもの健康調査を通じて、①安心して健康を守るということ、②現状をしっかり認識すること、③全国の仲間とともに考え行動をすることが大切だとわかった。
 
 各地報告 菅原晃悦さん(宮城)の報告
 自然災害に原発事故が加わると、復旧・復興は困難になる。宮城でも10万人の避難者や廃棄物の除去という課題を抱えている。特に高レベル放射性廃棄物の課題が障害になり、復旧が大きく立ち遅れてしまう。
 除染や復旧も資材不足、人手不足等の課題があり、入札不調となって進まない現実がある。低レベル廃棄物でさえ、やっと一時保管場所が決まる状況だ。対応が先延ばしされれば、住民のいない復興となってしまう恐れがある。
 
 参加者からの質疑・意見として、「集団疎開」などの対応、除染作業の効果とゼネコンの利権、食品汚染で国の基準が守られていれば良いのか、被ばく労働者との連帯、国の責任で健康管理手帳交付の運動をすべきなどの他、浪江町からの避難者として国や東電への怒りが語られた。
 最後に運営委員から、事故が今も進行中であること、廃炉には40年以上もかかる闘いであることが明確になった。そのなかで「フクシマ」を忘れないということの意味の重さを痛感した。全体で「脱原発を達成しなければならない」という決意を確認した、というまとめで閉会した。
 

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