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長崎大会 第5分科会  ヒバクシャⅠ─ヒバクシャの現在

2019年08月08日

被爆74周年原水爆禁止世界大会  長崎大会

第5分科会  ヒバクシャⅠ─ヒバクシャの現在

 
日時:8月8日(木)9:30~12:30
会場:NBC別館 3F メディアスリー (長崎市上町1-35/℡095-826-5300)
講師:振津かつみ(医師)、竹峰誠一郎(明星大学教員)
海外ゲスト:ラニー・クラマー(マーシャル諸島・REACH-MI(NGO)代表)
サマンサ・ハナーグ(マーシャル諸島・REACH-MI(NGO)副代表)
 
 
 はじめに、山内武さん(被爆体験者訴訟原告団 第二陣原告団団長)から「被爆体験者」とは何かを話して頂きました。長崎の被爆地域は「旧長崎市」を基本に1957年に制定され、その後徐々に拡大してきましたが、爆心地からほぼ12km、近点7km以内に限られました。爆心地から12km以内であっても旧行政区域外として、被爆者健康手帳の取得が出来ない被爆者は、被爆地域の拡大を求め、現在では「健康診断特例地域」に居る「被爆体験者」として法的には取り扱われることになりましたが、被爆者援護法に基づく「被爆者」ではないということ。しかし、住民は放射能に汚染された空気を吸い、水を飲み、畑の作物を食べ、内部被曝による放射線障害に苦しんできた。明らかに「被曝者」であると訴えられた。
 
 振津かつみさん(医師/チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西)からは、ヒバクの実相を世界に広め、これ以上ヒバクシャを作らせてはいけない。マーシャルの核実験被害者やウラン採掘や核実験被害に苦しめられてきたアボリジニなど先住民との交流・連帯の中で「核と人類は共存できない」との確信を深めてきました。「核時代」を終わらせることをめざして前進していくことが重要である。と訴えられた。
 
 竹峯誠一郎さん(明星大学教員)は、マーシャル諸島での長年(約20年)の聞き取り調査を基に、歴史的経過や現地の状況について報告頂いた。まず、米国は世界初の核実験をニューメキシコで行い、その際に実験場を含む一帯が汚染された。その後、広島・長崎へ原爆投下されたのだが、以降の核実験場の選定をめぐって、米国以外となったのは言うまでもなく最終的にマーシャル諸島に決定した。決定以降、米国の力の脅威(日本に勝利したこと)にマーシャルは承諾せざるを得ず、結果、強制移住が実行され、土地を奪われた。彼らにとって土地は、「文化・存在」を否定されることであった。1946年7月に戦後初の核実験が開始され、1958年まで67回(広島型原爆の7,000発相当)もの原水爆実験が行われ、その間には、「第五福竜丸」ほか千隻もの日本漁船が被曝している。
また、土地を奪われた先住民は被曝と飢えに苦しみ、数回の移住をさせられたが元の暮らしには戻れない。さらには、あらゆる観点から人体実験のデータを得られると被爆地への帰還などをさせられていた。と報告があり、竹峯さんは「唯一の被爆国」との意識では核問題は解決しない。と強く訴えられた。
 
 ラニ・クレーマさん(REACH―MI代表)は、生まれ育った故郷に戻れぬまま亡くなった祖母の無念を涙ながらに話され、サマンサ・ハネルグさん(REACH―MI副代表)は、ルニットドーム(核廃棄物格納施設)の老朽化など今後の大きな課題について報告があり、米国は米国内の核被害者の要求には応じるが、私たちマーシャルの核被害者の要求には応じない、差別的扱いは許せない。マーシャルと世界はつながっている、若い世代に問題を明確に伝え「核廃絶」を実現させたい。と訴えられた。
 
 参加者との質疑もあり、「核」に対する問題意識も良い意味で広がり、共有できたと感じた。世界のヒバクシャの現在を知ることで「真の平和」を実現するには、「核兵器・核施設」の廃絶が優先されなければならないと強く感じた分科会となった。
 
 
 

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