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長崎大会第3分科会 核拡散とプルトニウム利用政策

2014年08月12日

長崎大会第3分科会
平和と核軍縮1―核拡散とプルトニウム利用政策~NPT再検討会議に向けて

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 初めに、問題提起として、鈴木達治郎さんより「プルトニウム政策は、核兵器と原子力の平和利用との重要な接点で、核兵器廃絶を考える時に避けては通れない問題」という事が言われました。また、福島事故以降、核燃料サイクル問題について「政府の原子力委員会では、“柔軟な対応をすべき”と提言してきたが基本的な施策は変わっていない。その背景には使用済み燃料を“資源”として考え、それを前提に仕組みが作られていることがあり、そこを変えていく事が必要」ということも言われていました。そのためにも「使用済み燃料を“再処理”ではなく“貯蔵を優先”していく事や“直接処分を可能”としていく事が必要だが、現在の日本では“直接処分は違法”となっていて、これを変える仕組みや代替案をきちんと評価する仕組みが大切。現在大量に抱えているプルトニウム在庫を減らしていく事が何よりも必要」といった事が提起されました。
 ジェイムス・アクトンさんからも「プルトニウム問題は国際的にも重要な問題。軍縮、核不拡散のリーダーであるはずの日本が、プルトニウム問題で他国に緊張を与えているのが現状。米国も日本のプルトニウム政策に懸念を抱いている」という事が言われました。
 田窪雅文さんからも「長崎で使用された原爆にはプルトニウムが6kg使われていたが、現在日本は45tも持っており、さらに六ヶ所の再処理工場を稼働させようとするなど在庫を増やそうとしている。六ヶ所の再処理工場稼働についても、原発の使用済み核燃料が満杯になる中で仕方なく工場で再処理し空きを作ろうというもので、既に当初の計画が成り立たなくなっており何も学んでいない」という事や、「使用済み燃料の貯蔵方法も、乾式貯蔵など中間貯蔵のシステムを整えるべき」との指摘もされました。そして「まずは再処理を辞めると言わないと進まない問題で、余剰プルトニウム=核兵器に繋がるという意識を強めていない」という事が言われました。
 これに対し、参加者からは「原水禁の基本方針はプルトニウム利用には反対である筈で、プルトニウムが出来てしまうのは原発が動いてしまうからだ。動かさなければ“今あるものをどうするか”が問題になるのでは」という意見や、「核燃料サイクル=資源増という考え方が強くなっているのではないか」という意見も出され、原発再稼働反対という運動よりも「再処理させない」という運動が弱く、そこを突かれている現状が明らかにされました。「反核兵器・核拡散阻止」という立場からも「再処理させない」という問題意識が大切だという事を全体で確認し、終了しました。
 (報告=全農林労組・永井和宏)
 

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