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長崎大会 第7分科会「ヒバクシャ3―被爆二世・三世問題を考える」

2017年08月08日

長崎大会 第7分科会「ヒバクシャ3―被爆二世・三世問題を考える」
 
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講師:中鋪美香(弁護士) 
   振津かつみ(医師)
報告:崎山昇(全国被爆二世協会長)
   平野克博(全国被爆二世協事務局長)
参加者 73名
 
 崎山さんより「国連人権委員会に対する取り組み」に関して報告を受けた。崎山会長は、国連の人権理事会に被爆二世・三世の課題を取り上げさせるためジュネーブに訪問団を派遣した経過について報告するとともに、現在、11月の第28会期に向けて行なっているロビー活動について紹介した。
 
 中鋪弁護士から「被爆二世集団訴訟の意義と展望」と題して報告を受けた。今年の2月に広島と長崎それぞれで訴訟に踏み切っており、被爆者援護法が被爆二世を対象にしていないことは、その生命・健康を脅かすものであり、憲法13条に違反していること、また、国の立法不作為が認められることなど、訴訟の内容について報告された。
 
 また、振津さんからは「放射線の継世代(遺伝的)影響」について、専門家の立場から報告された。遺伝的影響とは正確には継世代的影響のことであり、体細胞の損傷ではなく、生殖細胞の損傷が問題であること、また、マウス実験では「がんなどの疾患になりやすい体質」が伝わることが立証されているが、人での証明は未だにできていないことを述べた上で、「国は健康リスクがないと証明できなければ、人においてもリスクがあると考え、適切な対策をすべき」と述べた。
 
 最後に、平野・全国被爆二世協事務局長より、全国被爆二世協のこれまでの活動について報告があった。放影研の「被爆二世健康調査」に対する取り組みや、国会対策の取り組みなどが報告されるとともに、今後の国連人権委員会や裁判闘争、フクシマとの連帯についても提起され、組織強化に繋げていく取り組みの方向性が示された。
 
 裁判の見通しに関する質問などが出され、裁判自体は長期間かかるものであり、それを通じた幅広い運動展開が必要であること、また、勝訴のためには世論形成が重要であり、裁判傍聴など様々な取り組みを通じて広く問題を訴えていく必要性が確認された。また、被爆二世に対する差別の質問や、静岡や東京では被爆二世のがん検診が行われており、自治体での取り組みも重要だという意見もあり、活発な意見交換がなされた。
 最後に、裁判闘争の支援の必要性を確認し、今後も職域での取り組みと地域での取り組みをつなげていくことが重要であるとのまとめを受けて終了した。

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