8月, 2006 | 平和フォーラム

2006年08月31日

原水禁・連合・核禁会議/米大統領に対する臨界前核実験への抗議の申し入れ

 日本労働組合総連合会/原水爆禁止国民会議/核兵器禁止平和建設国民会議

アメリカ合衆国大統領
ジョージ・ウォーカー・ブッシュ閣下
                            日本労働組合総連合会
                            原水爆禁止日本国民会議
                            核兵器禁止平和建設国民会議
                            日本労働組合総連合会東京都連合会
 

臨界前核実験への抗議の申し入れ
 

1. 貴国は、臨界前(未臨界)核実験を日本時間8月31日未明(現地時間8月30日)、貴国ネバダ州の地下核実験場で行ないました。今回実施される臨界前核実験は通算23回日にあたり、貴政権下では10回日となります。被爆国の市民として強くこの実験に抗議します。
2. 貴国はこの実験について、核爆発を伴わずに備蓄核兵器の安全性と信頼性を保つため臨界前核実験は欠かせないと説明しています。しかし、いかなる理由があろうとも人類を殺し尽くす核兵器の実験に違いはありません。
3. また、実験の目的が貴国の保有する核兵器の性能維持とあるとして、さらに、そのねらいがテロ撲滅のための米軍の軍事力誇示であるならば、世界平和を求める国際世論に対する重大な挑戦であると言わざるを得ません。ましてや、いかなる理由があろうとも核兵器使用は絶対にあってはなりません。「使える兵器」としての核兵器は、人類絶滅への道です。
4. 私たちは昨年、ニューヨークにおけるNPT(核拡散防止条約)再検討会議の支援行動を実施し、850万人にのぼる核兵器廃絶の署名を国連本会議場でデュアルテNPT再検討会議議長に手渡し、恒久平和の願いを伝えました。しかしながら、会議は、最終文章を採択できないまま閉会しました。とりわけ核兵器超大国である貴国のCTBT(包括的核実験禁止条約)批准を拒む姿勢には多くの国から批判があがり、世界平和の流れを逆行させた責任は大きいと言わざるをえません。
5. 貴国がCTBTの理念に立ち返り、条約の発効促進に努力することを強く求めます。核兵器廃絶を求める世界中の声に真摯に耳を傾け、臨界前核実験をはじめすべての核実験を即時中止するよう求めます。

以上 
 
 

2006年08月28日

共同アピール/加藤紘一氏宅放火事件、私たちは「言論封じ」のあらゆる政治テロを許さない

 61回目の終戦記念日となった8月15日夕刻、元自民党幹事長加藤紘一氏の山形県鶴岡市にある実家と事務所が全焼した。敷地内で腹部を切って倒れている男が発見され、男は東京都内の右翼団体幹部であることが判明した。簡易鑑定では、火の気がなかったとされる実家一階奥の寝室で金属製の缶二個が見つかり、周辺からは油類が検出された。状況はこの男の放火であることを示している。
 確保された男は一命をとりとめたが取り調べに応じられない状態で、真相はなお多くの点で捜査の解明をまたなければならない。

 15日早朝、小泉首相はA級戦犯が合祀される靖国神社に参拝した。中国、韓国などアジア諸国からの非難、国内では賛否両論のなかでの強行だった。加藤氏は自民党内で首相の靖国参拝に疑問を呈し、メディアでも「参拝するべきではない」と批判を繰り返していた。男の所属する右翼団体は、過去にも天皇訪中に関連し宮沢首相(当時)の私邸前で割腹自殺未遂事件を起こしている。

 この放火は加藤氏の言動を敵視する者による、まぎれもない「言論封じ」の政治テロである。

 近年、右翼は靖国問題をめぐる活動を活発化させている。

 昨年は小林陽太郎富士ゼロックス会長宅に銃弾が郵送され、今年1月には自宅玄関前に火炎瓶が置かれた。今年7月には日経新聞東京本社に火炎瓶様のものが投げ込まれた。

 小林会長は「新日中友好21世紀委員会」座長として、昨年から小泉首相の靖国参拝を批判していた。日経新聞は靖国参拝の是非をめぐる論議を呼んだ「昭和天皇発言」の富田メモを入手、スクープしていた。

 事件とこれらの関連性は、実行犯が真意を明らかにすることをしないため、推測の域を出ない。

 だから卑劣なのだ。実行犯は語らなくとも、目的は達せられている。事件は自由な発言への恐喝、脅しであり、言論の自由への封じ込めに結果することだけが明白だからだ。

 自由な発言が守られなくて民主主義はない。民主主義にとって、政治テロはけっして許されてはならない敵である。

 私たちは、こうした「言論封じ」を目的とした卑劣な政治テロを断じて許さない。

 戦後だけでも、わが国で右翼によるテロはこれまで絶えることがなかった。1960年、浅沼社会党委員長刺殺事件。1961年、嶋中中央公論社社長宅殺人事件。放火事件では1963年の河野建設相宅放火事件があった…。

 今一度思い起こそう。戦前、政治家が次々とテロに倒れ、気づいた時すでに政党政治は形骸化し、戦争へと真っ直ぐに進む道だけが残されていたことを。

 加藤氏は「政治家である以上、どんな状況でも今後も発言していく」とテロに屈しない決意を語っている。しかし、政治テロとの闘いをひとり被害当事者だけに委ねてはならない。民主主義が脅威にさらされている。

 勇気の結束を示すため、私たち一人ひとりが声をあげよう。

 私たちは「言論封じ」のどのような政治テロも許さない!

呼びかけ人
 石坂啓(漫画家)、上原公子(国立市長)、内田雅敏(平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動実行委員会事務局長・弁護士)、小倉利丸(ピープルズ・プラン研究所共同代表)、鎌田慧(ルポライター)、きくちゆみ(グローバルピースキャンペーン発起人)、木村庸五(弁護士)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、佐高信(評論家)、三瓶愼一(大学教員)、高田健(許すな!憲法改悪・市民連絡会)、富山洋子(日本消費者連盟代表)、外山雄三(音楽家)、西川重則(平和遺族会全国連絡会代表)、福山真劫(平和フォーラム事務局長)、横田耕一(憲法学者・九州大学名誉教授)(50音順)

2006年08月16日

原子力空母横須賀母港化に関しての松沢神奈川県知事の容認発言に対する抗議声明

平和フォーラム・原水禁・原子力空母全国連絡会 

 8月16日、松沢成文神奈川県知事は、定例の記者会見の中で、「原子力空母への交代はやむを得ない」と横須賀原子力空母母港化を容認する発言を行いました。これは、蒲谷横須賀市長が6月14日の市議会全員協議会において、「原子力空母の容認はやむを得ないものと考える。」との発言に続くものです。そして当該の市長、知事のこうした発言を受け、政府は昨年10月末米国政府と合意した横須賀原子力空母母港化に向け、大きく動き出そうとしています。そういう意味で、今回の発言は極めて重大であり、許せない発言です。私たちは、こうした知事と市長の発言と姿勢、およびこうした発言をさせるべく表裏の圧力をかけ続けたと思われる日米両国政府に対して、厳しく抗議します。

 私たちは、この間、横須賀空母母港化、とりわけ原子力空母の母港化については、横須賀市域のみならず、東京湾域、関東全体域の市民と地域に及ぼす事故の危険性と重大性、環境への重大な悪影響と同時に横須賀の基地の拡大・恒久化への懸念、東アジアへの軍事的脅威の強化等々から、絶対反対の立場を明らかにしてきました。そして横須賀市長、神奈川県知事、日本政府、米国政府に、「原子力空母横須賀母港化反対」の要請を行ってきました。また私たちは、米国政府の「米国の原子力軍艦の安全性に関するファクトシートへの反論書」、7月上旬には、米国の資源安全保障研究所のゴードンR・トンプソンさんによる「日本の横須賀の原子力空母母港化による放射能事故の危険性」、日本の原子力資料情報室「米軍原子力空母原子炉事故の危険性と情報の非開示」等をもとにしながら、日米両国政府の原子力空母の「安全性」に対する説明に対して、問題点指摘と同時に、多くの反論を行ってきました。日本政府、知事、市長もそれぞれ独自に調査・研究をすることを放棄し、基本的には、「米国政府が安全だと言っているから安全だ」と繰り返すだけです。これでは政府も自治体の主体性がありません。

 この問題については、多くの市民が関心を持ち、反対署名も50万筆集まりました。平和団体、脱原発団体はもちろん労働団体も、また神奈川県内、関東の自治体も感心を高めています。

 神奈川県知事は、県民の生活と安全を最優先に、また民主的に県政の運営と重要な判断を行うべきです。そのために最も重要なことは、市民、県民の声に、耳を傾けるべきであり、首都圏に、横須賀市に「原子力空母」を持ってこないことです。私たちは、松沢成文神奈川県知事に対して、厳しく抗議すると同時に直ちに「容認発言」撤回することを求めます。
 

2006年08月15日

小泉首相の靖国神社参拝に抗議する声明

フォーラム平和・人権・環境

 退任を目前に控える小泉首相は、本日8月15日朝8時前、アジアをはじめ内外の厳しい批判の声を無視して、靖国神社への参拝を強行しました。首相としての参拝は、6年連続6回目(2001年8月13日、2002年4月21日、2003年1月14日、2004年1月1日、2005年10月17日)であるとともに、これまでできなかった8月15日に初めて強行するものであり、日本の戦争責任に関わる重大な問題です。

 靖国神社は、遊就館の展示などに示されるとおり、日本の侵略戦争に参加し犠牲となった兵士を「英霊」「神」としてまつる戦争美化の宗教施設です。朝鮮、台湾などの旧植民地出身者の人々をも、本人や遺族の意思を無視して勝手に合祀する一方、戦争犯罪者であり加害の責任者として裁かれたA級戦犯者14名も1978年に合祀・顕彰しています。この神社に内閣総理大臣として参拝することは、2004年4月福岡地裁、2005年9月大阪高裁の違憲判決など政教分離の原則を定めた憲法を明らかに否定するものであり、サンフランシスコ講和条約、日中共同声明、戦後50年国会決議などをも踏みにじるものです。これは、まさしく侵略戦争を美化する行為であると同時に、それはテロ特措法、イラク特措法、有事法制の制定、教育基本法・憲法改悪の動きと連なるアメリカ追随の軍事大国化、戦争をできる国づくりの一環と指摘せざるをえません。これは、中国・韓国・朝鮮など東アジア諸国の人々との和解と友好を決定的に阻害するものです。

 平和フォーラムは、首相の靖国神社参拝およびこれを認める政府・自民党の姿勢に断じて抗議します。また、日本の20世紀の負の遺産を克服するために、日本の戦争責任の明確化と戦争被害者への謝罪・補償、同時に歴史認識を共有するための努力を強めることを訴え、求めるとともに、東アジアの平和団体・市民との交流を深め、その実現に向けてとりくみを進めます。

 
 

2006年08月15日

戦争犠牲者追悼、平和を誓う集会あいさつ

フォーラム平和・人権・環境代表 江橋 崇

 今年も、8月15日がやってきました。昨年、敗戦60周年の機会に、過去の戦争で犠牲となられた皆様の御霊の安らかなることを願い、お心の傷のいえないご遺族や縁故の方々をお慰めさせていただき、平和にむけての一層の努力をお誓いしたのに、その後、自衛隊のイラク派遣の継続、米軍のトランスフォーメイションの進行、初の東アジアサミットでの日本の孤立、北朝鮮の核をめぐる六カ国協議、最近の北朝鮮のミサイル発射など、直接に平和に関しても多くの動きがあり、また、衆議院議員総選挙における小泉自民党の圧勝や、民主党の党首交代などの政治的な動き、さらには、凄惨な人権侵害や犯罪事件の続出など、多事多難な一年であり、お約束を十分に果たせないままにこの場に立つことを申し訳なく思います。

 ここでは、靖国神社問題について、一言申し上げます。私たちは、小泉首相の靖国公式参拝に強く反対してまいりました。いまや、事態は、昭和天皇の合祀に批判的な考えの暴露もあって、場外乱闘の様相を呈していますが、私たちは、第二次大戦の責任は天皇を頂点とする軍国主義者たちにあり、日本の市民は、そのもとで東アジアの人々に対する加害者であったという事実をはっきりと自覚する必要があります。そのうえで、私たちは、1972年の日中国交回復の際に中国の周恩来首相から示され、当時の日本政府も認めた、いわゆる周恩来原則の堅持、つまり、侵略戦争と植民地支配を強行した日本軍国主義は許しがたいが、日本と東アジアの市民は、ともに、日本軍国主義の被害者という点で共通するところがあって、この共通性を基礎に相互理解と友好、そして地域の平和を築くという原則を、この地域の国際関係の基礎として堅持することをお誓いいたします。それだけに、私たちは、日本軍国主義を体現しているA級戦犯を合祀して、それをあがめる靖国神社と、総理大臣、内閣官房長官、外務大臣などの政府の責任者の公式参拝は、この原則を破壊する行為であり、到底見逃すことができないと考え、強く反対いたします。

 今年の日本には、最近の事態を憂慮して、小泉政権に対する抗議の意思を明らかにするために、多くの東アジアの友人が来ています。昨日も、「YASUKUNI NO」のピースキャンドルの行動があり。多くの国の市民が参加しました。今日も、公式参拝反対の国際的なデモが行われております。いまや、靖国問題は、小泉首相がいうような国内問題でもなければ、個人の心の問題でもなく、東アジアを覆う黒雲のような、大きな政治問題になっていることが、はっきりと分かります。私たちは、こうした東アジアの友人たちとともに課題に取り組み、地域の平和と友好にかなった解決を求めて行きたいと思います。

 敗戦から61年を経て、なお、皆様の御霊が安らぐような日本になっていないことをお詫びいたします。最近の社会は、むしろ不気味に動揺しています。そして、これからの一年は、ほかならぬこの千鳥渕と九段の地でも、合祀、分祀にかかわるさまざまな動きがあると思います。私たちは、皆様の御霊を揺るがすことのないように、皆様が安らかでいらっしゃれることを切に願い、この不気味な動揺が収まる最善の道を探り、この地に真の鎮魂と平和の礎が確保されるように、精一杯の努力をする所存であります。どうぞ、私たちの、慰霊と慰謝の気持ちをお汲み取りくださり、今後の行動をお見守りください。

2006年8月15日                 平和フォーラム代表 江橋 崇
 

2006年08月12日

空母母港化33周年・キティ・ホーク横須賀基地母港化8周年抗議!原子力空母配備撤回を求める8・12全国集会アピール

  これまで通常型空母の配備を求めてきた横須賀市の蒲谷亮一市長は、本年6月14日、市議会全員協議会で「通常型空母の可能性がゼロになった今、原子力空母の配備はやむを得ないものと受け止める」と述べ、配備にむけた動きを強めています。また、日本政府は、市長の容認発言を受けて原子力空母受け入れのために必要な横須賀港の浚渫工事の準備を始めています。

 市長の容認発言は、容認に至った経緯を市民に周知させていないばかりか、昨年市長選挙での「キティ・ホークの後継艦に通常型空母の継続配備を求めること」との公約に反し、容認は明らかに市民に対する背信行為です。原子力空母の配備は、横須賀基地の機能をより強化し、母港化を恒久化するものです。さらに、横須賀市民や基地労働者はもとより、近隣住民、広くは東京湾一帯、首都圏に原子力事故、災害の危険をもたらすものです。

 これまで、横須賀市民や周辺の住民、本集会に結集をした私たちは、様々な形で原子力空母の配備・母港化に反対の意思を示してきました。横須賀市民をはじめ、全国から寄せられた「原子力空母横須賀配備反対」の署名は50万名を超えています。私たちは7月6日から8日まで米国の原子力問題専門家を招聘し、原子力空母の危険性を訴える講演会を東京・横浜・横須賀の各地で行い、大きな成果を勝ち取ることができました。
 横須賀市長の容認発言の即時撤回と浚渫工事の協議に応じないことを求めて、持てる力を全て結集し、原子力空母の配備・母港化の撤回にむけて闘い抜きましよう。

 今神奈川では、在日米軍再編の「最終報告」の閣議決定を受け、キャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部、自衛隊の中央即応集団指令部移駐、相模総合補給廠の自衛隊との共同使用など横須賀への原子力空母の配備、池子米軍住宅増設と合わせて基地強化は際立っています。さらに横須賀では、米海軍の最新イージス艦船の配備、日米のMD体制強化が加速されています。

 私たちは、沖縄をはじめ全国の仲間と連帯して日米軍事強化・一体化に反対し、空母母港化33周年・キティ・ホーク横須賀母港化8周年に抗議し、原子力空母の配備・母港化の撤回を強く求めます。

 横須賀市民、県民のみなさん、ともにたたかいましょう。 
 
 

2006年08月11日

韓国・朝鮮の遺族とともに―遺骨問題の解決へ 2006夏―全国実行委員会の政府への要望書

(more…)

2006年08月09日

被爆61周年原水爆禁止世界大会・大会宣言 

 被爆61周年原水爆禁止世界大会

 

   1945年8月6日と9日。アメリカは世界で初めて原子爆弾を投下して、ヒロシマとナガサキに生きているすべての人々、生きとし生けるものに史上例のない惨害をもたらしました。人類にとってけっして忘れてはならない日として、私たちはこの地に集い、61年前の原爆投下がもたらした被害の実態を再度心に刻み、語り継ぎ、行動する決意を新たにしました。

 ヒバクシャをめぐる課題は、61年も経つにもかかわらず、原爆症認定、在外被爆者、被爆二世・三世など残されたままです。原爆症認定訴訟では、8月4日広島地裁は5月の大阪地裁に続き原告全面勝訴判決としたものの、提訴後3年余の間に41名中10名もの原告が亡くなられました。国に一刻も早く基準を改正させ救済を急がさせなければなりません。さらに日本の戦争責任と戦後補償の問題として、国家補償と被爆二世・三世への適用を明記した被爆者援護法への改正を早急にすすめなければなりません。また、今年はチェルノブイリ原発事故から20年目です。原子力発電をはじめ商業利用でも、アメリカ軍が使用した劣化ウラン弾などでも、世界各地でヒバクシャが拡大しています。私たちは、あらゆる核利用の場でヒバクシャがつくられることに反対し、その救済にとりくみます。

 世界は戦争の拡大から新たな核戦争となる危険も増大しています。現在、アフガニスタン、イラクにつづいてイスラエルのレバノンやパレスチナ侵攻などで戦火は広がっています。アメリカやイスラエルの軍事侵略に反対し、即時撤退を求めるとりくみをすすめなければなりません。

 いまも殺りくが重ねられる根底には、軍事力による平和、力による制圧や先制攻撃などの考え方があるからです。とりわけ、アメリカのブッシュ政権は、核兵器保有を正当化するばかりか、先制核攻撃すら打ち出し、通常兵器との垣根を低くし、「使える」核兵器の開発をすすめ、NPT体制を空洞化してきました。このなかで、米ロ英仏中の核保有国の他、核拡散がイスラエル、インド、パキスタンの核保有から、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核保有表明やイランの核兵器開発疑惑などへとすすんでいます。東北アジアの平和に関わる北朝鮮の核開発については、2005年9月の6ヵ国協議共同声明にもとづき平和的解決を果たし、さらに東北アジア非核地帯化を実現する必要があります。そのためにも全国で平和・核軍縮と憲法理念の実現をめざす具体的な運動が重要です。

 発足当初から米国に追従していた小泉政権は、有事関連法を成立させ、イラクの多国籍軍に自衛隊を参加させ、日本を戦争のできる国へと変貌させてきました。また、在日米軍再編と称して沖縄・神奈川や岩国など全国各地の基地機能強化や横須賀の原子力空母母港化、ミサイル防衛(MD)の推進などを住民の反対を押し切る形で米国政府の軍事戦略に積極的にかかわろうとしています。日本に配備されるミサイル防衛は想定されるミサイル攻撃に対して無力であることは明らかです。また、憲法・教育基本法の改悪は戦争のできる国づくりへの大きな一里塚であり、これを許さない広範なとりくみをする必要があります。

 世界的に進んできた脱原発の動きは、一部に逆流が生じています。とくに日本では、政府・電気事業者が、老朽化原発、原発震災などの重大問題を無視して、六ヶ所村再処理工場でのアクティブ試験、もんじゅの運転再開と、既存の原発でのプルサーマル計画をかたくなに進めています。私たちは、原発災害を防ぎ、リスクを次世代に残さないために、原子力政策の根本的転換と、プルトニウム利用の絶対中止を求めるとりくみの強化が必要です。

 私たちは、核被害を根絶するため、世界のヒバクシャと連帯し「核絶対否定」の思想を広めるとともに、暴力と殺りくがくりかえされる社会を脱して「対話と共存」を基本とした平和な世界を実現し、核も戦争もない21世紀を子どもたちに贈るとりくみを全力で進めます。また、平和や核軍縮、脱原発、ヒバクシャの権利確立をめざし、「新たなヒバクシャをつくらない」という原点に立ち返り、被爆61周年、チェルノブイリ原発事故20周年の年に、大会に参加した私たちすべての総意として、あらためて世界に宣言します。

ノーモア・ヒロシマ・ナガサキ ノーモア・チェルノブイリ ノーモア・ヒバクシャ ノーモア・ウォー!

 

 

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2006年08月06日

原爆症認定訴訟広島地裁判決を支持し、被爆者対策の抜本的前進を求める決議

被爆61周年原水爆禁止世界大会広島大会・まとめ集会

 
 
 一昨日(8月4日)広島地方裁判所は、原爆症認定訴訟において、原告41名に対し全員の請求を認める判決を出しました。
 
 本判決は、去る5月12日の大阪地裁判決に続く全面勝訴の判決であるばかりでなく、とりわけ61年目のあの日を迎える被爆地広島での判決であり、きわめて大きな意味を持っています。
 
 これまで、この原爆症認定訴訟を全面支援してきた私たちは、この判決を全面的に支持します。
 
 本判決は、原告全員を原爆症と認定しただけでなく、各原告ごとの被爆状況、被爆後の行動、急性症状やその後の生活状況など総合的に考慮して判断すべきだとし、被爆者の側に立って明確な姿勢を示したものです。
 
 それはこれまで厚生労働省が認定の基準としてきた原因確立論は「残留放射線による外部被曝や内部被曝を十分検討していないといった弱点がある」と指摘し、「全体的総合的に検討する」必要性も示しています。
 
 まさに厚生労働省の原爆症認定行政の抜本的転換を求めるものです。
 
 さらにこの間被爆国政府といいながら、いたずらに原爆被害を過小評価してきた国の姿勢を厳しく批判したものでもあります。
 
 2003年6月の提訴以来、原告41名の内10名の原告が、この日の判決を聞くこともなく、亡くなられました。
 もう一日も待てません。
 
 私たちは、日本政府に次のことを求めます。
 
1.判決を厳しく受け止め、控訴することなく、直ちに原爆症認定制度の抜本的改革を進めること。
2.提訴している原告全てについて、直ちに原爆症と認定すること。
3.原爆被害に対する過小評価を改め、新たな知見などを取り入れ、被爆の実相を再検証すべきである。
4.原爆被爆者援護法を、国家補償を明確にした法律に改正し、死没者への弔意を明確にするとともに、被爆者政策を一層充実させること。
 
 私たちは、その実現のために全国各地で全力を挙げて取り組むことを決意し、決議とします。
 
 
 
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