7月, 2017 | 平和フォーラム

2017年07月31日

平和軍縮時評2017年7月号 <論文紹介>北朝鮮の核の脅威を終結させる「包括的合意」プロセスの提案 田巻一彦

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核とミサイルを巡る緊張は、依然沈静化の兆しは見せていない。
 米トランプ政権は一時の好戦的主張を弱め「圧力と対話」路線に傾きつつあるが、圧力をどのように、どのような対話に結びつけてゆくのかという全体戦略はまったく見えない。米国内でも対話を求める声が高まりつつあるが、それらの多くもまた「何をめぐって、何を対話するのか」つまり、包括的な外交解決の目的と筋道は明確ではない。
 目ざす目標が「朝鮮半島の非核化」であることはいうまでもない。
 しかし、トランプや安倍のように「まず、北朝鮮が核計画を放棄せよ、対話はそれからだ」というだけであれば、北朝鮮は到底乗ることはできないだろう。このような一方的「武装解除要求」は金正恩氏に対話を拒否する理由を与え、事態はますます悪い方向に行ってしまう。
 「非核化」が北朝鮮だけに求められる義務だと考えれば、道を大きく見誤る。
 北朝鮮の核武装路線が地域と世界への脅威であることに変わりはない。だが、北朝鮮には「核武装は米国の脅威に対抗するための止むに止まれぬ自衛手段だ」という「大義名分」がある。この構図全体を変えてゆかなければ「対話による解決」も実を結ばないだろう。では、いかにして?
 カリフォルニアに本拠をおくNGO(ノーチラス研究所)が運営するNAPSnet(ノーチラス平和・安全保障ネットワーク)のウェブサイトに今年6月28日に掲載された「北東アジアの包括的安全保障合意によって北朝鮮の核の脅威を終わらせる」※は、この問いに答えるための具体的なプロセスを論じた、きわめて刺激的で意味深い論文だ。ここではその概要を紹介する。
http://nautilus.org/napsnet/napsnet-policy-forum/ending-the-north-korean-nuclear-threat-by-a-comprehensive-security-settlement-in-northeast-asia/

複雑化しで困難深まる状況
 最初に、「論文」は現在の複雑で困難な状況を次のように要約している。
 まず、北朝鮮は3度の核爆発実験(13年2月、16年1月、9月)によって核能力を確実に前進させ、弾道ミサイルの長射程化を進めて、ICBM、SLBM実験を実施してきた。同時に金正恩政権は、核能力や実験成果を外交交渉の道具として使う戦術を巧妙化している。これらの状況が、非核化協議を6年前より複雑で困難なものにしていることは間違いない。
 韓国では保守長期政権にかわって、北朝鮮との対話を指向する文在寅政権が登場した。文政権は前政権の遺産である財閥問題という国内課題に対処しつつ、北朝鮮に対峙している。またTHAAD配備問題や貿易摩擦などで米国との間には摩擦を抱えている。韓国は北朝鮮の核・通常戦力の矢面に立ちながら、戦力バランスに関する交渉は米国に依存せざるをえないというジレンマの中で、米国とともに非核化協議の主役としての位置に立ち続けねばならない。
 一方、中国と米国の関係は微妙である。北朝鮮の暴走を抑えるためには米中の協調が不可欠であるが、同時に大国としての中国は米国と競争関係にある。
 このような複雑な因子を抱える北東アジアにあって、北朝鮮の核武装解除と非核化という目標を実現するプロセスもまた、複雑にならざるをえない。

3段階のアプローチ
 論文はこのような諸状況を考慮に入れて、北朝鮮も含めた「すべての国にとって望ましい」解決を図るために、どのように行動するべきかを考察し、「朝鮮半島非核化のための3段階プロセス」を提案している。
 以下、罫線で挟まれた太字は論文からの直接引用である。

 第1段階(およそ3~6か月)においては、北朝鮮が核・ミサイル及び核分裂性物質生産を検証可能な形で凍結し、その見返りとして韓米は合同演習の規模を縮小するとともに、米対敵通商法適用の解除、発電用エネルギーの援助や人道的援助を提供する。また、第2段階での「和平プロセス」の開始を約束する。


第1段階:次の初期合意を交わす:
1.北朝鮮はすみやかに、すべての核実験、ミサイル実験及び濃縮を含む核分裂性物質の生産を、IAEA及び場合により米国の査察官による監視、検証が可能なように、同時にあるいは定められた順序及び時間軸に従って凍結する。
2.実験凍結への見返りとして、米国と韓国は、合同演習、特に戦略爆撃機の配備の規模を縮小し、米対敵通商法の適用の三度目の解除を行う。全核分裂性物質の生産凍結への見返りとして両同盟国は、北朝鮮に対して発電用の即効的かつ実質的なエネルギー援助を開始し、人道的食料・農業技術援助、医療援助を提供するとともに、第2段階において和平プロセスを開始することを約束する。
 次の3つの基本条件のもとに6か国協議を再開する。(1)いかなる前提条件もつけないこと、(2)全ての事項を協議しうること、(3)協議は、各段階における全ての事項が合意されない限り何の合意もないという原則で行うこと。
 第1段階は、比較的短い時間枠(およそ3~6か月)での一連の相互的措置によって実施される。


第2段階では、6か国協議を再開し、北朝鮮は核物質製造施設の初期的解体を行う。第1段階の約束通り「和平プロセス」が開始される。また平和条約締結のための信頼醸成措置や北東アジア安全保障・経済共同体創造に向けた歩みも開始される。
 韓国による開城(ケソン)工業団地の再開もこの段階で行われる。一方、核保安、安全、エネルギー安全保障などをめぐる信頼醸成措置などが開始される。北朝鮮側がとる措置の完了には数年を要すると思われる。韓国、中国、ロシア、北朝鮮を統合した送電網も検討される。


第2段階:
 6か国協議を再開し、北朝鮮は、濃縮の申告と無能力化を含む全ての核物質製造施設の初期的解体を行いIAEA及び場合により米国の査察官による検証を受ける。

 これと引きかえに、米中及び南北朝鮮は、北東アジア「平和レジーム」の構築を目指した「和平プロセス」を開始する。同レジームの朝鮮半島に関する焦点は、朝鮮戦争休戦をすべての当事国が受け入れ可能な平和条約に置き換えることを目指した非敵対宣言と軍事的信頼醸成措置になるであろう。同時に6か国は地域安全保障理事会を含む地域的な安全保障体制を確立し、北東アジア安全保障・経済共同体や、共有された一連の安全保障上の懸念事項に対する共同の安全保障措置の創造に向かう最初の歩みを開始するであろう。
 米国と韓国は、北朝鮮に対する一方的制裁措置を漸進的かつ調整された態様で修正し、通商・投資を段階的に再開できるようにする。それには韓国による開城(ケソン)工業団地の再開が含まれる。
 米国と他の4か国は原子力及びエネルギーの安全保障に関して北朝鮮と協力するための信頼醸成措置を開始することができよう。これらの措置には、北朝鮮による国連安保理決議1540に基づく核保安義務の準備とそれにつづく履行、北朝鮮における燃料サイクルの運用に関する安全確保のための条件の検討、そして/あるいは、地域的な送電系統の統合と韓国、ロシア及び中国との接続とを視野に入れた、送電系統の再構築に関する北朝鮮との初期的な共同事業が含まれうるであろう。
 協議の早い段階で解決しておくべきなのが、ミサイル製造施設の解体を決定し協定の下で一定の方法で管理するか否かという問題である。
 韓国はまた、他の5か国とともに「北東アジア平和レジーム」に関する議論を開始するであろう。
 第2段階がカバーするべき範囲の明確化は数か月でできるだろうが、北朝鮮側に課された主要な措置が検証をともなって完了するには数年を要するであろう。初期的な核保安・安全措置及びエネルギー協力の諸措置は6~18か月で着手できるかもしれない。
 同じように、平和と地域安全保障プロセスは第2段階で開始可能だが、相互に関連したこれら主要要素の完了には何年も要するであろう。北朝鮮は自らが核兵器と核兵器に使用可能な核物質を放棄するまでの間、与野党の政権交代をへた米国と韓国の複数の政権が、平和レジームが持続するか否かを試したいと考えるだろう。


 第3段階では、北東アジア非核兵器地帯が設立される。北朝鮮を除く5カ国がまず宣言、履行し、そこに北朝鮮が加わるという形をとる。同条約の下で、北朝鮮は完全な非核化を誓約し達成する。核兵器保有国(米、中、ロ。あるいは英、仏が加わってもよい)は北朝鮮に消極的安全保証を供与する。この段階の完了には10年間もしくはそれ以上の期間を要するであろう。


第3段階:
 北朝鮮をのぞく5か国が法的拘束力のある北東アジア非核兵器地帯(NEA-NWFZ)を宣言、履行する。北朝鮮は後にこれを受諾、加入し、合意された時間枠と具体的行動に厳密にしたがって核兵器を廃棄する; 北朝鮮は、多国的・一国的制裁解除、地域的開発戦略の一環としての大規模なエネルギー・経済支援、米国による敵視しないとの意思の持続と平和条約の締結、そして核兵器国から北朝鮮に対し核を使用せず威嚇しないとの保証を受けることと引き換えに、合意された時間枠内に完全な非核化を達成することを誓約する。
 このような条約は、南北朝鮮が過去に何の問題もなく調印してきた標準的な国連の多国間条約であり、朝鮮半島全体に主権が及ぶという両国の主張に影響を与えかねないがゆえに互いに条約調印を躊躇するという憲法上の問題に直面しない。また、南北朝鮮以外の4か国は、南北朝鮮だけの非核合意の永続性に懐疑的になり、核不拡散条約と両立可能な非核兵器地帯条約に対して核兵器国が供与する、一方的でなく多国的な安全保証のほうを好むかもしれない。
 第3段階の完了には10年、もしくはそれ以上を要するであろう。この間に北朝鮮は徐々に核兵器を廃棄し、地域的な査察体制の一環として他のNWFZ加盟国により検証される。このかん、他の5か国は平和的関係を明確に維持する。この第3段階において、現在から2~3年以内に「適切な条件のもとで」首脳サミットを開くことが可能になるだろう。


 

核計画と合同演習の相互凍結から非核兵器地帯へ
 このように「論文」が提案する「三段階アプローチ」(包括的プロセス)は、原状からスタートし、北朝鮮の核計画凍結と米韓合同軍事演習の縮小に始まり、朝鮮戦争終結の宣言、平和条約の協議や、エネルギー支援などさまざまな措置をへて、最終段階として「非核兵器地帯」にいたる。
 しかし「非核兵器地帯」は「終わり」ではなく、北朝鮮が「凍結」からすべての核計画の廃棄に至るプロセスの「始まり」である。そして「第3段階の完了には10年、もしくはそれ以上を要する」とされていることに注目!!
 核計画の放棄は北朝鮮が米国の核の脅威の終結を確信するまではできないだろう。さらに、完全な非核化までの間、<(規模の大小はあれ)核武装した北朝鮮>は存在しつづける。その間、北朝鮮の核の脅威を管理するための枠組みが「非核兵器地帯」に他ならない。
 北朝鮮が安心して核計画を放棄できるためには米国の核の脅威も段階的に終結されてゆく必要がある。それは日本にとっては米国の「核の傘」からの離脱を意味する。北朝鮮が変わるためには日本もまた変わらねばならないのだ。(田巻一彦)

2017年07月31日

沖縄だよりNO.32(PDF)

http://www.peace-forum.com/okinawa-branch/okinawa_No32.pdf

2017年07月31日

原水禁世界大会・福島大会から東京電力に対する申し入れ文

東京電力株式会社
  社長 小早川 智明 様

 
被爆72周年原水爆禁止世界大会実行委員会
実行委員長 川野 浩一

申し入れ

 2011年3月11日の東京電力福島第一原発事故は、暮らしと文化、そして夢までも奪い去り、世代を超えた健康影響に対する不安を与えました。こうした事態を招いた責任は厳しく問われなければなりません。事故から6年半が過ぎようとしていますが、事故の収束はいまだ先が見えない状況にあります。先日、ロボットを投入して、3号機の一部デブリの画像撮影に成功したことが発表されましたが。それで炉内の全体像がつかめた訳でもなく、高線量の中にある燃料デブリの取り出しにはさらに大きな困難が待っています。
 また、廃炉費用は、21.5兆円との試算が発表(2017年)されましたが、当初見積もり11兆円(2013年)の倍となり、さらに今後2倍、3倍と膨れあがっていく懸念があります。さらに21.5兆円のうち貴社負担分は16.5兆円となります。試算を前提に向こう30年間でこれを負担すると、毎年5千億円の負担となり、毎年これ以上の利益をださなければ負担できない金額です。2015年3月の純利益は4550億円、2016年3月は1407億円たなっており、すでに貴社での負担は不意可能のようにも映ります。このような状態で本当に廃炉作業が貴社で責任を持って取り組めるのでしょうか。事故のツケは、被災者を含め私たちに押しつけられるのでしょうか。
 それでも貴社は、「原発のない福島」を求める県民の強い要求にもかかわらず、福島第二原発の廃炉に応じずいます。原発再稼働に固執する姿から福島原発事故に対する真摯に責任を取ろうする姿勢を感じることはできません。さらに溜まり続ける汚染水を海洋への放出をしようとする意向が報道されましたが、風評被害に苦しむ生産者・漁業者にとって追い打ちをかける動きです。被災者にとっては、これ以上環境を汚染することは耐えられるものではありません。責任を持った対応を強く求めます。
 現在、貴社は、事故の収束に向けて作業を進めていますが、高い放射線が収束作業を阻み、トラブルも相次いでいます。トラブルの原因の多くは、予算削減、設計簡素化、工期短縮、行き当たりばったりの対応・対策などコストを優先した対応、とも言われています。いま必要なことは、原発の再稼働よりも一日も早く事故を収束させ安心・安全な福島にもどすことです。そのためにはコストを度外視してでも、事故の収束に全力をあげるべきです。
 さらに長期にわたる事故の収束には、作業員の確保が欠かせません。現在の多重下請け構造、ピンハネ構造、そして不安定雇用の下では、安定した作業員の確保と育成は難しくなるばかりです。さらに各地で原発再稼働、定期点検などが始まれば、専門の作業員さえ確保することが難しくなるはずです。待遇改善と多重下請け構造の解消を強く求めます。
 8万人近くの県民がいまだに避難生活を余儀なくされています。長期に渡る避難生活は、被災者の暮らしや健康、就労など、多くの不安と負担を与え続けています。さらに事故によって被災者の基本的人権も様々な形で侵害されています。一方で、「除染作業」終了とともに避難指示解除準備地域および居住制限区域について順次避難指示を解除しようとしています。すでに「自力(自主)避難者」への住宅の無償提供、商工業者への営業損害補償などは今年3月に打ち切られています。私たちは、福島原発事故の被害が終わったかのような意図的な原発事故の幕引きを許すことはできません。貴社に対し誠意ある対応を強く求めます。
 さらに労働者の被曝線量の大幅引き上げ(100mSvから250mSvへ)がなされました。それに準じ貴社も緊急時被曝線量を引き上げ、下請け労働者に大量の被曝を強いることは許せません。「命」よりも「経済」を優先し、被曝を前提とした原発再稼働など論外でしかありません。フクシマを繰り返さないためにも、被爆72周年原水爆禁止世界大会・福島大会参加者の総意として、以下の点を申し入れ、誠意ある回答をお願いいたします。
 
 

1.事故の収束に全力をあげてください。
2.福島第二原発及び柏崎刈羽原発の再稼働をやめ、速やかに廃炉にしてください。
3.被災者への補償の打ち切りをやめてください。
4.汚染水の海洋放出をやめてください。
5.健康被害に真摯に対応してください。
6.多重下請け構造とピンハネ構造の改善を図り、労働者全体の待遇改善や被曝線量の低減を図ってください。
7.事故の収束及び放射性廃棄物の処理・処分計画のロードマップを明らかにしてください。
 

2017年07月30日

被爆72周年原水爆禁止世界大会・福島大会開かれる

福島大会.JPG

今年も原水爆禁止世界大会が福島から始まりました。2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発事故から6年が過ぎましたが、廃炉作業の目途も立たず、いまだ8万人近くの人々が避難生活を余儀なくされています。さらに補償や健康、地域社会の復興など様々な課題が山積しています。福島大会は、そうした現状を明らかにし、脱原発への課題を検討しました。
7月29日、福島市の「県教育会館」に、県内や東北各県をはじめ、全国から720人が参加。主催者挨拶に立った大会副実行委員長の西尾漠さん(原子力資料情報室共同代表)は「安倍政権は原発事故など無かったかのように再稼働を全国区で進めている。しかし、福島の現実はますます深刻になっている。今大会は初めて分科会を設け、徹底的に議論し、理解を深めよう」と呼びかけました。
福島県平和フォーラムの角田政志代表が地元を代表して挨拶し、「今年3月に一部で避難指示の解除がされたが、被災者の生活再建は大きな問題だ。国や県は責任を持って被災者に向き合うべきだ」と訴え、さらに、福島第二原発の廃炉に向けた運動も紹介しました。
大会の基調を藤本泰成・大会事務局長(原水禁事務局長)が行い、国連での「核兵器禁止条約」の採択など核を巡る情勢とともに、福島原発事故を受けて脱原発社会の実現に向けた課題を提起しました。膨らむ事故処理費用や、避難者の帰還の強要、子どもの甲状腺がんなど、被ばくが疑われる現実を直視し、国や東京電力の責任を明らかにして、エネルギー政策の転換に向けた運動の重要性を指摘。「被災者一人一人に寄り添った復興を求めていこう」と強調しました。

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福島からの訴えを、原発建設当初から反対運動を続けてきた「双葉地方原発反対同盟」の石丸小四郎代表が行い、「今でも毎時1000万ベクレルの放射能が発生し、福島だけでなく近県にも大量の放射能が存在している。89万トンもの汚染水タンクが林立、凍土遮蔽壁は失敗し、海の汚染も広がっている」など、「事故は未だ終わっていない」現実をあげ、「二度とこうしたことのないようすべきだ」と語気を強めました(上写真左)。
一方、高校生平和大使からの訴えでは、今年の平和大使に選ばれた福島市の高橋伶奈さん(同中)と伊達市の高橋花音さん(同右)が「震災は止めることが出来ないが、核兵器は廃絶することは可能だ。平和大使としてしっかり訴えてきたい」と力強く語りました。
「福島原発事故の責任と原発再稼働をめぐる司法の現状と課題」と題して、弁護士で脱原発弁護団全国連絡会共同代表の海渡雄一さんが講演を行い、各地で行われている原発の稼働停止を求める運動などを説明し、「仮処分申し立てで勝てば、原発再稼働は止められる。事故を防ぐことは司法の責任になった。政府の司法への介入を許さない市民の決意が求められている」と訴えました(下写真)。
全体集会の最後に「フクシマの悲劇を二度と繰り返さないためにも、『福島には原発はいらない!』の声を大きくし、全国の原発再稼働反対の運動につなげていきましょう」とのアピールを採択しました。
その後、3つの課題で分科会を行い、福島県内の関係者が問題提起を行い、専門家の助言を交えて意見交換がされました。第1分科会の「健康と甲状腺がんの問題」では、「県民健康調査における小児甲状腺検査」が報告され、事故との因果関係が議論されました(下写真上)。第二分科会は「避難解除による帰還と生活再建の問題」が語られ、紙芝居を交えながら、避難者の現状が語られました(同中)。第三分科会は「放射性廃棄物の処理問題」をテーマに、除染による除去土壌の処理の実態や課題が述べられました(同下)。各分科会とも参加者から活発な質問や意見が出されました。

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第2分科会.JPG

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翌30日にはフィールドワークが行われ、川俣町山木屋地区や飯舘村を訪れ、避難指示解除となった地区や、未だ帰還困難区域となっている周辺の被害の実態、除染廃棄物の仮置き場、仮設焼却炉施設などを視察しました。

下の写真上は川俣町山木屋地区。川俣町の除染により発生した汚染された土壌や草木等の廃棄物が詰められたフレコンパックの置き場は、フェンスによって囲われていました。写真下は今も立ち入りが制限されている飯館村長泥地区。今回、初めてゲートの中にバスに乗車したままだが、入ることができました。ゲートから先は峠状の下り坂で浪江町に続いていますが、福島第一原発方面が大きく開け、地形の関係で非常に高く汚染されたことが推測できます。道の両側はあじさいの花が残り、桜も植えられ良く手入れされて いましたが、今なお立ち入りは4時間以内と制限されていることを考えると物悲しい気持ちにさせられました。なお、ゲート手前の側溝付近でも今なお、毎時4~6ミリシーベルトの数値が測定され参加者から驚きの声があがりました。ゲートの右側にはガードマンが今も常駐しています。
川俣町.JPG

飯舘村.JPG

原水禁世界大会は、8月4日から広島大会、7日から長崎大会に引き継がれます。

福島大会「フクシマアピール」はこちら
7月31日に東京電力に対して福島大会実行委員会が行った申し入れ文は< a href=”http://www.peace-for um.com/seimei/20170731.html”>こちら

2017年07月29日

被爆72周年原水爆禁止世界大会・福島大会「フクシマアピール」

フクシマアピール

 東電福島原発の過酷事故から6年4か月が過ぎました。福島第一原発では収束作業が続けられていますが、課題は山積し、廃炉作業についても困難を極めています。今もロボットを投入して格納容器内の燃料デブリの状況調査が行われていますが、今年2月に行われた1・2号機の調査では、ロボットも動かなくなるほどの高線量で、状況は明らかになりませんでした。また、汚染水対策の凍土遮水壁も、十分に凍らない部分と、凍りすぎて地盤が膨張する部分が出るなど、様々な問題が出ています。さらにトリチウム汚染水の「海洋放出」が浮上し、漁業関係者を中心に抗議の声が上がっています。
 一旦ばらまかれた放射性物質の完全回収は不可能です。除染廃棄物及び特定廃棄物の処理処分についても様々な問題を抱えています。核廃棄物の処分については、国は具体的方針を明確にすることができません。
 昨年、高速増殖炉もんじゅの廃炉が決まりました。一方で国は、核燃料サイクルを捨てきれないでいますが、もう展望はありません。
 いま世界では、福島の原発事故を重大な問題としてとらえ、脱原発にエネルギー政策を転換する国が増えています。原発災害の引き起こした過酷な事実と、6年以上が経過しても元に戻せない福島の現実を直視し、原発のない社会の実現を展望した運動を進めなければなりません。
 福島では、福島第一原発の事故収束に全力をあげること、そして、福島第二原発全基を即時廃炉にすることを県民の総意として、「東電福島第二原発の即時廃炉を求める署名」に取り組んできました。第二原発の廃炉は、国と東電の被災者及び県民に対する償いであり、原発事故の責任を明らかにさせることにつながります。第二原発の廃炉は、国に原子力政策の転換を示させる重大な意義を持ちます。そして、第二原発を廃炉に追い込むことは、日本の原発の再稼働を止め、さらには、廃炉に向かう原発を増やすことにつながる重要な運動です。
 フクシマの悲劇を二度と繰り返さないためにも、「福島には原発はいらない!」その声を大きくし、全国の原発の再稼働反対の運動につなげていきましょう。
 「核と人類は共存できない」ことを原点に、原発も核も戦争もない平和な社会の実現に向けた運動を、全国の仲間と共に進めましょう。

 

 2017年7月29日
被爆72周年原水爆禁止世界大会 福島大会

2017年07月28日

朝鮮学校無償化問題 大阪地裁判決で声明

2017年7月28日

 
朝鮮高校の無償化除外を違法とした大阪地裁判決への支持と国の控訴断念を求める声明
 
フォーラム平和・人権・環境
(平和フォーラム)
代表 藤本泰成
 
 
 7月28日、大阪朝鮮高級学校を高校授業料無償化の対象から除外したのは、憲法が規定する教育の平等に反するとして、学校法人「大阪朝鮮学園」が、国の処分取り消しなどを求めた訴訟で、大阪高裁(西田隆裕裁判長)は、原告側の主張を受け入れ、国に対して処分の取り消しを命じた判決を言い渡した。
 判決は、下村博文文科大臣が行った朝鮮高校を無償化から除外する目的での文部省令改定は、教育の機会均等とは無関係な日朝間の外交的・政治的意見に基づいたもので、支給法2条1項5号における委任の趣旨を逸脱するものとして違法、無効と解すべきとした。
 また、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)や朝鮮総連と一定の関係を有するとの報道等を指摘し、就学支援金を生徒の授業料に充当しないなどの懸念が生じるとした国の主張も、指摘する報道等の存在及びこれに沿う事実をもって、適用要件を満たさないとは言えないとした。
 7月19日の広島朝鮮学校などが広島地裁に起こした同様の訴訟の判決における、北朝鮮との国交がないことを理由に支給要件を証明できないとし、予断と偏見によって朝鮮総連との関係から支援金が流用される懸念があるとした国の主張を全面的に受け入れた不当判決を、根底から覆すものだ。大阪地裁は、その公判の進行の中で証人尋問などを繰り返し詳細な議論を行ってきた。そのことは、この訴訟の内容が人権問題として重要であることの表れに違いない。その意味で、証人尋問の要請などを排除した広島地裁は、司法の役割を放棄したと言っても過言ではない。名古屋や東京などで同様の訴訟が行われているが、裁判所は、国の主張を鵜呑みにすることなく人権に基づいた詳細な論定を希望する。
 朝鮮高校の生徒や卒業生は、国による不当な差別に、毎週文科省前で抗議の声を上げる金曜行動などを通じて闘い続けてきた。朝鮮学校に通っていることを理由にした子どもたちへの差別は、どれほど小さな胸を傷付けてきたことだろうか。そのことを、国はどう受け止めるのだろうか。国連人権委員会や人種差別撤廃委員会は、朝鮮高校のみを対象とした無償化適用除外は差別であると断定している。すべての子どもたちに教育を補償すべきとする人権の国際的勧告に対して、日本政府はどう答えるのだろうか。そう考えるとき、日本政府がすべきことは明らかだ。
 平和フォーラムは、大阪地裁の判決の内容に対して心から喝采を送り、心から歓迎する。そして、国に対して、控訴することなく判決に従い、すみやかに処分の取り消しへ動き出すことを求める。日本が、国際社会に向けて人権国家であると胸を張ることができるまで、そして多文化・多民族共生の社会を実現することができるまで、平和フォーラムは全力でとりくんでいく。
 

 

2017年07月25日

沖縄だよりNO.31(PDF)

http://www.peace-forum.com/okinawa-branch/okinawa_No31.pdf

2017年07月20日

朝鮮学校への高校授業料無償化除外は適法との広島地裁判決への抗議声明

2017720

 

朝鮮学校への高校授業料無償化除外は適法との広島地裁判決への抗議声明

 

フォーラム平和・人権・環境

(平和フォーラム)

代表 藤本泰成

 

 昨日、広島朝鮮学園とその生徒らが、2013220日に文部科学省が省令改正をもって授業料無償化(現高等学校等就学支援金制度)の対象から朝鮮学校生徒を除外したことに対して、無償化の指定と国家賠償を求めた訴訟で、広島地裁(小西洋裁判長)は、原告の訴えをすべて却下する判決を下した。歴史的過程の中で日本での生活を余儀なくされた在日韓国・朝鮮人の子どもたちに、当然の権利として与えられている民族教育の権利を侵害する不当判決は、彼・彼女らと共に日本社会における広範な人権確立のためにとりくんできた平和フォーラムとして、到底受け入れられない。断固抗議する。

 判決は、日本と朝鮮民主主義人民共和国との間には国交がなく「高等学校の課程に類する課程」という支給要件を証明できないとして、支給しないことは不合理な差別には該当しないとしている。しかし、長期にわたって国交なき状況を放置してきたことは、日本政府の政治的不作為に他ならず、日本に生きる在日韓国・朝鮮人の子どもたちの責任ではない。そのことによって引き起こされる著しい差別を、容認する理由にはならない。また、支援金が流用される恐れがあるとした国側の主張は、それ自体予断と偏見によるものでしかない。「根拠となる事実が証拠上認められる」との判決は、国の主張を無批判に受け入れるもので、司法の独立した判断とは到底言いがたい。また判決は「除外によって教育を受ける権利は何ら制限されない」としてるが、現下の経済的状況を考えるならば、授業料の無償化から除外されても何ら制限されないなどということはありえない。無償でなくても制限されないならば、無償化そのものの必要性も問われるではないか。

 20135月に出された、国連社会権規約委員会における日本の第3回定期報告に関する最終見解は、「委員会は、締約国の公立高校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度から朝鮮学校が排除されており、そのことが差別を構成していることに懸念を表明する」(外務省仮訳)とし、無償化制度から朝鮮高校のみを除外していることを差別と断罪している。国連人種差別撤廃委員会は、20148月の総括所見において、同様の主張を行っている。国連の「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)は、「この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める」(外務省訳)とし、教育の役割とその権利、締約国の義務を記載している。日本が、この規約を批准し締結していることを、広島地裁は真剣に考えるべきだ。朝鮮高校に通う生徒ひとり一人に、この判決をどのように説明するのか。ひとり一人の権利に、どう応えるのか。広島地裁は、そのことを真剣に考えているのか。とてもそうは思えない。単に日本政府の方針に追従したのだとしたら、これは司法によるマイノリティーに対する重大なヘイトクライムと言える。広島地裁に対して猛省を促し、高裁は追従することなく公正な判断を下すことを心から要請する。

 少子高齢化の中にあって、日本社会は移民政策を検討すべき時に来ているとの指摘がある。外国人労働者は、増加こそすれ少なくなることは考えられない。地方都市の中には、真剣に「多文化共生」の町づくりにとりくむところもある。しかし、日本政府は、戦前・戦後を通じて長きにわたって日本社会で生きてきた在日韓国・朝鮮人とさえ、共生社会をつくることができないでいる。民族学校の立ち上げに始まって、大学進学をめざした高校卒業資格の問題、通学定期適用の問題、外国人登録制度の指紋押捺の問題、そして授業料無償化適用の問題。その都度当事者が声を上げ闘わなければ権利が認められない日本とは何なのだろうか。日本政府のこのような姿勢が、ヘイトスピーチを生み、心ない差別を生んでいる。平和フォーラムは、日本社会の貧困な権利意識を排除し、多文化・多民族共生社会実現に向けて、そして、そのために朝鮮学校への授業料無償化適用を求めて、最後まで闘い抜く。 

2017年07月17日

沖縄だよりNO.30(PDF)

http://www.peace-forum.com/okinawa-branch/okinawa_No30.pdf

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