3月, 2022 | 平和フォーラム

2022年03月31日

ウクライナ危機を軍拡の加速に利用させてはならない

湯浅一郎

2022年2月24日、ロシアがウクライナへの軍事侵略に踏み切った。侵攻当日、プーチン大統領は、ウクライナ東部ドンバス住人をジェノサイドから守るための「特別軍事作戦」を宣言し、NATOの東方拡大やウクライナの核の独自開発でロシアの「レッドラインを越えた」とロシアの防衛を理由に侵攻を正当化した。

1945年成立の国連憲章には「行動の原則」を規定する第2条があり、その4項は「すべての加盟国は、その国際関係において、武力により威嚇または武力の行使をいかなる国の領土保全、または政治的独立に対するものも・・慎まなければならない」としている。ロシアの行為は、これに真っ向から違反するものである。国連安保理の常任理事国が、その先頭に立って国連憲章違反を実行しているありようは、無残としか言いようがない。さらに言えば、2回にわたる世界大戦を経て積み重ねてきた多くの国際法や国際合意をことごとく破るものであり決して許されることではない。

この問題は、現在進行中の事態であるとともに、包括的に論じる準備がないので、別の機会に述べたい。ここでは、これを機に世界が、特に日本が軍事同盟の強化や軍事費増の動きを加速させかねない懸念につき考えたい。実際、ドイツのショルツ首相は国防費をGDP2%以上に増やすとし、国防政策の転換を表明した。日本では、安倍元首相が米国との核共有を議論すべきと、非核三原則を放棄し非核兵器国への移転を禁じたNPT第二条にも反する主張を始めた。既に日本政府は、敵基地攻撃能力の保有、防衛費大幅増、憲法改悪の動きを準備する体制をとりつつあった。そこへウクライナ事態が加わったのである。

1.日米安全保障協議委員会で敵基地攻撃能力保有の検討を表明

コロナ禍の中で、軍事力は感染症にとって全く役に立たないことが明確になっているにもかかわらず、各国政府はむしろ逆に軍拡に向かっている。憲法9条のもとで平和主義を基本にしているはずの日本政府も例外ではない。2022年1月7日、岸田政権初の外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(いわゆる「2+2」)が、オンライン形式で開催された。共同発表(注1)には「自由で開かれたインド太平洋地域へのコミットメントを強く再確認し、また、地域の平和、安全及び繁栄の礎としての日米同盟の不可欠な役割を認識した」とある。加えて「日本は、戦略見直しのプロセスを通じて、ミサイルの脅威に対抗するための能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する決意を表明した」とし、事実上、敵基地攻撃能力保有の検討を表明した。

その上で共同文書は、日米は「同盟の役割・任務・能力の進化及び緊急事態に関する共同計画作業についての確固とした進展を歓迎した」としている。これは、日本政府が年内に進める国家安全保障戦略の改訂作業において、自衛隊が防御の「盾」、米軍が攻撃の「矛」を担うとしてきた日米の役割分担を見直すことにつながる極めて重大な踏み込みである。

共同発表は、東シナ海や南シナ海における中国の一方的な現状変更の試みに懸念を表明した上で、日米両国は「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促した」とした。これは、日本政府が「台湾という存在を公的に認めたこと」になる。しかるに1972年の日中国交正常化の際の日中共同声明には「台湾が中華人民共和国の領土の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重する」としていた。今回、日本政府は、この建前を放棄したことになる。

そして、もろもろの日米の軍事力強化の合意を羅列している。

・米国は、核を含むあらゆる種類の能力を用いた日米安保条約の下での日本の防衛に対するゆるぎないコミットメントを改めて表明した。
・米国は、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを再確認した。
・宇宙、サイバー、電磁波領域及びその他の領域を統合した領域横断的な能力強化が死活的に重要であることを強調した。
・辺野古における普天間飛行場代替施設の建設、馬毛島における空母艦載機離着陸訓練施設を実施することにコミットする。

トランプ政権以降、米国は中国を「競争国」と位置づけ、中長期的な観点から経済、政治、軍事、あらゆる面での競争に勝つための施策を進めている。バイデン政権はこれを継承しつつ、多国間主義を復活させ、中国を包囲する軍事体制の構築をめざしている。その中心が日米同盟であり、それを広げた日米豪印(QUAD)(注2)、米英豪の軍事同盟AUKUSである。1月7日の日米「2+2」共同文書は、それを象徴している。

2.安保法制下で進む日米軍事一体化と琉球弧のミサイル基地化

日本政府は2015年に強行採決した安全保障関連法の下ですでに自主的に軍事強化を強めており、装備面で見れば「専守防衛」を超える既成事実を積み上げている。

護衛艦「いずも」型を垂直離着陸ステルス戦闘機F35B搭載可能に改造し、空母化することがその一つである。遠隔攻撃力を意味するスタンド・オフ・ミサイル(注3)の購入と配備を進め、事実上、敵基地攻撃能力の保有も進めている。

さらに「いずも」型護衛艦を中心に2か月半にわたり、インド洋から西太平洋に至る広大な海域で日米共同演習(米原子力空母と日本の実質空母である「いずも」型護衛艦との共同演習含む)、沿岸各国海軍との共同演習をくり返すインド太平洋派遣訓練が2018年から始まっている。古くから武力を背景に展開する外交戦略として砲艦外交がある。ペリー提督が黒船を東京湾に浮かべて日本の開国を迫ったのもその一つである。今日においては、米空母の常時の世界的パトロールはその典型である。最新の「防衛計画の大綱」(18年)には「積極的な共同訓練・演習や海外における寄港等を通じて平素からプレゼンスを高め、我が国の意思と能力を示す」とある。海自のインド太平洋派遣訓練は、それを具現するものである。同訓練も、まさに砲艦外交であり、東シナ海からインド洋に至る広大な海域にわたる米国中心の中国包囲網における自衛隊の位置の重要性を象徴的に示している。

3.虚構の新冷戦に騙されて「軍事力による安全保障ジレンマ」を深刻化させてはならない

この構図の延長にあるのは、軍事力による安全保障の思考にもとづき、相互に軍事態勢を強化し、結果として際限のない軍拡競争をくり返す悪循環にはまり込んでいく姿である。

「軍事力による安全保障ジレンマ」そのものである。相互の不信が、核軍拡競争を生みだし、さらに不信と憎悪を増幅する悪循環である。その先にある未来は、止めどのない軍拡と終わりが見えない対立である。政府の方針は、まさに、この悪循環にはまり込むことを選ぶ道である。そうではない、もう一つの道を描かねばならない。

この局面で求められるのは、80年代後半の米ソ冷戦終結のプロセスに学ぶことであろう。欧州での冷戦終結の基本概念は、1982年にパルメ委員会(スエーデンのパルメ首相が主催した国連の「軍縮と安全保障問題に関する独立委員会」)が提唱した「共通の安全保障」(Common Security)である。その原則は「すべての国は安全への正当な権利を有する」「軍事力は、国家間の紛争を解決する正当な道具ではない」という認識の共有である。ソ連のゴルバチョフ書記長がこの概念を採りいれ、80年代後半のわずか5年ほどで、米ソ冷戦を終わらせた。米ソ冷戦の終結から欧州安全保障協力機構(OSCE)という地域的な安全保障協力機構をつくるプロセスの中に、北東アジアの平和ビジョンを構想するうえで、学ぶことがたくさん含まれているはずである。

しかし今回のロシアによるウクライナ侵略という事実の前で、1986年のレイキャビクでの米ソ首脳会談から1991年ソ連崩壊に至る過程で依拠した「共通の安全保障」は、色あせているように見える側面は否定できない。冷戦終結により欧州での大きな戦争は起こらないはずだという確信は、もろくも崩れた。冷戦終結から30年の時間の経過とともに、ロシアと米国、ないしはNATOとの相互の不振、対立と軍備拡張競争の再燃への揺り戻しが来て、ロシアの暴走という形で表面化した。悪いのはロシアであることは確かであるが、ただ一方的にロシアを非難するだけではすまない、人類全体の敗北としてとらえるべき深刻な課題である。これを機に相互に軍拡に進むのではなく、むしろ脱軍備で共に生きていく道の重要性がますます高くなっていることを世界規模で共有せねばならない。ウクライナ危機で、1980年代後半に起きた米ソ冷戦終結は、実は、そう簡単に定着するものではなく、今も冷戦構造の観念は染みついたものとして存在し、「共通の安全保障」を持続していくための双方の努力が不可欠であることを教えている。しかし、その一方で「共通の安全保障」という考え方が「軍事力による安全保障ジレンマ」を克服していくために依拠すべき考え方であることに変わりはないことも押さえておかねばならない。

4.北東アジア全体の平和ビジョンを構想することが急務

北東アジアには2つの軍事的対立構造がある。第一は今なお米ソ冷戦構造が残る分断されたままの朝鮮半島である。朝鮮戦争については1953年7月の停戦協定があるだけで、戦争はいまだ終わっていない。第二は中国の海洋進出によって東シナ海、南シナ海で米中が軍事態勢を強化し、にらみあっていることである。日本は、米国の中国包囲網に加担し、佐世保から馬毛島、薩南諸島、沖縄島から南西諸島にかけて、自衛隊基地の増強をつづけている。文字どうり軍事力による安全保障ジレンマにはまり込んだ状態である。この状況において不信感に基づき双方が軍備拡張を繰り返せば、ジレンマはますます深くなるばかりである。

この状況を打開するために必要なことは、北東アジア全体にわたる平和ビジョンを「共通の安全保障」によってつくりだしていくことである。そのさい、2018年から2つの首脳合意(18年4月27日の南北板門店宣言と同年6月12日のシンガポール米朝共同声明)にもとづき、朝鮮半島の非核化と平和をめざす取り組みが、今も続いていることを正しく評価することが重要である。

首脳合意を履行し、朝鮮半島の完全な非核化をめざせば、朝鮮半島非核兵器地帯条約に行き着く。DPRK(以下、北朝鮮)の核放棄に対して、米国が消極的な安全保証を約束する。韓国が米国の「核の傘」から抜けだし、中国、ロシアが消極的安全保証を約束する。こうして、南北米中露5か国が朝鮮半島非核兵器地帯条約をつくる構想が浮かび上がる。そのプロセスには、朝鮮戦争の終結も含まれる。日本は、北朝鮮への敵視政策を辞め、2つの首脳合意を正当に評価し、北東アジアの非核兵器地帯構想をもって5か国の動きに加わるべきである。朝鮮半島の完全な非核化をめざす国レベルの取り組みがある情勢の下で、北東アジア非核兵器地帯は夢物語ではない。北東アジア非核兵器地帯条約の締結を契機にして、北東アジアの平和ビジョンを構想することは十分に可能である。その過程でさまざまな次元で多国間協議が進み、相互に信頼醸成が生みだされ、米中対立や日中の懸案事項に関する外交交渉を切り開く可能性もある。ただし韓国の政権が5月に尹政権に代わることで、朝鮮半島の平和と非核化にどのような政策を打ち出すかが大きな要素になってくる。2018年首脳合意を反故にしかねない懸念があり、そうなれば膠着状態となる可能性が高い。

ともあれ重要なことは、虚構の米中対立という「新たな冷戦」に惑わされるのでなく、粘り強く、軍事力によらない安全保障体制を生みだす取り組みを求めていくことである。それは、人類が持続可能な生存を可能とする未来に向け、脱軍備をめざすことを意味している。これにより相互に軍事費を増やす愚かな政策は必要がなくなる。膨大な財源を軍事に投入する余りにも愚かな状況から脱却し、軍事費を減らし「人間の安全保障」経費に回していくことが可能になっていくはずである。この脱軍備の過程こそ、人類が目指すべき「戦争のない世界」へ向かう道である。決してロシアと隣接しているのだから国防を強化せねばならない、憲法9条で平和は守れないなどと超え高に叫んでいく道を加速させてはならない。

注:
1.日米安全保障協議委員会(2+2)共同発表、2022年1月7日。
  https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100284738.pdf
2. 日米豪印4か国の首脳や外相らが安全保障や経済を協議する枠組み。「Quad」は英語で「4つの」を意味する。
3.敵の射程外からの長距離攻撃ができるミサイル。

2022年03月25日

ニュースペーパーNews Paper2022.3

3月号もくじ

ニュースペーパーNews Paper2022.3
*表紙 ロシア軍がウクライナ侵攻
*インタビュー・シリーズ:175
自分たちは正しいことをしていると固執してはいけない
作家 柳広司さんに聞く
*TPNW 締約国とNPT再検討会議を控えて
*長崎・被爆体験者に被爆者健康手帳を
*第五福竜丸の歴史的意義を再確認する
*放射能汚染水の海洋放出の既成事実化を許さない
*本の紹介 『ホワイトフランチャイズ』
*佐渡金山世界遺産登録申請に思う

2022年03月11日

ウクライナに平和を!原発に手を出すな!3.21市民アクションのご案内

平和フォーラムが参加・協力する「戦争をさせない1000人委員会」「さようなら原発1000万人アクション」が3月21日、「ウクライナに平和を!原発に手を出すな!3.21市民アクション」を呼びかけていますので、ご案内します。

ウクライナに平和を!原発に手を出すな!3.21市民アクション

日時:3月21日(月・休)12時30分集会開始、13時45分デモ出発
場所:代々木公園B地区・野外ステージ
※デモコース:代々木公園野外ステージからケヤキ並木通って出発、渋谷区役所前→(公園通)→渋谷駅前→宮益坂下→(明治通)→神宮前→(表参道)→原宿駅前→代々木公園で解散
呼びかけ:さようなら原発1000万人アクション実行委員会/戦争をさせない1000人委員会

平和フォーラム/原水禁が3月20日、毎日新聞(東京本社版)、東京新聞に掲載した意見広告。本アクションについてもご紹介しています。

2022年03月09日

ウクライナ支援に名を借りた、防衛装備品の提供に憂慮する

岸田政権は3月8日、ウクライナに対して防弾チョッキ、ヘルメット等防衛装備品を提供する閣議決定を行い、同日早々に、航空自衛隊小牧基地からKC-767軍用輸送機を使用し、ウクライナの隣国ポーランドにむけ空輸した。

閣議決定に先立ち、政府は国家安全保障会議を開き、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針について、防衛装備品が輸出できる案件に、「国際法違反の侵略を受けているウクライナ」を加える改正を行っている。

ロシアの軍事侵略を受けているウクライナ支援という名目があったにせよ、国会での審議もなく、一部の閣僚だけによる国家安全保障会議でのルール改正ははなはだ疑問だ。

2014年4月に、武器の輸出を原則的に制限していた「武器輸出三原則」が撤廃され、武器輸出推進のための「防衛装備移転三原則」があらたに閣議決定された際、国家安全保障会議が、武器輸出にかかわる新しい「運用指針」を定め、この国家安全保障会議が武器輸出の可否について決定できる仕組みをつくり上げた。

軍事にかかわる重要事項を、国家安全保障会議がトップダウンで決定することは、国会を軽視するものとして、その在り方を見直すべきだ。

平和主義を基本理念とする日本は、国際紛争を助長することを避けるために武器の輸出を促進することはしない立場を示してきた。

日本政府はこの立場を逸脱することなく、ウクライナ支援では、ウクライナ市民に対する医薬品や衛生用品など非軍事物資にとどめるべきだ。

ひとつの例外が、大きな例外を作り出すことに注意を向けなければならない。すでに一部報道には、ウクライナから要望のあった物資リストに対戦車砲や地対空ミサイルがあったものの政府が見送ったことに対して、法制度の見直しが必要だと、けしかける意見すらでている。

平和フォーラムは、ロシアのウクライナ軍事侵攻に怒りをもって抗議しつつ、日本政府がこの惨禍の機を利用して、武器輸出の拡大へと道を開きつつあることを深く憂慮する。

2022年3月9日
フォーラム平和・人権・環境
共同代表 藤本 泰成
共同代表 勝島 一博

2022年03月07日

「2022年ウクライナ緊急支援募金 ‐ All for Ukraine ‐ 」のご紹介

ロシアのウクライナ侵攻に心を痛め、極めて苦しい状態に置かれているウクライナの人びとへの何らかのサポートができないかということで、平和フォーラムにも多くのお問い合わせをいただいています。

平和フォーラムとともに平和運動を推進してきた NGO 団体「ピースボート」が、「2022年ウクライナ緊急支援募金 ‐ All for Ukraine ‐(戦火を逃れた人々にあたたかい支援を)」を呼びかけています。送金先の「Peace Action,Training and Research Institute of Romania(PATRIR:ルーマニア平和研究所)」は、ルーマニアへ流入するウクライナ難民支援の活動を行っています。なお、オンラインでのクレジット決済にも対応しています。

現在、ウクライナから避難を余儀なくされている人びとは200万人に迫るとの報道もあり、喫緊の課題となっています。ご紹介いたしますので、ぜひ、支援先のひとつとしてご検討いただければと思います。

>>ピースボートの案内ページへ<<

2022年03月05日

ウクライナ侵攻に抗議する3月3~5日連続街宣行動

戦争をさせない1000人委員会と平和フォーラムは、プーチン大統領がウクライナへの軍事侵攻に踏み切り、核兵器の使用をも示唆し、原発への攻撃をも行ったことに強い怒りをもって弾劾し、抗議の連続街宣行動を行ってきました。最終日の5日は、数寄屋橋交差点で、道行く人々にアピールをしました。

高野聡さん(原子力資料情報室)


昨日(3月4日)、ウクライナの稼働中の原子力施設にたいして、プーチン大統領が前代未聞の攻撃をしました。攻撃を受けたザポリッジァ原発は、100万キロワット級の原子炉6基を備えており、ヨーロッパでは最大、世界でも最大級の原発です。
攻撃による送電線の破壊などによって外部電源が遮断されたら、原子炉などを冷却することができなくなります。運転員が怪我をしたり、避難したりすれば、運転に支障が生じます。意図的な攻撃や誤爆で原発が破壊されることも考えられます
もし原発が爆発すれば、チェルノブイリ原発の10倍となる被害が及ぶと言われています。
メルトダウンによる放射能汚染はさながら核戦争の様相を呈することとなるでしょう。
これは原発に依存することが、いかに危険かを示していることだと思います。
原発のある国で戦争が起こってしまえば、核兵器がなくとも核戦争に発展しまう恐れがあるということを考えなければなりません。
だからこそ私たちは、このことを教訓として、平和裏のうちにすべての原発を廃止していくことが必要です。

千葉聡美さん(戦争させない1000人委員会)


ウクライナの子どもたちはどうしているのでしょう。すでに数十万人もの避難者が出ています。大好きな友達と離れ、自分の好きなものを置いて、必要最低限の物しか持てなくて、住み慣れた家から出ていく、その気持ちは想像できません。
さらに深刻なのは避難できない子どもたちです。軍事施設ばかりではなく民間施設も攻撃され、クラスター爆弾も使われ、生命の不安を感じながら、ただただじっとしているしかないこのストレスは計り知れないものでしょう。
やはり、戦争は最大の人権侵害であり、絶対の悪です。
一方でロシアの子どもたちはどうしているのでしょう。そして子どもたちの先生は、この戦争をどのように見ているのでしょう。ロシアの先生たちも、教え子が戦場に行き、怪我をし、犠牲になっていることを悲しみ、心の中では戦争に反対していると信じています。
「政治」によって戦争がはじまります。ロシアのプーチン政権がこの戦争を始めなければ、この惨劇はなかったはずです。
日本に住むロシアのみなさんに、心ない偏見や差別が投げかけられないよう心から願っています。私たちはこのようなヘイトが起こらないよう取り組まなければなりません。
いま日本では、軍備をもっと増強しようとか、核をアメリカと共同運用しようという政治家がいます。それでは今のロシアを非難することはできません。国際的な問題を戦争や武力で解決しようとする安易な考えといわざるを得ません。
戦争を肯定する人はいないと私は信じています。ウクライナの子どもたちに笑顔が戻るまで、世界中の人びとと戦争反対の声を上げ続けましょう。

金子彰さん(埼玉平和運動センター副議長)


1970年のイタリア映画「ひまわり」の舞台となったのはウクライナでした。かつての戦争で多くの犠牲者を出したところです。そこでまた戦争が起こり、罪のない市民や子どもたちが犠牲になっている。こんなことが、21世紀の社会で起こるとはだれも思わなかったのではないでしょうか。
平和憲法を持つ日本が、世界の先頭に立って戦争を止めるために力を尽くさなければなりません。
安倍晋三元首相は、プーチンと仲良しでした。27回も首脳会談をして、こんなことを言いました。
「ウラジミール、君と僕は同じ未来を見ている。行きましょう。ロシアの若人のために。そして日本の未来を担う人々のために。ウラジミール、二人の力で、駆け、駆けて、駆け抜けようではありませんか。」
こんな発言をするほど親しいのであれば、「ウラジミール、戦争やめろ」と安倍晋三は言うべきです。
しかし安倍は何を言っているか。「核の共有」と言っています。唯一の戦争被爆国で、核武装すべきだということを言い出す総理大臣経験者を許せるでしょうか。
私たちは先のアジア・太平洋戦争で多くの人命を失いました。その無謀な戦争の反省から「もう二度と戦争はしない」と誓ったはずです。その結果76年の間、日本は戦争をしないで平和を守ってきました。
しかし、他国の戦争を利用して、火事場泥棒のように、核武装すべきだ、武装強化をしようという安倍元首相や日本維新の会のような人々がいます。私たちはあくまでも平和を守り抜く決意を訴え続けなければいけません。


大塚優子さん(i女性会議)


ロシアは国連の常任理事国ですから、国連憲章を守るべきでしょう。それなのにウクライナに軍を差し向け、原発まで攻撃する、本当に恐ろしいことだと思います。
いっぽうで日本では、「核の共有」の話が出ている。非核三原則を破るとういうのでしょうか。
「台湾有事は日本の有事」と安倍元首相は言っています。南西諸島では自衛隊のミサイル基地などの新基地建設が進んでいます。戦争をしないと誓った憲法9条は無力だと考える若者もいます。しかし、間違っています。武力で平和は守れません。戦争をしないという私たちの決意である憲法9条を守り、改悪をゆるさない運動を進めていきましょう。

村上彰一さん(全水道書記長)


ロシア国内でも戦争に反対する声があがっており、すでに6000人を超える人たちが拘束されていると聞きます。こうした戦争に反対するロシアの人たちとも私たちはつながっていきたいと思います。
ロシアによるクリミア半島併合以来、ウクライナは大変な状況が続いています。クリミア半島は淡水資源の少ないところで、水を内陸から供給してもらわなければなりませんが、併合によってストップしました。また東部の給水場は、親ロシア派との内紛で破壊され、人々のライフラインが断たれる事態もありました。今回の侵攻でも、ライフラインの攻撃が指摘されています。
こうしたウクライナの人たちの生活の根底を破壊した責任はロシアだけにあるのではありません。NATOという冷戦時代の遺物のような軍事同盟を存続させ、ロシアを包囲するように拡大してきたこともロシアの侵攻の引き金になったのではないでしょうか。
武力で平和を守ることはできず、新たな火種を生んでしまうことにしかならないと考えます。


小林郁子さん(戦争させない1000人委員会)


いつの時代でも戦争の犠牲となるのは、何の罪もない子どもであり一般の市民です。プーチンが犠牲になるわけでもなく、先頭に立って戦うわけでもありません。いつの時代でも立場の弱い人たちが犠牲になっていきます。
ウクライナの地下シェルターで新生児が生まれたという報道がありました。この赤ちゃんに明るい未来はあるのでしょうか。
子どもたちが、明るい笑顔を取り戻すよう、日本の私たちが戦争反対の声を届けていきたいと思います。一緒に声を上げ続けましょう。

滝沢寿隆さん(ユニオン平和事務局長)


いかなる理由があっても、他国に武力で持って侵攻してはならない。
1939年9月1日、あのヒトラーが、ポーランドにいるドイツ人を守るという理由で、ポーランドに電撃侵攻した。プーチンは全く同じではないか。これを許してはならない。
そして、この機に乗じ、安倍元首相や岸田政権は、「核の共有」「敵基地攻撃能力」と言っている。これも許してはならない。
日本には54基もの原発がある。これが攻撃されたら日本は終わりだ。
だから戦争をしてはならない。しないようにするのが政治家の役目だ。
私たちができることは一つ、地域から職場から、戦争反対の声をあげていくことだ。
ともに最後まで頑張りましょう。


佐藤有恒さん(北区区議会議員)


戦争に反対する大きな流れをつくっていきましょう。私たち一人ひとりが自ら声を上げ、平和を取り戻す潮流を作っていきましょう。
ヨーロッパの歴史は領土の争いの歴史でした。日本が二度と戦争はしないと誓ったのと同様、ヨーロッパも戦争をしないことを誓いあったはずです。それを打ち壊したのがプーチン大統領です。内戦はあったものの、他国への侵略という蛮行を働いたのはプーチン大統領だけです。これは絶対に許すわけにはいかない。
一方で、アメリカ主導でNATOを拡大し、ロシアののど元にミサイル配備をしてきたのも事実です。私は、ロシアのウクライナ侵略に抗議するけれども、争いの種をなくすためにアメリカは、NATOは、何をしてきたのだと問い返したい。軍事と軍事で物事を解決しようとしてきた、この大国の論理を私たちは否定しようではありませんか。
それと同時に、ウクライナ侵攻に伴って、あの総理大臣経験者、安倍晋三が、敵への打撃力を持たなければいけないとし、さらにあろうことか、アメリカと核兵器の共同運用をしなくてはならないと公然と言い始めた。
こうした発言が公然と出る日本社会の危険性を指摘したい。すぐに日本維新の会が同じことを言い出した。武力と武力で物事を解決しようとする、憲法理念を否定する流れを許してはならない。


3月4日、東京・新宿駅西口で街宣行動を行いました。

飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)


立花賢司さん(全農林)




池田万佐代さん(i女性会議)


星逸郎さん(国分寺市議)




小原奈穂美さん(戦争させない1000人委員会)


青山秀雄さん(昭島市議会議員)


渡辺洋さん(全労協議長)


ウクライナ侵攻から1週間となる3月3日、戦争をさせない1000人委員会と平和フォーラムは、ウクライナ侵攻に抗議する街宣行動を東京・有楽町駅イトシア前で行いました。
発言された方がた

佐高信さん(作家)

清水雅彦さん(日本体育大学教授)

i女性会議 大塚優子さん


佐藤有恒さん(北区区議会議員)

森喜彦さん(八王子市会議員)


菖蒲谷眞一さん(全水道書記次長)

藤本泰成共同代表



2022年03月02日

プーチンのウクライナ戦争に抗議するプラカード集

武力で平和はつくれない 日本語 横長プラカード版  PDFはこちら

憲法9条を世界に広げよう 日本語 横長プラカード版 PDFはこちら

ロシアはウクライナから撤退せよ 日本語 横長プラカード版 PDFはこちら

戦争反対 ロシア語-日本語版 PDFはこちら

NO WAR! 英語-ロシア語版 PDFはこちら

核兵器をもてあそぶな! 日本語-ロシア語版 PDFはこちら

原発攻撃するな 日本語版 PDFはこちら

 

2022年03月01日

ロシアによるウクライナ侵攻に抗議し、戦争反対・平和を求める緊急街頭宣伝行動

平和フォーラムははロシアのウクライナ侵攻に抗議し、即時撤退を求める緊急の行動として、以下の連続街宣行動を行います。コロナ禍の続く厳しい状況ですが、可能な範囲でのご参加・ご協力をぜひお願いします。

ロシアによるウクライナ侵攻に抗議し、戦争反対・平和を求める緊急街頭宣伝行動

日時・場所:
3月3日(木)18時〜 有楽町イトシア前
3月4日(金)18時〜 新宿駅西口
3月5日(土)14時〜 有楽町数寄屋橋
主催:フォーラム平和・人権・環境
/戦争をさせない1000人委員会

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