11月, 2022 | 平和フォーラム

2022年11月30日

日中国交正常化から50年,日朝平壌宣言から20年の今年、 必要なことは軍拡ではなく、外交と対話だ

湯浅一郎

 2022年末、政府は、反撃能力という名の敵基地攻撃能力を含め、国家安全保障戦略などの「安保関連3文書」を改訂し、戦後の専守防衛政策をかなぐり捨て、日本の防衛政策の大転換を強行しようとしている。しかし、2022年という年は、日中国交正常化から50年、日朝平壌宣言から20年という北東アジアの平和を促進するために極めて重要な節目の年であったことを忘れてはならない。

日中国交正常化に際しての共同声明

 1972年の日中国交正常化から50年が経った。今、米中対立を背景に日本の中国との関係は希薄になっているが、私たち日本の市民は、前文と9項目の合意事項から成る1972年9月29日付けの日中共同声明(注1)を思い起こすべきである。声明は、その前文で「日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。両国国民は、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切望している。戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は、両国関係の歴史に新たな一頁を開くこととなろう。」と国交正常化の意義を確認している。

 そして、「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」とした。また、「日本側は、中華人民共和国政府が提起した「復交三原則」を十分理解する立場」に立つことを再確認する。「復交三原則」とは、①中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府である、②台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である、そして③日本が台湾(中華民国)と結んだ平和条約(日台条約)は不法で無効であり、廃棄されねばならないの3点である。

 個別合意では、第2項で「日本国政府は上記①を承認する」とした。また第3項は、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八条に基づく立場を堅持する」としている。ポツダム宣言第八条では「日本国の主権は、本州、北海道、九州及び四国並びに吾等が決定する諸小島に局限せらるべし」とされ、台湾は当時の中華民国、すなわち中国に返還されると書かれている。ポツダム宣言の受諾は、台湾が中国に返還されることを受け入れたことになり、その立場を堅持するということになる。また第5項は、「日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」となっている。さらに第6項は、両政府は、「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。」さらに「日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」としている。この第6項は、台湾をめぐり緊張が高まる今となっては極めて重要な内容を含んでいる。当時の、中国にとっては、「中国は一つ」であることを日本に明確に承認させ、経済的な成長に日本の協力を得られる。日本側にとって最大のメリットは戦争賠償の請求を放棄することであったであろう。

 しかし、50年という年月は、それなりに長い。ここ10~20年で客観的状況は大きく変化している。中国は、2000年を前後して急激に経済成長し、2010年、GDPで日本を追いぬき、世界第2位の経済大国となる。軍事費も前年度比10%以上増を20年にわたり続け、中国の国防費は世界全体の14%を占める世界第2位の軍事大国となった。この結果、米国の対中国戦略が大きく変わった。2022年10月13日、バイデン政権が発表した国家安全保障戦略(注2)では、中国を「国際秩序の再構築を目指す意思と力を持つ唯一の競争相手」だとし、中国に対する持続的な競争力を維持するとしている。軍事、経済などあらゆる領域で中長期的な競争を進める意思を表明している。一方でこの間の台湾の経済的な成長は著しく、とりわけ半導体工業における発展に伴う台湾と米日との経済協力が強化されている。これらが複雑に絡み合って、近年、台湾問題が急浮上している。バイデン大統領は、台湾有事の時、米国は関わるのかと問われて、関与すると2回も発言している。これらの動きは、日中国交正常化の前提となった「中国は一つ」とする認識を放棄する愚かな選択である。

日朝平壌宣言が、まずめざしているのは日朝国交正常化の早期実現である

 一方、朝鮮半島に目を転じると2002年9月に小泉純一郎首相が訪朝し、金正日国防委員長(総書記)との間で合意された日朝平壌宣言(注3)は、現在も日朝関係を正常化するための基礎的外交文書と考えられる。2022年は、宣言から丁度20年の節目の年であるが、この20年間、見事に何も進んでいない今、平壌宣言が何に合意したのかを改めて振り返る意義は大きい。安倍、菅両政権、そして岸田政権も平壌宣言を引用しながら北朝鮮政策を説明している。しかし、平壌宣言の何を大切に考えているのかについて、政府の考え方は何も示されていない。

 平壌宣言は、前文において「日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した」と述べ、その上で、第1項で「双方は、この宣言に示された精神および基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注する…。実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む」と述べている。すなわち、宣言の根幹は、諸困難を乗り超えて国交正常化の早期実現に向かうという両国の決意にある。拉致、核、ミサイルといった諸懸案は個別の障害であり、そのどれかを突出させて国交正常化を困難に陥れるとすれば、それは平壌宣言に反することになる。とりわけ日本政府の拉致問題を特別視する姿勢は異常である。これでは何も進むはずはない。安倍・菅両政権は拉致問題をあらゆる交渉の入口を阻む壁のように位置付けてきている。和田春樹氏が指摘するように(注4)、安倍、菅政権が今も繰り返している「拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ない」という考え方(注5)は平壌宣言に反しており、破棄されるべきである。

 2022年10月3日、岸田首相は、第210回臨時国会における所信表明演説(注6)で、「私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意で」あり、「日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指す」と述べている。「条件を付けずに金正恩氏と向き合う」と述べている岸田政権の対北朝鮮政策は、今後も維持されるべきものである。しかし、その政策が功を奏するためには、この政策に見合った日本の外交・安全保障政策の包括性と首尾一貫性を示すメッセージが必要であり、また、平壌宣言が日朝国交正常化をこそ目標としているという認識を明確にすることが求められる。「拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ない」という考え方を変えることが必要である。

求められることは軍事的対処ではなく、外交による「共通の安全保障」体制構築への道だ

 台湾問題で日本が軍事的に関与する事態に至るまでには、いくつものハードルがある。しかし、安保法制下で、それらすべてが絡む状態が生じたとき、日本が戦争に参加せざるを得ないという事態は起きかねない。例えば、台湾で独立の動きが強まり、中国が、台湾独立を阻止するために台湾を武力によって統一するという方針が出てくる可能性はゼロではない。その時、米国がどうするのか。確率は高くはないが、仮に直接的に米軍が関与すれば、最前線部隊は在日米軍になる。その結果、中国が、沖縄島をはじめ、佐世保、岩国、横須賀などの在日米軍基地を中距離ミサイルで攻撃する事態が起きないとは限らない。それをもって、安保法制における存立危機事態と認定すれば、日本は安保法制にのっとって米軍とともに戦争に関わらざるを得なくなる。台湾を戦場とした熱い戦争が始まれば、沖縄を初め日本列島も戦火に見舞われることは避けられない。これが最悪のシナリオである。安倍元首相や麻生副総理が、しきりにいう「台湾有事は日本有事」という主張は、このような事態を想定している。

 同じことは、朝鮮半島にも言える。朝鮮半島は北緯38度線に沿って南北に分断されたままの状態が続いている。1950年6月に始まり、1953年7月に停戦協定が結ばれた朝鮮戦争は、いまだ終結のめどはたっていない。朝鮮半島で戦争になれば、在韓米軍や在日米軍が、その中心を担うことはさけられない。その際、安保法制に基づいて、やはり「存立危機事態」と認定されれば、同じように日本が戦争に加わらざるをえないという事態は起こりうる。北朝鮮は、すでにノドンなど中距離弾道ミサイルを200発は持っており、在日米軍をめがけてミサイルが飛び交うこともないとは言えない。

 2022年秋、2度にわたり、日米韓3か国共同訓練が行われた背景は、ここにある。2022年9月30日、海上自衛隊は、日本海において米韓海軍との3か国による対潜戦訓練を実施した。訓練には、護衛艦「あさひ」、米軍から原子力空母「ロナルド・レーガン」、ミサイル巡洋艦「チャンセラーズビル」、ミサイル駆逐艦「バリー」(これらは横須賀配備)、及び原子力潜水艦「アナポリス」、そして韓国から駆逐艦「ムンム・デワン」が参加した(注7)。潜水艦「アナポリス」を北朝鮮の潜水艦と想定し、これを3国の艦船が探知・追跡することで相互運用性を確かめる訓練が行われた。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)能力の高度化を進める北朝鮮潜水艦に対応するために実施されたとされる。日米韓3か国合同訓練は、2017年4月3日~5日、済州島沖で展開している北朝鮮の潜水艦を探知、追跡することを想定した対潜水艦訓練として初めて実施された。今回は、それ以来約5年半ぶりの訓練である。

 更にその1週間後の10月6日には、護衛艦「ちょうかい」、「あしがら」が、米巡洋艦「チャンセラーズビル」、駆逐艦「ベンフォールド」(これらは横須賀配備)及び韓国海軍駆逐艦「セジョン・デワン」とともに、日本海において弾道ミサイル対処を含む戦術技量の向上及び米・韓海軍との連携強化を図るとする日米韓3か国でのミサイル防衛共同訓練を実施している(注8)。これらの訓練は、地域の安全保障上の課題に対応するためのさらなる3か国協力を推進し、共通の安全保障と繁栄を保護するとともに、ルールに基づく国際秩序を強化していくという日米韓3か国のコミットメントを示すものであるとされる。安保法制施行前に日米韓3か国合同訓練が行われたことはなく、自衛隊が、従来タブーであった日米韓3か国合同訓練に参加していくハードルが相当低くなっているのである。

 いずれにせよ、このようなシナリオが動き出すことは何としても阻止せねばならない。そもそも台湾問題は中国の内政に関わる課題である。日中国交正常化の際の日中共同声明を尊重すれば、他国である日本が台湾問題で軍事的に関与するなどということはあり得ない。一方、北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗し、敵基地攻撃能力を保有するなどということも、「北朝鮮との国交正常化」をまず目標とする日朝平壌宣言の根幹に反する行為である。ましてや、万が一、第2の朝鮮戦争が起きてしまった時、安保法制に基づいて日本が参戦するという事態も可能性がゼロとは言えない。こうした事態が勃発した時、日本の憲法9条が今のまま存在しているかどうかは決定的に重要である。9条があれば日本の軍事的関わりを相当程度、抑制することができ、せいぜい後方支援しかできないはずである。

 今、日本の防衛費を倍増し、反撃(実際は敵基地攻撃)能力を保有することは、軍事緊張をより高め、矛盾を拡大させ、<軍事力による安全保障ジレンマ>という悪循環をさらに深めるだけである。ウクライナ危機が問うていることへの答えは、防衛費増という軍拡ではなく、北東アジア非核兵器地帯などを切り口として、北東アジア地域に共通の安全保障体制を作る方向で外交的努力をすることである。日中国交正常化50年、日朝平壌宣言20年の今こそ、必要なことは軍拡ではなく、憲法9条の精神を活かした外交と対話であることを改めて確認せねばならない。

注:
1. 「日中共同声明」、1972年9月29日。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html
2. バイデン政権の「国家安全保障戦略」、2022年10月。
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2022/10/Biden-Harris-Administrations-National-Security-Strategy-10.2022.pdf
3. 「日朝平壌宣言」、2002年9月17日。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html
4.「『日韓の亀裂の修復』を和田春樹さんと考える」;『論座』2019年7月5日。
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019070200004.html?page=4
5.「拉致問題の解決その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する政府の取組についての報告」2019年度、外務省。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000099426.pdf
6. 第210回国会における岸田首相の所信表明演説。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/1003shoshinhyomei.html
7. 2022年9月29日, 海上幕僚監部「日米韓共同訓練について」。
https://www.mod.go.jp/msdf/release/202209/20220929.pdf
8. 2022年10月7日、自衛艦隊ニュース「日米韓共同訓練の実施について」。
 https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/2022/10/1007.html

2022年11月25日

憲法審査会レポート No.3

今週は 衆参いずれも 不開催

今週は(定例日が水曜日の)参議院憲法審査会、(定例日が木曜日の)衆議院憲法審査会、いずれも開催されませんでした。なお、来週以降のスケジュールは未確定です。自公をはじめとする改憲派諸政党はこのかん定例的開催を強く主張していますので、引き続きの注視が必要です。

【マスコミ報道から】

議員任期延長、各党主張に隔たり 緊急事態条項の創設巡り
https://mainichi.jp/articles/20221124/k00/00m/010/276000c
“衆院憲法審査会は24日、幹事懇談会を開き、緊急事態条項の創設を巡り国会議員の任期延長などについて各党の主張をまとめた論点整理の資料が衆院法制局から提示された。自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党の4党は12月1日に憲法審を開き、改正原案の作成に向けた意見集約に入るよう求めたが、立憲民主党や共産党は予算委員会での補正予算案審議中の開催に否定的で、合意に至らなかった。”

議員任期延長の議論加速も自公に溝 立民に日程闘争の兆し
https://www.sankei.com/article/20221124-HBVQTLGJIVLFHOXVPZ7YU6VKAQ/
“自民の新藤義孝元総務相は終了後、記者団に「緊急事態の議論が深まっている」と述べ、来月1日の憲法審開催を目指す考えを示した。”
“改憲勢力にとっては野党第一党の〝変化〟も気がかりだ。ここまで憲法審の開催に協力的だった立民が、予算審議と重なる可能性があるとして来月1日の開催に難色を示し始めたからだ。立民の中川正春元文部科学相は24日の幹事懇後、記者団に予算審議中は他の委員会は開かれないとの慣例に言及。「憲法審をやるとすれば改憲手続きに関する国民投票法に焦点を絞ろうと言っている」と説明した。”

2022年11月24日

ニュースペーパーNews Paper 2022.11

11月号もくじ

ニュースペーパーNews Paper2022.11

*表紙 米軍機オスプレイはどの空も飛ぶな!
*インタビュー・シリーズ:182
 核のごみとの長い闘いのスパンを見据えて
     久世 薫嗣さんに聞く
*「核なき世界」に向けた課題
*アメリカの反核活動から見えた NPTと汚染水
*「国葬」から考える今後の憲法改悪反対運動
*Jアラートは日本社会への警鐘―共に生きる社会を

2022年11月22日

「辺野古新基地建設の断念を求める請願署名」にご協力ください

2022年の沖縄県知事選でも辺野古新基地建設に反対する玉城デニー・沖縄県知事が再選を果たし、あらためて沖縄県民の反対の意思は一貫していることが示されています。

しかし日本政府および米国政府は、軟弱地盤の存在で事実上建設が不可能であるにもかかわらず、「辺野古が唯一」の姿勢を崩すことはありません。

今回、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が、「辺野古新基地建設の断念を求める請願署名」のとりくみを始めました。平和フォーラムとしてもオール沖縄会議の呼びかけに応えて協力しますので、ここにご紹介します。ぜひご協力ください。

辺野古新基地建設の断念を求める請願署名のお願い

【主催団体】辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議
(共同代表)稲嶺進/高里鈴代/金城徹/大城紀夫/糸数慶子

「沖縄県民総意の米軍基地からの『負担軽減』を実行して戴きたい」と、41市町村全ての首長、議会議長が署名・捺印し「オスプレイの配備撤回、普天間飛行場の閉鎖・撤去と県内移設断念」を求めた「建白書」が2013年1月、首相に手交されました。あれから10年、県民の総意は実行されていません。

辺野古新基地建設(「普天間飛行場代替施設建設事業」)に反対する民意は今も変わることなく、2022年の沖縄県知事選挙で改めて示されました。2019年2月の県民投票でも 72%が辺野古埋立てに反対し、今回を含めた3回の知事選挙で県民の意思は一貫しています。しかし、政府は、民意を尊重するという民主主義のルールを守ることなく工事を続けています。

県民は、これまでも米軍基地の過重な集中による負担を強いられてきました。辺野古新基地は、普天間飛行場にない軍港や弾薬庫の機能を備える拡大強化された米軍基地の新設であり固定化です。県民の願いは、基地の整理縮小・撤去であり新たな基地建設ではありません。

2019年2月の県民投票では、72%が辺野古埋め立て反対しました。知事選後、玉城デニー知事は「この真実に向き合わない政府は国民の意思に背いている」と訴えています。

埋め立て予定の大浦湾側には軟弱地盤があり、政府が工事を続けるには「設計変更承認申請」に知事の承認が必要です。知事は2021年11月、政府の「設計変更承認申請」に対して、法に基づき厳正に審査して「不承認」としました。これに対して政府は、国民のための権利救済を目的とした行政不服審査制度を濫用して2022年4月、不承認を取り消す「裁決」を行いました。現在、県は「不承認」は適法で、「裁決」が違法・無効として、その取り消しを求める訴訟を起こしています。

国は工費9300億円、今後の工期12年と公表しています。県の試算では、工費は2兆5500億円です。2022年8月までに投入された土砂量は、全体の12.3%にすぎません。県民が新基地建設に反対するのは、平和に生きる権利として当然であり、民主主義と地方自治の観点からも尊重されるべきです。県民は、これ以上の基地負担を受け入れることはできません。

署名を通して、沖縄の現状と県民の思いを知って頂くとともに、請願により民意を踏まえた国会論議を実現し、辺野古新基地建設の断念を勝ち取りたいと思います。

ご協力よろしくお願いいたします。

>>署名用紙( PDF )はこちらからダウンロードできます<<

◇請願署名用紙の提出先:お手数ですが、下記まで郵送でお願いします。
〒900-0021 那覇市泉崎2-105-18 官公労共済会館 B1 辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議
◇提出締め切り:2023年3月17日(金)
◇問い合わせ先:オール沖縄会議事務局長 福元勇司(電話 098-894-6407/ファクス 098-894-6417)

>>オンライン署名(総理大臣あて)はこちらから<<

2022年11月18日

憲法審査会レポート No.2

2022年11月17日(木) 第210回国会(臨時会)第4回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54208
※「はじめから再生」をクリックしてください

【会議録】

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025021020221117004.htm

【マスコミ報道から】

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221117/k10013894571000.html
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022111700841&g=pol
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17AOP0X11C22A1000000/
https://www.tokyo-np.co.jp/article/214565

【傍聴者の感想】

17日の衆院憲法審査会では、緊急事態条項を中心とした討議が行われました。

改憲派の委員たちが、(改憲派)各党の案には差異はあるとしてもその必要性については一致している、ついては法制局に論点整理を求めるなどと発言しており、改憲に向けたステップを早急にすすめようとする姿勢が見えました。

それに対し、社民・新垣委員の改憲発議に向けた論点整理は不要、それより国会法102条の6項に規定された憲法審査会の権能に基づいて国葬や統一協会といった憲法にかかわる重大な問題を検証すべきだという発言のほうが腑に落ちました。

また、自民・務台委員の護憲派をコロナ対策でマスクを着け続ける人と同様の(!?)世界の時流から取り残された「裸の王様」と揶揄する発言、維新・前川委員の憲法は権力者を縛るルールとしながら解釈改憲を許した9条は問題などという(理屈を転倒させた)発言、これらを憲法論議の実績としてカウントされてはたまったものじゃないな、と思いました。(Y)

【国会議員から】新垣邦男さん(社会民主党・衆議院議員/憲法審査会委員)

通常国会以降、毎週のように憲法審査会が開かれています。しかし、国民の関心が、目先の暮らし向きや景気の動向にある中、改憲論議のための論点整理や発議に向けた手続き論は不要不急です。社民党は、改憲発議に向けた地ならしとしての憲法審査会開催には、今国会でも明確に反対します。

他方、憲法審査会には「憲法に密接に関連する基本法制について、広範かつ総合的に調査を行う」権能が付与されています(国会法第102条の6)。

今、国民の耳目を集め、社会問題化している旧統一教会と国葬の問題です。旧統一教会をめぐっては、「宗教2世」に対する憲法13条の自己決定権や憲法29条の財産権の問題が議論となり、国葬においては、一個人を特別扱いすることが憲法14条の法の下の平等に反し、弔意の強制は憲法19条の思想良心の自由の侵害にあたる等と問題視されています。

これらの憲法上の問題について憲法審査会で議論する必要性を強く感じております。旧統一教会と国葬をめぐる問題を素通りしたまま、改憲項目の議論に踏み込んだところで国民の理解は得られないことを強調し、意見を申し述べました。

【憲法学者から】飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)

北側一雄議員(公明党)は「今日も、緊急事態における任期延長につきまして、多くの会派の委員の方々が、その必要性について方向性がかなり共有されているなということを実感いたしております。先の通常国会そしてこの臨時国会で、この緊急事態条項については相当議論もなされ、具体的な論点についてもほぼ出尽くしているというふうに思います」と発言しました。

それに対して社民党の新垣邦男議員は「国会の機能維持が重要だというのであれば、任期延長の憲法改正論議だけではなく、今まさに旧統一教会の問題を憲法審査会で審議すべきだと考えます」と発言しました。

自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党などは統一教会の問題を回避しての憲法改正論議をすすめようとしています。しかし、日本の市民の幸福と家庭を崩壊させてきた、外国の団体の影響を受けた憲法改正は「国民主権」からも正当化できません。衆議院でも統一協会と自民党改憲の問題は徹底的に追及されるべきです。

2022年11月16日

第59回護憲大会・分科会報告

第1分科会「現下の改憲情勢」

飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)による講演が行われ、初めての参加者も多かったことから分かりやすく、憲法とは何かということから始まりました。憲法とは、政治家に「こういうことを行う。こういうことをしてはダメ」という、権力者を縛るものである。法律は、国民を縛るものである、という分かりやすい説明がされました。その上で、

・憲法審査会は第208回通常国会で衆議院16回、参議院で7回開催され、改憲発議に向けての足固めだと思われ、改憲推進の政党から「十分な議論が尽くされた」との発言がされている。また、憲法第56条1項「両議員は各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ議事を開き議決することは出来ない」という国会への「出席」について、例外的に「オンライン出席」を認める憲法解釈をとりまとめた。これは改憲条文案の採択の先例となる運用につながる。

・改憲項目の「国会議員の任期延長」は自民・公明・維新・国民で意見一致し、「緊急事態条項」は、自民・維新・国民でほぼ意見が一致している。先ずは国会議員の任期延長について憲法改正を行うことも想定できるが、その場合の国民投票に係る費用は、総務省の試算で850億円となっている。

・改憲4党は、選挙をしないで議員という地位に居座りたいために、緊急事態を口実にしているのではないか。

・緊急事態条項とは、法を守らなくて良いということを許可することであり、1961年フランスで緊急事態条項を発令したら、48人が警察官に殺害された。憲法に書くということは、お墨付きを与えることである。

・憲法9条に自衛隊を明記すれば、「憲法上の組織である自衛隊の維持は政府の憲法上の責務であり、そのための徴兵制を実施する」との政府の主張が憲法的に問題ないとされる危険性もある。

・旧統一教会と自民党の関係、そして改憲に与える影響も危惧されている。旧統一教会と自民党の関係を解明することも必要である。

などと解説されました。

その後、岐阜、福井から、自民党や日本会議など改憲勢力の地域での動きや、憲法学習会のとりくみ報告や組織への展開が必要という報告がされました。埼玉の金子さんからは、改憲に向けて旧・統一教会の介入があることの報告がされました。

質疑応答では、各地でも護憲の運動展開を強めようと考えているが、市民への浸透・拡大が進まない。フォーラムから発信なりして欲しいという要望がありました。

勝島・平和フォーラム共同代表からは、現下の情勢に危惧している。今臨時国会から来年の通常国会に向けてとりくみを継続しながら、中央地方で情報の共有化を進めたい。もっとリアルに憲法審査会などの情勢を伝えるために、「憲法審査会リポート」をはじめとした情報発信、国会議員からのコメントを紹介するようなとりくみもすすめたいとの回答がありました。

最後に、運営委員のまとめで分科会を終了しました。

第2分科会「軍拡・基地強化」

「台湾有事」が懸念されるなか、中国に対する軍事的対抗力強化が進められおり、防衛費は際限なく拡大されようとしています。敵基地攻撃能力の保有を見据えた、防衛3文書の改訂が目論まれており、南西諸島のへの自衛隊配備強化の実態なども踏まえて議論しました。

防衛ジャーナリストの半田滋さんからは、ロシア軍のウクライナ侵攻前にアメリカによるNATO拡大の提案がロシアを刺激したように、アメリカ主導による中国包囲網が台湾有事に繋がりかねないこと、アメリカとの軍事一体化とともに日中関係が悪化してきた経緯について説明がありました。

日本においては、かつては憲法で保有できないとされていたミサイルや攻撃空母も防衛力の強化として保有されるようになっています。また、「隣国が怖いから」と敵基地攻撃能力の保持することや安全を求めた防衛力の強化が他国の疑いを強め、地域が不安定化する「安全保障のジレンマ」に陥ろうとしていると提起されました。台湾に米軍が実際に介入するとなれば、日本も安保関連法で規定される在立危機事態となり、在日米軍基地だけではなく、一体となって行動する自衛隊やその基地、さらには原発等の施設も標的になっても不思議ではないと述べられました。

会場からは「中国にとって台湾進攻という経済的に不合理な判断はあり得るのか」という質問に対して、半田さんはロシアのウクライナ進攻を例にあげ、「合理的な判断で戦争が起きるとは限らない」とし、この緊張は継続するとしました。

鹿児島や沖縄からの報告では、奄美において基地施設が拡大し、ミサイル配備がされるだけでなく、弾薬庫が市民の居住地に近くに設置されていることが報告されました。沖縄からは嘉手納基地において日夜問わず飛行訓練が行われ、爆音被害がすさまじく、沖縄の基地負担軽減は全く行われていないことだけでなく、普天間基地のオスプレイの配備が増強されていること等の報告がされました。

この他、会場や半田さんから防衛費の増額により自衛隊の人的不足を招き、徴兵制へすすまないかという懸念、南西諸島に軍備を配備しすぎることが中国への過剰な挑発になりかねないこと、今後沖縄をはじめ基地施設の近くで重要土地利用規制法が適用され、逮捕者まで出る事態になるのではないかという不安、南西諸島のミサイル配備は反撃能力の保有のみならず中国本土を狙えるものであることなど、多くの意見が出されました。

分科会のまとめとして、半田さんからは私たちのネットワークを駆使し、全国の自衛隊、米軍の動きに注視し、そこから日米の動きを読み解くことの必要性を指摘されました。米中の覇権争いに巻き込まれず、また、台湾有事等の対策のための防衛費増額の流れに対抗するためにも、外交努力によって平和な世界にしていく大きなうねりを作り出さなければならないことを確認し、分科会を終えました。

第3分科会「ジェンダー平等」

斉藤正美さん(富山大学非常勤講師)から「なぜ右派は『家族』を狙うのか〜統一協会問題から読み解く」をテーマに、問題提起がありました。

2000年代のバックラッシュについては、産経新聞や世界日報、正論などの右派メディアは大々的にに報道し、自民党と宗教右派とが連携して性教育や男女共同参画を攻撃した。旧統一教会の信徒が2000年代後半地方の男女共同参画推進員に応募し、統一教会による「家族重視」も視点や条例の「性的指向にかかわらず」という文言が同性愛、両性愛の権利擁護として入ることに危機感を持ち、新市長に働きかけ「性的指向」の文言が外された経緯が報告されました。

宗教右派と自民党の連携を旧統一教会と自民党議員の政策協定(「推薦確認書」)から紹介されました。①憲法改正、安全保障体制の強化、②家庭教育支援法及び青少年健全育成基本法の制定、③『LGBT』問題、同性婚合法化の慎重な扱い、④国内外の共産主義勢力、文化共産主義勢力の攻撃を阻止

狙いは、憲法24条と13条の改悪。自民党の改憲草案(2012年)で、個人よりも家族を重視し、家族の助け合い(=自助)を義務化、13条で「個人」を削除し、24条で新たに「家族の尊重」規定を創設。個人主義や夫婦別姓、ジェンダーフリー、同性婚、LGBTなどを否定し、そういった人たちの権利や人権を侵害している、と解説。最後に、「家族」の価値に注意を払い、警戒し、「家族の価値」を法制度化する動きのに警戒しながら憲法9条と24条をセットで考え、対策をとる必要がある、と述べられました。

続いて実行委員から90年代前半に旧統一協会が作成した性教育を攻撃したビデオの内容を紹介したのち、質疑応答が行われました。

・憲法24条「婚姻は、両性の合意のみ」の両性とは、人によって捉え方が違うもの。

・憲法改悪運動は、草の根的に行われていて決して侮れることはできない。

・核家族、女性、働き方改革、従軍慰安婦、親学、中絶などの問題において、右派は、考え方は、内部で一致するが現場ではぶつかるのでは?

・国や地方で女性議員が少ない、変革するには、沢山の女性議員が必要。

・パートナーシップ制度を巡って、自民党議員が少子化の原因と発言、しかもLGBT達の人へ差別発言を行った。自民党の憲法改悪において、特に9条と24条を改悪は、人権侵害。

・教員だが性教育への攻撃に危機感を覚えた。家族の形についても問題提起があったが、子どもにトラブルがあった時、解決を家庭に求めてしまう時がある。2000年代に、学校で男女混合名簿の取り組みがあり、当時は導入に向け大変な苦労があった。連合での活動で、男女平等参画には、女性だからではなくあなただから参加するでなければならない。

・この間の衆参議員選挙では性的少数者の当事者が声を上げた。結果には繋がらなかったが、政治を変えていくには必要。斉藤先生の意見やエールを伺いたい。

といった質問や意見が出されました。

斉藤先生からは、

・両性とは個人であり、男女だけではない、同性婚が認められるべき。

・右派の草の根運動は、女性を見下していることを批判した、リベラル派もやるべき。自民党や右派は、戦前回帰路線ではなく、新自由主義など巧妙に利用し、核家族、女性、働き方改革、従軍慰安婦、親学、中絶などを改悪しようとしている。

・憲法改悪案は、個人の人権を侵害しており、1人の人としての権利を尊重する人権教育が重要だ。

・当事者が政治家となり、活動する事が他の当事者へう勇気を与える。女性やマイノリティが政治の場にいないと変わらない。護憲大会でも59回目でジェンダー平等をメインテーマにした分科会が開催されるのが初めてということに象徴されている。組織が力を入れて環境づくりを行う事が大事と応答されました。

最後に運営委員からまとめの挨拶で締めくくり、分科会を終了しました。

第4分科会「憲法を学ぶ」

衆参両院ともに改憲勢力が3分の2を超え、改憲発議も近いのではないかという情勢の中、改めて自民党の憲法改正の内容、問題点、その背景などを明らかにし、今後の運動課題を確認しようと分科会がもたれました。

はじめに、清水雅彦さん(日本体育大学教授)から「改憲勢力は憲法の何を『目の敵』にしているか」と題し、提起を受けました。清水さんはまず、2012年の自民党の憲法改正草案の内容と問題点をあげ、「近代」という価値観を否定した前文や、天皇の元首化、自衛権の明記と国防軍規定、人権の制約など、現行憲法との違いを説明しました。

その上で「「個人よりも国家を優先し、家族重視という復古主義改憲であるとともに、競争と格差容認の新自由主義的考えも挿入していることを見逃してはならない」と指摘。「ただし、この形のまま全面改憲案を提出するのは難しいことから、2018年の4項目の改憲案となった。しかし、自民党がめざす最終目標は12年の改憲案だ」と強調しました。

次にその4項目の「緊急事態条項」「9条への自衛隊明記」「参院の合区解消」「教育の充実」について、それぞれの内容と問題点が提起されました。これらは、現行憲法の規定と矛盾するものであったり、さらに憲法を活かすようにすべきもので、「改憲の必要性はない」と明言しました。

清水さんは、こうした改憲論議の背景にある旧統一教会や右派勢力の主張、さらに維新の会や国民民主党の改憲案にも言及。最後に今後の課題として「改憲発議をさせないよう、国民投票で相手に負けを意識させ断念させる運動をつくる。そのため、各地で労組と市民と野党の共闘を作り、来年の統一地方選挙を闘い、今後の衆院選挙で政権を取る運動が必要」と呼びかけました。

提起を受け、参加者からは「9条以外の改憲論は受け入れられやすい。どう訴えればいいか」「野党や労組の共闘と共産党との関係をどう考えるべきか」「朝鮮や中国の動向が伝えられる中で軍備強化反対は言いづらい」「4項目改憲ということで我々の運動も切迫感がなくなっている」など、活動を進める上での問題点が出されました。

また、「全日建で労働権を無視する不当弾圧を受けている。支援をお願いしたい」「教諭の経験からも日本の教育費が低すぎる」との訴えも出されなど、9名から発言があった。

最後に「改憲論の真の狙い、最終的な目標をしっかり見定め、地域や職場、組合などの場できちんと伝え、声を上げ、改憲勢力の『目の敵』になろう」などのまとめを確認しました。

 

 

 

 

2022年11月15日

憲法を 変えることより 活かすこと 第59回護憲大会を愛媛県・松山市で開催

11月12日から14日にかけ、愛媛県・松山市において、「憲法を 変えることより 活かすこと 憲法理念の実現をめざす第59回大会」(第59回護憲大会)を開催し、650人の参加を得た開会総会をはじめ、分科会・ひろばやフィールドワーク、そして閉会総会の3日間の日程のなかで全国各地の参加者とともに改憲発議阻止・軍拡反対のとりくみを強めることをを確認しあいました。

一昨年(滋賀県・大津市)、昨年(宮城県・仙台市)と、コロナ禍のなかで日程短縮や規模縮小を余儀なくされてきました。本年についても従前どおりまでではないものの、感染症対策をしっかり行うこととできる限りの規模や内容の充実の両立を追求してきました。地元・愛媛の皆さんのご尽力もあり、本大会を成功裡に開催することができました。

12日の開会総会では、勝島一博・実行委員長(平和フォーラム共同代表)から開会あいさつを行い、続いて越智勇二・副実行委員長(愛媛県平和運動センター議長)が開催地からの歓迎あいさつ。また、則松佳子さん(連合副事務局長)、近藤昭一さん(立憲民主党企業・団体交流委員長)、大椿ゆうこさん(社会民主党党首)から連帯あいさつがありました。そして、大会基調案を田中直樹・事務局長が提案し、現在の憲法をとりまく情勢、とりわけ改憲と軍拡をめぐる動きを踏まえつつ、本大会の意義を確認しました。

本大会メイン企画は「国交正常化50年 対話の扉を大きく開きアジアの緊張緩和と世界平和への貢献を!」をテーマに、杉浦ひとみさん(弁護士)のコーディネートの下、内田雅敏さん(弁護士)、林千野さん(日中関係学会副会長)、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)によるシンポジウムを行いました。

13日午前は「現下の改憲情勢」「軍拡・基地」「ジェンダー平等」「憲法を学ぶ」の4つの分科会を開催し、それぞれのテーマでの問題提起と質疑応答が行われました(→分科会報告はこちらをご覧ください)。また、並行して松山市内の人権史跡をめぐるフィールドワークも実施。午後には「伊方原発問題」「基地問題交流会」「映画上映会」の3つのひろばを行いました。

14日は閉会総会を行い、福島原発の汚染水海洋放出問題、神奈川での人権条例をめぐる動き、馬毛島での基地建設強行、沖縄をめぐる現状が報告されました。田中直樹・事務局長からは3日間全体の内容について総括的にまとめ報告を行いました。次回の第60回大会開催予定地が新潟県であることが発表され、新潟から成功に向けた決意表明がありました。大会アピール案を谷雅志・副事務局長が提案し、全体の拍手で確認しました。

安倍・菅政権から岸田政権と変遷してきましたが、いまなお憲法の危機は続いています。また、私たちの平和・いのち・人権をめぐってはいっそう厳しい状況にあります。平和フォーラムは本大会の成果をしっかりと見据え、活かしながら今後の活動をすすめていきます。

開会総会アーカイブ動画

閉会総会アーカイブ動画

憲法を 変えることより 活かすこと
憲法理念の実現をめざす第59回大会アピール

日本国憲法が公布されてから、76年が経過しました。日本国憲法は、「平和主義」、「主権在民」、「基本的人権の尊重」を定めました。これが、日本国憲法の最も大切な三原則であり、私たちが、この間、一貫して共有してきた理念です。

新型コロナウイルス感染症の流行は3年におよび、すべての市民がこれまでの生活様式の変更を強いられてきました。感染症の流行は個人の心身にとどまらず、経済、仕事、教育などあらゆる領域に深刻な打撃を与え、まさに日本国憲法で保障された「基本的人権」が脅かされています。私たちは、傷んだ暮らしと安全を立て直し、日本に暮らす全ての人が「生命、自由および幸福追求」の権利と「健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利を実現できる社会の創造を強く政治に求めます。

ロシアとウクライナの戦争は、厳しい冬に向かう中いまだ停戦は実現せず、「核の脅し」、生活インフラへの攻撃などさらにエスカレートしています。世界的規模で軍事的緊張が高まり、戦争から生じた食糧やエネルギーの価格高騰は世界中の市民、とりわけ弱い立場の人により強く影響しています。私たちは、一刻も早い停戦に向け、声をあげ続けるとともに、日本政府に対しては憲法9条を有する国としてのさらなる外交努力を求めます。

安倍元首相の殺害に端を発して強行された国葬、および統一教会との癒着問題については、徹底した検証と事実の究明を求めます。自民党など保守勢力が右翼的な宗教団体などと結びついて「草の根」的保守運動を展開してきたことが明らかになりつつあり、強い危機感を抱きます。私たちは、個人の尊厳を基本としながら、女性や性的マイノリティーの権利確立の重要性を再度確認するとともに、被差別部落や在日朝鮮人などへの差別煽動をけっして許さず、すべての外国人の人権が保障された多文化共生社会の構築をめざします。

3年ぶりに多くの仲間が顔を合わせて護憲大会を開催できたことは、大きな意味を持ちます。私たちの社会は、まさに歴史的な転換の境目におかれています。安倍・菅政権が強権的に制定してきた戦争法(安保法制)をはじめとするいくつもの戦争を準備する法制度の帰結として、岸田政権は「専守防衛」すら覆し、敵基地攻撃能力の保有など軍備の拡大に向かおうとしています。格差の拡大、社会保障の改悪はさらに進行し、「生きづらさ」を抱えた多くの人が、未来に希望を持てない社会になっています。そのような状況の中で、憲法理念がますます軽視され、憲法改悪が現実的な動きとなっています。

私たちは、今回の護憲大会のなかで危機感を共有するとともに、ともにたたかう仲間から大きな励ましを得ることができました。「改憲発議阻止、軍備増強を許さない」たたかいを中心に据え、さまざまなたたかいをこれと連動し、全国で運動の広がりと盛り上がりをつくっていきましょう。ともにがんばりましょう。

2022年11月14日
憲法理念の実現をめざす第59回大会

2022年11月11日

憲法審査会レポート No.1

はじめに

平和フォーラムでは、改憲発議をめぐる攻防が重要な局面にあることを踏まえ、国会における改憲議論、とりわけ衆参における憲法審査会の動向に注視し、全国の皆さんと情報共有しながら、改憲阻止にむけたとりくみのいっそうの強化をはかりたいと考えています。

本レポートの内容をぜひご活用ください。当面週1回程度の更新を予定していますが、開催状況などに応じて更新していきます。

※議事録や議員や学者のコメントを、随時追加していきます。

2022年11月9日(水) 第210回国会(臨時会)第2回 参議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7110

【会議録】

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detailPDF?minId=121014183X00120221003

【主な発言項目】

https://www.kenpoushinsa.sangiin.go.jp/keika/hatsugen_210.html#d1_hatsugen

【マスコミ報道から】

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221109/k10013885821000.html
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022110901030&g=pol
https://www.sankei.com/article/20221109-YVGYYYTCUNPQNBC6T4ZT72E22U/
https://www.tokyo-np.co.jp/article/213036

【傍聴者の感想】

今臨時国会における参議院憲法審査会は、会長および幹事の交代に伴う事務的手続きを行った10月3日開催の第1回に引き続き、2回目です。

今回は各会派からそれぞれの主張があった後、一人3分の発言時間を目安に意見交換が行われました。とくに印象に残った発言として、自民党松川議員は「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある憲法前文を取り上げ、「自分の国は自分で守るべきであり、他者に生存権を委ねてはいけない」という内容の発言をしました。この前文解釈について、審査会でもざわつきが見られました。その後、立憲民主党小西議員から「もう少し憲法を勉強した方が良い」という発言もあり、さらに松川議員がそれに反応するといったやりとりがあったことがこの日の印象に残る出来事でした。

憲法改正を望む国民の声に緊急性がなく、その前に生活と暮らしをどう守っていくのか議論すべき、という考えと、国民が望んでいるかどうかよりも、それが必要だから議論すべき、という考えの、根本的な溝は大きく、埋めていくことは困難であると感じました。(T)

【国会議員から】吉田忠智さん(立憲民主党参議院議員/憲法審査会幹事)

参議院憲法審査会が11月9日に行われ、立憲民主党の次席幹事として参加しました。

立憲民主党は冒頭、小西洋之議員(筆頭幹事)が会派を代表して「憲法審査会の役割は、憲法違反問題を議論することが主眼である。憲法改正の発議をする前に、憲法や問題をしっかり議論をして、そして法律で対処できるものは法律で対処すべき」と主張しました。また、「2015年の安保関連法の集団的自衛権を行使できないという憲法解釈を変えて、米軍と一体的に自衛隊を活動できる法整備が行われたことも明らかに問題であり憲法違反である」との立場で議論を行いました。

今、衆議院、参議院でもそうですが、特に参議院の一票の格差の問題で高等裁判所での違憲判決も最近続いています。その一票の格差の問題、そして関連する参議院選挙区の合区の解消の問題もしっかり議論していかなければなりません。併せて、安倍元総理の銃撃事件をきっかけにして、旧統一教会の問題も出ています。政治と宗教の関係、また強行された安倍元総理の国葬に関わる問題、これも憲法上、様々な問題が生じています。

国民投票法改正案についてもCM、インターネット規制、最低投票率の問題、また公務員の国民投票運動等の課題についてもしっかり議論し、解決していかなければなりません。そうした意味では、未だ改憲国民投票の条件整備が整っていないと考えます。

私は、憲法審査会の中で、これまで日本国憲法が、施行以来75年間改正されなかった理由を三つ申し述べました。「第1は、日本国憲法がよくできていること。第2は、国民が憲法を変えることを望まなかったこと、第3は、これまでの社会経済情勢の変化を踏まえ、法律の制定や改正で補完してきた結果として、一度も改正されませんでした。今後とも、そうした日本国憲法の良き伝統、経緯を踏まえ、参議院は熟議の府、良識の府である事を踏まえ、参議院らしい慎重で冷静な憲法議論が参議院憲法審査会で行われるべき」と強く訴えました。

これからも参議院憲法審査会の一員として、また立憲民主党の憲法調査会の会長代理として、「今大事なことは、憲法を変えることではなくて活かすことだ」と自分に言い聞かせながら、私に与えられた役割を果たしていきます。

【憲法学者から】飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)

日本の市民の幸せと家族を崩壊させてきた、反社会的団体の統一協会の影響を受けた可能性を否定できない憲法改正など論外です。統一協会と自民党の改憲問題は徹底的に追及されなければなりません。

この点、参議院の憲法審査会では統一協会と自民党の改憲の問題が徹底的に追及されています。発言順に、小西洋之議員(立憲民主党)、仁比聡平議員(日本共産党)、熊谷裕人議員(立憲民主党)、吉田忠智議員(立憲民主党)、福島みずほ議員(社会民主党)、石川大我議員(立憲民主党)、辻元清美議員(立憲民主党)が統一協会の改憲問題を追及していました。

今後も統一協会と自民党の改憲論・改憲運動の関係が徹底的に追及される必要があります。

2022年11月10日(木) 第210回国会(臨時会)第3回 衆議院憲法審査会

→第2回のレポートはこちら

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54190
※「はじめから再生」をクリックしてください

【会議録】

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025021020221110003.htm

【マスコミ報道から】

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221110/k10013886881000.html
https://nordot.app/963358522768474112
https://www.tokyo-np.co.jp/article/213262
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20221110-OYT1T50276/

【参考】

飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)執筆コラム「壊憲・改憲ウォッチ」第18回
「国会議員の任期延長の改憲論議について(1)」
http://www.anti-war.info/watch/2211151/

【傍聴者の感想】

前回の審議を受け緊急事態条項、特に議員の任期延長に関する内容が中心でした。早急に結論に導きたい自民党に対し議論を深めて進めるべきと立憲民主党が指摘するなど各党の意見は分かれていますが、議論の焦点が定まっていたためか議場は前回に比べ全体的に集中した雰囲気が感じられました。

一方で、公明党・吉田宣弘委員がグローバル化する日本社会に憲法がどう対応するかという問題を挙げ、外国に在留する日本人、日本に在留する日本人の存在、特に憲法13条にある「個人の尊厳の実現」の「個人」には外国人も含むとした発言が印象的でした。

各発言時の議場の委員の表情、仕草を見ていると、多様な意見がまだまだ議論される可能性はあると感じます。そのために私たちの声をさらに強く伝えていく意義を改めて感じました。(N)

【憲法学者から】飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)

自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、有志の会は緊急事態に際しての国会機能の維持(立法機能、行政監視機能)のため、国会議員の任期延長の憲法改正を主張しています。

緊急事態に際しても立法機能、行政監視機能は重要です。しかし2020年、2021年のコロナ感染拡大の際、自公政権は市民のいのちとくらしを守るための適切な立法をしませんでした。数か月も国会を開きませんでした。
自民党や公明党に「立法機能」は重要だと主張する資格はあるのでしょうか?

2017年、森友学園問題の解明のため、憲法53条に基づく国会召集要求がなされました。しかし安倍自公政権は98日間も国会を開催しませんでした。

自民党や公明党に「行政監視機能」を主張する資格があるのでしょうか?

なにより、緊急事態を名目にして、選挙もせずに国会議員をその地位に留まらせる改憲論議に市民が納得すると改憲4政党の国会議員は思っているのでしょうか?

国会議員を選挙もせずにその地位に留まらせることを可能にする、国会議員の任期延長の改憲論。こうした改憲論、私たちは認めるのでしょうか?

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