2月, 2026 | 平和フォーラム

2026年02月10日

【平和フォーラム声明】第51回衆議院議員選挙の結果を受けて

平和フォーラムは2月10日、以下の声明を発表しましたので、お知らせします。

第51回衆議院議員選挙の結果を受けて

2月8日に投開票された第51回衆議院議員選挙(小選挙区289、比例代表176)は、与党・自民党が公示前から一気に118議席を増やして316議席となり、少数与党の参議院で法案を否決されても衆議院で再可決できる3分の2を超える議席を獲得するという結果となりました。単独政党が3分の2にあたる議席を確保するのは戦後初めてとなります。

自民党と連立を組む日本維新の会は、公示前から2議席を増やして36議席となり、与党は衆議院の過半数(233議席)を大きく上回る352議席となりました。一方、公示日直前に結党された新党「中道改革連合」は、公示前勢力の167議席から大きく減らし、49議席にとどまりました。旧公明党系議員を比例選挙区の名簿順位で優遇し、小選挙区で旧立憲民主党系議員を支援することとしましたが、当選者は旧公明党系議員が公示前の21人から7人増えたのに対し、旧立憲民主党議員は公示前の144人から21人と8割以上も減らしました。大勝した自民党以外でも日本維新の会や国民民主党、参政党やチームみらいも議席を増やし、主要政党では旧立憲民主党が「独り負け」という結果になりました。

高市首相は昨年の臨時国会中は「解散を考えている暇はない」と繰り返していましたが、年が明けるや一転して通常国会冒頭の解散を決めました。歴代首相は当初予算案や関連法の年度内成立を優先して年明け早々の解散を避けてきましたが、高市首相が通常国会冒頭の衆議院解散を決断したのは、野党の選挙準備が整わず内閣支持率が高いうちに選挙に打って出て、自民党の議席を増やし政権基盤を安定させる狙いがあったはずです。さらに昨年11月の台湾有事に関する国会答弁により、日中関係はかつてないほど悪化しています。今後の中国の対応次第では、高市政権が看板政策として掲げる経済にも多大な悪影響を及ぼす可能性があります。その他にも本人は否定していますが、旧統一教会との深い関係を週刊誌に報じられるなど、国会で予算委員会が始まると野党から厳しい追及を受け、支持率が低下する可能性がありました。

1月19日、記者会見で解散を表明した高市首相は、解散の理由を「国論を二分する政策に挑戦する」と4度も繰り返しましたが、国論を二分する政策が何を指すのかは明らかにせず、「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか、今、主権者たる国民の皆様に決めていただく。それしかない」と胸を張ってみせました。「国論を二分する政策」を自民党と日本維新の会の連立政権合意書にある主な政策から推察すると、「スパイ」防止法、対外情報庁の創設、防衛装備輸出制限「5類型」の撤廃、防衛力の抜本的強化、日本国国章損壊罪、皇室典範改正、旧姓使用の法制化、外国人政策の厳格化、そして自民党が党是とする憲法「改正」などが考えられます。これまでの自公政権でブレーキ役だった公明党が連立を解消し、保守色の強い政策を掲げる日本維新の会と連立を組んだことにより、これまでの自公政権では示されなかった保守色の強い、国の根幹にかかわる重要政策の大転換を図っていく狙いは明らかです。

昨年12月18日には、首相官邸の幹部が個人の見解と断りながらも「日本は核兵器を保有すべきだ」との考えを示しました。世界で唯一の戦争被爆国である日本は、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を堅持してきました。日本が核開発に乗り出せば、日本も加盟する核不拡散条約(NPT)体制崩壊の引き金を引くことになりかねず、国際社会からの批判は必至です。事態を重く見た原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は、この官邸幹部の発言に対しただちに抗議声明を発出しました。

2026年度予算の年度内成立が極めて困難となり、極寒の雪国では選挙活動や投票行為の困難さが指摘され、「大義なき解散」という批判も相次ぎました。高市首相は各党の党首が集まる討論番組では直前の連絡で欠席を伝え、欠席の理由を「手の治療」としましたが、その後の遊説活動は予定どおりに行っているばかりか、討論番組の2日前から何人かの自民党議員に代役を打診していたことも明らかになっています。

2月1日に行われた高市早苗首相の街頭演説では、進行する円安について輸出産業の利益などに触れ、「今、ホクホク状態だ」と発言したことに「物価高で家計が苦しいなかで、為替は一般市民に直接の関係はなく、呑気すぎる」と批判を浴び、みずほ銀行は、「みずほマーケット・トピック高市演説を受けて〜危うい現状認識〜」(2026年2月2日) で、「前時代的な発想」だと警鐘を鳴らす異例のリポートを発出しています。

今選挙の公示日の1月27日から7日間で、SNSなどの自民党の動画再生回数は昨年の参議院選挙よりも4割近く増え、その内容は高市首相への言及が多く、高い内閣支持率が背景にあるとみられます(毎日新聞)。自民党は今回の選挙戦で、“高市推し”や“サナ活”など社会現象にまでなった党首人気を最大限に利用しました。高市人気で無党派層を掘り起こし、終盤に向かうに従ってその勢いは増しました。「失われた30年」と言われる社会全体の閉塞感の中で、強い物言いや対外的にもひるまない姿勢を演出する高市首相の高い支持率は、「現状を変えてくれるかもしれない」という有権者の期待の表れです。

新党「中道改革連合」は中道勢力の結集を掲げましたが、「中道」が何を指すのかも明確に伝わらず、与党への対抗軸として有権者が期待を寄せる存在にはなりませんでした。突然の解散から新党結成と政治情勢が大きく動く中、中道改革連合の理念や政策を浸透させることが困難であったとはいえ、一強与党対多弱野党の政治情勢に戻した責任は重いと言わざるを得ません。しかし、野党のチェックアンドバランスがなければ民主主義は機能しません。わかりやすい包摂的な言葉で、多くの市民に伝わる形で現政権の問題を指摘することが、野党には求められています。

今回の選挙結果は、これからの日本の進路の大きな分岐点となる可能性があります。私たちはそのことを重く受け止めなければなりません。今問われているのは、分断と対立を煽るポピュリズムや右傾化する政治の流れにどうブレーキをかけるかです。戦後80年が過ぎ、この間日本は一度も戦禍にまみれることはありませんでした。一貫して平和国家としての道を歩み、経済成長を遂げました。私たちの運動の成果であることに自信と確信を持てるものです。

しかし、世界では依然として多くの戦争や紛争が起きています。終戦から80年の節目の年が過ぎ、戦争の記憶を継承し平和な未来を築くための運動はより重要視されています。「フォーラム平和・人権・環境」の結成から四半世紀が過ぎました。誰一人取り残さない、軍備拡張ではなく市民の生活第一、対立ではなく対話の政治を取り戻すために、対米追従を強め軍備拡張や憲法「改悪」を目論む高市政権に真正面から対峙し、これまでの取り組みをさらに強化する決意を明らかにします。

2026年2月10日
フォーラム平和・人権・環境
共同代表 染 裕之
共同代表 丹野 久

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