2025年、集会等の報告
2025年04月18日
平和フォーラム第27回総会を開催しました
4月16日、東京・連合会館において、「フォーラム平和・人権・環境第27回総会」を開催し、2025年度の運動方針を討論・決定しました。その際、以下の総会決議を採択しましたので、ここに掲載します。
戦後80年、平和を希求し基本的人権が尊重される社会の実現をめざす決議
1947年施行の日本国憲法は、先の大戦の敗戦から80年が経つ日本の政治と社会を形づくってきました。憲法が戦後日本の民主化の旗印となる一方で、連合国軍総司令部の占領下に制定された経緯から、保守勢力から「押しつけ憲法」と非難する改憲論が提起され続け、憲法の基本理念の一つである平和主義を掲げる憲法9条は、常に政治的対立の焦点となってきました。
アジア・太平洋諸国に多大な被害を与え、大きな犠牲を払った敗戦の焦土からの再出発に、多くの日本人は新憲法を受け入れ、どんな理由があろうとも二度と戦争はしないと誓いました。日本国憲法は戦後の混乱と絶望の時代から今日まで、人々の平和と民主主義を求める希望と生きる勇気、平和な社会の大切さを示し続けました。しかし、直近の世論調査では「今後、戦争をする可能性がある」とした人が約半数に上るなど、再出発を誓った憲法の平和主義が危うい岐路に立たされています。
戦後、民主化に向けたさまざまな改革が行われました。婦人参政権の実現や男女平等を定めた新憲法など、女性の社会進出と地位向上への条件も整えられました。今日では基本的人権を巡って、ジェンダー平等やLGBTQなど性的少数者の権利保障や多文化共生といった多様性の尊重が課題となっています。社会の変化に応じた国の将来像を構想する必要があります。憲法改正を行う主体は、憲法で縛られる側の国会ではなく、主権者である私たち自身です。ここに立憲政治の核心があります。
ロシア軍のウクライナ侵攻は4年目に入りました。エネルギー施設への攻撃停止などの合意が守られていないとする双方の非難の応酬が続き、ロシア軍の撤退や停戦合意の目途は立っていません。イスラエル軍のパレスチナ・ガザ地区への攻撃によるガザでの死者数は5万人を超えました。停戦交渉も先行きは見通せず、人道危機は深まるばかりです。国際社会の戦火は広がり、対立と分断が深まる一途です。強者が弱者を力でねじ伏せる時代に、時計の針を巻き戻してはなりません。
日本政府は、中国の軍拡や朝鮮半島の緊張の高まりなどを挙げ、この10年余りで安全保障政策を大きく変容させました。安倍政権は、歴代内閣が踏み込まなかった集団的自衛権の行使を憲法解釈の変更で認め、自衛隊の活動範囲を広げました。岸田政権は、防衛力の抜本的強化を掲げて安保3文書を国会の審議も経ずに閣議決定し、他国への敵基地攻撃能力保有や防衛費の倍増に踏み出しました。憲法9条に基づく平和主義を空洞化し、踏み越えようとする大転換です。米軍と自衛隊の指揮統合も進み、戦争に巻き込まれるばかりか自ら戦端を開きかねない情勢で、その矢面に立たされているのが沖縄・南西諸島や九州です。中国の海外進出などを念頭に「反撃能力」として使用する長射程ミサイルを配備していくとみられ、関連する部隊や施設は有事の際の攻撃対象となり得ることから、地元住民の心理的な抵抗や不安が高まっています。
戦前の軍国主義教育の反省に立ち、戦後教育は個人の尊厳を重んじ、平和を希求する人間の育成を掲げました。私たちが求めているのは、自由で安全なくらしと、すべての人の基本的人権が尊重される社会であり、立憲主義と法の支配により権力者を縛る主権在民の民主主義社会です。
平和フォーラムは、常に一人ひとりの命の尊厳を基本に据えてとりくみを積み重ねてきました。今を生きる私たちには、未来の子どもたちに胸を張って民主的で平和な社会を引き継ぐ責任があります。
日本国憲法の理念のもと、これまでのとりくみの正しさに胸を張り、これまでの成果を引き継ぎ、私たちが歩んできた道をゆるぎない信念を持って進むことを、今総会の参加者で確認し宣言します。
2025年4月16日
フォーラム平和・人権・環境第27回総会

