2010年、トップランク、集会等の報告

2010年05月03日

施行63周年憲法記念日集会開く


集会の様子

5月3日、平和フォーラムは「施行63周年憲法記念日集会」を600名の参加者のもと日本教育会館ホールで開催しました。世界各地でなお戦争が絶えない今日、日本の平和憲法を高く評価する声はアジアをはじめ世界に広がっています。昨年9月誕生した鳩山新政権は「憲法の保障する諸権利の実現を第一」とし、東アジア共同体を提唱しました。また、本年は日米安保改定50年の節目の年であること、とりわけ普天間基地撤去や新基地建設を許さない沖縄問題の大きな山場であること、5月18日に問題の多い「改憲手続法」施行となることを踏まえて、憲法を具体的に生かしていくために、「新政権・アジア・安保50年・沖縄をめぐって憲法を語る」をテーマとした学習集会として開催されました。
集会では、平和フォーラム代表の江橋崇法政大学教授の主催者あいさつと講演「新政権と憲法」、河辺一郎愛知大学教授の講演「アジアのなかの日本~安保改定から50年」、沖縄から平和運動センター副議長の松田寛さんの報告と提起、最後に日朝国交正常化連絡会共同代表でもある清水澄子平和フォーラム副代表が「韓国併合100年と私たちの課題」と題した報告と提起を行いました。
このうち、河辺教授は、最初に平和憲法を生かす側が安保・自衛隊や軍事を問題にしてきたが日本の戦後外交をあまり問題にしてこなかったと提起。アメリカからアジアの中の日本を見てみると、日本の外務省や保守派がいかに歴史認識を欠いたアメリカ追従の外交を行ってきたかを指摘し、アメリカの保守派ですら小泉元総理の靖国参拝を脅威に感じ、日本の外交に警戒心をもっていたとしました。米国は北朝鮮と関係を悪化させても対話の道を閉ざしていないにもかかわらず、日本は2006年、北朝鮮のテポドン発射後日本は直ちに経済制裁を発動。国連憲章第7章に関わる行動が行われてきた問題点を指摘しました。日本の過度の反応にアメリカ国内で警戒心が高まり、翌年6月、米下院で従軍慰安婦問題非難決議が採択されたことなどを指摘しました。その上で、日米の戦前・戦後の関係に広く言及し、モンロー主義で自国外の戦争に関わらないできた米国を、日本のパールハーバー攻撃や玉砕戦が戦争に駆り出し、徹底殲滅へと向かわせた問題に触れました。戦後米国が「核抑止論」を生み出し、世界中にNATO(北大西洋条約機構)や日米安保条約といった軍事同盟を張り巡らせるきっかけをつくつたのは「日本」だと指摘。安保体制を誕生させた基盤は日本軍国主義であり、その最大の犠牲者が沖縄だとした上で、「歴史認識の問題を含め、45年から今まで対外的に何をやってきたのかを踏まえて、2010年以降の展望を議論しないといけない」と訴えました。
また、松田寛沖縄平和運動センター副議長は、普天間基地返還問題で「鳩山首相は『最低でも県外』の公約をしっかり果たしてほしい」「1996年の普天間返還合意で、県民は声を上げることが政治を動かすと実感した。その声を無視すれば、これまで以上の反対運動になる」と強調。「基地がどう米軍の抑止力を保っているのか、国から何の説明もない。日米両政府は、県民の意識が変化したことを認識すべきだ」と訴えました。
清水澄子日朝国交正常化連絡会共同代表は、今年は日本が朝鮮半島を植民地にしてから100年目。日清・日露戦争、朝鮮王妃閔妃殺害、1910年の日韓併合へとつながる軍国主義日本の蛮行を厳しく批判、「朝鮮民族は土地を没収され、ことばや名前を奪われ、天皇への忠誠を強制され、侵略戦争に軍人・軍属として徴用され、女性は日本軍『慰安婦』として性奴隷にされた。日本の過去の清算は、拉致問題以前に解決すべき行為だ」と述べ、「日本が朝鮮半島で何をしてきたのか、どういう関係があるのかという歴史認識を明確にしなくてはならない」と強調。「韓国併合100年の今年こそ日朝国交正常化の交渉を再開させ、2002年のピョンヤン宣言に基づいて過去の清算を果たし、日朝基本条約締結が図れるよう政府への要求行動を続ける」と訴えました。

→ 河辺一郎教授レジュメ

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