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第47回食とみどり、水を守る全国集会分科会報告

2015年11月28日

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第1分科会「入門講座」
参加者=97人

 「加賀野菜の魅力を語る」
講師=大藏捷直さん(金沢農業大学校 学校長)

 「加賀野菜」とは、昭和20年以前から栽培され、現在も主として金沢で栽培されている野菜として定義されています。大藏さんからは、藩政時代より金沢の地域・風土に根ざして栽培されてきた伝統的な加賀野菜が、耐病性や均一化、大量生産・大量輸送を求める戦後の時代背景のなかで、その生産農家が激減していった歴史的経過が述べられました。一方で加賀野菜の保存・継承や生産振興の機運が高まるなかで、地元農産物のブランド力の向上を図るために関係機関が連携して金沢市農産物ブランド協会を設立し、現在では15品目が加賀野菜として認定され、生産振興と消費拡大が図られている現状が説明されました。
講演では、実物の加賀野菜が展示され、参加者は加賀野菜の持つ独特の色・形やその瑞々しさを手に取って体感しながら、加賀れんこんや金沢春菊、金時草をはじめとする加賀野菜の歴史や特徴、効能などについて、大藏さんの解説に耳を傾けました(下写真)。

意見交換のなかで大藏さんは、栽培実証圃の設置など、現在進められている振興施策とともに、担い手の確保・育成など加賀野菜が抱えている今後の課題についても言及し、参加者は加賀野菜にかかわる認識を一層深めることができました。

 「身近にある再生エネルギーの可能性」第1分科会山森.JPG
講師=山森 力さん(石川県企画振興部企画課エネルギー対策室 室長)

 山森さんからは、再生可能エネルギーに係る法律上の定義や、2012年7月に施行された固定価格買取制度のしくみとともに、石川県における再生可能エネルギーの導入状況等が説明されました。
石川県は、日照時間は全国平均を下回るものの、全国屈指の降水量のなかで、豊富な水資源や森林資源に恵まれているという地域特性を活かし、「石川らしい再生可能エネルギーの導入を推進」することを基本方針として、地域の活性化や産業振興などの政策課題の解決、また、自然環境と生活環境との調和を目指しています。

講演のなかでは、耕作放棄地を活用した太陽光発電の導入や、木質バイオマス資源の有効活用、下水汚泥からのメタンガスの活用推進といった具体的施策が紹介されるとともに、今回の会場である地場産業振興センターそのものが、太陽光パネル等を組み込んだ「エコブリッジ」や最新の省エネ技術が盛り込まれた「エコハウス」等の展示・実証を行うエネルギーマネジメントの情報発信拠点として位置づけられていることが説明され、参加者は石川県が進めるエネルギースマートゾーン構想を自ら体験していることを実感しました。

参加者から、地元との連携のあり方について質問を受けた山森さんは、石川県再生可能エネルギー導入支援融資の創設など、県内企業と大学等の産学官連携による研究開発等を促進するなかで、再生可能エネルギーの導入による県の活性化に一層取り組んでいきたいと述べました。

第2分科会「食の安心・安全・安定をめぐって」
参加者=96人

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助言者=大江正章さん(ジャーナリスト)
報告者=長尾伸二さん(福井県池田町・長尾農園)
報告者=大竹瞳さん(糸魚川市能生学校給食センター)
報告者=纐纈美千世さん(日本消費者連盟事務局長)

    纐纈さんからは「食の安全をめぐる最近の状況」をテーマに報告が行われました。2015年4月に食品表示法が施行されましたが、加工食品や50%ルール等、食品表示の問題点は解決されていないことが示されました。また、機能性表示食品制度は届け出制であり、責任の所在が明確になっていないこと等が指摘されました。

また、環太平洋経済連携協定(TPP)については、米国製品輸入にあたって食品表示が障壁になっていることが挙げられ、消費者の4つの権利を守るためにも、食事の機会や直接声を上げることで消費者の意思を示していくことの重要性が訴えられました。

  大竹さんからは「生産者との交流給食会を実施して」をテーマに、地産地消の給食つくりの取り組みについて報告されました。給食指導の中で、子どもたちが地産地消の給食を学び、自分の地域の良さを認識するため、生産者・農協職員等との地場産会議を通じて、生産者と子どもたちが一緒に給食を食べる「交流給食会」の実施に取り組みました。交流給食会では普段給食で食べているものがどのように育てられているのかを学ぶことができ、子どもたちと生産者の心と心のつながりができたことが挙げられました。

  長尾さんからは、1日目のシンポジウムに続き、子どもたちのアトピーをきっかけに池田町での農業を始めたことが報告されました。池田町では自分の家で消費するものを出荷する取り組みを行っており、使用された肥料等についても消費者へ示すこととしています。一方で、ブランドとなっている部分もあり、しっかりしたものを作らなければならないというプレッシャーもあると話されました。

池田町には有機農産物のJAS認証をされている農家はありませんが、その意義等から申請をしていない現状であると説明されました。長尾さんは、ウェブ上で農薬に関しての思いを明らかにしており、生産現場を写真等で見てもらう取り組みを続けていることも報告されました。

助言者の大江さんは、有機農業は昔から行われていたものであり、特別なものではないと強調されました。また、新規就農者の27%が有機農業を希望していることから、新規就農者が地域に入っていけるような体制を作ることが重要だと指摘がありました。

さらに、新規就農者にとって専業から始めることは大きな負担なることから、兼業就農研修制度の必要性が提起されました。また、農家民宿(民泊)のリピート率の高さに触れ、小規模でも始めていくことで、小さな収入が多く生み出されるとし、兼業を育てることが強い農業を作ると訴えました。

その後、参加者を含めて給食の「合理化」の問題、子どもの貧困における給食の重要性、新規就農者へのとりくみ等について意見交換が行われました。

  
第3分科会「食料、農業、農村をめぐって」
参加者=145人

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 講 師=谷口信和さん(東京農業大学教授)
報告者=福島伸享さん(衆議院議員)
報告者=斉藤和弘さん(新潟市農林水産部農業特区農村都市交流課長)

   最初に福島伸享衆議院議員が「TPP交渉の結果と今後の展望」について報告しました。 福島さんは、「安倍政権によるTPP交渉参加は欺瞞から始まった」とし、自民党は選挙公約では「関税撤廃」をめざすTPPには反対としていたのも関わらず、すぐに翻したことを批判しました。そして、10月5日に「大筋合意」が発表されましたが、この内容は、2014年4月のオバマ大統領訪日時に、すでに農産物などは日米間でほぼできあがっていたものでした。そのため、アトランタの閣僚会議では、日本交渉団は、ひたすら「大筋合意」を促す議事進行役に終始していたことが報告されました。
福島さんは「TPP交渉を通じて何を得ることができたのか。自動車など工業製品については、攻めているつもりが攻められて、得るものは少なく、農産物等では明らかに国会決議に違反している」と指摘、さらに「安倍政権の進める農協、農業委員会の改革、農地中間管理機構、米政策などの政策は、同じ理念、思想に基づいている」とし、農業は大きな危機にあることが強調されました。

新潟市農林水産部の斎藤和弘さんは、新潟市の「革新的農業実践特区」の取り組みを報告しました。新潟市は全国トップクラスの農業力、食品製造力を持ち、食に関する産学官の高度な教育、研究、支援機関があり、2011年から「新潟ニューフードバレー構想」を推進してきました。そうした中で、国家戦略特区の指定を受け、規制改革も着実に進行しています。

齋藤さんは、特区はあくまで地方自治体が主体となって推進するもので、農業を核とした成長戦略のステップとして位置付けられているとし、「新潟の魅力、農業の力、食のすばらしさを発信し、農業特区効果を最大限に発揮しようとするものである」として、多くの実践例を紹介しました。

東京農業大学の谷口信和教授は「多様な担い手育成を通じた地域農業再建の可能性について」講演しました。その中で「日本の農政が直面する課題は家族経営の危機と地域農業であるが、アベノミクス農政では地域農業は再建できない。現場での実態を踏まえた問題点の把握と総合的な挑戦が大切である」と述べました。

さらに、アベノミクス農政が期待する企業の農業参入に対して、「家族経営の発展型としての農業法人企業、協業経営的農事組合法人、集落営農法人、JAによる農業経営など、多様な担い手を創出していくことが重要だ」と指摘しました。

討論では農業特区を中心に、多岐にわたる質疑が出され、多くの事例が紹介しながら、討議が行われ、1日目の全体シンポジウムのテーマであった「ローカルに未来があり、真の地域再生をめざす」ことの重要性がさらに深められました。

 第4分科会「森林・水を中心とした環境問題をめぐって」
参加者=90人

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助言者=大野長一郎さん(石川県珠洲市・大野製炭工場代表)
報告者=小林伸一さん(石川森林管理署署長)
報告者=辻谷貴文さん(全水道書記次長)

  最初に、小林伸一石川森林管理署長による「森林と水の関係」の報告が行われました。 小林署長は、森林のもつ多面的機能において、洪水の軽減、水資源の貯留、水質の浄化という3つの水源かん養機能について説明しました。そして、公益的機能発揮のための問題点として、材価の低迷、森林整備の停滞を挙げ、コスト削減、木材需要の開拓、施業地の集約化等により林家収入を増やし、森林の整備を推進することが重要であると述べました。
さらに、水道事業等に広く影響を及ぼした手取川上流の国有林内での崩壊による濁水に対して、林野庁の応急対策を紹介し、「今後も関係機関や民有林所有者とも連携して地域の森林整備に努める」と報告しました。

辻谷貴文全水道書記次長は「水循環基本計画の概要と課題」と題して報告。水は公共財であるとした「水循環基本法」の具現化として「水循環基本計画」が策定されましたが、この計画を実効ある政策にするために、議員連盟のもとに設置されたフォローアップ委員会が、地下水保全法などをめぐり休止状態となっている現状を説明しました。また、水は経済財であるとして利用規制に反対し、民営化を推進すべきとする立場の者と、水は公共財であり公的管理のもとに利用には一定の規制が必要という立場の者(私たち)が議論をする場としても、フォローアップ委員会を再開させ、超党派の議員連盟を再構築する必要があることを強調、縦割りの水行政を一つの省庁にまとめ統合的に管理する必要性を述べました。

さらに、水道事業について、民営化され問題が多いイングランドや、民営化に失敗し再公営化されたパリ市などの事例が世界的に散在するにも関わらず、公的管理のもとに高い技術を持ち、安全で安定した水道サービスとして世界的にも評価の高い日本の水道事業を、国策として民営化する動きが進んでいるのは非常に問題があるとし、市民の生活を守るために持続可能な公営水道事業を展望していく必要があると訴えました。

助言者の大野長一郎さんは、炭焼きは1次産業全般に関わることができるものであり、また里山里海などの環境保全にも貢献できるとして、その活用が呼び掛けられました。

参加者から、地下水の利用制限の状況や林業などにおける人材育成、林業への助成金の必要性などの質問が出され、報告者からは、地下水利用規制は地域での議論が必要なこと、緑の雇用制度が林業就業にもたらす効果、小規模林業を集約化する取り組みの推進、森林の公共性についての教育の必要性などが指摘されました。さらに、地下水は誰のものかというコンセンサスと利用のルールづくりの必要性、熊本市などが条例で地下水利用を定めている事例などの意見も出されました。


第5分科会「無音の叫び声 農民詩人 木村迪夫の牧野村物語」
参加者=87人

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解説者=原村政樹さん(本作映画監督)


戦後70周年企画として映画上映を行い、後半は原村政樹監督から映画に関する解説を受け、質疑応答を行いました。

映画の主人公は、農民詩人として高い評価をうけて来た木村迪夫さん。映画は彼の詩の朗読を織り交ぜながら実に淡々と進行していきます。しかし映画の内容は、詩人としての半生を映し出すだけではなく、木村さんの人生を辿りながら、山形県上山市牧野村という農村の歴史、70年代以降の出稼ぎ労働者の姿、さらには深刻化する過疎化の問題なども同時に描き出しています。122分という上映時間には、現代日本の農村に関するあらゆる要素が濃縮されています。

特に戦後70年特別企画というにふさわしく、木村さんの人生に戦争の爪跡がどれだけ深く残っているのかということも描き出されています。木村さんの父親は3度にわたる召集の末に、とうとう帰らぬ人となりました。木村さんは「こんなむごたらしい戦争は長続きしない」と語り、反戦平和を訴え続けて来ました。そして叔父の遺骨が埋まっている太平洋のウェーキ島にも政府派遣の遺骨収集団として赴き、当時の団員とは現在でも親交を重ねています。

農民として、詩人として、そして平和を愛するひとりの人間として、木村さんが一生懸命に生きて来たことが伝わってきました。「農民詩人の半生を描いた映画」という情報しか持たずにこの映画を見た人ならば、意外とも思えるシーンかもしれませんが、これこそがこの映画の醍醐味なのかもしれません。

質疑応答の中で原村監督は「有機農業や、画期的なことを行っている農家の方が注目されやすいが、一方、木村さんはいわゆる普通の農家だ。減反政策や過疎化の波を受け続けてきた。しかし、こんな農家だからこそ特に描きたかった」と語られました。木村さんがすぐれた詩をいくつも残され、「ただの農家でうずもれたくない」という意志を持ってきた人だからこそ、こうした映画が実現したのかもしれません。


フィールドワークAコース「次代へつなぐ地域農業と生きた世界遺産」
参加者=41人

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 富山県南砺市にある「JA福光」の視察及び世界遺産の五箇山見学を行いました。
JA福光においては、取り組み概要の説明を受け意見交換を行い、施設を見学しました(写真)。JA福光は、1日目の全体シンポジウムにパネラーとして参加された齋田一除さんが会長理事を務められており、地域全体が一つの農場のように運営・機能させる「一町一農場」をめざす農協という説明がありました。

独自の地域農業システムを構築し、全国でも珍しい5基のカントリーエレベーターを1箇所に集中させて、徹底的なコスト削減、栽培技術指導、全サイロの同一品質管理を行い、福光ブランドとして販売促進を行い地域農業・農家の営農を支援しているなど、事業の説明がありました。また、組合員の自家消費米もJA施設で保管されており、組合員はいつでも必要な時に「今擦り米」が食べられるシステムとなっているとの説明もありました。

意見交換では、米販売戦略、飼料米の取り組み、自家消費米の具体的なシステムなどについての質問がありました。カントリーエレベーターや隣接する農産物等直場所を見学して視察を終えました。

引き続き、五箇山に向かいました。道の駅「ささら館」で地元料理を堪能した後、相倉合掌集落を訪れ、現地ガイドから世界遺産に指定された頃の様子や、集落を保存するための苦労話、昔の集落の生活、合掌作りの特徴・造り方など写真も使った説明をうけました。

自由散策では、今も人々が暮らしている世界遺産の家や民族資料館、産業展示館等の見学をしました。厳しい自然の中で、農業を営みながら、四季を通していろいろな知恵を出し、工夫して生活していた様子を感じることができました。

最後に、国の重要文化財に指定されている合掌作りの「村上家」を見学しました。囲炉裏を囲み、薬草茶を飲みながら当主の説明を聞きました。平安時代からの歴史や合掌作りでの生活ぶりの説明を聞き、実際に古くから伝わる民謡「放下僧のささら踊り」の披露もあり、五箇山の生活を知ることができました。参加者も、囲炉裏の温もりを感じながら真剣に当主の説明を聞いていました。

バスの中では、富山弁講座も行い、より現地を感じることができました。


フィールドワークBコース「まっとったわいね!能登の里山里海」
参加者=40人

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  まず、日本で唯一、車で走れる千里浜海岸が浸食されている問題について、石川県議会議員の本吉淨与さんから車中で講義を受けました。この現状を放置しておけば、近い将来、海岸がなくなってしまうことで、石川県では現在、試行錯誤の対策を取っているとのことでした。
次に、輪島市の千枚田については、輪島市職員の延命公丈さんが解説され、ボランティアの人たちにより千枚田の耕作が維持されている現状を、景観をみながら実感しました(写真)。

さらに、揚浜塩田の視察では、NHKの朝の連続ドラマ「まれ」で有名になった揚浜塩田による塩作り方法を学びました。

最後に珠洲市の「木ノ浦ビレッジ」で、地元のお母さんたちが作った地産地消の手作り弁当を食べながら、星陵大学特任教授の澤信俊さんの「持続可能な地域作り」と題した講義を受けました。能登地域は高齢化が加速しており、その中でも珠洲市は高齢化率が4割を超えている現状にありますが、地域の活性化のためを思ってがんばっている人たちがたくさんいます。澤さんはそのような人たちの意気込みに共感し、金沢市から珠洲市の限界集落である日置(ひき)地区に居住しました。

講義では、日置地区はもとより、珠洲市全体にまだまだ元気があること。現在住んでいる人は、地元に仕事がないからと子どもを都会に出したことが高齢化や過疎をまねいた原因だとして後悔していると指摘されました。そこで現在、その対策として、孫が帰って来て少しでも生活ができる環境作りを行っています。「木ノ浦ビレッジ」も建物は市が建て、運営は地元住民の出資による株式会社で行っているとのことです。

政府は「地方創生」の推進を図り、地方を活性化し人口減少を食い止める対策を強化するとしていますが、澤さんは「ようやく政府も気づいた。自分たちが進めてきたことに間違いはなかった、珠洲市はまだまだ元気になる」と意気込んでいました。



 

 

 

 

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