集会等の報告
2024年11月28日
憲法で未来につなぐ平和の想い 第61回護憲大会を岡山県・岡山市で開催
「憲法で未来につなぐ平和の想い 憲法理念の実現をめざす第61回大会」(第61回護憲大会)を11月24・25・26日の三日間にわたり、岡山県・岡山市で開催しました。24日の開会総会・メイン企画には約1300人が参加しました。また、25日は分科会・ひろばやフィールドワーク、そして26日には閉会総会を開催しました。これらの日程のなかで、私たちの生活と権利の根本に存在している憲法の理念をどのように活かし、めざすべき社会を構想していくのか、それぞれ学習と議論を深めながら、引き続き全国各地でのとりくみを強化していくことを確認しました。
24日、オープニングとして岡山を代表する夏祭りである「うらじゃ」の演舞が披露されたのち、開会総会を開催しました。染裕之・実行委員長(平和フォーラム共同代表)から開会あいさつ、鳥越範博・副実行委員長(岡山県平和・人権・環境労組会議議長)が開催地からの歓迎あいさつを行いました。続いて、則松佳子さん(連合副事務局長)、柚木道義さん(立憲民主党岡山県連代表)、大椿ゆうこさん(社会民主党副党首)から連帯あいさつがありました。そして、谷雅志・事務局長が大会基調案を提案し、全体で確認しました。
メイン企画としてシンポジウム「日本国憲法は日本のアイデンティティーか」を行いました。染実行委員長をコーディネーターに、パネリストに飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)、下地茜さん(宮古島市議会議員)、畠山澄子さん(ピースボート共同代表)を迎えた本企画は、沖縄や日本各地、そして世界で実際に活動されている立場からの発言を受けつつ、実質的改憲の進行というべき危機的な現状にありながら、日本国憲法の存在をどう捉え、どう活かすのか。そして憲法破壊や戦争国家に向かう動きにどのように対抗していくのかをともに考える機会となりました。
25日午前は「非核・安全保障」「軍拡・基地強化」「人権課題」「歴史認識」「憲法を学ぶ」の5つの分科会を開催し、それぞれのテーマでの問題提起と質疑応答が行われました(→分科会報告はこちら)。また、ふたつ(「人権コース」「戦跡コース」)のフィールドワークも行われました。午後は「ひろば」として「映画『日本原 牛と人と大地』上映会」「基地問題交流会」を行いました。
26日の閉会総会では、特別報告として「福島第一原発をめぐる状況」「島根原発再稼働」「沖縄現地からの報告」「水俣病と柏崎刈羽原発再稼働をめぐる県民投票のとりくみ」についてそれぞれ報告されました。その後「遠藤三郎賞」・「平和運動賞」の授賞式を行いました。護憲・平和運動に貢献された個人・団体を表彰する「遠藤三郎賞」は江本秀春さん(北海道)、「八の日・平和を守る女たちの会」(徳島)、「反核9の日座込み」(長崎)に、非核平和条例などの自治体におけるとりくみに対して表彰する「平和運動賞」は静岡県平和・国民運動センターに贈られました。続いて谷事務局長からは3日間全体の内容についてのまとめ報告を行いました。次回の第62回大会開催予定地が神奈川県であることが発表され、神奈川より決意表明がありました。大会アピール案(本記事下部に掲載)が提案され、全体の拍手で確認しました。
総選挙では改憲勢力の3分の2割込みなどの一定の成果はあったものの、憲法をめぐる状況、そして国内外の情勢は決して安心できないどころか、非常に危険な状態にあります。私たちの職場・地域でのとりくみがよりいっそう大切になっていることを認識し、ともにがんばっていくことを呼びかけつつ、平和フォーラムとしても憲法理念に基づいた平和な未来を切り拓くために全力を尽くしていきます。
憲法で未来につなぐ平和の想い
憲法理念の実現をめざす第61回大会アピール
10月27日投開票の第50回衆議院議員選挙で与党が過半数割れし、改憲勢力は3分の2を割り込みました。このことによって、大きく国会内の風景が変化しています。野党に配分される委員長ポストが増えたほか、憲法審査会には立憲民主党・枝野幸男議員が会長に就任しています。
この間、衆参の憲法審査会で改憲発議それ自体を目的化した、「議論」と呼ぶのも憚られるような議論が横行してきました。とりわけ、衆院憲法審査会ではほぼ毎週の定例開催が推し進められる状況が続いてきてきましたが、今回こうした悪弊を絶ち、憲法理念をいかす政治へと転換する第一歩となることを期待します。
岸田前首相が一貫して掲げてきた改憲発議は、自ら政権を投げ出したことで最終的に実現不可能となりました。衆参ともに改憲勢力多数という厳しい状態ではありましたが、ここまで改憲発議を阻んできたことは、国会内外で連携しながら、地域や職場で地道にとりくんできたことの成果として、ともに確認し合いたいと思います。
政権を引き継いだ石破茂・現首相は強固な改憲派として知られており、2012年発表の自民党改憲草案の策定にも深く関与しました。また、2013年には自民党幹事長として、辺野古新基地建設に反対していた沖縄選出の自民党所属議員たちを恫喝し、容認に転じさせた張本人でもあります。
最近では、日米安保条約を相互に防衛義務を負うものに改定する意欲や核共有の議論の必要性を語っています。いっぽうで選択的夫婦別姓制度については容認から慎重姿勢に転じるなど、これまでの「党内野党」的な装いも投げ捨てています。しかし、政権発足からすぐに解散・総選挙という奇策を打ったものの、大きく議席を減らしたことで求心力が低下しています。とくに保守層からの支持を失っているいま、改憲をあらためて強く主張することで支持回復を狙う可能性があり、注意が必要です。
総選挙では一定の成果を得ることができましたが、「日本保守党」などの新しい保守勢力が登場していることに警戒しなくてはなりません。そして東京や兵庫の知事選であらわれたように、インターネットを駆使し、真偽定かならぬ情報をも利用しながら大衆を煽動するような手法が、相当の結果を生み出していることを見るならば、決して安心することはできません。
また、ロシア・ウクライナ、そしてイスラエル・パレスチナでの戦争は、いずれも深刻化しています。多くの市民が生命を奪われ、生活基盤を破壊されているなか、私たちをふくむ国際社会は、残念ながらこうした暴虐を止めることができていません。さらに、アメリカ大統領選挙でのトランプ勝利によって、世界情勢はいっそう混沌としています。しかし、こうした状況だからこそ、いまいちど私たちが拠って立つべき生活と権利の源である憲法理念に立ち戻りながら、私たちがめざすべき社会のあり方を、しっかり考え直すことが必要なのではないでしょうか。
私たちはここ岡山県・岡山市で、3日間にわたって開催された「憲法で未来につなぐ平和の想い 憲法理念の実現をめざす第61回大会」のなかで、ともすれば他人事のようにも感じられてしまう憲法という存在が、私たちの生活や権利と分かちがたく結びついていることを再認識しました。
私たちの平和な未来は、この憲法の理念をいかすなかでこそ、展望することができます。そして、私たちの未来を決めるのは、私たち自身です。一人ひとりのいのちと尊厳を軽視し、ないがしろにするような政治潮流に対して、真正面から立ち向かっていきましょう。そのことを確認し、本大会のアピールとします。ともにがんばりましょう。
2024年11月26日
憲法理念の実現をめざす第61回大会