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2014年08月01日

会話の成立しない政治

集団的自衛権行使容認の閣議決定が7月1日に行われ、安倍晋三首相は記者会見に臨んだ。その後、7月14日、15日に、閣議決定に関する集中審議が衆参両院で行われた。記者会見を聞き、集中審議を聴いていて気づいたことがある。それは、会話が成り立っていないと言うことだ。記者や野党議員の質問への首相の回答は、「はぐらかす」などという程度のものではなく、別の話になっている。会話とはコミュニケーションの手段であり、質問であれば答えがなくては成り立たない。ある記者が「平和を守るために戦争になる。国民はどのような覚悟が必要か」と問うと、「自衛隊員の皆さんは、私の誇りであり、国民の命を守るために活動していただけると確信している」と答える。質問の趣旨とは全く関係ないことを延々と話し始める。首相一人が納得して終了する。その繰り返しだ。世論調査では、5割以上が反対し、8割が説明不足と回答している。そのことを問われると「抽象的概念であり、憲法や国際法、安全保障政策などが関係し、理解が難しい。分かりやすく説明しなくてはならない」と答える。

集団的自衛権行使の新3要件に合致すれば、国連安保理の決議をもって集団的安全保障への参加、これは多国籍軍への参加を意味するが、内閣法制局長官は「法理上は可能」と答えた。しかし、安倍首相は「イラク戦争」や「湾岸戦争」などに参加するようなことは決してない。武力行使を目的に参加することは決してないと答える。なぜそう言い切れるのかの説明はない。いろいろな場面で、「日本の平和主義はこれからも何ら変わるものではない」と主張するが、誰もが納得する説明はない。説明がないのに「説明しなくてはならない」と答える気が知れない。

岡田克也衆議院議員が、「集団的自衛権行使の容認で自衛隊員の命のリスクが高まるのではないか。安倍首相はそのことに一度も触れていない」と質問した。がしかし、首相は自衛隊員の「戦死」に関して全く触れなかった。これまで同様に安全の確保に万全を期すそうだ。米国が攻撃をされている場合に、それを支援するのが集団的自衛権の行使ではないか。そこに戦闘行為は発生しないのか。自衛隊員が誰も「戦死」することはないのだろうか。首相の説明はない。

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