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「自然の世」を見つめて、 時代を考える

2014年12月 1日

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 青森県八戸市八日町、JR八戸線本八戸駅から10分ほど歩くと、安藤昌益資料館がある。会議と会議の間に、まとまった時間ができたので足を運んだ。「蔵ショップはちつる」という醸造メーカーの販売店と一緒なので、酒好きは嬉しい。昌益は、江戸中期の封建時代にあって、平等の世の中を説いた人物として類例を見ない思想家だ。彼の思想を著した「自然真営道」101巻は、八戸の地で書かれたと言われる。

 東北の太平洋岸では、夏でも時折、やませ(山背)と呼ばれる東からの冷涼な風が吹く。稲の開花時期に当たると極端に収量が落ち「冷害」と呼ばれる事態が発生する。江戸期の農業は、常に凶作と飢饉の脅威にさらされていた。八戸地方でも4~5000人もの餓死者を出した。

 昌益は、このような時代の八戸で町医者をしながら、自ら働くことない武士階級が農民の生産を搾取し、労働にあけくれる農民が餓死していく不条理を見つめ、士農工商の封建社会をきびしく批判した。

 昌益は、自ら働かず農民の労働を搾取する「不耕貪食」の武士が支配する封建社会を「法の世」として批判し、貧富の差のない平等な理想社会を「自然の世」と表した。男は畑を耕し女は麻を織る。自然の循環の中で働き、生活を維持していくことこそ「直耕」という人間の理想の姿であるとしている。

 昌益が没してから252年が経つ。今の日本はどうだろうか。厚生労働省のまとめた子どもの貧困率の最新数字は、過去最高の16.3%を記録した。中でも、一人親家庭の貧困率は58.7%と突出して高く、OECD加盟国中最悪の数字だ。「政策による貧困削減効果が少ない」と言われ、政治が貧困を生んでいるとも言える。封建社会の矛盾から出発した近代は、どう見ても行き詰まっている。

 アベノミクスは、経済成長を基本にした政策だ。このことが市民生活を圧迫している。「直耕」の「自然の世」ですむとは思わないが、経済成長を追い求める時代から、何か変わらなくてはならない。「脱近代」という新しい時代を考えねばならない。

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