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2018年11月01日

持続可能な社会を語ろうではないか

10月12日、九州電力(九電)は太陽光発電業者に対して「出力制御」を実施した。九電は他に先駆けて原子力発電所の再稼働(川内原発1・2号機、玄海原発3・4号機)を行ってきた。それ故の「出力抑制」である。再生可能エネルギー(再エネ)をストップして、「危険きわまりない」原発を動かすことはないだろう。何かが間違っている。

九電管内の最小の電力需要は700万kW弱程度であり、一日単位で言えば太陽光だけで需要を賄うことができる。その進捗によっては、電力を他のエネルギーに頼ることのない、持続可能な社会を構成できる可能性が高い。環境エネルギー政策研究所(ISEP)は、火力発電所(特に石炭火力)および原子力発電所の稼働抑制や会社間連系線(電力会社間を結ぶ送電線)を利用して本州側への送電を行うことで、九電管内における太陽光発電への「出力抑制」は回避できるという。太陽光や風力を中心とした再エネの普及・増進は、福島原発事故以降の世界の共通した課題となっている。「出力抑制」が頻繁となれば、再エネ業者の事業計画に影響を与え、ひいてはその衰退も引き起こしかねない。持続可能な社会へ向けての、今回の九電の方針は、大きな壁となっていくに違いない。

九電が「出力抑制」を行ったその日の朝日新聞に、経済学者ケイト・ラワース(英オックスフォード大学環境変化研究所上席客員研究員)のインタビュー記事が掲載された。彼女は、経済成長を追い求める現在の社会に警鐘を鳴らし、そのことに依存しないことで、環境問題や貧困・格差問題などを解決し、持続可能な社会をつくるべきと説く。「地球環境に配慮しながら身の丈に合った暮らしをすることをめざそう」との主張は、敗戦後、経済成長の時代と現在の貧困と格差が蔓延する時代を経験する日本にとって、きわめて重要な指摘のように思う。「作って使って捨てるという一直線型を、再利用を前提とした循環型に変える」そうしながら「富の再分配を国の中で、そして世界の中で進めていく」そのことにロマンを感じるのは、私だけではあるまい。しかし、彼女はロマンではなく、現実的政策の積み上げで可能なのだと言っている。一番の問題は各国の指導者が話を始めないことだとの指摘は、かの国の総理大臣、財務大臣を見ていると納得できる。
(藤本泰成)

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